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夢小説設定
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車内では、雪男としえみが最後尾に連結したトロッコ車両を目指していた。
粘液のへばりつく足を叱咤(しった)し、
なんとか最後尾の車両まで辿り着いた二人の視界に、
トロッコ車両と、そこで待つ玲薇の姿が映る。
先ほど燐が蹴り破った扉が車両の震動に合わせて、ゆらゆらとゆれている。
「もう少しですよ、しえみさん。(玲薇、無事でよかった・・・)」
背後のしえみを励ましかつ、玲薇の無事を安堵しつつ、
迫りくる吊革を撃ち砕いた雪男が、チラッと腕時計を見た。
「あと、三十秒・・・」
「雪ちゃん!!」
険しい顔で再び銃を構えた雪男に、しえみが緊張した声を上げる。
「!?」
雪男が肩越しに振り返ると、
二人のいる場所から後ろの車内がすっかり様変わりしていた。
もはや、涎を垂らす吊革すらもなく、肉の壁が車両内すべてを満たしている。
鮮やかな色の壁が、ピクピクと不気味に蠢く。
まるで腸の中にいるようだ。
「くっ・・・」
雪男が強張った顔で叫ぶ。
「走って!」
全速力で走る雪男としえみを追うように、
二人の背後の車内が悪魔の血肉に変わっていく。
やがてそれは二人を追い越し、出口にまで及んだ。
「雪男!杜山さん!」
トロッコで待つ玲薇の呼び声が聞こえる。
向こうからこっちに声が届くんだとしたら・・・、
頼むから、こっちからの声も届いてくれ。
「玲薇!どいてて!!」
「!」
わずかに聞こえた雪男の声。どいてって・・・。
(当たるな・・・!)
そう願いながら、トロッコに続く部分に銃弾を放つ。
「!!」
飛んできた銃弾に驚くも、雪男の言葉をこれで理解した。
雪男はそのまま、列車の自己再生が追いつかなくなるまで銃弾を撃ち続ける。
どうにか、人が通り抜けられるような穴ができた。
「さぁ、早く」
そこから顔を出すしえみに、玲薇は気づいた。
「杜山さん」
「風美夜さん」
二人の会話を耳に入れつつ、雪男はしえみの後に続く。
だが、通り抜ける途中で右腕の肘から下を悪魔に呑みこまれた。
焼けるような激痛に、眉を寄せる。
「雪男!」
リニュウに庇われている玲薇が視界に飛び込む。
雪男は周囲に銃弾を撃ちこみ、無理やり腕を引き抜いた。
肘から下の制服が喰い破られ、肌全体が火傷を負ったような状態になっている。
傷口から立ち上っていた黒い煙が、冷たい外気にさらされ消えていく。
「雪ちゃん、腕が・・・!!」
「雪男、大丈夫!?」
しえみの悲鳴に、右腕をかばうような姿勢をした雪男に駆け寄る玲薇を、
無意識に抱き止めた。
「ゆき・・・」
「よかった・・・」
「リニュウが、庇ってくれたから・・・」
リニュウを見れば、羽に少し傷がついてしまっている。
自分が撃った弾丸が、かすってしまったのだろう。
「後で手当てするから、もう少しだけ待っててくれるかい?」
中腰になり、リニュウと目を合わせる。
《おれらに、手当てはいらねぇさ》
その素っ気ない態度は、リニュウだからこそ微笑ましい。
今さら、その性格に文句はない。
「玲薇、兄さんは?」
燐以外、全員この場所にいる。一番不安な人物だけが、ここにいない。
「それが、幽霊列車を倒してくるって・・・」
そうだろうとは思っていたが、当たってしまったその予想に頭を抱える。
そして、時計を見ればすでに零時をまわっていた。
タイムリミットだ。
粘液のへばりつく足を叱咤(しった)し、
なんとか最後尾の車両まで辿り着いた二人の視界に、
トロッコ車両と、そこで待つ玲薇の姿が映る。
先ほど燐が蹴り破った扉が車両の震動に合わせて、ゆらゆらとゆれている。
「もう少しですよ、しえみさん。(玲薇、無事でよかった・・・)」
背後のしえみを励ましかつ、玲薇の無事を安堵しつつ、
迫りくる吊革を撃ち砕いた雪男が、チラッと腕時計を見た。
「あと、三十秒・・・」
「雪ちゃん!!」
険しい顔で再び銃を構えた雪男に、しえみが緊張した声を上げる。
「!?」
雪男が肩越しに振り返ると、
二人のいる場所から後ろの車内がすっかり様変わりしていた。
もはや、涎を垂らす吊革すらもなく、肉の壁が車両内すべてを満たしている。
鮮やかな色の壁が、ピクピクと不気味に蠢く。
まるで腸の中にいるようだ。
「くっ・・・」
雪男が強張った顔で叫ぶ。
「走って!」
全速力で走る雪男としえみを追うように、
二人の背後の車内が悪魔の血肉に変わっていく。
やがてそれは二人を追い越し、出口にまで及んだ。
「雪男!杜山さん!」
トロッコで待つ玲薇の呼び声が聞こえる。
向こうからこっちに声が届くんだとしたら・・・、
頼むから、こっちからの声も届いてくれ。
「玲薇!どいてて!!」
「!」
わずかに聞こえた雪男の声。どいてって・・・。
(当たるな・・・!)
そう願いながら、トロッコに続く部分に銃弾を放つ。
「!!」
飛んできた銃弾に驚くも、雪男の言葉をこれで理解した。
雪男はそのまま、列車の自己再生が追いつかなくなるまで銃弾を撃ち続ける。
どうにか、人が通り抜けられるような穴ができた。
「さぁ、早く」
そこから顔を出すしえみに、玲薇は気づいた。
「杜山さん」
「風美夜さん」
二人の会話を耳に入れつつ、雪男はしえみの後に続く。
だが、通り抜ける途中で右腕の肘から下を悪魔に呑みこまれた。
焼けるような激痛に、眉を寄せる。
「雪男!」
リニュウに庇われている玲薇が視界に飛び込む。
雪男は周囲に銃弾を撃ちこみ、無理やり腕を引き抜いた。
肘から下の制服が喰い破られ、肌全体が火傷を負ったような状態になっている。
傷口から立ち上っていた黒い煙が、冷たい外気にさらされ消えていく。
「雪ちゃん、腕が・・・!!」
「雪男、大丈夫!?」
しえみの悲鳴に、右腕をかばうような姿勢をした雪男に駆け寄る玲薇を、
無意識に抱き止めた。
「ゆき・・・」
「よかった・・・」
「リニュウが、庇ってくれたから・・・」
リニュウを見れば、羽に少し傷がついてしまっている。
自分が撃った弾丸が、かすってしまったのだろう。
「後で手当てするから、もう少しだけ待っててくれるかい?」
中腰になり、リニュウと目を合わせる。
《おれらに、手当てはいらねぇさ》
その素っ気ない態度は、リニュウだからこそ微笑ましい。
今さら、その性格に文句はない。
「玲薇、兄さんは?」
燐以外、全員この場所にいる。一番不安な人物だけが、ここにいない。
「それが、幽霊列車を倒してくるって・・・」
そうだろうとは思っていたが、当たってしまったその予想に頭を抱える。
そして、時計を見ればすでに零時をまわっていた。
タイムリミットだ。