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夢小説設定
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「・・・まだ、時間には早いのに」
「なに?どういうこと?」
色んな変化が一変におき、分からず仕舞いにいる玲薇。
そんな彼女にいつもの笑みを見せてから、
さまざまな原因を呼び起こした目の前の兄を、睨みつけた。
「兄さんが余計なことをするから!!」
「余計なことじゃねー!人助けだ!!」
二人の言い合いに、ただただ玲薇は見守るだけ。
「あの人たちだって生きてたんだ。ちゃんと、供養とかそーゆーのしてやんねーと」
「悪魔を祓うのが祓魔師だ。人助けは仕事じゃない」
冷淡に言う雪男に対し、燐が吼えるように反駁(はんばく)する。
「違ぇよ、メガネ!人を助けんのが祓魔師だ!!
なぁ、玲薇はどっちだと思う?」
「え」
どっちが、正解だ?
二人の視線を集中的に浴びてしまい、うまく言葉が出てこない。
「わ、私は・・・」
雪男が言うことも一理あるし、燐の言うことも一理ある。
どっちが正しいとかそんなの・・・分からない。
その場その場の現状で、動いてしまうかもしれない。
「うわ!?」
「「っ!」」
緊迫した空気の中、一斉に襲いかかる屋根から伸びた触手。
オドオドしている暇はない。雪男と瞬時に背中合わせになり、
ホルスターから銃を抜き、迫りくる触手に銃弾を放つ。
二人のさらに背後で、燐も袋に入ったままの降魔剣を構えた。
次々と伸びてくる触手を、力まかせに跳ね飛ばす。
だが触手は、すぐさま再生し無限に伸びてくる。
「くそっ、キリがねぇ」
降魔剣に絡みつこうとする触手をなぎ払いながら、燐が顔をしかめる。
先端を尖らせた触手が三人に襲いかかってくる。
そのうちの一つが、雪男の右手を直撃した。
「っぅ・・・!」
顔をしかめた雪男が、低くうめく。その手から弾かれた銃が、
回転しつつ鉄橋のレーンに落ちた。
金属同士がぶつかる、硬質な音が列車の走行音にかき消される。
「雪男!」
触手から目を放し、背後にいた雪男に身体全体を向ける。
意識がすべてそちらに向けられてしまったのか、
触手に気づくのが遅れた。
「玲薇!!」
兄の叫びに、雪男はハッとする。
見れば玲薇は触手に突き飛ばされ、宙を浮いている。
けれど玲薇をギリギリでキャッチしたのは、リニュウだった。
《バカか、てめぇは!》
「ケホッ。リニュウ・・・」
玲薇の無事な姿を見て、安堵する燐と雪男。
雪男は傷ついた右手をおろし、左手でもう一丁の銃を抜き、肩と水平に構えた。
「お願いリニュウ、もう一度!」
《わかった》
二人のもとへと急ぐ。
列車は、今や完全に様変わりしていた。先頭の窓の下が大きく横一字に裂け、
そこから石臼のような前歯と巨大な舌がのぞいている。
メキメキ・・・と低い音を立てて幽霊列車が頭部を起こすと、
頭だけ背後へ向け、自身の背中に乗っている燐と雪男をギョロリと見やった。
大きく開いた口元からは、胃液とも涎ともつかぬ液体がだらだらとこぼれ落ちている。
まさに、悪夢のような光景だった。
「燐!雪男!」
「玲薇はそのままそこにいて!」
「な、なんで!?」
「いいから!」
「っ・・・」
雪男の厳しい顔つきに、何も言えなくなる。
このままここに、居ることしか出来ないのか・・・。
「チッ。自分の失敗、玲薇に押し付けやがって」
今度は燐が、小さい声でも聞こえるように雪男の背後に立つ。
「うるさい」
もう少しで玲薇を死なすとこだった。
一番自分に腹を立てているのは、自分自身だ。
ため息つくまもなく、前後左右から襲いかかってくる触手。
「ってかコレ、身体の上で騒いだから怒ったのか?」
降魔剣の入った袋で叩き返しながら、燐がわめく。
それに、雪男が迫りくる触手を次々と弾丸で打ち抜いて答える。
「いや、幽霊列車にそんな知能はない」
いまいましげに、両の目を細めた。
「車両(はら)を満たしていた霊を奪われ、凶暴化したんだ」
「なに?どういうこと?」
色んな変化が一変におき、分からず仕舞いにいる玲薇。
そんな彼女にいつもの笑みを見せてから、
さまざまな原因を呼び起こした目の前の兄を、睨みつけた。
「兄さんが余計なことをするから!!」
「余計なことじゃねー!人助けだ!!」
二人の言い合いに、ただただ玲薇は見守るだけ。
「あの人たちだって生きてたんだ。ちゃんと、供養とかそーゆーのしてやんねーと」
「悪魔を祓うのが祓魔師だ。人助けは仕事じゃない」
冷淡に言う雪男に対し、燐が吼えるように反駁(はんばく)する。
「違ぇよ、メガネ!人を助けんのが祓魔師だ!!
