6
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
玲薇を見送り、燐はやりかけの宿題に戻る。
先ほどは、うさ麻呂の発するガチャガチャという音で聞こえなかったが、
遠くで華やかな祭囃子が鳴り響いているのがわかった。
(祭り、か・・・)
玲薇の奴、一言も行きたいなんていわない。
たぶん、状況が状況だからだろう。行けたら、行けばいい。
そして、しばらく黙々と宿題を解いていたが、再び煮つまってしまった。
「あー、もー、わかんねー!!」
わめき、髪の毛をかきむしる。
ついでにうさ麻呂はどうしているかと振り返ると、
悪魔の子供はうつらうつらと船を漕ぎ出していた。
小さな頭が時折、がくんと手前にゆれる。もうそんな時間かと窓を見やる。
外はすっかり暗くなっていた。遠くに聞こえる賑やかな祭囃子が、
どこか淋しさを孕(はら)んでいるような気がした。
「オイ、もう遅いから寝ろ」
「ん・・・・・」
燐の声に頭をもたげたうさ麻呂が、寝ぼけ眼をこすりつつ、
おぼつかない足取りで檻に向かう。
何を言われたわけでもないのにまっすぐ檻へと向かう子供の姿に、ふと胸が痛んだ。
「・・・俺のベッドで寝ていいぞ」
そう言うと、うさ麻呂の眠そうな顔に少しだけ光が灯った。
燐を振り返り、聞いてくる。
「おぬしは、ねぬのか?」
燐は、困った顔で笑った。
「まだ、今日のノルマ全然終わってねーからな」
壁のスケジュール表を指さしてみせると、
うさ麻呂は意味がわからないらしく、きょとんとした。
「ねむくはないのか?」
「ねみーけど、宿題やっちまわねーと。また、雪男に怒られるからな」
と、子供相手に愚痴をこぼす。
「しゅくだいがなくなれば、ねむれるのか?」
うさ麻呂が大きな両目をパチクリさせる。
「そりゃあ・・・な」
応じる燐に、両目を見開いたうさ麻呂がさらに問いかけてくる。
「なら、りんはしゅくだいがなくなればよいとおもっているのだな」
「んー?まぁ、そういうことになるかなぁ。
だから、はえーとこ終わらせねーと」
燐の返事を聞いたうさ麻呂の顔に笑みが浮かぶ。
「りん」
呼びかけると、じーっとこちらを見つめてきた。
その両目の奥が、ぼんやりと赤い光を放つ。
「・・・・・・」
赤黒い光に魅入られるように燐の表情が虚ろになる。
やがて、燐がはっと我に返ると、すでに祭りは終わっていた。
窓の向こうに、家路へと向かう人の姿が見える。
(アレ?俺、今、何してたんだっけ?)
軽く首を左右に曲げるとボキッと大きな音で鳴った。
椅子に座ったまま変な格好で寝てしまった時のように、
身体中が強張っている。頭もなんだかぼんやりしていた。
うさ麻呂を見やると、なぜか得意げな顔でじーっと燐を見つめている。
「まだ、ねれぬのか?」
「・・・いや、俺もそろそろ寝っかな」
燐が大きなあくびを一つ、噛み殺す。ひどくかったるかった。
ベッドに向かい横になる。
「じゃあ、りんといっしょにねる!!」
パアッと明るい顔になったうさ麻呂が燐の腹の上に飛びついてきた。
グヘッとうめく燐の上で、嬉しそうに飛び跳ねている。
「いっしょじゃ、いっしょじゃ!」
「コラ!やめろ!!暴れんなって・・・」
うさ麻呂はしばらく興奮したようにはしゃいでいたが、
やがて、燐の腕にしがみつくような格好で小さな寝息を立て始めた。
その幸せそうな寝顔を眺めているうちに、いつの間にか燐も眠っていた。
懐かしい絵本を読んだせいだろうか。ずいぶんと昔の夢を見た。
