第六話 仲間
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反吐が出る。
オール・フォー・ワンというヤツは、一体何者なんだろう。オールマイトを倒し(生きてはいるが)、
緑谷を追い込み、いろんな人を不幸にさせてるだけ。何が目的だ、彼の夢とはなんなんだ。
"神野"の一件以来もう会いたくないけれど、この戦いの根本的がヤツなんだとしたら・・・。
こっそり飛ばしていたサクラは、一人の気配を感じとる。
「透ちゃん」
葉隠が自分の服を掴んでくれた事を確認し、先を急ぐ。
この先にいたのは、緑谷だった。
「・・・!!」
三人が合流し、急ぎ足で緑谷に説明する。ここで青山たちを逃したら、何にもならない。
もし本当に青山が内通者だとしたら、また同じことが繰り返されてしまうから。
来た場所に戻ると、今度は隠れるつもりはなく、彼らに勘付かれた。
緑谷がゆっくり、彼らのもとに進む。
「あの・・・なんか・・・葉隠さんと登坂さんから聞いて・・・今・・・内通者が、えっと・・・青山くんが・・・」
「何の話かしら、何かとんでもない聞き間違いでも!?」
「・・・じゃあ、どうしてそんな動揺してるんですか?青山くんが、苦しめられてるんですか・・・?」
怒鳴って言い訳を必死に考えている青山の両親に、歌恋自身も驚くほど怒りで、声が低くなっているのに驚く。
どうして彼らが巻き込まれなくてはならなくなったのか。
怖い思いは、皆散々してきているではないか。
「緑谷くん・・・登坂さん・・・」
「青山くん、僕・・・」
緑谷は、どこまでも優しい声がけで。
「青山くんだけ浮かない顔のままだったから、何かあるのかと思って・・・探しに来たんだ・・・」
緑谷が寮を抜け出し、A組全員で彼を捜した。そのとき、皆それぞれ緑谷に一言声をかけて背中を押した。
だけど、青山だけはあの時、辛い立場にいたときの緑谷に、何も声をかけてあげなかったのに。
逆の立場になっているいま、緑谷は青山に言葉を投げかけている。彼は、どこまで・・・。
白状するなら、今・・・。
「―・・・USJも」
「優雅!!」
「合宿も」
もう、誰を信じていいのか分からない。
「僕が、手引きした。緑谷くん、僕は、クズのヴィランだ」
どうしてこうなってしまうのだろう。気付いたら、"個性"を発動させ、腕を幹にしている歌恋がいる。
「優雅、逃げるんだ!!」
両親に抱えられ、逃げようとする青山。ゾワリと寒気を感じた緑谷は、隣の歌恋を見た。
「登坂さん、ダメだ!」
ここで攻撃したら、恨まれるのは彼女になってしまう。まだ、向こうは手を出してない。
「なんで・・・?緑谷くん・・・」
めの前の彼らのせいで、メチャクチャになったのに。
「登坂さんはオールマイトに連絡して!僕が追いかけるから!」
歌恋はボウッと、緑谷の背中を見た。
「・・・私、本気で青山くんを・・・私・・・」
怒る相手が違う。青山たちが悪いんじゃない。あの、マスクの男、オール・フォー・ワンだ。
ママンもパパンも、僕の"無個性"に酷く狼狽していた。
二人はいわゆる、富裕層の家系で、何不自由なく大切に育てられてきたから。
きっと僕以上に、僕が"皆と違う"事を気に病んでいたと思う。
だからきっと、藁にも縋る思いで、僕の幸せを願って、"噂"を辿ったんだ。
『"個性"を自由に与えてくれるらしい』
貰った"個性"は体質と合わず大変だったけど、ママンとパパンは色々大変な思いをして、僕を育ててくれた。
違うのは、とても怖いから。
同調心理から始まった僕の夢は―・・・。囁やき始める、悪魔の声。
(いつか、ママンとパパンが僕にしてくれたように)オールマイトが教師になると噂がある。雄英に入れなさい。
(人のために)クラスが孤立するタイミングを教えなさい。
