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「!?」
「え・・・」
「ええっ?」
「志摩!?」
燐だけでなく、誰もがその光景をポカンと見つめた。
とりわけ、長いつき合いの二人の衝撃が大きい。
「お・・・お前」
「虫嫌いの志摩さんが・・・」
勝呂など、驚きのあまり椅子の上でズルリと滑ってしまっている。
「ど、どうしたんや・・・!?」
「志摩さん、もう今日は休んでください・・・!」
何事もなかったように戻ってきた志摩に、勝呂と子猫丸がオロオロと駆け寄り、
熱を測ったり、脈を取ったり、あれこれとその身を案ずる。
「よし・・・熱はないようやな」
「脈も普通です」
出雲までもが席を立った。
「アンタたち、ホントどうしちゃったのよっ?」
彼女は眉間にしわを寄せながら、しかし一応は心配してみせる。
だが、当の志摩は何のことかわからない様子。
「なんですの?」
不思議そうに皆の過剰な反応を見ている。
「大丈夫かな、みんな・・・」
できるなら、みんなと任務を交換してやりたい。
それなのに、謹慎なんて受けてしまっているから何もしてやれない。
それが今、とても残念だ。
「アイツら、そーとーキてるな・・・」
玲薇は心配の色を含めた眼差しを、みんなに向けている。
それゆえ、掴まれていた腕から手はもう離されていた。
「片付けるか」
「あ、手伝うよ」
呟いた言葉は玲薇に聞こえたらしい。
まぁ、いいか。一緒に片付けを始めると、ふと燐は、
向かいの席で呆然と志摩を見つめているしえみの横顔に、
絆創膏が貼られていることに気づいた。
「あれ?しえみ、どーした?それ」
「え?」
振り向いたしえみの左頬を指さす。
しえみの指がためらいがちに絆創膏に触れる。
「どっかで転んだのか?」
「・・・・・・」
なぜか、しえみがひどく驚いたような表情になったことに疑念を抱くことなく、
重ねた食器を手に、先に厨房に向かって行った玲薇の後を追う。
すると、今まで黙っていたうさ麻呂が、無邪気な声でポツリと尋ねてきた。
「みな、まつりにいきたいのか?」
「え?」
唐突な問いかけに一同が驚いてうさ麻呂を見つめる。
おそらく、さっきの志摩の叫びを聞いて考えていたのだろう。
燐も玲薇も立ち止まりうさ麻呂を振り返った。
うさ麻呂はいつの間にか椅子の上に立ち上がっている。
「そりゃあ・・・」
子猫丸がとなりに立つ勝呂を見上げる。
しごとがなけりゃあな、と勝呂が子猫丸の言葉を引き取る。
志摩が、うんうん、と力強く同意する。
三人の反応にうさ麻呂が大きな目をくりくりとさせる。
「しごとがなくなれば、みな、まつりにいけるのか?」
「そうですね。そしたら、皆で行けますね」
「仕事がなきゃ、祭り本部に詰めてる全員が参加するんちゃう?」
穏やかに応じる子猫丸の横で、志摩が無責任なことを言う。
うさ麻呂の両目は、今やこぼれ落ちそうなほど見開かれていた。
「!」
ハッとし、玲薇は自身の胸元を灯す淡い光に気づく。
燐からもらったネックレスが、光ってるのだ。
「どうした?玲薇」
胸を押さえるようにしている彼女に気づき、燐が問う。
「ううん、なんでも・・・」
ふと、背筋が凍るほどの冷たい視線を感じ、振り向けばうさ麻呂がじぃーっと見ている。
うさ麻呂は薄く笑みを浮かべれば、一語一句はっきりと確認してきた。
「みんなが、そうおもっているのだな」
「もちろんやで」
いささか芝居がかった調子で、志摩が両腕を広げてみせる。
「みーんなの願いや」
「っ・・・!」
頭がガンガンし、痛みが酷くなり思わずひざまつく。
「おい、大丈夫かよ?」
「りん・・・」
「薬、持ってくるから」
「待って、いかないで」
振り絞り声を出し、燐のズボンをつかみ握る。
「でもよ・・・」
「りん」
どうしようかと悩む燐は、うさ麻呂に名前を呼ばれ顔を向けた。
うさ麻呂の頬がゆるみ、薄い唇の両端がすうっと持ち上がる。
無邪気で愛らしいはずの幼い笑顔は、反面、
不気味でどこか底の知れない笑みにも見えた。
うさ麻呂の背後で黒くもじゃもじゃとした物体が蠢く。
(うさ麻呂・・・?)
