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「ようやく、正体を見せたな。ユウトウ」
「ユゥ・・・トゥ・・・?」
「よもや、こんなところでわが一族がかつて封印した悪魔に出会えるとは思わなかっぞ」
リュウは感じ入るようにそうつぶやくと、棍をくるりとまわした。
カッと両目を見開く。
「一族の名にかけて、貴様を祓ってやる!!」
リュウが地を蹴る。
うさ麻呂に向かって繰り出された棍を、しかし、とっさにまわりこんだ燐が阻む。
袋に入ったままの降魔剣と棍がぶつかり合い、硬い音を立てた。
「何をする」
リュウが燐を睨みつける。
「さっさと、そこをどけ」
「・・・・・・」
「どけと言っているんだ!!」
リュウが声を荒げる。だが、燐はリュウの顔を睨み返したまま、動こうとしなかった。
むざむざ目の前でうさ麻呂を祓わせるわけにはいかない。
そんな燐の様子にリュウが蔑んだ笑みを浮かべる。
「・・・やはり貴様は祓魔師には向かんな」
そこで、リュウの腕に一気に力がこもる。
その細腕から発されるとは思えない力だった。
燐の身体が降魔剣ごと後方に大きく弾き飛ばされる。
だが、いくら待っても痛みはなく、代わりに柔らかい感触があった。
《こんなとこにいやがったか》
「リニュウ・・・!」
玲薇の使い魔である、一羽の大きな鷹かいた。
《ふん・・・ざまぁねぇ。知らせるか》
「・・・知らせる?」
だが、リニュウは答えることなくいってしまった。
リュウが再び、うさ麻呂に向き合う。
だが、一足早く、うさ麻呂の尻尾がリュウの上半身を絡め取った。
「くっ!!」
リュウの顔が苦しげに歪む。
「・・・・・や、やめ・・・それ・・・は・・・」
「ダメだ!!うさ麻呂!止めろっ!!」
燐が叫ぶ。うさ麻呂の尻尾に締めつけられたリュウの両目が、
一瞬、ひどく虚ろになるのがわかった。いやに子供っぽい表情がリュウの顔を覆う。
「嫌だ・・・殺したくな・・・い・・・お願いだ・・・やめて、くれ・・・」
(今度は、アイツの記憶を喰おうとしてるのか・・・)
リュウの悲鳴のような声に、先ほどの果てしない喪失感が燐の内部で生々しく蘇る。
「やめろ!喰うんじゃねぇ!!うさ麻・・・」
燐の叫び声が終わらぬうちに、闇夜を震わせる銃声が響いた。
リュウを捕まえているうさ麻呂の尾に、銀色の銃弾が立て続けに着弾する。
燐が弾かれたように、銃弾の飛んできた方向を見やる。
そこには左手に銃を構えた弟の姿があった。それに、玲薇の姿も。
背後に台湾支部の二人もいる。
「雪男!!玲薇!!」
「燐!」
玲薇の顔がほころぶ。しかし、それは一瞬だ。
うさ麻呂は素早くリュウを放すと、続く銃弾を凄まじい速さでよけながら、雪男へと迫った。
雪男の放った最後の銃弾がうさ麻呂のお面をかすめる。
後ろ足で地を蹴り、宙を舞ったうさ麻呂が獰猛(どうもう)なうなり声を上げ、
マガジンチェンジ中の雪男に襲いかかる。
それをリュウの二人の部下が、すかさず両サイドからガードした。
二本のサスマタがうさ麻呂の身体を跳ね返す。
うさ麻呂の尻尾が瞬く間に二人を捕え、地面に叩きつける。
「あっ・・・!」
「・・・っ!玲薇!」
「うん!」
玲薇はホルスターから銃を抜き尻尾を打ち狙い、
マガジンチェンジを終えた雪男がうさ麻呂の頭を狙う。
すんでのところで被弾を避けたうさ麻呂が、
空中でくるりと回転すると、そのまま逃走した。
「尻尾も離れた」
「玲薇はあの二人を」
「わかった。リニュウ、雪男の後を追って!」
うさ麻呂を即座に追跡しにいった雪男を、見逃さないために。
二人の近くにいけば、息はしているのでひと安心だ。
「うさ麻呂・・・雪男・・・」
「燐・・・」
その場にたたずむ燐に、やさしく声をかける。
「玲薇・・・」
何が正しくて、何が悪いのか分からない。
「俺・・・」
震える燐の身体を、抱きしめる。ひどくそれが、あたたかい・・・。
「やっと、会えた」
「うん・・・」
あの時叫ばなければ、玲薇との記憶だって。
でも、やめろ、と叫んだ瞬間、びくっと震えたうさ麻呂の小さな肩を思い出す。
なぜじゃ、とうめいた声音の弱々しさが胸の奥を深く抉り取っていく。
『なぜこばむのじゃ・・・うさマロは・・・りんからつらいきおくをくってやりたいだけなのに・・・』
それでも、その中に忘れてはならない大事な記憶だってあるのだ。
ぎゅっと玲薇を抱き止める。
けど、面の下で、アイツは・・・うさ麻呂は、どんな顔をしていたんだろうか?
