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夢小説設定
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夕暮れ時の正十字商店街は、祭り効果でいつもの数倍の人で賑わっていた。
通りに面した酒屋の二階のテラス席で、
シュラは大ジョッキに入った生ビールを一気に飲みほす。
「ぷはぁ~!!」
いささかオヤジくさい声を上げる。そして、空になったジョッキを掲げた。
「おねぇさん、ビールお代わり!」
店の奥にいる女主人に声をかける。
「あと、ねぎまと皮、明太じゃがバターも追加ね」
「あいよ」
明るい声で女主人が応じる。
シュラの前には、すでに空になったジョッキと皿が山と積まれていた。
向かいの席では、無理やり同行させられた祓魔師の若者が弱りきった表情で、
オロオロとシュラを見つめている。
彼の前には、烏龍茶の入ったグラスが置かれていた。
ちなみに、手はつけていない。
「シュラさん、まだ任務、終わってないんですよ?」
身を乗り出すように小声で告げる。
「固いこと言うな。休憩だよ、休憩」
シュラがからからと笑う。
そこに、ジョッキの縁から真っ白な泡がこぼれそうなほど、
なみなみと注がれたビールを持った女主人がやって来て、
テーブルの空きスペースにどんとそれを置いた。
「お客さん、さっきからいい飲みっぷりだね。はい、これサービス」
そう言って、女主人が山もりのイカ焼きそばをその横に置く。
ほっこりと湯気が立ったそれに、芳ばしいソースの香りがあたりを漂う。
「イヤ~ン、おねえさん最高~」
しなを作ったシュラが、上半身をくねくねさせ、歓喜の声を上げる。
若い祓魔師が、頭を抱える。
「ああ、もう・・・」
「勤務中に飲酒とは見過ごせんな、シュラ」
「あ?」
艶やかな声音に反応するように、シュラがテラスの外へ視線を向ける。
そこには、大通りを練り歩いていた、ひときわ華美な山車が止まっており、
そのてっぺんに作られた本座に、見事なブロンドをなびかせた長身の男が立っていた。
「ミスター・アーサー・A・エンジェル!!」
シュラの向かい側で若い祓魔師が、弾かれたようにその場に立ち上がった。
「パ、聖騎士が、なぜ、こんなところに・・・!?」
狼狽する若者に、エンジェルが優雅に答える。
「今回、祭りの主役を頼まれてな」
《キャッ、アーサー素敵》
エンジェルがその手に握っている巨大な魔剣カリバーンが、
可愛らしい女性の声で己の主人を賛美する。
派手派手しい男の登場で、賑わっていた居酒屋内がさらにガヤガヤとざわめく。
「お、年男だ」
「年男が来てるぞ!!」
祭りの間中、この祝祭の起源ともいえる伝説の祓魔師役を演じる"年男"は、
祭りのたびに演出される。主役だけあり人気を博すものだが、
とりわけ今年の年男は華やかだった。
均整のとれた長躰に、輝くブロンド、甘いマスク・・・しかも現役聖騎士だ。
エンジェルが優雅に手を振ると、周囲がどっと沸きたった。
中でも、年配の女性たちがことさら頬を赤くして興奮している。
「キャー、手を振ってくださってるわ!」
「素敵!エンジェル様ァ!!」
「・・・なんだァ?」
眉間にしわを寄せたシュラが、よくよく店内を見まわしてみると、
壁に張られた祭りのポスターを、雄々しいエンジェルの姿が飾っていた。
むやみやたらと顔のまわりが光り輝き、無駄にカメラ目線なのがいちいちカンに障る。
まるで雑誌のグラビアだ。
「ったく、何やってんだよ。ハゲ・・・」
呆れ果てたシュラが、祀り上げられた猿山の大将、
ならぬ山車の上の上司から顔を背ける。
向かいの年若い祓魔師は、少年のように目をキラキラと輝かせて感心している。
「さすがは、聖騎士だ!スゴい人気ですね!!」
うんざりしたシュラが、手元にあった落花生の中身を、
若者の額にペシッと飛ばしてやった。
