第一話 暗雲
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常闇はいま、どう思ってるだろう。
歌恋はいま、どこにいるのだろう。
強くなりたいって気持ちだけで、ヒーローになれるのか。
学生が憧れてるプロヒーローって、なんだ?
あんなにキラキラした瞳で俺を見てくれた子たち。
「どご・・・ゃみ・・・ぐん・・・」
常闇の答え・・・。
「俺はただ、師を案じただけだ」
ダークシャドウを、常闇とホークスに絡ませ抱き上げる。とにかく、ここから逃げなくては。
「思考停止」
「ぐぅ!!!」
荼毘の青い炎を避けるも、通路が狭すぎて広範囲に広がる炎を避けきれず、常闇は片足を火傷してしまう。
「フミカゲ、ごみぇん」
(炎で、ダークシャドウも力が出せない!一刻も早くこの場を離れ、ホークスの手当てを・・・!)
ホークスを抱え直し、どうやって離れようか考えあぐねていると、ホークスが声を掠れながら言う。
「また・・・喋る・・・」
「考えろよ、焼き鳥ども。本当に救いを必要としてるのは誰だと思う?」
荼毘との話に、いまは付き合ってる暇はないのに。一触即発の空気に、常闇は視線を荼毘に向けたまま、ホークスの言葉に耳を傾けた。
「指示を」
「(俺との会話にかまけたせいで、俺を殺し損ねたってのに、今また繰り返してる。
恐らくこれは"余裕"じゃない。動揺を誘って、時間を稼いでる。今の炎もだいぶ弱ってた。
連発できなくなってる)今、行げ」
ダークシャドウが荼毘に攻撃するが、それを避ける。常闇は柵を飛び越え下の階に飛び降りる。
「フミカゲ!!」
ホークスを抱えたままの常闇のバランスを保つために、荼毘との隙を作ったダークシャドウは、
そのまま先ほどまでいた階の柵を掴んでいた。
「ごみぇん、力ガ・・・」
炎の光で弱腰になってしまっているダークシャドウでは、いつもの力が発揮出来ていない。
掴んでいた柵から手を離し、常闇の中に戻っていく。着地に勢い余った常闇は転げ落ちるようになんとか体制を戻す。
「ホークス!ホークス!!」
力を失ったホークスの体を揺さぶるが、反応がない。着地の時、ホークスを気絶させてしまったのだろう。
息をしていることを確認し、荼毘の邪魔が入る前に行動を。
「すまない、ホークス!ダークシャドウ!!ここなら炎もない!」
黒の堕天使で、空を飛んでしまえば。
現れた。炎の勢いを脚に使い、浮かんで襲いかかろうとする荼毘。
「こんな事もあろうかと、前2発弱火で節約しました」
常闇の目の前に、眩いほどの炎が映り込む。
その時、どこからともなく巨大で大量の氷の雪崩が部屋の中に押し寄せてきた。
「「!?」」
これには流石の荼毘も驚いたのだろう。視線が常闇たちから外れたのだ。
「ってぇ・・・ぶっ放しやがって、あの氷ヤロウ」
辺りを見ると、もうホークスも常闇の姿はない。騒ぎの混乱に乗じて、外に飛び出せた。
「薄汚くなどないぞ、ホークス!!信じてる!皆信じてる!正しいことをしたんだと!
だから!死ぬな!!」
エンデヴァー事務所サイドキックバーニンを中心に、街の避難を急いでいた。
「ご家庭や近隣に身動きの取れない方がいましたら、お教えください!!
この街一帯対敵戦闘区域になる恐れがあります!!」
街の避難を任されているA組メンバーは、緑谷、爆豪、轟、麗日、蛙吹、飯田、口田らがいる。
「こっからは護送車だ、街から出ろ」
「ありがとうねぇ、ふわチョコ饅頭あげるよ」
「口乾くわ!いーから行け!」
優しく礼をしてくれるおばあさん相手にも、爆豪の態度は変わらず、麗日が口を挟む。
「ご厚意だよ、もらっときん」
「てめーはふわチョコ饅頭が気になるだけだろ」
轟はそんないつもの風景を、遠目で様子を見ていた。
(・・・・・・)
実の父親であるエンデヴァーは、戦場となってる蛇腔総合病院にいる。
インターンで、緑谷と爆豪も一緒にバーニン達と市民の避難にまわされた。
それはそれでいい。なのになんでここに、同じ場所に歌恋がいないのだろう。
インターン先が違うのはしょうがない。No.2のインターン先に行っていたのだからしょうがない。
だからって、敵の最前に彼女がまわされなくてもよかったのでは?
