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「もー、あかん!あー、しんどー・・・!!」
同じ頃、男子寮旧館に向かう長い坂を上がりながら、
エクスワイアの志摩廉造がぐったりした顔で泣き言をもらしていた。
先ほど浴びた悪魔の血液で、ピンクのペンキを頭から被ったような悲惨な状態になっている。
手にした錫杖までネバネバとした血が糸を引いている。
「最悪や」
うめく志摩に、同様に全身ピンクまみれになった勝呂竜士が、
ズボンのポケットに両手を突っ込んだ格好でムスッと答える。
「ボヤくなや。これも修業や思え」
そのとなりで、同じくピンク色に染まった三輪子猫丸が苦笑いを浮かべている。
「でも、すごかったですねぇ。あのモルブ・・・」
「ところで、あの悪魔、なんで『モルブ』なん?」
いまさらな質問を投げかける志摩に、子猫丸が律儀に答える。
「モンスター・オブ・リキッド・バルーン。略してモルブです」
うんざりした声で言う勝呂。
「ごたいそうな名前やな。ただの水風船お化けでええやないか・・・」
警備の人手が足りないということもあり、実習を兼ね、
祭りの期間中は祓魔塾の塾生や講師も悪魔退治に狩り出されている。
朝も早くから叩き起こされ、そこそこ息をつく暇もない。
貴重な休息時間にここまで足を伸ばしたのは、
奥村兄弟と玲薇以外使用者のいない、
男子寮旧館で風呂を借りるためである。
「奥村おるか?」
「お風呂借りに来ましたー」
「玲薇ちゃんもおります?」
三人が寮の古びたドアを開けると、
奥からドタドタと三人分の足音が聞こえた。
それに三人が首を傾げる。
「何や。若先生もおるんかいな?」
「若先生やったら、任務に出てはるんやないですか?」
「そんな・・・玲薇ちゃんかて、ドタドタ走られへんやん」
何だかんだ一人違う世界に行く志摩を横目で見つつ、勝呂が言う。
「ほな、客か?」
三人の疑問に答えるように、燐の叫び声。
「こら、待て!!」
その叫び声とともに、幼い少年が腰に巻きつけられた紐を床に引きずりながら、
必死の形相でこちらに駆けてきた。
「あっ、もー!」
もう少しで紐をつかめそうだったのに、失敗する玲薇。
「燐!そっちに行った!」
二手に別れていたのか、燐が奥からお風呂セットを片手に現れる。
すかさず床に垂れた少年の腰紐をつかみ、ぐいっと引っ張った。
ぽてっとその場に尻もちをついた少年を、
燐が生来のバカ力でずるずるとたぐり寄せる。
その光景に、苦虫でも噛んだような玲薇の表情。
彼らの元へ、駆け寄る。
「ホラ、観念しろって。オイ」
燐が片手で少年の首根っこをつかみ上げると、
少年が猫のように両手で燐の顔をひっかいて抵抗した。
「いてて・・・痛い、痛いって!!」
悲鳴を上げる燐の手からお風呂セットが落ち、
シャンプーが三人のもとまで転がってきた。
子猫丸がしゃがんでそれを拾う。
「『メッフィーシャンプー』?」
なんだか嫌がる少年が可愛そうになってきた玲薇が、
子猫丸の声に気づいてそこでようやく三人の姿を目にした。
「あ、みんな!来てたの!?」
「気づくんが遅すぎや」
勝呂の言葉に、今さっきまでみせていた自分の姿が恥ずかしい。
いったい、彼女が使う『メッフィーシャンプー』とはどんなのか。
子猫丸が持つ容器を、横から志摩が覗きこむ。
「あの子を虜にする魅惑のキラキラエッセンス入り・・・魅惑て」
どちらかというと、男が使いたがりそうな代物。
冷ややかな目で玲薇を見る勝呂と志摩。
「お前、こんなん使っとんのか?」
「違う!!!」
失礼な。
「私じゃなくて、あの子用の!」
「「あの子?」」
ビシッと指さすは、燐と揉み合い中の少年。
「ね!燐!」
「メフィストのヤツが勝手に置いてくんだよ!」
少年は隙を見て両足をバタつかせ、燐の顎を蹴り上げた。
「いててて・・・コラ、いい加減に観念して風呂に入りやがれ!!って、痛っ!!」
