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夢小説設定
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「雪男!雪男ってば!!」
何度も名前を呼んでから、雪男はやっと立ち止まり振り向いてくれた。
「なに!?」
なんだか、強い口調に仏頂面。こんな顔、雪男はめったにみせない。
いや、いつも帰ってきては疲れた表情しかみてない気もするけれど。
相当燐のとった行動に、腹をたてているんだ・・・。
「燐だって、悪気があって霊を助けたわけじゃないってことぐらい、
雪男なら分かるでしょ?燐はいつも、行動が先に行くタイプだって」
後先のことなど考えない。目の前にある大事なモノを、
すぐそこで守ろうとしているだけ。例えそれが、霊であれ・・・。
「だとしても、それで玲薇が死んだらどうするの?
それこそ、"僕に"とっては最悪な結果だよ。
兄さんが君をどう思ってるかなんて、知ったこっちゃない」
玲薇が呆れて、ため息をつくのが分かる。
「でも・・・」
「・・・玲薇はそうやって、いつも兄さんの味方ばかりだ」
いくら努力して頭が良く、強いからといっても、
君は僕の方を振り向いてくれたことない。
いつも頼りにしてくれるのは嬉しい。でも、なんだか違う。
やっぱり、僕じゃあ兄さんの代わりになれないんだって悟らされる。
「雪男・・・」
君の隣が、僕にとって唯一安心できる場所だなんて、知らないだろう。
「!」
こんな時になる携帯。
「はい。えぇ、分かりました」
携帯をきって、玲薇と向き直る。
「ごめん、呼び出されたから行ってくる」
「・・・・・・・」
その場にポツンと取り残される玲薇。
なんだか分からないけれど、無性に泣きたくなってきた。
視界が涙でボヤけていくのがわかる。
「うっ・・・っ・・・」
たぶん、泣きたいのは雪男の方なんだろうね。
私って・・・いったい、なんなんだろう?
「・・・玲薇?」
ボヤける視界で見れば、きょとんとした顔で燐がこちらをみていた。
「燐・・・」
「お前、何泣いてんだ?」
「別に、何も・・・」
「はっ、さては雪男だな!?雪男だろ!?」
「ちが・・・」
「つーかアイツ、玲薇ほったらかしてどこいったんだ?」
「・・・・・・」
答えられない。でも、一つ確かなことは。
「呼び出されたから、行くって・・・」
「・・・・そっか」
うつむく玲薇は、寂しげな顔。
「・・・俺、お前のこと守ってやれてないよな」
「そ、そんなことない!燐が一緒にいてくれたから、
私は怪我しないですんだ。今日の雪男は、言い過ぎたこともあるよ。
私の方が、二人を贔屓にしてるって・・・」
雪男に、言われてしまった。そんなに、見方がばらばらだったのか。
「玲薇・・・」
「強くならないとね、私も」
「俺も、まだまだだな。なあ、俺・・・これからしえみのとこに行こうと思ってんだけど、
一緒に行かないか?」
「うん」
今は、手当てしに行っているしえみの身を心配する時だ。
二人で一緒に、学園内に設置された『祭り警備対策本部』の片隅に行く。
パーテーションで区切られた医務室の前の黒い革張りの長椅子に浅く腰を下ろし、
燐は自分の両膝をじっと見つめている。
その胸中には、先ほど雪男から聞かされた言葉がぐるぐるとまわっていた。
不安になり、思わず隣にいる玲薇の手をにぎる。
これからだって、俺が玲薇の側にいるんだ。
あんなこと一度くらい言われたからって、くよくよしてはダメなんだ。
判ってる、判ってるさ・・・。
「燐・・・」
いつも以上に静か。繋がれている手が、震えてるのが分かる。
「・・・ありがとうございました」
「はい。お大事にね」
パーテーションの出入り口にかけられたカーテンの奥からしえみの声が聞こえ、
医療スタッフの声がそれに応じる。
両手に上着とマフラーを持ったしえみが出てくると、
燐が弾かれたようにその場に立ち上がった。
それと同時に、離された繋がれていた手。
「しえみ」
「杜山さん」
「待っててくれたの?」
しえみの顔がほころぶ。
その左の頬に貼られた絆創膏に気づいた燐が、さっと表情を強張らせる。
しえみが燐の視線に気づいたように、絆創膏を手のひらでそっと隠した。
にっこりと笑ってみせる。
「たいしたことないから、大丈夫だよ」
「よかった・・・」
ほっと一息つく玲薇。
いたたまれなくなった燐が、いつになくしょげた様子で謝る。
「・・・ゴメンな、俺のせいで」
「ホントに、平気だから。それに、私が悪いん」
明るい口調で言いかけたしえみが、不意にそれを止めた。
何度も名前を呼んでから、雪男はやっと立ち止まり振り向いてくれた。
「なに!?」
なんだか、強い口調に仏頂面。こんな顔、雪男はめったにみせない。
いや、いつも帰ってきては疲れた表情しかみてない気もするけれど。
相当燐のとった行動に、腹をたてているんだ・・・。
「燐だって、悪気があって霊を助けたわけじゃないってことぐらい、
雪男なら分かるでしょ?燐はいつも、行動が先に行くタイプだって」
後先のことなど考えない。目の前にある大事なモノを、
すぐそこで守ろうとしているだけ。例えそれが、霊であれ・・・。
「だとしても、それで玲薇が死んだらどうするの?
