3
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しえみの眼差しが、後ろに注がれていることに気づいた二人。
玲薇は完全に振り向いたものの、燐はすでに、
背後から伸びてきた腕に頭をつかまれていた。
そのまま強烈なヘッドロックがかけられる。
「テメェ、なんだ、あのざまは!」
「あ」
「シュ、シュラ!?」
「シュラさんだろ!!」
シュラが握りしめた拳を燐のこめかみに当て、ぐりぐりとまわす。
地味な攻撃だが、凄まじく痛い。
「いい加減、ちゃんとしやがれ、このバカヤローが」
「痛っ!!お前だって、逃がしてんじゃねぇか!」
「あー!?なんだとテメェ。誰のせいだと思ってんだ!この、このっ!!」
「っ!やめ・・・いてぇ!!いてぇって!!放せ!!」
シュラの腕の中で燐がジタバタもがく。
「・・・・・・・」
燐と雪男ならまだしも、この二人の間にはさすがの玲薇も入れない。
そんな彼らの前に歩み寄ってきた人物が、静かに告げた。
「滑稽だな」
「あ?」
シュラの腕の中から、燐が顔を上げる。
そこには、先刻、ボートの上から冷たい眼差しを向けてきた男が立っていた。
二人の部下を従えている。日本支部のものとは違う、
華やかな色合いの制服を身にまとった男の胸には、
正十字騎士團の階級証が飾られていた。玲薇はちょこっと頭を下げる。
「幽霊列車ごときであの騒ぎとは、ガッカリさせられたぞ」
男が薄い唇の端をわずかに持ち上げ、侮蔑的な眼差しを燐へ向ける。
「テメェは・・・ボートにいた」
いきなり現れた男に、燐が噛みつくような眼差しを向ける。
「そーいや、紹介がまだだったな」
燐の頭を抱えたままのシュラが呑気に言い、燐から腕を放した。
目の前の男に向けて、軽く顎をしゃくる。
「コイツは劉(リュウ)・成龍(セイリュウ)。
正十字騎士團台湾支部の上一級祓魔師だ」
「台湾支部・・・上一級・・・」
ぽつりとつぶやく玲薇。
上一級ということは、雪男より階級が一個上ということか。
眉を寄せた燐が、劉成龍・・・リュウの端正だが冷たい顔を見すえる。
三十歳前後だろうか?灰色の長髪を赤い布で一つにまとめ、
それを胸元に気障に垂らしたその男は、
無駄に可愛らしいキャンディーの入ったケースを取り出すと、
中のキャンディーを口に放り入れた。無表情のままバリバリと噛み砕く。
(何だ、コイツ)
と、燐が少したじろく。
(なんで、いきなり菓子食ってんだよ?てか、顔こえーし)
だが、見慣れた光景なのか、二人の部下は何の反応も示さない。
シュラが、変わってんだろ、というように肩をすくめて苦笑いする。
「コイツなー、こう見えて、この祭りで称えられる祓魔師の末裔なんだぜ?」
「「!?」」
「くだらん話はいい」
リュウがシュラの言葉をぴしゃりと打ちきる。
そして、驚いている燐をことさら冷ややかな目で見やると、
燐が背負っている降魔剣にふと目をとめた。
一瞬のうちにそれを奪い取る。
「なっ・・・?」
「お前がこの剣を抜く時、全身から青い炎が出るそうだな。
青い炎・・・サタンの仔である証、か」
「・・・・・・返せよ」
燐がリュウを睨みつけ、低く凄む。
リュウが冷たい目でそれを見返し、剣を投げてよこす。
つかんで素早く背中に戻した燐とリュウの間にぴりぴりとした空気が流れる。
そんな二人の間に、シュラが割って入った。
「あのなぁ、リュウ。コイツは私の師匠のもとで人間として育ったし、
炎を制御する訓練も・・・」
と、医務室の中から何かが倒れる音がした。シュラが言葉を止める。
続いて、ドタバタと走りまわる音がしたかと思うと、
カーテンの奥から医療スタッフの男が飛び出してきた。
