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夢小説設定
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祭り警備対策本部は、街中から寄せられる通報でパンク状態だった。
大量に設置された電話が、そこかしこで鳴り響いている。
「はい。正十字騎士團日本支部です」
「大至急向かわせています」
「三丁目にモルブ出現!」
「第一班は三丁目へ急行。第二班は南町四丁目で待機」
オペレーターの声が飛び交う中、本部の片隅に、
到着したばかりの京都出張所の面々の姿があった。
そのいでたちは同じ日本支部でもかなり異なる。
山伏を思わせる真っ黒な法衣を着たものものしい集団の中に、
志摩の次兄、四兄の姿もあった。
「ニューデリーからの応援部隊の到着が遅れているため、
着いたばかりで恐縮ですが、京都出張所の皆さんに現場に向かってもらいます」
本部のスタッフによる説明がなされる。
「待っとれや!東京の悪魔!!この金造様がバキバキ言わせたるわ!」
血気盛んな四兄の金造が、到着早々両手の関節をボキボキ鳴らす。
「廉造(あいつ)はしっかりやっとんのかいな?」
その隣では、次兄の柔造が人であふれ返った室内を見まわし、弟の姿を探す。
・・・が、担架で運ばれていく怪我人や、宙を行き来する使い魔、
医務スペースの前に列をなす軽傷者などでごった返し、とても見つからない。
「まぁ、ええわ」
と、柔造が視線を戻す。すると、その柔和な顔が一瞬、
地獄の鬼のような形相へと変わった。
「坊に何かあったら、バラすで。廉造オォォ」
「!?な、なんや?急に・・・悪寒が・・・」
本部の一角に作られた喫茶スペースで、
仮設テーブルに座りエクスワイアの仲間たちと雑談していた志摩が、
兄の殺気を感じ取ったようにぶるりと身を震わせる。
そして、思い出したように本部内を見まわした。
「そういや、柔兄たちも来とるはずなんやけど・・・どこにおんのやろ?」
「まだ、着いてへんのやないか?」
同様にあたりを見まわした勝呂が言う。
すると、講師の椿薫が人の間を縫うように、
彼らのもとに駆け寄ってきた。
「キミたち、まだ任務ダヨ。
今度は、北町一丁目に水風船の悪魔が出現しているらしい。
ジャカルタ支部の方たちの後方支援に当たってくれたまえ」
「はい!」
素早く応じた面々が立ち上がる。
「・・・またかいな」
志摩一人、情けない顔でぼやいた。
「風呂入ったばっかりやのに、またドロドロになるやなんて」
殺生な、とうめく。
子猫丸がそんな友を穏やかになだめた。
「まあまあ、志摩さん。
また、奥村くんのとこにお風呂借りに行けばええやないですか」
同じ頃、男子寮旧館のキッチンには、
バターが焦げる芳ばしい香りが充満していた。
溶けたバターの上に、大匙(おおさじ)一杯のマヨネーズを加えた卵を流しこむ。
「もーすぐ、出来るぞ」
菜箸(さいばし)で切るように軽く混ぜながら、
エプロンの燐が声をかける。
テーブルの上には、すでに出来上がっているチキンライスの皿が並べられ、
小皿には一人前ずつキレイに飾られた見た目もよいポテトサラダ。
「よし。あとは、スープの味をみなくちゃ」
それらを、クロがご機嫌な顔でスタンバイしていた。
《ごはん、ごはん♪》
うきうきと即興の歌を歌い、二又に分かれた尻尾を、
パタパタと動かすクロとは対照的に、
少年はテーブルの前でしょんぼりとうつむいている。
「よっと」
フライパンを片手に振り向いた燐が、チキンライスの上に、
ふわふわとろとろの半熟オムレツをのせる。
真っ黄色の半熟オムレツはふるふると震えながら、
チキンライスの上にてろんとのっかった。
《うまそー》
涎を垂らさんばかりにうっとりするクロ。
