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夢小説設定
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「ベッドに寝かせていたのですが・・・起きたら急に・・・痛っ!!」
冷や汗をかきつつ説明していた医療スタッフが、少年に頭をガブリと噛まれ、
悲鳴を上げる。もがくスタッフの頭から小さな顔を上げた少年が、
するどい目付きで一同を見回す。そして、ゆったりとした着物の袖を、
ムササビのように広げて、ばっと宙を飛ぶと、
呆然とそれを見守る燐の頭の上に着地した。
「わっ!?やめろっ!他人の頭に乗るんじゃねぇ!」
燐が少年を、頭から引きはがす。
だが、少年は燐の腕を逃れ背中にまわりこむと、
ズボンから飛び出した燐の尻尾をガブッと噛んだ。
「おぎゃあああぁぁあ!!!」
「燐!!」
急所への攻撃に悶絶する燐の背中を蹴って跳躍した少年が、
そのまま床に倒れた燐の頭を踏みつけ、両手でそれをかきむしる。
再び絶叫した燐がぐったりと力尽きると、
その頭の上から離れ、床の上をちょこまかと駆け回った。
とり押さえようと右往左往する本部スタッフの合間をくぐり抜け、
パソコンを机の上から蹴落とし、書類の入ったダンボールの山を蹴散らし、
モニターを破壊したうえで、近くにあった脚立から、
部屋の天井にぶら下がっている照明器具の上にのぼり、
怒った猫のように全身の毛を逆立てた。
「キシャーーッ!!」
「落ち着けって」
起き上がった燐が、少年を追って脚立に片足をかける。
少年は大きな目で燐を睨みつけると、
照明器具の上を這うようにして逃げ出した。
その行く手に、棍が放たれる。リュウが手にしていた代物だ。
バランスを崩された少年が、床にどさりと落ちる。
それでもなお、起き上がろうとする少年の首と右足を、
リュウの部下が素早くサスマタで押さえつけた。
顔色一つ変えずに棍を拾い上げるリュウに、燐と玲薇が駆け寄る。
「子供相手にやりすぎじゃ・・・」
燐の非難の色をこめたその言葉にうなずく玲薇。
「見ろ」
リュウが棍の先を少年に向け、じたばたしている彼の長い上着をめくる。
そこには、ふわふわとした丸い尻尾があった。
「尻尾・・・?」
「え、悪魔?」
この小さな少年が。まるで、自分たちと同じように人間の姿で。
「祓魔師が悪魔を助けてどうする。バカか」
「「・・・・・・」」
そのまま二人のそばを離れると、
周囲でなりゆきを見守っていた本部のスタッフに、
平板な口調でリュウが命じる。
「オイ。檻を用意しろ」
燐はしかめた顔で、筋肉質だがほっそりとしたリュウの背中を見つめた後、
床の上で必死にもがく少年の尻尾へ視線を戻した。
小さな毛糸玉のようなそれは、まるで兎の尻尾だった。
「ギャアアアア!!」
どこぞの大使館の貴賓室を思わせるほど豪奢な理事長室の中央に置かれた果物、
猛獣を入れておくのに使うようないかめしい檻の中で、
悪魔の少年は先ほどからずっと叫び続けている。
「身元不明の悪魔ねぇ・・・」
机の上に長い足を組んで座ったメフィストが、
手のひらの上のハムスターを撫でながらつぶやく。
「封印されていたと思われる祠は見つけたのですが、
記録はなく、調べようにも祠は瓦礫の下敷きで・・・」
檻の前に燐と玲薇と並んだ雪男が、
現在わかっていることを淡々と報告する。
ふんふんと聞いていたメフィストが、顔を上げた。
「では、殺してしまいますか」
こともなげに言う。
「!?」
驚く玲薇とは裏腹に、手のひらの上のハムスターが小さな顔を上げて、
