5
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
玲薇と並んで料理出来ることが嬉しい。
彼女も、燐と料理が出来て嬉しいのだ。
まるで、端から見れば新婚夫婦のような・・・。
すると、燐は向かいでぽつんと椅子に座っている少年に気づくと、
出来たばかりのオムライスをひと匙、レンゲですくう。
ひと匙は、猫舌のクロのために、小皿の上にのせてやり、
もうひと匙を少年の前に差し出す。
「味見してみるか?」
「・・・・・・」
少年はしょんぼりとした顔のまま、差し出されたレンゲを見る。
そして、その視線を玲薇に向けた。
食べたら怒られるんじゃないか、なんで味見出来ないのに自分だけと。
でも、玲薇の顔はまるで疑いようのない優しい微笑みだった。
「食べてごらん?きっと、おいしいよ」
後押ししてくれる言葉までくれる。
《いっただきまーす》
先にクロが笑顔で、小皿によそわれたふわとろオムライスに、
ふーふーと息を吹きかけ、せっせと冷ましている。
そして、ハフハフと口に含んだ。
ゴクン、と小さな喉を鳴らす。
《トロトロ~》
あまりの美味さゆえか、二つの尻尾が雷に打たれたように痙攣している。
それを眺めていた少年が、自分に差し出されたレンゲをおずおずと受け取る。
先ほどのクロの真似をしてふーふーすると、
小さなレンゲにぱくっと食いついた。
熱い卵にハフハフとしつつ、ごくんと飲み込む。
「トロトロ~」
と、叫んだ。
レンゲを持つ手が、やはり雷に打たれたように痙攣している。
クロとまるっきり同じ仕草に、玲薇はクスッと笑った。
「な?そうだろ」
両手を腰に当てた燐が満足げにそれを眺める。
少年はこくこくうなずくと、食べ終えたレンゲを突き出す。
「トロトロッ!!」
お代わりを要求してるのだろう。
「よっぽど、気に入ったんだ」
早くしろとばかりに、少年は椅子の下で小さな両足をバタつかせる。
燐がまんざらでもなさそうな顔で笑いながら、少年をいさめた。
「まぁ、待てって。他のヤツも作っちゃうから、出来たら皆で食おーぜ?」
人数分のオムライスが出来上がると、燐はその上に、
すでに作っておいたデミグラスソースをふわっとまわしかけ、
アクセントに生バジルを散らした。つやつやに黄色く光った卵と、
茶色いデミグラスソース、ちょんとのった緑色のバジルのコントラストが、
実に食欲をそそる出来だった。
「いただきます!」
みんなで囲んだ食卓で、エプロンを脱いだ燐と玲薇が、
両手を合わせて言うと、少年が見よう見まねでそれを真似する。
そして、一生懸命ふーふーしてから、ぱくりと一口。
「《トロトロ~》」
少年とクロの声が合わさった。
「そういや、名前聞いてなかったな」
『うまい』とポテトサラダを口に入れてくれながら、燐が言う。
「確かに。紹介も、まだよね。私は玲薇」
「俺は燐で、コイツはクロ。お前は?」
「なまえなどない」
口いっぱいにオムライスを頬張った少年が、偉そうに答える。
思わず顔を合わせる燐と玲薇。
「そっか・・・」
「じゃあ、考えねーとな」
自分の顎に手をやり、燐がしばらく考えていたが、
ふと、その目が少年の大昔の貴族のような髪型で止まる。
「マロ・・・」
「え?」
「うさ麻呂・・・」
「うさ麻呂・・・?」
「トロトロッ!!」
早くも自分のぶんを食べ終えた少年が、お代わりとばかりに皿を差し出してきた。
マシュマロのようにふんわりとしたほっぺたには、
デミグラスソースがべったりとくっついている。
「早っ」
「もう、食っちまったのかよ!?」
さすがに驚いた顔になった燐が、
自分のオムライスをレンゲで半分に分けながら言う。
「ちゃんとよく噛んで食えよ?」
そして、少年の皿にのせてやる。
「ホレ、うさ麻呂」
「トロトロ~」
と、涎を流した少年・・・うさ麻呂は、勢いこんでそれを食べようとし、
はっと気づいたようにレンゲを止め、上目遣いに燐を見つめた。
「いいの?」
「いーって。ガキが遠慮すんな」
悪魔の少年は安心したようにレンゲを握り直すと、いただきます、
と、嬉しそうに叫んだ。
「じゃ、燐には私のを半分・・・」
「何だよ。せっかくなんだし、俺はコレもらう」