「やめてぇ!!!」
玲薇の願い・・・しかし、それは誰にも聞こえることはない。
「え・・・」
「ええっ?」
「志摩!?」
燐だけでなく、誰もがその光景をポカンと見つめた。
とりわけ、長いつき合いの二人の衝撃が大きい。
「お・・・お前」
「虫嫌いの志摩さんが・・・」
勝呂など、驚きのあまり椅子の上でズルリと滑ってしまっている。
「ど、どうしたんや・・・!?」
「志摩さん、もう今日は休んでください・・・!」
何事もなかったように戻ってきた志摩に、勝呂と子猫丸がオロオロと駆け寄り、
熱を測ったり、脈を取ったり、あれこれとその身を案ずる。
「よし・・・熱はないようやな」
「脈も普通です」
出雲までもが席を立った。
「アンタたち、ホントどうしちゃったのよっ?」
彼女は眉間にしわを寄せながら、しかし一応は心配してみせる。
だが、当の志摩は何のことかわからない様子。
「なんですの?」
不思議そうに皆の過剰な反応を見ている。
「大丈夫かな、みんな・・・」
できるなら、みんなと任務を交換してやりたい。
それなのに、謹慎なんて受けてしまっているから何もしてやれない。
それが今、とても残念だ。
「アイツら、そーとーキてるな・・・」
玲薇は心配の色を含めた眼差しを、みんなに向けている。
それゆえ、掴まれていた腕から手はもう離されていた。
「片付けるか」
「あ、手伝うよ」
呟いた言葉は玲薇に聞こえたらしい。
まぁ、いいか。一緒に片付けを始めると、ふと燐は、
向かいの席で呆然と志摩を見つめているしえみの横顔に、
絆創膏が貼られていることに気づいた。
「あれ?しえみ、どーした?それ」
「え?」
振り向いたしえみの左頬を指さす。
しえみの指がためらいがちに絆創膏に触れる。
「どっかで転んだのか?」
「・・・・・・」
なぜか、しえみがひどく驚いたような表情になったことに疑念を抱くことなく、
重ねた食器を手に、先に厨房に向かって行った玲薇の後を追う。
すると、今まで黙っていたうさ麻呂が、無邪気な声でポツリと尋ねてきた。
「みな、まつりにいきたいのか?」
「え?」
唐突な問いかけに一同が驚いてうさ麻呂を見つめる。
おそらく、さっきの志摩の叫びを聞いて考えていたのだろう。
燐も玲薇も立ち止まりうさ麻呂を振り返った。
うさ麻呂はいつの間にか椅子の上に立ち上がっている。
「そりゃあ・・・」
子猫丸がとなりに立つ勝呂を見上げる。
しごとがなけりゃあな、と勝呂が子猫丸の言葉を引き取る。
志摩が、うんうん、と力強く同意する。
三人の反応にうさ麻呂が大きな目をくりくりとさせる。
「しごとがなくなれば、みな、まつりにいけるのか?」
「そうですね。そしたら、皆で行けますね」
「仕事がなきゃ、祭り本部に詰めてる全員が参加するんちゃう?」
穏やかに応じる子猫丸の横で、志摩が無責任なことを言う。
うさ麻呂の両目は、今やこぼれ落ちそうなほど見開かれていた。
「!」
ハッとし、玲薇は自身の胸元を灯す淡い光に気づく。
燐からもらったネックレスが、光ってるのだ。
「どうした?玲薇」
胸を押さえるようにしている彼女に気づき、燐が問う。
「ううん、なんでも・・・」
ふと、背筋が凍るほどの冷たい視線を感じ、振り向けばうさ麻呂がじぃーっと見ている。
うさ麻呂は薄く笑みを浮かべれば、一語一句はっきりと確認してきた。
「みんなが、そうおもっているのだな」
「もちろんやで」
いささか芝居がかった調子で、志摩が両腕を広げてみせる。
「みーんなの願いや」
「っ・・・!」
頭がガンガンし、痛みが酷くなり思わずひざまつく。
「おい、大丈夫かよ?」
「りん・・・」
「薬、持ってくるから」
「待って、いかないで」
振り絞り声を出し、燐のズボンをつかみ握る。
「でもよ・・・」
「りん」
どうしようかと悩む燐は、うさ麻呂に名前を呼ばれ顔を向けた。
うさ麻呂の頬がゆるみ、薄い唇の両端がすうっと持ち上がる。
無邪気で愛らしいはずの幼い笑顔は、反面、
不気味でどこか底の知れない笑みにも見えた。
うさ麻呂の背後で黒くもじゃもじゃとした物体が蠢く。
(うさ麻呂・・・?)
「やめてぇ!!!」
玲薇の願い・・・しかし、それは誰にも聞こえることはない。