「ユゥ・・・トゥ・・・?」
「よもや、こんなところでわが一族がかつて封印した悪魔に出会えるとは思わなかっぞ」
リュウは感じ入るようにそうつぶやくと、棍をくるりとまわした。
カッと両目を見開く。
「一族の名にかけて、貴様を祓ってやる!!」
リュウが地を蹴る。
うさ麻呂に向かって繰り出された棍を、しかし、とっさにまわりこんだ燐が阻む。
袋に入ったままの降魔剣と棍がぶつかり合い、硬い音を立てた。
「何をする」
リュウが燐を睨みつける。
「さっさと、そこをどけ」
「・・・・・・」
「どけと言っているんだ!!」
リュウが声を荒げる。だが、燐はリュウの顔を睨み返したまま、動こうとしなかった。
むざむざ目の前でうさ麻呂を祓わせるわけにはいかない。
そんな燐の様子にリュウが蔑んだ笑みを浮かべる。
「・・・やはり貴様は祓魔師には向かんな」
そこで、リュウの腕に一気に力がこもる。
その細腕から発されるとは思えない力だった。
燐の身体が降魔剣ごと後方に大きく弾き飛ばされる。
だが、いくら待っても痛みはなく、代わりに柔らかい感触があった。
《こんなとこにいやがったか》
「リニュウ・・・!」
玲薇の使い魔である、一羽の大きな鷹かいた。
《ふん・・・ざまぁねぇ。知らせるか》
「・・・知らせる?」
だが、リニュウは答えることなくいってしまった。
リュウが再び、うさ麻呂に向き合う。
だが、一足早く、うさ麻呂の尻尾がリュウの上半身を絡め取った。
「くっ!!」
リュウの顔が苦しげに歪む。
「・・・・・や、やめ・・・それ・・・は・・・」
「ダメだ!!うさ麻呂!止めろっ!!」
燐が叫ぶ。うさ麻呂の尻尾に締めつけられたリュウの両目が、
一瞬、ひどく虚ろになるのがわかった。いやに子供っぽい表情がリュウの顔を覆う。
「嫌だ・・・殺したくな・・・い・・・お願いだ・・・やめて、くれ・・・」
(今度は、アイツの記憶を喰おうとしてるのか・・・)
リュウの悲鳴のような声に、先ほどの果てしない喪失感が燐の内部で生々しく蘇る。
「やめろ!喰うんじゃねぇ!!うさ麻・・・」
燐の叫び声が終わらぬうちに、闇夜を震わせる銃声が響いた。
リュウを捕まえているうさ麻呂の尾に、銀色の銃弾が立て続けに着弾する。
燐が弾かれたように、銃弾の飛んできた方向を見やる。
そこには左手に銃を構えた弟の姿があった。それに、玲薇の姿も。
背後に台湾支部の二人もいる。
「雪男!!玲薇!!」
「燐!」
玲薇の顔がほころぶ。しかし、それは一瞬だ。
うさ麻呂は素早くリュウを放すと、続く銃弾を凄まじい速さでよけながら、雪男へと迫った。
雪男の放った最後の銃弾がうさ麻呂のお面をかすめる。
後ろ足で地を蹴り、宙を舞ったうさ麻呂が獰猛(どうもう)なうなり声を上げ、
マガジンチェンジ中の雪男に襲いかかる。
それをリュウの二人の部下が、すかさず両サイドからガードした。
二本のサスマタがうさ麻呂の身体を跳ね返す。
うさ麻呂の尻尾が瞬く間に二人を捕え、地面に叩きつける。
「あっ・・・!」
「・・・っ!玲薇!」
「うん!」
玲薇はホルスターから銃を抜き尻尾を打ち狙い、
マガジンチェンジを終えた雪男がうさ麻呂の頭を狙う。
すんでのところで被弾を避けたうさ麻呂が、
空中でくるりと回転すると、そのまま逃走した。
「尻尾も離れた」
「玲薇はあの二人を」
「わかった。リニュウ、雪男の後を追って!」
うさ麻呂を即座に追跡しにいった雪男を、見逃さないために。
二人の近くにいけば、息はしているのでひと安心だ。
「うさ麻呂・・・雪男・・・」
「燐・・・」
その場にたたずむ燐に、やさしく声をかける。
「玲薇・・・」
何が正しくて、何が悪いのか分からない。
「俺・・・」
震える燐の身体を、抱きしめる。ひどくそれが、あたたかい・・・。
「やっと、会えた」
「うん・・・」
あの時叫ばなければ、玲薇との記憶だって。
でも、やめろ、と叫んだ瞬間、びくっと震えたうさ麻呂の小さな肩を思い出す。
なぜじゃ、とうめいた声音の弱々しさが胸の奥を深く抉り取っていく。
『なぜこばむのじゃ・・・うさマロは・・・りんからつらいきおくをくってやりたいだけなのに・・・』
それでも、その中に忘れてはならない大事な記憶だってあるのだ。
ぎゅっと玲薇を抱き止める。
けど、面の下で、アイツは・・・うさ麻呂は、どんな顔をしていたんだろうか?