敵を混乱させる為に、初動で力を借りたいと話をもらったと聞かされた。
止める権利が自分にないのはわかってる。一人じゃないのもわかってる。
すぐに八百万や耳郞がいる後衛にまわされるって話も聞いている。けど、どうして歌恋じゃないといけなかったのか。
こういった時こそ、親父の息子って名前が使えるのではないのか。あんなに嫌だった、他の人にはない特権。
「轟くん?」
緑谷に顔を覗かれ、遠のいていた意識を戻す。
「ボーッとしてるけど、大丈夫?」
「あ・・・悪い、考え事が顔に出てたか?」
「前線にいる登坂さんが心配って顔。大丈夫、常闇くんも上鳴くんも一緒だし。
僕らは僕らの出来る事をするだけ・・・」
「・・・?緑谷、どうした?」
「サボってんじゃねーぞ、どういう了見だ!」
怒鳴って話す爆豪にも、緑谷は目を向けない。自身のお腹辺りに手を当て、額には尋常じゃない汗の量だ。
「デクくん・・・?」
緑谷の異様な雰囲気に、麗日が首をかしげる。彼が顔を向けている方は蛇腔総合病院だ。
まさに今、エンデヴァーらが戦っている場所。
エクスレスに死柄木の事を頼み、相澤先生らが戦っている脳無を止める為にプレゼント・マイクは殻木を連れ出していた。
そんな中、殻木は自身について語り出す。
「70年前、世間はワシの論文を嘲笑した」
「?」
「超常特異点は、根拠薄弱の暴論だとのォ・・・奴らは目を背けたんじゃ。
荒みきった世を平和に戻さんと足掻く時代に、「瓦解する未来」を指し示す事など、あってはならないと・・・」
「・・・・・・今は、"個性特異点"っつって、カルト化してる。その学者は発表後に失踪・・・数年後に亡くなった。
生きてりゃ、120代の大台だ、なるほどな・・・!」
相澤先生の「抹消」で"個性"が一瞬使えなくなった時に見た、老けきった殻木の姿を思い出す。
決してコイツが言っている事は嘘ではないと、事実であると証明できる姿だ。
「追放され、住む場所も失った・・・そんなワシに、唯一彼だけが手を差し伸べてくれた。
圧倒的な存在感、仏の如き微笑み。現人神とは、彼の事じゃった」
(――急に、触りたくねえ)
「ワシの"個性"運動能力と引き替えに、人の二倍の生命力をもつ「摂生」ワシはこの"個性"を、彼に捧げた」
(嫌悪感が――怒りを凌駕しちまってる!)
「ワシの中に今ある"個性"はなァ、己自身の複製でのう・・・。君・・・黒霧の友人じゃろぉ」
「!」
ヴィラン連合に、死柄木らと行動していたワープの"個性"をもっていた黒霧。
奴の正体を知ったのは、ここ最近だ。警察の力も借りて身分を暴き出した時。
かつて高校時代を共に過ごした友人の一人だと知らされた。それが腹の底から悔しくて憎くて、
相澤先生と共にこの戦いに参加の決意をしたのだ。いまは亡き友人の為にも、三人で過ごしたあの青春は忘れない。
「あの時なァ・・・本当は「抹消」が欲しかったんじゃがのぅ・・・」
なんて表情を見せるのだろう。まるで悪魔の、化け物のカオ。
(俺は今、途轍もなく大きくおぞましいモノの一端に触れている)
死柄木の事を任されているエクスレス。意識不明の状態だった死柄木が、いつの間にか上半身を起こしていた。
「寒い」
殻木を連れて、研究室を出ていたプレゼント・マイクは、背後の気配に振り向く。
「病院が」
緑谷がそう呟いた瞬間。蛇腔総合病院が崩壊した。
「この日の為に、多くの過程を積み重ねてきたのじゃろう。じゃが今・・・!
奇跡―或いは「更に向こうへ」・・・死柄木は起きた!!」
ヒーローの積み重ねなど、寝覚めの一撫でで瓦解する。
その崩壊のヒビは、緑谷たちがいる街まで加速していく。
「皆、逃げて!!」
「エンデヴァー!おい、エンデヴァー!?」
バーニンの通信が届かないのか、エンデヴァーからの返事がない。
「止まらない!衝撃とかの類じゃない!」
「全部塵になっていくわ・・・」
麗日や蛙吹の言葉に、塵を止める為に緑谷がエアフォースで衝撃を与えるも止まらず、
穿天氷壁で轟が氷の壁を作るが、それも塵となり崩壊する。
「皆退けぇ!!病院何してんだ、誰か応答しろ!エンデヴァー!!リューキュウ!!誰か!!状況を伝えろ!」
歌恋はいま、どこにいるのだろう。
強くなりたいって気持ちだけで、ヒーローになれるのか。
学生が憧れてるプロヒーローって、なんだ?