(人によろこんでもらい)合宿先を教えなさい。
(皆の為に、自分を)雄英に戻った緑谷出久が、一人きりになるよう誘き出しなさい。
「あの置き手紙で・・・君が僕と同じ"無個性"だったと知った時・・・」
最初は同じ"無個性"同士だったのに、こんなにも"差"がうまれるなんて。
「僕は・・・」
青山の過去を知り、会話の最中に緑谷は危機感知を察知してしまう。青山の本気の殺意、先程の歌恋とは別の。
「やめろ、青山くん!!」
「何もかもに絶望したんだ!!」
それぞれの"個性"が、発動準備させられる。
ネビルレーザーが、ワン・フォー・オールの状態の緑谷に向けられた。だが、緑谷の目の前でレーザーは曲がったのだ。
「「!!」」
「私の体は・・・光を屈折させる性質がある」
それを可能にしたのは、葉隠だった。
「・・・皆死んじゃっても、おかしくなかったんだよ・・・日本中が・・・おかしくなっちゃったんだよ・・・」
光を浴びたからか、映像が映しだされるかのように、葉隠の透明な姿が一瞬見え隠れした。
「何考えて、教室にいたの!?」
姿が薄っすらと見えた、初めてみたクラスメイトの顔は、大粒の涙を流していた。
「寮で!!皆と暮らしていたの!?ねぇ、青山くん!!!」
葉隠の声は、少し遅れてきた歌恋にも聞こえていた。
「違うんだ!!優雅は―!!」
歌恋が現場についた頃には、緑谷が黒鞭で青山一家を捕まえていた。
「青山くん、葉隠さんは・・・君が・・・これ以上人を傷付けないように・・・してくれたんだ・・・!!
もう・・・やめよう・・・!!こんなの・・・もうやめよう・・・!!」
この後、オールマイトや雄英の教師が迎えにきてくれた。オールマイトの信頼できる警察の人も呼んでいるらしい。
青山達の事情聴取が始まる前に、歌恋達A組の三人は、クラスメイトに報告していた。
姿は見えなくても、声でわかる。泣きじゃくり、必死に話してくれる葉隠。その横で、放心状態の歌恋がいる。
二人を励ますような視線を送る緑谷。クラスの空気が、一瞬で重たくなったのが肌で感じた。
轟は視線を合わせるように歌恋を見る。彼女も気にして見ていたのか、二人の視線が合う。
だが、数秒もしないうちに歌恋から視線を反らされてしまった。傷付かないといえば嘘になる。
でも、今までの行動からすれば当たり前なのかもしれない。彼女を遠ざけているのは自分なのだから。
それでも、いますぐ駆け寄って寄り添って、安心させてやりたかった。俺は本当に、何をやっているんだろう。
それと同じくらいに、燈矢の嗤う顔が離れない。
皆と、これからどうするのかと話し合う。話し合って、決めた。今から始まる青山達の話を聞こう。
「・・・なるほど。"個性"を与えてもらい・・・支配されるに至ったと」
事情聴取が行われる視聴覚室に急げば、既に話は始まっていた。
「付与は約10年前か・・・今無事という事は、ナガンの様な裏切ったら爆発する仕掛けは無いようだが・・・」
校長が気を遣わすように、ドアの前に佇むA組に向け言った。
「できれば・・・君たちは下がっていなさい」
下がる?一番の被害者は誰だ。現実を、敵を見極めなければ。
いつも以上に怒りの声を露わにする轟に、上鳴は動揺を隠せない。
「下がってられる」
「道理がねェよ・・・!!」
震える葉隠を支え、青白い顔をした尾白が問いかける。
「・・・葉隠さんが見つけてなかったら・・・何するつもりだったんだ・・・!!」
「青山・・・!!嘘だって言えよ・・・!!」
切島の言葉にも、青山は黙ったままだ。
「・・・てめェも、元"無個性"だとは・・・世の中狭ぇな」
ぼそりと呟く爆豪。それはずっと、幼馴染が"無個性"だった彼だからストレートに言えるのだろう。
歌恋はどうしようもなく、耳郎に寄り添っていた。皆が、轟が怒ってるのが分かるから。