夢の中では、自分と雪男と玲薇はまだ幼く、
養父にせがんでお気に入りの絵本を読んでもらっていた。
先ほどは、うさ麻呂の発するガチャガチャという音で聞こえなかったが、
遠くで華やかな祭囃子が鳴り響いているのがわかった。
(祭り、か・・・)
玲薇の奴、一言も行きたいなんていわない。
たぶん、状況が状況だからだろう。行けたら、行けばいい。
そして、しばらく黙々と宿題を解いていたが、再び煮つまってしまった。
「あー、もー、わかんねー!!」
わめき、髪の毛をかきむしる。
ついでにうさ麻呂はどうしているかと振り返ると、
悪魔の子供はうつらうつらと船を漕ぎ出していた。
小さな頭が時折、がくんと手前にゆれる。もうそんな時間かと窓を見やる。
外はすっかり暗くなっていた。遠くに聞こえる賑やかな祭囃子が、
どこか淋しさを孕(はら)んでいるような気がした。
「オイ、もう遅いから寝ろ」
「ん・・・・・」
燐の声に頭をもたげたうさ麻呂が、寝ぼけ眼をこすりつつ、
おぼつかない足取りで檻に向かう。
何を言われたわけでもないのにまっすぐ檻へと向かう子供の姿に、ふと胸が痛んだ。
「・・・俺のベッドで寝ていいぞ」
そう言うと、うさ麻呂の眠そうな顔に少しだけ光が灯った。
燐を振り返り、聞いてくる。
「おぬしは、ねぬのか?」
燐は、困った顔で笑った。
「まだ、今日のノルマ全然終わってねーからな」
壁のスケジュール表を指さしてみせると、
うさ麻呂は意味がわからないらしく、きょとんとした。
「ねむくはないのか?」
「ねみーけど、宿題やっちまわねーと。また、雪男に怒られるからな」
と、子供相手に愚痴をこぼす。
「しゅくだいがなくなれば、ねむれるのか?」
うさ麻呂が大きな両目をパチクリさせる。
「そりゃあ・・・な」
応じる燐に、両目を見開いたうさ麻呂がさらに問いかけてくる。
「なら、りんはしゅくだいがなくなればよいとおもっているのだな」
「んー?まぁ、そういうことになるかなぁ。
だから、はえーとこ終わらせねーと」
燐の返事を聞いたうさ麻呂の顔に笑みが浮かぶ。
「りん」
呼びかけると、じーっとこちらを見つめてきた。
その両目の奥が、ぼんやりと赤い光を放つ。
「・・・・・・」
赤黒い光に魅入られるように燐の表情が虚ろになる。
やがて、燐がはっと我に返ると、すでに祭りは終わっていた。
窓の向こうに、家路へと向かう人の姿が見える。
(アレ?俺、今、何してたんだっけ?)
軽く首を左右に曲げるとボキッと大きな音で鳴った。
椅子に座ったまま変な格好で寝てしまった時のように、
身体中が強張っている。頭もなんだかぼんやりしていた。
うさ麻呂を見やると、なぜか得意げな顔でじーっと燐を見つめている。
「まだ、ねれぬのか?」
「・・・いや、俺もそろそろ寝っかな」
燐が大きなあくびを一つ、噛み殺す。ひどくかったるかった。
ベッドに向かい横になる。
「じゃあ、りんといっしょにねる!!」
パアッと明るい顔になったうさ麻呂が燐の腹の上に飛びついてきた。
グヘッとうめく燐の上で、嬉しそうに飛び跳ねている。
「いっしょじゃ、いっしょじゃ!」
「コラ!やめろ!!暴れんなって・・・」
うさ麻呂はしばらく興奮したようにはしゃいでいたが、
やがて、燐の腕にしがみつくような格好で小さな寝息を立て始めた。
その幸せそうな寝顔を眺めているうちに、いつの間にか燐も眠っていた。
懐かしい絵本を読んだせいだろうか。ずいぶんと昔の夢を見た。
夢の中では、自分と雪男と玲薇はまだ幼く、
養父にせがんでお気に入りの絵本を読んでもらっていた。