あんなにキラキラした瞳で俺を見てくれた子たち。
「どご・・・ゃみ・・・ぐん・・・」
常闇の答え・・・。
「俺はただ、師を案じただけだ」
ダークシャドウを、常闇とホークスに絡ませ抱き上げる。とにかく、ここから逃げなくては。
「思考停止」
「ぐぅ!!!」
荼毘の青い炎を避けるも、通路が狭すぎて広範囲に広がる炎を避けきれず、常闇は片足を火傷してしまう。
「フミカゲ、ごみぇん」
(炎で、ダークシャドウも力が出せない!一刻も早くこの場を離れ、ホークスの手当てを・・・!)
ホークスを抱え直し、どうやって離れようか考えあぐねていると、ホークスが声を掠れながら言う。
「また・・・喋る・・・」
「考えろよ、焼き鳥ども。本当に救いを必要としてるのは誰だと思う?」
荼毘との話に、いまは付き合ってる暇はないのに。一触即発の空気に、常闇は視線を荼毘に向けたまま、ホークスの言葉に耳を傾けた。
「指示を」
「(俺との会話にかまけたせいで、俺を殺し損ねたってのに、今また繰り返してる。
恐らくこれは"余裕"じゃない。動揺を誘って、時間を稼いでる。今の炎もだいぶ弱ってた。
連発できなくなってる)今、行げ」
ダークシャドウが荼毘に攻撃するが、それを避ける。常闇は柵を飛び越え下の階に飛び降りる。
「フミカゲ!!」
ホークスを抱えたままの常闇のバランスを保つために、荼毘との隙を作ったダークシャドウは、
そのまま先ほどまでいた階の柵を掴んでいた。
「ごみぇん、力ガ・・・」
炎の光で弱腰になってしまっているダークシャドウでは、いつもの力が発揮出来ていない。
掴んでいた柵から手を離し、常闇の中に戻っていく。着地に勢い余った常闇は転げ落ちるようになんとか体制を戻す。
「ホークス!ホークス!!」
力を失ったホークスの体を揺さぶるが、反応がない。着地の時、ホークスを気絶させてしまったのだろう。
息をしていることを確認し、荼毘の邪魔が入る前に行動を。
「すまない、ホークス!ダークシャドウ!!ここなら炎もない!」
黒の堕天使で、空を飛んでしまえば。
現れた。炎の勢いを脚に使い、浮かんで襲いかかろうとする荼毘。
「こんな事もあろうかと、前2発弱火で節約しました」
常闇の目の前に、眩いほどの炎が映り込む。
その時、どこからともなく巨大で大量の氷の雪崩が部屋の中に押し寄せてきた。
「「!?」」
これには流石の荼毘も驚いたのだろう。視線が常闇たちから外れたのだ。
「ってぇ・・・ぶっ放しやがって、あの氷ヤロウ」
辺りを見ると、もうホークスも常闇の姿はない。騒ぎの混乱に乗じて、外に飛び出せた。
「薄汚くなどないぞ、ホークス!!信じてる!皆信じてる!正しいことをしたんだと!
だから!死ぬな!!」
エンデヴァー事務所サイドキックバーニンを中心に、街の避難を急いでいた。
「ご家庭や近隣に身動きの取れない方がいましたら、お教えください!!
この街一帯対敵戦闘区域になる恐れがあります!!」
街の避難を任されているA組メンバーは、緑谷、爆豪、轟、麗日、蛙吹、飯田、口田らがいる。
「こっからは護送車だ、街から出ろ」
「ありがとうねぇ、ふわチョコ饅頭あげるよ」
「口乾くわ!いーから行け!」
優しく礼をしてくれるおばあさん相手にも、爆豪の態度は変わらず、麗日が口を挟む。
「ご厚意だよ、もらっときん」
「てめーはふわチョコ饅頭が気になるだけだろ」
轟はそんないつもの風景を、遠目で様子を見ていた。
(・・・・・・)
実の父親であるエンデヴァーは、戦場となってる蛇腔総合病院にいる。
インターンで、緑谷と爆豪も一緒にバーニン達と市民の避難にまわされた。
それはそれでいい。なのになんでここに、同じ場所に歌恋がいないのだろう。
インターン先が違うのはしょうがない。No.2のインターン先に行っていたのだからしょうがない。
だからって、敵の最前に彼女がまわされなくてもよかったのでは?