それこそ、"僕に"とっては最悪な結果だよ。
兄さんが君をどう思ってるかなんて、知ったこっちゃない」
玲薇が呆れて、ため息をつくのが分かる。
「でも・・・」
「・・・玲薇はそうやって、いつも兄さんの味方ばかりだ」
いくら努力して頭が良く、強いからといっても、
君は僕の方を振り向いてくれたことない。
いつも頼りにしてくれるのは嬉しい。でも、なんだか違う。
やっぱり、僕じゃあ兄さんの代わりになれないんだって悟らされる。
「雪男・・・」
君の隣が、僕にとって唯一安心できる場所だなんて、知らないだろう。
「!」
こんな時になる携帯。
「はい。えぇ、分かりました」
携帯をきって、玲薇と向き直る。
「ごめん、呼び出されたから行ってくる」
「・・・・・・・」
その場にポツンと取り残される玲薇。
なんだか分からないけれど、無性に泣きたくなってきた。
視界が涙でボヤけていくのがわかる。
「うっ・・・っ・・・」
たぶん、泣きたいのは雪男の方なんだろうね。
私って・・・いったい、なんなんだろう?
「・・・玲薇?」
ボヤける視界で見れば、きょとんとした顔で燐がこちらをみていた。
「燐・・・」
「お前、何泣いてんだ?」
「別に、何も・・・」
「はっ、さては雪男だな!?雪男だろ!?」
「ちが・・・」
「つーかアイツ、玲薇ほったらかしてどこいったんだ?」
「・・・・・・」
答えられない。でも、一つ確かなことは。
「呼び出されたから、行くって・・・」
「・・・・そっか」
うつむく玲薇は、寂しげな顔。
「・・・俺、お前のこと守ってやれてないよな」
「そ、そんなことない!燐が一緒にいてくれたから、
私は怪我しないですんだ。今日の雪男は、言い過ぎたこともあるよ。
私の方が、二人を贔屓にしてるって・・・」
雪男に、言われてしまった。そんなに、見方がばらばらだったのか。
「玲薇・・・」
「強くならないとね、私も」
「俺も、まだまだだな。なあ、俺・・・これからしえみのとこに行こうと思ってんだけど、
一緒に行かないか?」
「うん」
今は、手当てしに行っているしえみの身を心配する時だ。
二人で一緒に、学園内に設置された『祭り警備対策本部』の片隅に行く。
パーテーションで区切られた医務室の前の黒い革張りの長椅子に浅く腰を下ろし、
燐は自分の両膝をじっと見つめている。
その胸中には、先ほど雪男から聞かされた言葉がぐるぐるとまわっていた。
不安になり、思わず隣にいる玲薇の手をにぎる。
これからだって、俺が玲薇の側にいるんだ。
あんなこと一度くらい言われたからって、くよくよしてはダメなんだ。
判ってる、判ってるさ・・・。
「燐・・・」
いつも以上に静か。繋がれている手が、震えてるのが分かる。
「・・・ありがとうございました」
「はい。お大事にね」
パーテーションの出入り口にかけられたカーテンの奥からしえみの声が聞こえ、
医療スタッフの声がそれに応じる。
両手に上着とマフラーを持ったしえみが出てくると、
燐が弾かれたようにその場に立ち上がった。
それと同時に、離された繋がれていた手。
「しえみ」
「杜山さん」
「待っててくれたの?」
しえみの顔がほころぶ。
その左の頬に貼られた絆創膏に気づいた燐が、さっと表情を強張らせる。
しえみが燐の視線に気づいたように、絆創膏を手のひらでそっと隠した。
にっこりと笑ってみせる。
「たいしたことないから、大丈夫だよ」
「よかった・・・」
ほっと一息つく玲薇。
いたたまれなくなった燐が、いつになくしょげた様子で謝る。
「・・・ゴメンな、俺のせいで」
「ホントに、平気だから。それに、私が悪いん」
明るい口調で言いかけたしえみが、不意にそれを止めた。