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「任務に遅刻するなんて、何を考えているんだ!」
二人を待っていたのは、雪男からの説教だった。
「ごめんなさい・・・」
素直に謝罪する玲薇だったと思われるも、リニュウの一言で台無しに。
《ったく、こんな狭い場所で呼びやがって》
何かとリニュウは、いつも辛口の発言を主人に託すのだ。
「だって、燐が全然起きてくれないんだもん!」
「それは何回も謝ったろ!?」
なるほど・・・この中で一番賢い雪男は、理解する。
玲薇は決して、悪くない。悪いのは全て、
起こしても起きなかった兄さんのせい・・・。
「用は、玲薇は兄さんのせいで遅刻したと・・・」
「だからなんだよ!」
さっきから悪者扱いされ、さすがの燐もカッカせずにいられない。
「本当に祓魔師になる気、兄さんにあるの?」
燐にだって、言い訳の一つや二つはあるもの。
「き、気合いを入れて勉強してたんだよ!そしたら、寝落ちしちゃって・・・」
しかし、雪男の視線は冷たい。
「そこまでは本当だから」
片方の手でメガホンのようにして小さく雪男に言うが、
ここにいる全員に玲薇の声は届いていた。
なにせ、雪男と彼女には距離があったから。
「んああ・・・ったく、間に合ったんだから、ゴチャゴチャ言うなって!
さっさと祓っちまおうぜ」
「・・・・・・はぁ」
あくまでマイペースな兄に、雪男は重たいため息をつく。
そんな弟にかまわず、燐は興味深げにあたりを眺めている。
玲薇はというと、リニュウを戻そうとしている仕草。
「あ、玲薇」
それを止めにくる雪男。
「リニュウにも任務に参加してもらうから、そのままで」
「わかった」
「燐っ!」
返事したと同時に、しえみの声が響く。
しえみの目線の先を見れば、悪魔化したドアノブが、
燐の右手を鋭い牙でガブリと噛みついていた。
ぎょっとした燐が、うおっ、と叫んで無理やり手を引き抜く。
「いってぇーっ!!」
油断も隙もありゃしない。
「燐ってば・・・」
「・・・まったく、人の話を聞かないからだ。玲薇、こっち来て」
「?」
雪男の後についていくと、彼は右脇に備えつけられている鉄の梯子に手をかけた。
「ちょっと待ってて」
一言言い残せば、するすると器用にそれを登っていく。
列車の上部から顔を出し、先頭の方向をのぞきこんだ後に、
三人と一匹に、授業用の顔で告げた。
「では、今回の任務について説明します。
奥村君としえみさんはこのままトロッコに残り、待機。
僕と風美夜さんは屋根づたいに先頭車両へ向かいます。
零時ちょうどになると、幽霊列車は虚無界に戻るために正体を現すので、
そこを狙って祓います。祓い終わったら、
奥村君たちがトロッコでブレーキをかけて停車させてください。
安全に停車させた後、回収班が来るのを待って下車。
今回の任務は、終了となります」
「・・・なんだよ。ただのブレーキ係かよ。
(玲薇の方が、羨ましいぜ)」
チェッと、不満げに唇を尖らせる燐に、雪男が険しい眼差しを向けた。
「ただし、列車を祓いきれなかった場合は、僕たちも虚無界行きです。
もし、僕と風美夜さんが失敗するようなことがあれば、
そこにある赤いボタンを押して、トロッコを列車から切り離し、
ブレーキで停車、脱出してください」
不安になる・・・果たして、雪男と上手く悪魔を祓えるか。
腰につけている、雪男からもらった銃に手をかける。
そんな玲薇を見て燐は心配そうな顔を作る。
「お前らはどーすんだよ?」
どうやって、逃げ出すんだ。
すると、雪男は真っ直ぐ力強い視線で兄に言い切った。
「その為に玲薇がいる。リニュウがいる」
不安な表情から一変・・・驚きへと変わる。
《へっ》
せせら笑ったかと思うと、羽を広げ飛び出すリニュウ。
「行くよ」
「はいっ」
雪男の背に届く、迷いのなくなった玲薇の返事。
「チッ・・・あの野郎、カッコつけやがって」
小さくつぶやいた燐のその言葉は、列車の屋根に乗り、
吹きつける風に身体をなぶられつつ、