「・・・・・・」
たまらずうめき声を上げる燐に、三人が無言で顔を見合わせた。
同じ頃、男子寮旧館に向かう長い坂を上がりながら、
エクスワイアの志摩廉造がぐったりした顔で泣き言をもらしていた。
先ほど浴びた悪魔の血液で、ピンクのペンキを頭から被ったような悲惨な状態になっている。
手にした錫杖までネバネバとした血が糸を引いている。
「最悪や」
うめく志摩に、同様に全身ピンクまみれになった勝呂竜士が、
ズボンのポケットに両手を突っ込んだ格好でムスッと答える。
「ボヤくなや。これも修業や思え」
そのとなりで、同じくピンク色に染まった三輪子猫丸が苦笑いを浮かべている。
「でも、すごかったですねぇ。あのモルブ・・・」
「ところで、あの悪魔、なんで『モルブ』なん?」
いまさらな質問を投げかける志摩に、子猫丸が律儀に答える。
「モンスター・オブ・リキッド・バルーン。略してモルブです」
うんざりした声で言う勝呂。
「ごたいそうな名前やな。ただの水風船お化けでええやないか・・・」
警備の人手が足りないということもあり、実習を兼ね、
祭りの期間中は祓魔塾の塾生や講師も悪魔退治に狩り出されている。
朝も早くから叩き起こされ、そこそこ息をつく暇もない。
貴重な休息時間にここまで足を伸ばしたのは、
奥村兄弟と玲薇以外使用者のいない、
男子寮旧館で風呂を借りるためである。
「奥村おるか?」
「お風呂借りに来ましたー」
「玲薇ちゃんもおります?」
三人が寮の古びたドアを開けると、
奥からドタドタと三人分の足音が聞こえた。
それに三人が首を傾げる。
「何や。若先生もおるんかいな?」
「若先生やったら、任務に出てはるんやないですか?」
「そんな・・・玲薇ちゃんかて、ドタドタ走られへんやん」
何だかんだ一人違う世界に行く志摩を横目で見つつ、勝呂が言う。
「ほな、客か?」
三人の疑問に答えるように、燐の叫び声。
「こら、待て!!」
その叫び声とともに、幼い少年が腰に巻きつけられた紐を床に引きずりながら、
必死の形相でこちらに駆けてきた。
「あっ、もー!」
もう少しで紐をつかめそうだったのに、失敗する玲薇。
「燐!そっちに行った!」
二手に別れていたのか、燐が奥からお風呂セットを片手に現れる。
すかさず床に垂れた少年の腰紐をつかみ、ぐいっと引っ張った。
ぽてっとその場に尻もちをついた少年を、
燐が生来のバカ力でずるずるとたぐり寄せる。
その光景に、苦虫でも噛んだような玲薇の表情。
彼らの元へ、駆け寄る。
「ホラ、観念しろって。オイ」
燐が片手で少年の首根っこをつかみ上げると、
少年が猫のように両手で燐の顔をひっかいて抵抗した。
「いてて・・・痛い、痛いって!!」
悲鳴を上げる燐の手からお風呂セットが落ち、
シャンプーが三人のもとまで転がってきた。
子猫丸がしゃがんでそれを拾う。
「『メッフィーシャンプー』?」
なんだか嫌がる少年が可愛そうになってきた玲薇が、
子猫丸の声に気づいてそこでようやく三人の姿を目にした。
「あ、みんな!来てたの!?」
「気づくんが遅すぎや」
勝呂の言葉に、今さっきまでみせていた自分の姿が恥ずかしい。
いったい、彼女が使う『メッフィーシャンプー』とはどんなのか。
子猫丸が持つ容器を、横から志摩が覗きこむ。
「あの子を虜にする魅惑のキラキラエッセンス入り・・・魅惑て」
どちらかというと、男が使いたがりそうな代物。
冷ややかな目で玲薇を見る勝呂と志摩。
「お前、こんなん使っとんのか?」
「違う!!!」
失礼な。
「私じゃなくて、あの子用の!」
「「あの子?」」
ビシッと指さすは、燐と揉み合い中の少年。
「ね!燐!」
「メフィストのヤツが勝手に置いてくんだよ!」
少年は隙を見て両足をバタつかせ、燐の顎を蹴り上げた。
「いててて・・・コラ、いい加減に観念して風呂に入りやがれ!!って、痛っ!!」
「・・・・・・」
たまらずうめき声を上げる燐に、三人が無言で顔を見合わせた。