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「『むかしむかし、ある村のはずれに悪魔があらわれました』」
うさ麻呂は、ふんふん、と鼻息を荒くし、
食い入るように絵本のページを見つめている。
そこには腹を空かせて倒れた悪魔が描かれていた。
それを、幼い少年が見つけるところから物語は始まる。
「『げんきがないようだったので、
村の少年がたべものをあたえてやりました』」
昔のことで詳しいところまで覚えていなかったが、
どうやら最初に悪魔を助け食べものをやったのは、
村の人々ではなくこの幼い少年のようだ。
少年にもらった果物やご飯をモリモリと食べる、
小さな悪魔の姿がページの中央に描かれている。
少年と仲よくなった悪魔は、そのまま村に棲みつく。
笑顔で楽しそうにくつろぐ村人たちの真ん中で、
無邪気に遊ぶ悪魔と少年・・・だが、楽しい時間は長く続かない。
悪魔の誘惑で働くことを忘れた村は、急速に堕落していった。
やがて村に現れたものものしい祓魔師が悪魔を退治する。
だが、村人たちは村の存在すら忘れてしまったため、
荒れ果てた村は消え、荒涼とした野に少年が一人たたずんでいる。
その姿はひどく小さく、表情は見えない。
ラストのページには、祓魔師が被っていたお面と、
赤い棍がひっそりと描かれている。
今思うと、かなりシュールな内容だった。
「『やがて人々は、この村のことを忘れてしまわないように、
悪魔を祭って、十一年に一どお祭りをするようになりました。
おしまい』」
最後の文を読み終えた燐が、結んで絵本を閉じる。
「ウソじゃ!!」
うさ麻呂が大声で叫ぶ。その声は、玲薇にも届いていたとか。
「は?」
「ウソじゃ!!ウソじゃ!!」
うさ麻呂の顔は真っ赤だった。小さな唇が、怒りのあまり震えている。
いったい何があったのか・・・不安になるが、燐がいるんだ。
きっと何か二人は話しているんだろう。
(大丈夫・・・だよね)
玲薇は視線を、本に戻す。
うさ麻呂は唖然としている燐から絵本を奪い取ると、
膝から飛び降り、地団駄を踏んだ。それでも飽き足らず、
絵本を自分の足下に投げ捨てる。
部屋の床に溜まっていた埃が一斉に宙に舞う。
「こんなのウソじゃ!!」
「どーした?急に・・・」
「燐」
その時、ドアが開く。
「なに?どうしたの?」
暴れるうさ麻呂を目にしたまま椅子に座ってる燐の方へ。
「いや・・・絵本読んでやったんだけど、急にでさ」
「絵本?」
「あーあ」
ボロボロになってしまった絵本を拾い上げ玲薇に見せる。
「コレだよ。昔ジジイによく読んでもらったろ」
「あ」
懐かしい。そっか・・・燐が持ってたのか。
「りん」
顔を上げると、いつの間にかおとなしくなったうさ麻呂が両肩を落としていた。
呼びかけた声は硬く、強張っていた。
「ん?」
「・・・・・・ムラが・・・ムラがなくなってしまったというのは、ホントウか?」
「?」
「イヤ、まぁ、絵本だからなぁ・・・」
燐が曖昧な返事をする。
うさ麻呂は燐の答えに顔を曇らせると、すごすごとベッドに戻っていった。
ベッドの上によじ登り、ダンボール箱の中から遊び道具を見つける続きをするでもなく、
はじっこの方で両膝を抱えてむすっとしている。
「うさ麻呂くん・・・」
「オーイ」
「・・・・・・」
「ホント、どーしたんだ?なんかイヤだったのか?」
「・・・・・・」
「なんとか言えって」
何を言ってもだめだろうと、燐は肩をすくめる。
「悪かったな」
オズオズと燐が謝ってきた。
「ううん。落ち着いたみたいだし、戻るよ」
うさ麻呂は、ふんふん、と鼻息を荒くし、
食い入るように絵本のページを見つめている。
そこには腹を空かせて倒れた悪魔が描かれていた。
それを、幼い少年が見つけるところから物語は始まる。
「『げんきがないようだったので、
村の少年がたべものをあたえてやりました』」
昔のことで詳しいところまで覚えていなかったが、
どうやら最初に悪魔を助け食べものをやったのは、
村の人々ではなくこの幼い少年のようだ。
少年にもらった果物やご飯をモリモリと食べる、
小さな悪魔の姿がページの中央に描かれている。
少年と仲よくなった悪魔は、そのまま村に棲みつく。
笑顔で楽しそうにくつろぐ村人たちの真ん中で、
無邪気に遊ぶ悪魔と少年・・・だが、楽しい時間は長く続かない。
悪魔の誘惑で働くことを忘れた村は、急速に堕落していった。
やがて村に現れたものものしい祓魔師が悪魔を退治する。
だが、村人たちは村の存在すら忘れてしまったため、
荒れ果てた村は消え、荒涼とした野に少年が一人たたずんでいる。
その姿はひどく小さく、表情は見えない。
ラストのページには、祓魔師が被っていたお面と、
赤い棍がひっそりと描かれている。
今思うと、かなりシュールな内容だった。
「『やがて人々は、この村のことを忘れてしまわないように、
悪魔を祭って、十一年に一どお祭りをするようになりました。
おしまい』」
最後の文を読み終えた燐が、結んで絵本を閉じる。
「ウソじゃ!!」
うさ麻呂が大声で叫ぶ。その声は、玲薇にも届いていたとか。
「は?」
「ウソじゃ!!ウソじゃ!!」
うさ麻呂の顔は真っ赤だった。小さな唇が、怒りのあまり震えている。
いったい何があったのか・・・不安になるが、燐がいるんだ。
きっと何か二人は話しているんだろう。
(大丈夫・・・だよね)
玲薇は視線を、本に戻す。
うさ麻呂は唖然としている燐から絵本を奪い取ると、
膝から飛び降り、地団駄を踏んだ。それでも飽き足らず、
絵本を自分の足下に投げ捨てる。
部屋の床に溜まっていた埃が一斉に宙に舞う。
「こんなのウソじゃ!!」
「どーした?急に・・・」
「燐」
その時、ドアが開く。
「なに?どうしたの?」
暴れるうさ麻呂を目にしたまま椅子に座ってる燐の方へ。
「いや・・・絵本読んでやったんだけど、急にでさ」
「絵本?」
「あーあ」
ボロボロになってしまった絵本を拾い上げ玲薇に見せる。
「コレだよ。昔ジジイによく読んでもらったろ」
「あ」
懐かしい。そっか・・・燐が持ってたのか。
「りん」
顔を上げると、いつの間にかおとなしくなったうさ麻呂が両肩を落としていた。
呼びかけた声は硬く、強張っていた。
「ん?」
「・・・・・・ムラが・・・ムラがなくなってしまったというのは、ホントウか?」
「?」
「イヤ、まぁ、絵本だからなぁ・・・」
燐が曖昧な返事をする。
うさ麻呂は燐の答えに顔を曇らせると、すごすごとベッドに戻っていった。
ベッドの上によじ登り、ダンボール箱の中から遊び道具を見つける続きをするでもなく、
はじっこの方で両膝を抱えてむすっとしている。
「うさ麻呂くん・・・」
「オーイ」
「・・・・・・」
「ホント、どーしたんだ?なんかイヤだったのか?」
「・・・・・・」
「なんとか言えって」
何を言ってもだめだろうと、燐は肩をすくめる。
「悪かったな」
オズオズと燐が謝ってきた。
「ううん。落ち着いたみたいだし、戻るよ」