身を低くし先頭車両へと進む二人の耳に届いていたか否か・・・。
二人を待っていたのは、雪男からの説教だった。
「ごめんなさい・・・」
素直に謝罪する玲薇だったと思われるも、リニュウの一言で台無しに。
《ったく、こんな狭い場所で呼びやがって》
何かとリニュウは、いつも辛口の発言を主人に託すのだ。
「だって、燐が全然起きてくれないんだもん!」
「それは何回も謝ったろ!?」
なるほど・・・この中で一番賢い雪男は、理解する。
玲薇は決して、悪くない。悪いのは全て、
起こしても起きなかった兄さんのせい・・・。
「用は、玲薇は兄さんのせいで遅刻したと・・・」
「だからなんだよ!」
さっきから悪者扱いされ、さすがの燐もカッカせずにいられない。
「本当に祓魔師になる気、兄さんにあるの?」
燐にだって、言い訳の一つや二つはあるもの。
「き、気合いを入れて勉強してたんだよ!そしたら、寝落ちしちゃって・・・」
しかし、雪男の視線は冷たい。
「そこまでは本当だから」
片方の手でメガホンのようにして小さく雪男に言うが、
ここにいる全員に玲薇の声は届いていた。
なにせ、雪男と彼女には距離があったから。
「んああ・・・ったく、間に合ったんだから、ゴチャゴチャ言うなって!
さっさと祓っちまおうぜ」
「・・・・・・はぁ」
あくまでマイペースな兄に、雪男は重たいため息をつく。
そんな弟にかまわず、燐は興味深げにあたりを眺めている。
玲薇はというと、リニュウを戻そうとしている仕草。
「あ、玲薇」
それを止めにくる雪男。
「リニュウにも任務に参加してもらうから、そのままで」
「わかった」
「燐っ!」
返事したと同時に、しえみの声が響く。
しえみの目線の先を見れば、悪魔化したドアノブが、
燐の右手を鋭い牙でガブリと噛みついていた。
ぎょっとした燐が、うおっ、と叫んで無理やり手を引き抜く。
「いってぇーっ!!」
油断も隙もありゃしない。
「燐ってば・・・」
「・・・まったく、人の話を聞かないからだ。玲薇、こっち来て」
「?」
雪男の後についていくと、彼は右脇に備えつけられている鉄の梯子に手をかけた。
「ちょっと待ってて」
一言言い残せば、するすると器用にそれを登っていく。
列車の上部から顔を出し、先頭の方向をのぞきこんだ後に、
三人と一匹に、授業用の顔で告げた。
「では、今回の任務について説明します。
奥村君としえみさんはこのままトロッコに残り、待機。
僕と風美夜さんは屋根づたいに先頭車両へ向かいます。
零時ちょうどになると、幽霊列車は虚無界に戻るために正体を現すので、
そこを狙って祓います。祓い終わったら、
奥村君たちがトロッコでブレーキをかけて停車させてください。
安全に停車させた後、回収班が来るのを待って下車。
今回の任務は、終了となります」
「・・・なんだよ。ただのブレーキ係かよ。
(玲薇の方が、羨ましいぜ)」
チェッと、不満げに唇を尖らせる燐に、雪男が険しい眼差しを向けた。
「ただし、列車を祓いきれなかった場合は、僕たちも虚無界行きです。
もし、僕と風美夜さんが失敗するようなことがあれば、
そこにある赤いボタンを押して、トロッコを列車から切り離し、
ブレーキで停車、脱出してください」
不安になる・・・果たして、雪男と上手く悪魔を祓えるか。
腰につけている、雪男からもらった銃に手をかける。
そんな玲薇を見て燐は心配そうな顔を作る。
「お前らはどーすんだよ?」
どうやって、逃げ出すんだ。
すると、雪男は真っ直ぐ力強い視線で兄に言い切った。
「その為に玲薇がいる。リニュウがいる」
不安な表情から一変・・・驚きへと変わる。
《へっ》
せせら笑ったかと思うと、羽を広げ飛び出すリニュウ。
「行くよ」
「はいっ」
雪男の背に届く、迷いのなくなった玲薇の返事。
「チッ・・・あの野郎、カッコつけやがって」
小さくつぶやいた燐のその言葉は、列車の屋根に乗り、
吹きつける風に身体をなぶられつつ、
身を低くし先頭車両へと進む二人の耳に届いていたか否か・・・。