なぁ、玲薇はどっちだと思う?」
「え」
どっちが、正解だ?
二人の視線を集中的に浴びてしまい、うまく言葉が出てこない。
「わ、私は・・・」
雪男が言うことも一理あるし、燐の言うことも一理ある。
どっちが正しいとかそんなの・・・分からない。
その場その場の現状で、動いてしまうかもしれない。
「うわ!?」
「「っ!」」
緊迫した空気の中、一斉に襲いかかる屋根から伸びた触手。
オドオドしている暇はない。雪男と瞬時に背中合わせになり、
ホルスターから銃を抜き、迫りくる触手に銃弾を放つ。
二人のさらに背後で、燐も袋に入ったままの降魔剣を構えた。
次々と伸びてくる触手を、力まかせに跳ね飛ばす。
だが触手は、すぐさま再生し無限に伸びてくる。
「くそっ、キリがねぇ」
降魔剣に絡みつこうとする触手をなぎ払いながら、燐が顔をしかめる。
先端を尖らせた触手が三人に襲いかかってくる。
そのうちの一つが、雪男の右手を直撃した。
「っぅ・・・!」
顔をしかめた雪男が、低くうめく。その手から弾かれた銃が、
回転しつつ鉄橋のレーンに落ちた。
金属同士がぶつかる、硬質な音が列車の走行音にかき消される。
「雪男!」
触手から目を放し、背後にいた雪男に身体全体を向ける。
意識がすべてそちらに向けられてしまったのか、
触手に気づくのが遅れた。
「玲薇!!」
兄の叫びに、雪男はハッとする。
見れば玲薇は触手に突き飛ばされ、宙を浮いている。
けれど玲薇をギリギリでキャッチしたのは、リニュウだった。
《バカか、てめぇは!》
「ケホッ。リニュウ・・・」
玲薇の無事な姿を見て、安堵する燐と雪男。
雪男は傷ついた右手をおろし、左手でもう一丁の銃を抜き、肩と水平に構えた。
「お願いリニュウ、もう一度!」
《わかった》
二人のもとへと急ぐ。
列車は、今や完全に様変わりしていた。先頭の窓の下が大きく横一字に裂け、
そこから石臼のような前歯と巨大な舌がのぞいている。
メキメキ・・・と低い音を立てて幽霊列車が頭部を起こすと、
頭だけ背後へ向け、自身の背中に乗っている燐と雪男をギョロリと見やった。
大きく開いた口元からは、胃液とも涎ともつかぬ液体がだらだらとこぼれ落ちている。
まさに、悪夢のような光景だった。
「燐!雪男!」
「玲薇はそのままそこにいて!」
「な、なんで!?」
「いいから!」
「っ・・・」
雪男の厳しい顔つきに、何も言えなくなる。
このままここに、居ることしか出来ないのか・・・。
「チッ。自分の失敗、玲薇に押し付けやがって」
今度は燐が、小さい声でも聞こえるように雪男の背後に立つ。
「うるさい」
もう少しで玲薇を死なすとこだった。
一番自分に腹を立てているのは、自分自身だ。
ため息つくまもなく、前後左右から襲いかかってくる触手。
「ってかコレ、身体の上で騒いだから怒ったのか?」
降魔剣の入った袋で叩き返しながら、燐がわめく。
それに、雪男が迫りくる触手を次々と弾丸で打ち抜いて答える。
「いや、幽霊列車にそんな知能はない」
いまいましげに、両の目を細めた。
「車両(はら)を満たしていた霊を奪われ、凶暴化したんだ」