8
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それで?これだけじゃないでしょ、電話をした理由」
「うん。それがね、よく分からないんだけど急に皆が目の前から消えたの」
玲薇の言葉に、眉を寄せる雪男。
「消えた・・・?」
「と、思うんだけど・・・私も曖昧で。
燐から電話もらって、祭りに行ってるって。
いつ燐がいなくなって祭りに行ったかなんて覚えてなくて・・・」
彼女の不思議な話に、一人ごちる雪男。
どういうことだろう。兄さんが、玲薇を置いて?
「他には?」
「ううん。けど、私も・・・祭りに行って大丈夫、かな・・・?」
謹慎をうけている身の彼女。さすが、兄さんよりもモノがよくわかっている。
「・・・わかった。もう少し、待てる?
こっちもきりがよくなるから、僕と一緒に行こう。
それなら、理事長に何を言われてもかまわないから」
「でも、それじゃ雪男が・・・」
雪男だけが、悪い奴にされてしまう。
「平気だよ。じゃ、また連絡入れるから」
そう言い残し、雪男は電話をきった。
(ありがとう、雪男・・・)
何度謝っても、たりないくらいだ。
「・・・仕事中に私語などと、余裕なものだな」
玲薇からの電話で席を外していた雪男が戻って早々に、
嫌みっぽくリュウに言われてしまう。
だが、今は何を言われてもあまり気にしなくなっていた。
きっと、玲薇と話が出来たから、仲直りが出来たから。
それに、電話をしながらでもちゃんと現状は把握できている。
「僕が、一番守ってやりたいと思っている人からだったので」
それでも、見事に振られてしまったけど。
「リュウさんには、いないんですか?そう想える人」
「・・・・・・・」
黙ったまま、睨まれるような視線が些か怖い。変な話をふってしまったか。
「・・・本部に連絡を入れ、祠の様子を見れたら、僕は一度旧館に戻らせてもらいます」
あれから、幽霊列車を見たという情報もないし、
何か特別に急いでやらなくてはいけないものは、ないから。
なにより、玲薇に早く会いたい。
「・・・好きにしろ」
いったんポケットに入れた携帯を再び取りだし、今度は本部に繋げた。
「あれ?」
だが、相手はいっこうに出てくれる気配はない。
もう一度かけ直してみるが、結果はやはり同じだ。
「どうした?」
リュウが尋ねてくる。
「本部に、繋がらなくて・・・」
答えつつ、雪男がリュウを振り返ると、頭蓋骨を震わせるような重低音があたりに響きわたった。
反射的に音の方へ視線を向ける。重機によって持ち上げられた瓦礫の下から、
大量のコールタールが一斉に飛び出してくる。
コウモリのように顔めがけて飛んでくるそれを雪男が片腕で払う。
「ありました」
重機のそばに立っている台湾支部の祓魔師が声を上げる。
確かに、瓦礫の奥に倒れた古びた祠が見える。
祠の裏板に何か紋章のようなものが描かれていた。
雪男が眼鏡の奥で両目を細める。
背後でリュウが息を呑む気配がした。
「あれは・・・」
そのまま言葉を飲みこんでしまったリュウに、雪男がいぶかしげな視線を向ける。
「どうしたんです?」
答えない。リュウの両目は食い入るように祠の裏側を見つめている。
そして・・・。
「・・・アイツの正体がわかった」
言うやいなや、走り出す。
「リュウさん!?」
突然の行動に驚きつつも、雪男がその後を追う。
だが、あまりの速さと祭りの人ごみを前に見失ってしまう。
「一体・・・どこへ・・・」
むやみやたらと捜しても、時間をくうだけだ。
このままここで待つか?いや、あの様子じゃ戻ってこないかもしれない。
「・・・好きにしろ、か・・・」
それなら、その言葉に甘えさせてもらおう。
変わらぬ男子寮旧館の食堂で、玲薇は待っていた。
「玲薇・・・!」
掛けられた声に、うつむいていた顔がハッと上がる。
「雪男」
「待たせちゃった・・・?」
そう申し訳ない顔で言う雪男は、息が少し上がっており、肩で息をしている。
「そんなことないよ」
私のために、こんなに必死になってくれてるのに・・・。
「あの・・・雪男」
「ん?」
「本当に、大丈夫なの?」
「大丈夫。玲薇が気にする必要はない。行こうか」
「うん」
「うん。それがね、よく分からないんだけど急に皆が目の前から消えたの」
玲薇の言葉に、眉を寄せる雪男。
「消えた・・・?」
「と、思うんだけど・・・私も曖昧で。
燐から電話もらって、祭りに行ってるって。
いつ燐がいなくなって祭りに行ったかなんて覚えてなくて・・・」
彼女の不思議な話に、一人ごちる雪男。
どういうことだろう。兄さんが、玲薇を置いて?
