第六話 仲間
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オール・フォー・ワンの捜索はいま、エンデヴァーたちがアメリカのトップヒーロー、スターアンドストライプと共にしている。
歌恋は、クラスの女子と一緒に行動していた。SNSで状況を確認したり、警備したり。ふと疑問に思う。
今の唯一の楽しみは、何だろう?何もない。皆が、切羽詰まってる。男子は隙あらば個性の訓練をしている。それは歌恋達も同様だ。
轟とは、あれ以来すっかり冷めきってしまっている。ただ、彼を視線で追うだけ。今日もここにいる。それだけでよくなっていた。
「「・・・・・・・・・・」」
遠くから、視線を合わせる。それだけ。
緑谷を雄英に連れ戻してから二日後、再びオールマイトがA組の寮に訪れ話をしにきていた。
「猶予ォ!?」
爆豪がいつものように、不満そうに声を出す。
「あぁ。本来なら死柄木は、明日にも万全な身体となるハズだった。少なくとも、一週間死柄木は動けない。
スターアンドストライプが遺してくれた、最後の猶予だ。この時間を有効に使う。
死柄木とオール・フォー・ワンを、倒す」
歌恋は小さく、身体を揺らした。"倒す"そのオールマイトの一言に。
とうとうまた戦いが始まってしまう。あれだけ被害が出たのに、また戦わなくてはいけないのか。
分かってはいたけれど、改めて聞かされると恐怖が蘇る。
「スターが遺してくれた・・・!死柄木にダメージが!?」
緑谷の言葉に、オールマイトが頷く。
「アメリカの戦闘機から頂いた分析データだ。奪われた「ニューオーダー」が、毒のように死柄木を蝕んだ。
いくつ持っているかは分からないが、相当数の"個性"が損壊したと見られる」
そのため、今が千載一遇のチャンスということになると。
一般人の避難も進みつつある今、早速残存ヒーロー総出で死柄木を捜索しているという。
「しかし、痛手を負ったオール・フォー・ワンがどう動くか・・・これまで以上に読み辛い。
見つかっても見つからなくても、結局は総力戦になるだろう。ともかく君たちは・・・、
動けないとは言ったが、依然最凶のヴィラン死柄木弔。同じくオール・フォー・ワン本体。
エンデヴァーに匹敵する炎・・・狂気の男、荼毘。翻弄し続ける少女、トガヒミコ。
残る6体のニア・ハイエンド。解放戦線の残党。そして、未だ捕まることなく、オール・フォー・ワンに従い暴れまわるダツゴク」
「・・・恐らく、それだけじゃない・・・」
「あぁ。恐らく、もっと増える」
悩んでる暇もないほど、これからどんどん忙しくなるだろう。
「対してこちら、前線に立つ者はもう半数以下に減ってしまった・・・。スターの殉職を前にして、敢えて言う。
君たち自身と、君たちが守りたいモノを守る為に、この"猶予"を使って少しでも力を底上げしてもらう」
自分たちが守りたいモノ。改めて言われると変にビビってしまうけど、覚悟はしてるけど。
「んなもん、とっくにやっとるわぁ!!」
荒げる爆豪の声に、オールマイトはビクッと揺れ硬直する。
「オールマイトは、デクくんと出てっちゃったから」
「いらしても、すぐ出ていきますし」
麗日と飯田が、優しく切り出す。訓練は皆、続けている。緑谷を連れ戻してから、
いや、彼を一人にしたくなくて、連れ戻す前から皆で決めていたことだ。力をつけるため、強くなるために。
オールマイトを見送り、クラスのほとんどは中庭を使い訓練を始める。
「歌恋ちゃん」
「ん?」
外の空気を吸ってこようとドアノブに手をかけた時、葉隠に声をかけられた。
「外、行くの?」
皆が出た中庭とは違う、校舎の方。オールマイトの話を聞いてから一人になりたくて、最後まで中にいた。
だけどまだ、葉隠もいたようだ。歌恋ははにかんで答える。
「なんか、気まずくて」
A組のクラスにいて、居心地が悪いなんて今まで思ったことなかった。皆の事が嫌いなわけじゃない。