「痛い!」
「・・・ただの年男じゃねーか。すごくもなんともねーよ。アホか」
そして、なるべく通りの方を見ないようにして、再びぐびりと酒をあおった。
通りに面した酒屋の二階のテラス席で、
シュラは大ジョッキに入った生ビールを一気に飲みほす。
「ぷはぁ~!!」
いささかオヤジくさい声を上げる。そして、空になったジョッキを掲げた。
「おねぇさん、ビールお代わり!」
店の奥にいる女主人に声をかける。
「あと、ねぎまと皮、明太じゃがバターも追加ね」
「あいよ」
明るい声で女主人が応じる。
シュラの前には、すでに空になったジョッキと皿が山と積まれていた。
向かいの席では、無理やり同行させられた祓魔師の若者が弱りきった表情で、
オロオロとシュラを見つめている。
彼の前には、烏龍茶の入ったグラスが置かれていた。
ちなみに、手はつけていない。
「シュラさん、まだ任務、終わってないんですよ?」
身を乗り出すように小声で告げる。
「固いこと言うな。休憩だよ、休憩」
シュラがからからと笑う。
そこに、ジョッキの縁から真っ白な泡がこぼれそうなほど、
なみなみと注がれたビールを持った女主人がやって来て、
テーブルの空きスペースにどんとそれを置いた。
「お客さん、さっきからいい飲みっぷりだね。はい、これサービス」
そう言って、女主人が山もりのイカ焼きそばをその横に置く。
ほっこりと湯気が立ったそれに、芳ばしいソースの香りがあたりを漂う。
「イヤ~ン、おねえさん最高~」
しなを作ったシュラが、上半身をくねくねさせ、歓喜の声を上げる。
若い祓魔師が、頭を抱える。
「ああ、もう・・・」
「勤務中に飲酒とは見過ごせんな、シュラ」
「あ?」
艶やかな声音に反応するように、シュラがテラスの外へ視線を向ける。
そこには、大通りを練り歩いていた、ひときわ華美な山車が止まっており、
そのてっぺんに作られた本座に、見事なブロンドをなびかせた長身の男が立っていた。
「ミスター・アーサー・A・エンジェル!!」
シュラの向かい側で若い祓魔師が、弾かれたようにその場に立ち上がった。
「パ、聖騎士が、なぜ、こんなところに・・・!?」
狼狽する若者に、エンジェルが優雅に答える。
「今回、祭りの主役を頼まれてな」
《キャッ、アーサー素敵》
エンジェルがその手に握っている巨大な魔剣カリバーンが、
可愛らしい女性の声で己の主人を賛美する。
派手派手しい男の登場で、賑わっていた居酒屋内がさらにガヤガヤとざわめく。
「お、年男だ」
「年男が来てるぞ!!」
祭りの間中、この祝祭の起源ともいえる伝説の祓魔師役を演じる"年男"は、
祭りのたびに演出される。主役だけあり人気を博すものだが、
とりわけ今年の年男は華やかだった。
均整のとれた長躰に、輝くブロンド、甘いマスク・・・しかも現役聖騎士だ。
エンジェルが優雅に手を振ると、周囲がどっと沸きたった。
中でも、年配の女性たちがことさら頬を赤くして興奮している。
「キャー、手を振ってくださってるわ!」
「素敵!エンジェル様ァ!!」
「・・・なんだァ?」
眉間にしわを寄せたシュラが、よくよく店内を見まわしてみると、
壁に張られた祭りのポスターを、雄々しいエンジェルの姿が飾っていた。
むやみやたらと顔のまわりが光り輝き、無駄にカメラ目線なのがいちいちカンに障る。
まるで雑誌のグラビアだ。
「ったく、何やってんだよ。ハゲ・・・」
呆れ果てたシュラが、祀り上げられた猿山の大将、
ならぬ山車の上の上司から顔を背ける。
向かいの年若い祓魔師は、少年のように目をキラキラと輝かせて感心している。
「さすがは、聖騎士だ!スゴい人気ですね!!」
うんざりしたシュラが、手元にあった落花生の中身を、
若者の額にペシッと飛ばしてやった。
「痛い!」
「・・・ただの年男じゃねーか。すごくもなんともねーよ。アホか」
そして、なるべく通りの方を見ないようにして、再びぐびりと酒をあおった。