「他には?」
「ううん。けど、私も・・・祭りに行って大丈夫、かな・・・?」
謹慎をうけている身の彼女。さすが、兄さんよりもモノがよくわかっている。
「・・・わかった。もう少し、待てる?
こっちもきりがよくなるから、僕と一緒に行こう。
それなら、理事長に何を言われてもかまわないから」
「でも、それじゃ雪男が・・・」
雪男だけが、悪い奴にされてしまう。
「平気だよ。じゃ、また連絡入れるから」
そう言い残し、雪男は電話をきった。
(ありがとう、雪男・・・)
何度謝っても、たりないくらいだ。
「・・・仕事中に私語などと、余裕なものだな」
玲薇からの電話で席を外していた雪男が戻って早々に、
嫌みっぽくリュウに言われてしまう。
だが、今は何を言われてもあまり気にしなくなっていた。
きっと、玲薇と話が出来たから、仲直りが出来たから。
それに、電話をしながらでもちゃんと現状は把握できている。
「僕が、一番守ってやりたいと思っている人からだったので」
それでも、見事に振られてしまったけど。
「リュウさんには、いないんですか?そう想える人」
「・・・・・・・」
黙ったまま、睨まれるような視線が些か怖い。変な話をふってしまったか。
「・・・本部に連絡を入れ、祠の様子を見れたら、僕は一度旧館に戻らせてもらいます」
あれから、幽霊列車を見たという情報もないし、
何か特別に急いでやらなくてはいけないものは、ないから。
なにより、玲薇に早く会いたい。
「・・・好きにしろ」
いったんポケットに入れた携帯を再び取りだし、今度は本部に繋げた。
「あれ?」
だが、相手はいっこうに出てくれる気配はない。
もう一度かけ直してみるが、結果はやはり同じだ。
「どうした?」
リュウが尋ねてくる。
「本部に、繋がらなくて・・・」
答えつつ、雪男がリュウを振り返ると、頭蓋骨を震わせるような重低音があたりに響きわたった。
反射的に音の方へ視線を向ける。重機によって持ち上げられた瓦礫の下から、
大量のコールタールが一斉に飛び出してくる。
コウモリのように顔めがけて飛んでくるそれを雪男が片腕で払う。
「ありました」
重機のそばに立っている台湾支部の祓魔師が声を上げる。
確かに、瓦礫の奥に倒れた古びた祠が見える。
祠の裏板に何か紋章のようなものが描かれていた。
雪男が眼鏡の奥で両目を細める。
背後でリュウが息を呑む気配がした。
「あれは・・・」
そのまま言葉を飲みこんでしまったリュウに、雪男がいぶかしげな視線を向ける。
「どうしたんです?」
答えない。リュウの両目は食い入るように祠の裏側を見つめている。
そして・・・。
「・・・アイツの正体がわかった」
言うやいなや、走り出す。
「リュウさん!?」
突然の行動に驚きつつも、雪男がその後を追う。
だが、あまりの速さと祭りの人ごみを前に見失ってしまう。
「一体・・・どこへ・・・」
むやみやたらと捜しても、時間をくうだけだ。
このままここで待つか?いや、あの様子じゃ戻ってこないかもしれない。
「・・・好きにしろ、か・・・」
それなら、その言葉に甘えさせてもらおう。
変わらぬ男子寮旧館の食堂で、玲薇は待っていた。
「玲薇・・・!」
掛けられた声に、うつむいていた顔がハッと上がる。
「雪男」
「待たせちゃった・・・?」
そう申し訳ない顔で言う雪男は、息が少し上がっており、肩で息をしている。
「そんなことないよ」
私のために、こんなに必死になってくれてるのに・・・。
「あの・・・雪男」
「ん?」
「本当に、大丈夫なの?」
「大丈夫。玲薇が気にする必要はない。行こうか」
「うん」