ただ、ずっと変に緊張してしまっている。
「決戦って聞いて怖くて。皆みたいに、戦えるかなって・・・」
大好きな場所、大好きな人達を守りたい。けれど、あの時の戦いのせいで、すっかり心の中は空っぽだ。
なにもかも、同時に色んなモノを失ったままだから。それを取り戻す為に今回もまた・・・。
「それは多分、皆一緒だよ。歌恋ちゃんが変なわけじゃないさ」
「ありがとう」
「そのね・・・気になってる事があるんだけど、一緒にいい?」
すがるように、ドアノブに手を置いてる歌恋の上に、葉隠が不安そうに震える手を乗せた。
「大丈夫?」
「うん」
怖いのは、皆一緒なのかもしれない。
「・・・ずっと、気になってて。緑谷くんが戻っても、青山くんに笑顔がないというか、変だなって・・・」
「青山くん?」
「いままでのきらびやかなキャラがいない感じ」
「ああ・・・」
ちょっとまえの彼の得意としたキラメキビームが出てないなと、言われてみて気付かされた。
彼女は自分のことで頭がいっぱいだった歌恋とは違い、周りをよくみている。
「歌恋ちゃんも残ってたから、こっそりみてた」
エヘヘ、とカワイらしく言う葉隠に、言い返す言葉はない。
「青山くんの後をつけたい。力をかしてくれるかな?」
「なるべくバレないようにしたいよね、桜で探ってみるよ」
大丈夫、きっと何事もなく"個性"の訓練をしている青山を見つけられるハズだ。
彼は、何か照れ隠ししてるだけ・・・いや、あの目立ちたがりだった彼が、雄英の敷地内の外れにある林の中にいるだろうか。
「・・・こんな、薄暗い場所にいるかな・・・」
葉隠を歌恋の後ろで歩かせ、青山の気配を探りながら辺りを注意しながら歩く。
「ネビルレーザー出してくれてれば、もっと簡単に見つかるんだけど」
桜が示す気配に、きっと間違いはないハズだ。だって、これで幾度となく人を探してきたのだから。
そう、轟のことだって、探してきた・・・言い方は怖く聞こえるかもしれないけど。
「あ、しっ」
ドンピシャだ。歌恋が葉隠を止め、進行方向約数百メートル先を指し示す。
「まだ見えないよ?」
「桜にもまだバレてない。ゆっくり行こう、透ちゃんは目立たないけど、私でバレたら最悪だし」
「なんで?」
「青山くん、誰かといる」
「・・・!」
気配が近付くにつれ、細心の注意を払いながらそこにいた人数と会話に聞き見を立てる。
身を低くしている二人。歌恋が小さい声で言った。
「青山くんと、あの二人は・・・?」
青山と一緒にいる女の人が、声を震わせている。
「やるしかないのよ・・・あの人が、再び"指示"を出してきた。大丈夫・・・これまで通り傍受されていても、
民間の日常に取れるよう暗号化してあるわ。ここなら、監視の死角になるんでしょ・・・!?
大丈夫よ、神野まで・・・ちゃんとオール・フォー・ワンの言う通りできたじゃない!
やらなきゃ、私たちが殺されてしまうの!優雅!」
"神野"。その単語を聞き、青山の名前を聞き、歌恋の脳裏は、走馬灯のようにあの日が蘇る。
『君はトガちゃんの推薦』
合宿の時、Mr.コンプレスに言われた。爆豪のことは、死柄木が気に入ったから。
連合の仲間にするために。
青山が、オール・フォー・ワンを通した内通者ということなのか。
嘘だ・・・嘘だ・・・!
突き付けられる現実に震え、葉隠と手を繋ぐ。
「入学間もない頃、うまくあの人の要望に答えたじゃない!!合宿でも、誰にもバレずに居場所を教えられたじゃない!」
「ママン・・・パパン・・・でも・・・僕・・・!」
「私たちだって・・・一度だって、好きでやったことないわ!けれど・・・もう遅いのよ、遅すぎるの・・・!!」
誰かに、伝えなくちゃ。急がなくちゃ。
「私たちは、あなたにただ・・・幸せを掴んで欲しかった。"個性"を持たず生まれたあなたが、"皆"から外れないように・・・!!
皆といっしょに、夢を追えるように・・・!!こうなることがわかっていたなら・・・しなかった・・・!!