そう言うと、玲薇が作ってくれたのをガツガツと食べてくれた。
彼女も、燐と料理が出来て嬉しいのだ。
まるで、端から見れば新婚夫婦のような・・・。
すると、燐は向かいでぽつんと椅子に座っている少年に気づくと、
出来たばかりのオムライスをひと匙、レンゲですくう。
ひと匙は、猫舌のクロのために、小皿の上にのせてやり、
もうひと匙を少年の前に差し出す。
「味見してみるか?」
「・・・・・・」
少年はしょんぼりとした顔のまま、差し出されたレンゲを見る。
そして、その視線を玲薇に向けた。
食べたら怒られるんじゃないか、なんで味見出来ないのに自分だけと。
でも、玲薇の顔はまるで疑いようのない優しい微笑みだった。
「食べてごらん?きっと、おいしいよ」
後押ししてくれる言葉までくれる。
《いっただきまーす》
先にクロが笑顔で、小皿によそわれたふわとろオムライスに、
ふーふーと息を吹きかけ、せっせと冷ましている。
そして、ハフハフと口に含んだ。
ゴクン、と小さな喉を鳴らす。
《トロトロ~》
あまりの美味さゆえか、二つの尻尾が雷に打たれたように痙攣している。
それを眺めていた少年が、自分に差し出されたレンゲをおずおずと受け取る。
先ほどのクロの真似をしてふーふーすると、
小さなレンゲにぱくっと食いついた。
熱い卵にハフハフとしつつ、ごくんと飲み込む。
「トロトロ~」
と、叫んだ。
レンゲを持つ手が、やはり雷に打たれたように痙攣している。
クロとまるっきり同じ仕草に、玲薇はクスッと笑った。
「な?そうだろ」
両手を腰に当てた燐が満足げにそれを眺める。
少年はこくこくうなずくと、食べ終えたレンゲを突き出す。
「トロトロッ!!」
お代わりを要求してるのだろう。
「よっぽど、気に入ったんだ」
早くしろとばかりに、少年は椅子の下で小さな両足をバタつかせる。
燐がまんざらでもなさそうな顔で笑いながら、少年をいさめた。
「まぁ、待てって。他のヤツも作っちゃうから、出来たら皆で食おーぜ?」
人数分のオムライスが出来上がると、燐はその上に、
すでに作っておいたデミグラスソースをふわっとまわしかけ、
アクセントに生バジルを散らした。つやつやに黄色く光った卵と、
茶色いデミグラスソース、ちょんとのった緑色のバジルのコントラストが、
実に食欲をそそる出来だった。
「いただきます!」
みんなで囲んだ食卓で、エプロンを脱いだ燐と玲薇が、
両手を合わせて言うと、少年が見よう見まねでそれを真似する。
そして、一生懸命ふーふーしてから、ぱくりと一口。
「《トロトロ~》」
少年とクロの声が合わさった。
「そういや、名前聞いてなかったな」
『うまい』とポテトサラダを口に入れてくれながら、燐が言う。
「確かに。紹介も、まだよね。私は玲薇」
「俺は燐で、コイツはクロ。お前は?」
「なまえなどない」
口いっぱいにオムライスを頬張った少年が、偉そうに答える。
思わず顔を合わせる燐と玲薇。
「そっか・・・」
「じゃあ、考えねーとな」
自分の顎に手をやり、燐がしばらく考えていたが、
ふと、その目が少年の大昔の貴族のような髪型で止まる。
「マロ・・・」
「え?」
「うさ麻呂・・・」
「うさ麻呂・・・?」
「トロトロッ!!」
早くも自分のぶんを食べ終えた少年が、お代わりとばかりに皿を差し出してきた。
マシュマロのようにふんわりとしたほっぺたには、
デミグラスソースがべったりとくっついている。
「早っ」
「もう、食っちまったのかよ!?」
さすがに驚いた顔になった燐が、
自分のオムライスをレンゲで半分に分けながら言う。
「ちゃんとよく噛んで食えよ?」
そして、少年の皿にのせてやる。
「ホレ、うさ麻呂」
「トロトロ~」
と、涎を流した少年・・・うさ麻呂は、勢いこんでそれを食べようとし、
はっと気づいたようにレンゲを止め、上目遣いに燐を見つめた。
「いいの?」
「いーって。ガキが遠慮すんな」
悪魔の少年は安心したようにレンゲを握り直すと、いただきます、
と、嬉しそうに叫んだ。
「じゃ、燐には私のを半分・・・」
「何だよ。せっかくなんだし、俺はコレもらう」
そう言うと、玲薇が作ってくれたのをガツガツと食べてくれた。