これ以上刺激しては駄目だ。彼が、皆が笑っていたのは、いつまでだったろう。
オール・フォー・ワンというヤツは、一体何者なんだろう。オールマイトを倒し(生きてはいるが)、
緑谷を追い込み、いろんな人を不幸にさせてるだけ。何が目的だ、彼の夢とはなんなんだ。
"神野"の一件以来もう会いたくないけれど、この戦いの根本的がヤツなんだとしたら・・・。
こっそり飛ばしていたサクラは、一人の気配を感じとる。
「透ちゃん」
葉隠が自分の服を掴んでくれた事を確認し、先を急ぐ。
この先にいたのは、緑谷だった。
「・・・!!」
三人が合流し、急ぎ足で緑谷に説明する。ここで青山たちを逃したら、何にもならない。
もし本当に青山が内通者だとしたら、また同じことが繰り返されてしまうから。
来た場所に戻ると、今度は隠れるつもりはなく、彼らに勘付かれた。
緑谷がゆっくり、彼らのもとに進む。
「あの・・・なんか・・・葉隠さんと登坂さんから聞いて・・・今・・・内通者が、えっと・・・青山くんが・・・」
「何の話かしら、何かとんでもない聞き間違いでも!?」
「・・・じゃあ、どうしてそんな動揺してるんですか?青山くんが、苦しめられてるんですか・・・?」
怒鳴って言い訳を必死に考えている青山の両親に、歌恋自身も驚くほど怒りで、声が低くなっているのに驚く。
どうして彼らが巻き込まれなくてはならなくなったのか。
怖い思いは、皆散々してきているではないか。
「緑谷くん・・・登坂さん・・・」
「青山くん、僕・・・」
緑谷は、どこまでも優しい声がけで。
「青山くんだけ浮かない顔のままだったから、何かあるのかと思って・・・探しに来たんだ・・・」
緑谷が寮を抜け出し、A組全員で彼を捜した。そのとき、皆それぞれ緑谷に一言声をかけて背中を押した。
だけど、青山だけはあの時、辛い立場にいたときの緑谷に、何も声をかけてあげなかったのに。
逆の立場になっているいま、緑谷は青山に言葉を投げかけている。彼は、どこまで・・・。
白状するなら、今・・・。
「―・・・USJも」
「優雅!!」
「合宿も」
もう、誰を信じていいのか分からない。
「僕が、手引きした。緑谷くん、僕は、クズのヴィランだ」
どうしてこうなってしまうのだろう。気付いたら、"個性"を発動させ、腕を幹にしている歌恋がいる。
「優雅、逃げるんだ!!」
両親に抱えられ、逃げようとする青山。ゾワリと寒気を感じた緑谷は、隣の歌恋を見た。
「登坂さん、ダメだ!」
ここで攻撃したら、恨まれるのは彼女になってしまう。まだ、向こうは手を出してない。
「なんで・・・?緑谷くん・・・」
めの前の彼らのせいで、メチャクチャになったのに。
「登坂さんはオールマイトに連絡して!僕が追いかけるから!」
歌恋はボウッと、緑谷の背中を見た。
「・・・私、本気で青山くんを・・・私・・・」
怒る相手が違う。青山たちが悪いんじゃない。あの、マスクの男、オール・フォー・ワンだ。
ママンもパパンも、僕の"無個性"に酷く狼狽していた。
二人はいわゆる、富裕層の家系で、何不自由なく大切に育てられてきたから。
きっと僕以上に、僕が"皆と違う"事を気に病んでいたと思う。
だからきっと、藁にも縋る思いで、僕の幸せを願って、"噂"を辿ったんだ。
『"個性"を自由に与えてくれるらしい』
貰った"個性"は体質と合わず大変だったけど、ママンとパパンは色々大変な思いをして、僕を育ててくれた。
違うのは、とても怖いから。
同調心理から始まった僕の夢は―・・・。囁やき始める、悪魔の声。
(いつか、ママンとパパンが僕にしてくれたように)オールマイトが教師になると噂がある。雄英に入れなさい。
(人のために)クラスが孤立するタイミングを教えなさい。
(人によろこんでもらい)合宿先を教えなさい。