その頭には、例の川べりに倒れていた少年がかじりついている。
「何だァ?」
シュラが片眉を上げる。
玲薇は完全に振り向いたものの、燐はすでに、
背後から伸びてきた腕に頭をつかまれていた。
そのまま強烈なヘッドロックがかけられる。
「テメェ、なんだ、あのざまは!」
「あ」
「シュ、シュラ!?」
「シュラさんだろ!!」
シュラが握りしめた拳を燐のこめかみに当て、ぐりぐりとまわす。
地味な攻撃だが、凄まじく痛い。
「いい加減、ちゃんとしやがれ、このバカヤローが」
「痛っ!!お前だって、逃がしてんじゃねぇか!」
「あー!?なんだとテメェ。誰のせいだと思ってんだ!この、このっ!!」
「っ!やめ・・・いてぇ!!いてぇって!!放せ!!」
シュラの腕の中で燐がジタバタもがく。
「・・・・・・・」
燐と雪男ならまだしも、この二人の間にはさすがの玲薇も入れない。
そんな彼らの前に歩み寄ってきた人物が、静かに告げた。
「滑稽だな」
「あ?」
シュラの腕の中から、燐が顔を上げる。
そこには、先刻、ボートの上から冷たい眼差しを向けてきた男が立っていた。
二人の部下を従えている。日本支部のものとは違う、
華やかな色合いの制服を身にまとった男の胸には、
正十字騎士團の階級証が飾られていた。玲薇はちょこっと頭を下げる。
「幽霊列車ごときであの騒ぎとは、ガッカリさせられたぞ」
男が薄い唇の端をわずかに持ち上げ、侮蔑的な眼差しを燐へ向ける。
「テメェは・・・ボートにいた」
いきなり現れた男に、燐が噛みつくような眼差しを向ける。
「そーいや、紹介がまだだったな」
燐の頭を抱えたままのシュラが呑気に言い、燐から腕を放した。
目の前の男に向けて、軽く顎をしゃくる。
「コイツは劉(リュウ)・成龍(セイリュウ)。
正十字騎士團台湾支部の上一級祓魔師だ」
「台湾支部・・・上一級・・・」
ぽつりとつぶやく玲薇。
上一級ということは、雪男より階級が一個上ということか。
眉を寄せた燐が、劉成龍・・・リュウの端正だが冷たい顔を見すえる。
三十歳前後だろうか?灰色の長髪を赤い布で一つにまとめ、
それを胸元に気障に垂らしたその男は、
無駄に可愛らしいキャンディーの入ったケースを取り出すと、
中のキャンディーを口に放り入れた。無表情のままバリバリと噛み砕く。
(何だ、コイツ)
と、燐が少したじろく。
(なんで、いきなり菓子食ってんだよ?てか、顔こえーし)
だが、見慣れた光景なのか、二人の部下は何の反応も示さない。
シュラが、変わってんだろ、というように肩をすくめて苦笑いする。
「コイツなー、こう見えて、この祭りで称えられる祓魔師の末裔なんだぜ?」
「「!?」」
「くだらん話はいい」
リュウがシュラの言葉をぴしゃりと打ちきる。
そして、驚いている燐をことさら冷ややかな目で見やると、
燐が背負っている降魔剣にふと目をとめた。
一瞬のうちにそれを奪い取る。
「なっ・・・?」
「お前がこの剣を抜く時、全身から青い炎が出るそうだな。
青い炎・・・サタンの仔である証、か」
「・・・・・・返せよ」
燐がリュウを睨みつけ、低く凄む。
リュウが冷たい目でそれを見返し、剣を投げてよこす。
つかんで素早く背中に戻した燐とリュウの間にぴりぴりとした空気が流れる。
そんな二人の間に、シュラが割って入った。
「あのなぁ、リュウ。コイツは私の師匠のもとで人間として育ったし、
炎を制御する訓練も・・・」
と、医務室の中から何かが倒れる音がした。シュラが言葉を止める。
続いて、ドタバタと走りまわる音がしたかと思うと、
カーテンの奥から医療スタッフの男が飛び出してきた。
その頭には、例の川べりに倒れていた少年がかじりついている。
「何だァ?」
シュラが片眉を上げる。