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その日の昼過ぎ(祭り二日目)。
今度は、全身をオレンジ色に染め上げた勝呂たち三人が、
男子寮旧館を目指し、勾配(こうばい)の急な坂道を上がっていた。
「あかん、もー、あかん」
「今日のモルブも凄かったですね」
眉間にしわを寄せてうめく勝呂に、ぐったりと肩を落とした子猫丸が応じる。
その横で志摩はひたすら泣き言をもらしていた。
「奥村ァ~風美夜~、風呂貸してぇーな」
ようやく寮に辿り着いた一同が、疲れきった顔で玄関のドアを開ける。
「いいぞー」
「うん」
だが、応じる声がなぜか寮の外から聞こえてきた。
「?」
首を傾げた三人が声の方を向く。
「あ、いらっしゃい」
「お、おう・・・」
いつも大人びている玲薇だが、今日はそれ以上に見えてしまうのは、
気のせいなのだろうか。ちょっとした段差に行儀良く座る彼女は、
まるでどこぞのお姫様のようだ。
「なんや、玲薇ちゃん雰囲気変わったような・・・」
志摩はデレデレと、鼻の下までも伸ばしてる。
それに呆れ、ため息をつく勝呂。でも、妙に心臓からのドキドキが煩い。
玲薇はそのまま、悪魔の少年とサッカーらしきものをやっている燐のもとへ。
サッカーボールを持って、何度も手で投げ渡してしまう悪魔の少年に、
こう蹴るんだよ、と教えるようにボールを足で蹴る仕草を見せてやる。
「・・・・・・アレ、いいんですか?すっかりなついちゃってますけど」
子猫丸が心配そうな顔で、誰にともなく問いかける。
「なんや、休みの日に息子と戯れる夫婦みたいやな」
志摩が呑気なことを言う。
「夫婦!?」
その発言に仰天するのは、勝呂。
「だって、まんまですやん」
「まぁ、そう見えなくはないですね」
珍しく、志摩に同意の子猫丸。
なんだかあの三人を見ると、幸せそうな一つの家族に見えるのだろう。
燐がパパで玲薇がママ。その二人の間に出来た子が、あの少年・・・。
いやいや、あり得ない。
「アホなこと言うなや」
馬鹿馬鹿しい話だ。勝呂はため息をつき、声をかけた。
「オーイ、いいのか、一緒に遊んで」
「ずっと檻ン中、閉じこめとくわけにいかないだろ?
たまには遊んでやんねーとさ」
屈託なく笑う燐に、三人がなんともいえない表情になる。
だが、燐はおかまいなしといった様子でさらっと言った。
「お前らも、風呂入ったら、ちょっとつき合えよ」
そう言うと、今度は玲薇も混ざり、再び悪魔の少年とサッカーの練習もどきを始めた。
三人が無言で顔を合わせる。
それから、約一時間後・・・。
「しまっていこー!」
しえみや出雲、宝までもが呼び出され、男子寮旧館の裏手にある広場で三角ベースが始まった。
「・・・なんで野球なのよ」
バッターボックスに立った出雲が、むっつりつぶやく。
「さぁ?」
プロテクターをつけた子猫丸が、出雲の後ろで困ったように笑う。
「昼休みに皆で楽しく言うたら、野球(コレ)やろ」
当然のごとくピッチャーの位置に陣取った勝呂が、よくわからない理屈を述べる。
そして、まずは一球。見た目通りの強肩を見せつけ、ストライク。
「いけー!出雲ー!!かっ飛ばせー!!」
ベンチに座った燐が、両手でメガホンを作ってバッターボックスの出雲に声援を送る。
「頑張れー!出雲ー!」
その横では、声を張り上げて応援する玲薇と、
彼女の膝の上にちょこんと乗り、グローブを胸に抱え、
ぽけっと皆のやっていることを見つめているうさ麻呂がいた。
「はぁ~。せっかくの昼休みが・・・」
一塁の前に立った志摩が肩を落とし、湿っぽいため息をもらす。
続いて、第二球。
出雲が勝呂の投球に合わせてバットを振る。
カキーンという高い音が広場に響いた。
「えっ?」
よもや打たれまいと気を抜いていた志摩が、ぎょっと顔を上げる。
ボールはキレイな弧を描いて外野に落ちた。
涼しい顔の出雲が一塁のベースを踏む。
「チッ・・・手が滑ったか」