敵を混乱させる為に、初動で力を借りたいと話をもらったと聞かされた。
止める権利が自分にないのはわかってる。一人じゃないのもわかってる。
すぐに八百万や耳郞がいる後衛にまわされるって話も聞いている。けど、どうして歌恋じゃないといけなかったのか。
こういった時こそ、親父の息子って名前が使えるのではないのか。あんなに嫌だった、他の人にはない特権。
「轟くん?」
緑谷に顔を覗かれ、遠のいていた意識を戻す。
「ボーッとしてるけど、大丈夫?」
「あ・・・悪い、考え事が顔に出てたか?」
「前線にいる登坂さんが心配って顔。大丈夫、常闇くんも上鳴くんも一緒だし。
僕らは僕らの出来る事をするだけ・・・」
「・・・?緑谷、どうした?」
「サボってんじゃねーぞ、どういう了見だ!」
怒鳴って話す爆豪にも、緑谷は目を向けない。自身のお腹辺りに手を当て、額には尋常じゃない汗の量だ。
「デクくん・・・?」
緑谷の異様な雰囲気に、麗日が首をかしげる。彼が顔を向けている方は蛇腔総合病院だ。
まさに今、エンデヴァーらが戦っている場所。
エクスレスに死柄木の事を頼み、相澤先生らが戦っている脳無を止める為にプレゼント・マイクは殻木を連れ出していた。
そんな中、殻木は自身について語り出す。
「70年前、世間はワシの論文を嘲笑した」
「?」
「超常特異点は、根拠薄弱の暴論だとのォ・・・奴らは目を背けたんじゃ。
荒みきった世を平和に戻さんと足掻く時代に、「瓦解する未来」を指し示す事など、あってはならないと・・・」
「・・・・・・今は、"個性特異点"っつって、カルト化してる。その学者は発表後に失踪・・・数年後に亡くなった。
生きてりゃ、120代の大台だ、なるほどな・・・!」
相澤先生の「抹消」で"個性"が一瞬使えなくなった時に見た、老けきった殻木の姿を思い出す。
決してコイツが言っている事は嘘ではないと、事実であると証明できる姿だ。
「追放され、住む場所も失った・・・そんなワシに、唯一彼だけが手を差し伸べてくれた。
圧倒的な存在感、仏の如き微笑み。現人神とは、彼の事じゃった」
(――急に、触りたくねえ)
「ワシの"個性"運動能力と引き替えに、人の二倍の生命力をもつ「摂生」ワシはこの"個性"を、彼に捧げた」
(嫌悪感が――怒りを凌駕しちまってる!)
「ワシの中に今ある"個性"はなァ、己自身の複製でのう・・・。君・・・黒霧の友人じゃろぉ」
「!」
ヴィラン連合に、死柄木らと行動していたワープの"個性"をもっていた黒霧。
奴の正体を知ったのは、ここ最近だ。警察の力も借りて身分を暴き出した時。
かつて高校時代を共に過ごした友人の一人だと知らされた。それが腹の底から悔しくて憎くて、
相澤先生と共にこの戦いに参加の決意をしたのだ。いまは亡き友人の為にも、三人で過ごしたあの青春は忘れない。
「あの時なァ・・・本当は「抹消」が欲しかったんじゃがのぅ・・・」
なんて表情を見せるのだろう。まるで悪魔の、化け物のカオ。
(俺は今、途轍もなく大きくおぞましいモノの一端に触れている)
死柄木の事を任されているエクスレス。意識不明の状態だった死柄木が、いつの間にか上半身を起こしていた。
「寒い」
殻木を連れて、研究室を出ていたプレゼント・マイクは、背後の気配に振り向く。
「病院が」
緑谷がそう呟いた瞬間。蛇腔総合病院が崩壊した。
「この日の為に、多くの過程を積み重ねてきたのじゃろう。じゃが今・・・!
奇跡―或いは「更に向こうへ」・・・死柄木は起きた!!」
ヒーローの積み重ねなど、寝覚めの一撫でで瓦解する。
その崩壊のヒビは、緑谷たちがいる街まで加速していく。
「皆、逃げて!!」
「エンデヴァー!おい、エンデヴァー!?」
バーニンの通信が届かないのか、エンデヴァーからの返事がない。
「止まらない!衝撃とかの類じゃない!」
「全部塵になっていくわ・・・」
麗日や蛙吹の言葉に、塵を止める為に緑谷がエアフォースで衝撃を与えるも止まらず、
穿天氷壁で轟が氷の壁を作るが、それも塵となり崩壊する。
「皆退けぇ!!病院何してんだ、誰か応答しろ!エンデヴァー!!リューキュウ!!誰か!!状況を伝えろ!」