檻の中の悪魔を見た。その小さな硝子玉のような瞳をきゅうっと細める。
「なにも殺すこたぁねーだろ?」
ぎょっとした燐がすかさず反論する。
メフィストはふふんと、鼻先で笑った。
冷や汗をかきつつ説明していた医療スタッフが、少年に頭をガブリと噛まれ、
悲鳴を上げる。もがくスタッフの頭から小さな顔を上げた少年が、
するどい目付きで一同を見回す。そして、ゆったりとした着物の袖を、
ムササビのように広げて、ばっと宙を飛ぶと、
呆然とそれを見守る燐の頭の上に着地した。
「わっ!?やめろっ!他人の頭に乗るんじゃねぇ!」
燐が少年を、頭から引きはがす。
だが、少年は燐の腕を逃れ背中にまわりこむと、
ズボンから飛び出した燐の尻尾をガブッと噛んだ。
「おぎゃあああぁぁあ!!!」
「燐!!」
急所への攻撃に悶絶する燐の背中を蹴って跳躍した少年が、
そのまま床に倒れた燐の頭を踏みつけ、両手でそれをかきむしる。
再び絶叫した燐がぐったりと力尽きると、
その頭の上から離れ、床の上をちょこまかと駆け回った。
とり押さえようと右往左往する本部スタッフの合間をくぐり抜け、
パソコンを机の上から蹴落とし、書類の入ったダンボールの山を蹴散らし、
モニターを破壊したうえで、近くにあった脚立から、
部屋の天井にぶら下がっている照明器具の上にのぼり、
怒った猫のように全身の毛を逆立てた。
「キシャーーッ!!」
「落ち着けって」
起き上がった燐が、少年を追って脚立に片足をかける。
少年は大きな目で燐を睨みつけると、
照明器具の上を這うようにして逃げ出した。
その行く手に、棍が放たれる。リュウが手にしていた代物だ。
バランスを崩された少年が、床にどさりと落ちる。
それでもなお、起き上がろうとする少年の首と右足を、
リュウの部下が素早くサスマタで押さえつけた。
顔色一つ変えずに棍を拾い上げるリュウに、燐と玲薇が駆け寄る。
「子供相手にやりすぎじゃ・・・」
燐の非難の色をこめたその言葉にうなずく玲薇。
「見ろ」
リュウが棍の先を少年に向け、じたばたしている彼の長い上着をめくる。
そこには、ふわふわとした丸い尻尾があった。
「尻尾・・・?」
「え、悪魔?」
この小さな少年が。まるで、自分たちと同じように人間の姿で。
「祓魔師が悪魔を助けてどうする。バカか」
「「・・・・・・」」
そのまま二人のそばを離れると、
周囲でなりゆきを見守っていた本部のスタッフに、
平板な口調でリュウが命じる。
「オイ。檻を用意しろ」
燐はしかめた顔で、筋肉質だがほっそりとしたリュウの背中を見つめた後、
床の上で必死にもがく少年の尻尾へ視線を戻した。
小さな毛糸玉のようなそれは、まるで兎の尻尾だった。
「ギャアアアア!!」
どこぞの大使館の貴賓室を思わせるほど豪奢な理事長室の中央に置かれた果物、
猛獣を入れておくのに使うようないかめしい檻の中で、
悪魔の少年は先ほどからずっと叫び続けている。
「身元不明の悪魔ねぇ・・・」
机の上に長い足を組んで座ったメフィストが、
手のひらの上のハムスターを撫でながらつぶやく。
「封印されていたと思われる祠は見つけたのですが、
記録はなく、調べようにも祠は瓦礫の下敷きで・・・」
檻の前に燐と玲薇と並んだ雪男が、
現在わかっていることを淡々と報告する。
ふんふんと聞いていたメフィストが、顔を上げた。
「では、殺してしまいますか」
こともなげに言う。
「!?」
驚く玲薇とは裏腹に、手のひらの上のハムスターが小さな顔を上げて、
檻の中の悪魔を見た。その小さな硝子玉のような瞳をきゅうっと細める。
「なにも殺すこたぁねーだろ?」
ぎょっとした燐がすかさず反論する。
メフィストはふふんと、鼻先で笑った。