勝呂が小さく舌打ちし、気を取り直してホームを見やる。
その顔が、いまいましげに歪んだ。
今度は、全身をオレンジ色に染め上げた勝呂たち三人が、
男子寮旧館を目指し、勾配(こうばい)の急な坂道を上がっていた。
「あかん、もー、あかん」
「今日のモルブも凄かったですね」
眉間にしわを寄せてうめく勝呂に、ぐったりと肩を落とした子猫丸が応じる。
その横で志摩はひたすら泣き言をもらしていた。
「奥村ァ~風美夜~、風呂貸してぇーな」
ようやく寮に辿り着いた一同が、疲れきった顔で玄関のドアを開ける。
「いいぞー」
「うん」
だが、応じる声がなぜか寮の外から聞こえてきた。
「?」
首を傾げた三人が声の方を向く。
「あ、いらっしゃい」
「お、おう・・・」
いつも大人びている玲薇だが、今日はそれ以上に見えてしまうのは、
気のせいなのだろうか。ちょっとした段差に行儀良く座る彼女は、
まるでどこぞのお姫様のようだ。
「なんや、玲薇ちゃん雰囲気変わったような・・・」
志摩はデレデレと、鼻の下までも伸ばしてる。
それに呆れ、ため息をつく勝呂。でも、妙に心臓からのドキドキが煩い。
玲薇はそのまま、悪魔の少年とサッカーらしきものをやっている燐のもとへ。
サッカーボールを持って、何度も手で投げ渡してしまう悪魔の少年に、
こう蹴るんだよ、と教えるようにボールを足で蹴る仕草を見せてやる。
「・・・・・・アレ、いいんですか?すっかりなついちゃってますけど」
子猫丸が心配そうな顔で、誰にともなく問いかける。
「なんや、休みの日に息子と戯れる夫婦みたいやな」
志摩が呑気なことを言う。
「夫婦!?」
その発言に仰天するのは、勝呂。
「だって、まんまですやん」
「まぁ、そう見えなくはないですね」
珍しく、志摩に同意の子猫丸。
なんだかあの三人を見ると、幸せそうな一つの家族に見えるのだろう。
燐がパパで玲薇がママ。その二人の間に出来た子が、あの少年・・・。
いやいや、あり得ない。
「アホなこと言うなや」
馬鹿馬鹿しい話だ。勝呂はため息をつき、声をかけた。
「オーイ、いいのか、一緒に遊んで」
「ずっと檻ン中、閉じこめとくわけにいかないだろ?
たまには遊んでやんねーとさ」
屈託なく笑う燐に、三人がなんともいえない表情になる。
だが、燐はおかまいなしといった様子でさらっと言った。
「お前らも、風呂入ったら、ちょっとつき合えよ」
そう言うと、今度は玲薇も混ざり、再び悪魔の少年とサッカーの練習もどきを始めた。
三人が無言で顔を合わせる。
それから、約一時間後・・・。
「しまっていこー!」
しえみや出雲、宝までもが呼び出され、男子寮旧館の裏手にある広場で三角ベースが始まった。
「・・・なんで野球なのよ」
バッターボックスに立った出雲が、むっつりつぶやく。
「さぁ?」
プロテクターをつけた子猫丸が、出雲の後ろで困ったように笑う。
「昼休みに皆で楽しく言うたら、野球(コレ)やろ」
当然のごとくピッチャーの位置に陣取った勝呂が、よくわからない理屈を述べる。
そして、まずは一球。見た目通りの強肩を見せつけ、ストライク。
「いけー!出雲ー!!かっ飛ばせー!!」
ベンチに座った燐が、両手でメガホンを作ってバッターボックスの出雲に声援を送る。
「頑張れー!出雲ー!」
その横では、声を張り上げて応援する玲薇と、
彼女の膝の上にちょこんと乗り、グローブを胸に抱え、
ぽけっと皆のやっていることを見つめているうさ麻呂がいた。
「はぁ~。せっかくの昼休みが・・・」
一塁の前に立った志摩が肩を落とし、湿っぽいため息をもらす。
続いて、第二球。
出雲が勝呂の投球に合わせてバットを振る。
カキーンという高い音が広場に響いた。
「えっ?」
よもや打たれまいと気を抜いていた志摩が、ぎょっと顔を上げる。
ボールはキレイな弧を描いて外野に落ちた。
涼しい顔の出雲が一塁のベースを踏む。
「チッ・・・手が滑ったか」
勝呂が小さく舌打ちし、気を取り直してホームを見やる。
その顔が、いまいましげに歪んだ。