「スーパーイエローオクムラリンスペシャルだ」
そう胸を張っていう燐の横から、玲薇も顔をのぞかす。
「わー、おいしそう!」
「へへ。だろ?」
大量に設置された電話が、そこかしこで鳴り響いている。
「はい。正十字騎士團日本支部です」
「大至急向かわせています」
「三丁目にモルブ出現!」
「第一班は三丁目へ急行。第二班は南町四丁目で待機」
オペレーターの声が飛び交う中、本部の片隅に、
到着したばかりの京都出張所の面々の姿があった。
そのいでたちは同じ日本支部でもかなり異なる。
山伏を思わせる真っ黒な法衣を着たものものしい集団の中に、
志摩の次兄、四兄の姿もあった。
「ニューデリーからの応援部隊の到着が遅れているため、
着いたばかりで恐縮ですが、京都出張所の皆さんに現場に向かってもらいます」
本部のスタッフによる説明がなされる。
「待っとれや!東京の悪魔!!この金造様がバキバキ言わせたるわ!」
血気盛んな四兄の金造が、到着早々両手の関節をボキボキ鳴らす。
「廉造(あいつ)はしっかりやっとんのかいな?」
その隣では、次兄の柔造が人であふれ返った室内を見まわし、弟の姿を探す。
・・・が、担架で運ばれていく怪我人や、宙を行き来する使い魔、
医務スペースの前に列をなす軽傷者などでごった返し、とても見つからない。
「まぁ、ええわ」
と、柔造が視線を戻す。すると、その柔和な顔が一瞬、
地獄の鬼のような形相へと変わった。
「坊に何かあったら、バラすで。廉造オォォ」
「!?な、なんや?急に・・・悪寒が・・・」
本部の一角に作られた喫茶スペースで、
仮設テーブルに座りエクスワイアの仲間たちと雑談していた志摩が、
兄の殺気を感じ取ったようにぶるりと身を震わせる。
そして、思い出したように本部内を見まわした。
「そういや、柔兄たちも来とるはずなんやけど・・・どこにおんのやろ?」
「まだ、着いてへんのやないか?」
同様にあたりを見まわした勝呂が言う。
すると、講師の椿薫が人の間を縫うように、
彼らのもとに駆け寄ってきた。
「キミたち、まだ任務ダヨ。
今度は、北町一丁目に水風船の悪魔が出現しているらしい。
ジャカルタ支部の方たちの後方支援に当たってくれたまえ」
「はい!」
素早く応じた面々が立ち上がる。
「・・・またかいな」
志摩一人、情けない顔でぼやいた。
「風呂入ったばっかりやのに、またドロドロになるやなんて」
殺生な、とうめく。
子猫丸がそんな友を穏やかになだめた。
「まあまあ、志摩さん。
また、奥村くんのとこにお風呂借りに行けばええやないですか」
同じ頃、男子寮旧館のキッチンには、
バターが焦げる芳ばしい香りが充満していた。
溶けたバターの上に、大匙(おおさじ)一杯のマヨネーズを加えた卵を流しこむ。
「もーすぐ、出来るぞ」
菜箸(さいばし)で切るように軽く混ぜながら、
エプロンの燐が声をかける。
テーブルの上には、すでに出来上がっているチキンライスの皿が並べられ、
小皿には一人前ずつキレイに飾られた見た目もよいポテトサラダ。
「よし。あとは、スープの味をみなくちゃ」
それらを、クロがご機嫌な顔でスタンバイしていた。
《ごはん、ごはん♪》
うきうきと即興の歌を歌い、二又に分かれた尻尾を、
パタパタと動かすクロとは対照的に、
少年はテーブルの前でしょんぼりとうつむいている。
「よっと」
フライパンを片手に振り向いた燐が、チキンライスの上に、
ふわふわとろとろの半熟オムレツをのせる。
真っ黄色の半熟オムレツはふるふると震えながら、
チキンライスの上にてろんとのっかった。
《うまそー》
涎を垂らさんばかりにうっとりするクロ。
「スーパーイエローオクムラリンスペシャルだ」
そう胸を張っていう燐の横から、玲薇も顔をのぞかす。
「わー、おいしそう!」
「へへ。だろ?」