(皆の為に、自分を)雄英に戻った緑谷出久が、一人きりになるよう誘き出しなさい。
「あの置き手紙で・・・君が僕と同じ"無個性"だったと知った時・・・」
最初は同じ"無個性"同士だったのに、こんなにも"差"がうまれるなんて。
「僕は・・・」
青山の過去を知り、会話の最中に緑谷は危機感知を察知してしまう。青山の本気の殺意、先程の歌恋とは別の。
「やめろ、青山くん!!」
「何もかもに絶望したんだ!!」
それぞれの"個性"が、発動準備させられる。
ネビルレーザーが、ワン・フォー・オールの状態の緑谷に向けられた。だが、緑谷の目の前でレーザーは曲がったのだ。
「「!!」」
「私の体は・・・光を屈折させる性質がある」
それを可能にしたのは、葉隠だった。
「・・・皆死んじゃっても、おかしくなかったんだよ・・・日本中が・・・おかしくなっちゃったんだよ・・・」
光を浴びたからか、映像が映しだされるかのように、葉隠の透明な姿が一瞬見え隠れした。
「何考えて、教室にいたの!?」
姿が薄っすらと見えた、初めてみたクラスメイトの顔は、大粒の涙を流していた。
「寮で!!皆と暮らしていたの!?ねぇ、青山くん!!!」
葉隠の声は、少し遅れてきた歌恋にも聞こえていた。
「違うんだ!!優雅は―!!」
歌恋が現場についた頃には、緑谷が黒鞭で青山一家を捕まえていた。
「青山くん、葉隠さんは・・・君が・・・これ以上人を傷付けないように・・・してくれたんだ・・・!!
もう・・・やめよう・・・!!こんなの・・・もうやめよう・・・!!」
この後、オールマイトや雄英の教師が迎えにきてくれた。オールマイトの信頼できる警察の人も呼んでいるらしい。
青山達の事情聴取が始まる前に、歌恋達A組の三人は、クラスメイトに報告していた。
姿は見えなくても、声でわかる。泣きじゃくり、必死に話してくれる葉隠。その横で、放心状態の歌恋がいる。
二人を励ますような視線を送る緑谷。クラスの空気が、一瞬で重たくなったのが肌で感じた。
轟は視線を合わせるように歌恋を見る。彼女も気にして見ていたのか、二人の視線が合う。
だが、数秒もしないうちに歌恋から視線を反らされてしまった。傷付かないといえば嘘になる。
でも、今までの行動からすれば当たり前なのかもしれない。彼女を遠ざけているのは自分なのだから。
それでも、いますぐ駆け寄って寄り添って、安心させてやりたかった。俺は本当に、何をやっているんだろう。
それと同じくらいに、燈矢の嗤う顔が離れない。
皆と、これからどうするのかと話し合う。話し合って、決めた。今から始まる青山達の話を聞こう。
「・・・なるほど。"個性"を与えてもらい・・・支配されるに至ったと」
事情聴取が行われる視聴覚室に急げば、既に話は始まっていた。
「付与は約10年前か・・・今無事という事は、ナガンの様な裏切ったら爆発する仕掛けは無いようだが・・・」
校長が気を遣わすように、ドアの前に佇むA組に向け言った。
「できれば・・・君たちは下がっていなさい」
下がる?一番の被害者は誰だ。現実を、敵を見極めなければ。
いつも以上に怒りの声を露わにする轟に、上鳴は動揺を隠せない。
「下がってられる」
「道理がねェよ・・・!!」
震える葉隠を支え、青白い顔をした尾白が問いかける。
「・・・葉隠さんが見つけてなかったら・・・何するつもりだったんだ・・・!!」
「青山・・・!!嘘だって言えよ・・・!!」
切島の言葉にも、青山は黙ったままだ。
「・・・てめェも、元"無個性"だとは・・・世の中狭ぇな」
ぼそりと呟く爆豪。それはずっと、幼馴染が"無個性"だった彼だからストレートに言えるのだろう。
歌恋はどうしようもなく、耳郎に寄り添っていた。皆が、轟が怒ってるのが分かるから。
これ以上刺激しては駄目だ。彼が、皆が笑っていたのは、いつまでだったろう。