オール・フォー・ワンに"個性"を貰うなんて・・・!!」
歌恋は、クラスの女子と一緒に行動していた。SNSで状況を確認したり、警備したり。ふと疑問に思う。
今の唯一の楽しみは、何だろう?何もない。皆が、切羽詰まってる。男子は隙あらば個性の訓練をしている。それは歌恋達も同様だ。
轟とは、あれ以来すっかり冷めきってしまっている。ただ、彼を視線で追うだけ。今日もここにいる。それだけでよくなっていた。
「「・・・・・・・・・・」」
遠くから、視線を合わせる。それだけ。
緑谷を雄英に連れ戻してから二日後、再びオールマイトがA組の寮に訪れ話をしにきていた。
「猶予ォ!?」
爆豪がいつものように、不満そうに声を出す。
「あぁ。本来なら死柄木は、明日にも万全な身体となるハズだった。少なくとも、一週間死柄木は動けない。
スターアンドストライプが遺してくれた、最後の猶予だ。この時間を有効に使う。
死柄木とオール・フォー・ワンを、倒す」
歌恋は小さく、身体を揺らした。"倒す"そのオールマイトの一言に。
とうとうまた戦いが始まってしまう。あれだけ被害が出たのに、また戦わなくてはいけないのか。
分かってはいたけれど、改めて聞かされると恐怖が蘇る。
「スターが遺してくれた・・・!死柄木にダメージが!?」
緑谷の言葉に、オールマイトが頷く。
「アメリカの戦闘機から頂いた分析データだ。奪われた「ニューオーダー」が、毒のように死柄木を蝕んだ。
いくつ持っているかは分からないが、相当数の"個性"が損壊したと見られる」
そのため、今が千載一遇のチャンスということになると。
一般人の避難も進みつつある今、早速残存ヒーロー総出で死柄木を捜索しているという。
「しかし、痛手を負ったオール・フォー・ワンがどう動くか・・・これまで以上に読み辛い。
見つかっても見つからなくても、結局は総力戦になるだろう。ともかく君たちは・・・、
動けないとは言ったが、依然最凶のヴィラン死柄木弔。同じくオール・フォー・ワン本体。
エンデヴァーに匹敵する炎・・・狂気の男、荼毘。翻弄し続ける少女、トガヒミコ。
残る6体のニア・ハイエンド。解放戦線の残党。そして、未だ捕まることなく、オール・フォー・ワンに従い暴れまわるダツゴク」
「・・・恐らく、それだけじゃない・・・」
「あぁ。恐らく、もっと増える」
悩んでる暇もないほど、これからどんどん忙しくなるだろう。
「対してこちら、前線に立つ者はもう半数以下に減ってしまった・・・。スターの殉職を前にして、敢えて言う。
君たち自身と、君たちが守りたいモノを守る為に、この"猶予"を使って少しでも力を底上げしてもらう」
自分たちが守りたいモノ。改めて言われると変にビビってしまうけど、覚悟はしてるけど。
「んなもん、とっくにやっとるわぁ!!」
荒げる爆豪の声に、オールマイトはビクッと揺れ硬直する。
「オールマイトは、デクくんと出てっちゃったから」
「いらしても、すぐ出ていきますし」
麗日と飯田が、優しく切り出す。訓練は皆、続けている。緑谷を連れ戻してから、
いや、彼を一人にしたくなくて、連れ戻す前から皆で決めていたことだ。力をつけるため、強くなるために。
オールマイトを見送り、クラスのほとんどは中庭を使い訓練を始める。
「歌恋ちゃん」
「ん?」
外の空気を吸ってこようとドアノブに手をかけた時、葉隠に声をかけられた。
「外、行くの?」
皆が出た中庭とは違う、校舎の方。オールマイトの話を聞いてから一人になりたくて、最後まで中にいた。
だけどまだ、葉隠もいたようだ。歌恋ははにかんで答える。
「なんか、気まずくて」
A組のクラスにいて、居心地が悪いなんて今まで思ったことなかった。皆の事が嫌いなわけじゃない。
ただ、ずっと変に緊張してしまっている。
「決戦って聞いて怖くて。皆みたいに、戦えるかなって・・・」
大好きな場所、大好きな人達を守りたい。けれど、あの時の戦いのせいで、すっかり心の中は空っぽだ。
なにもかも、同時に色んなモノを失ったままだから。それを取り戻す為に今回もまた・・・。
「それは多分、皆一緒だよ。歌恋ちゃんが変なわけじゃないさ」
「ありがとう」
「そのね・・・気になってる事があるんだけど、一緒にいい?」
すがるように、ドアノブに手を置いてる歌恋の上に、葉隠が不安そうに震える手を乗せた。
「大丈夫?」
「うん」
怖いのは、皆一緒なのかもしれない。
「・・・ずっと、気になってて。緑谷くんが戻っても、青山くんに笑顔がないというか、変だなって・・・」
「青山くん?」
「いままでのきらびやかなキャラがいない感じ」
「ああ・・・」
ちょっとまえの彼の得意としたキラメキビームが出てないなと、言われてみて気付かされた。
彼女は自分のことで頭がいっぱいだった歌恋とは違い、周りをよくみている。
「歌恋ちゃんも残ってたから、こっそりみてた」
エヘヘ、とカワイらしく言う葉隠に、言い返す言葉はない。
「青山くんの後をつけたい。力をかしてくれるかな?」
「なるべくバレないようにしたいよね、桜で探ってみるよ」
大丈夫、きっと何事もなく"個性"の訓練をしている青山を見つけられるハズだ。
彼は、何か照れ隠ししてるだけ・・・いや、あの目立ちたがりだった彼が、雄英の敷地内の外れにある林の中にいるだろうか。
「・・・こんな、薄暗い場所にいるかな・・・」
葉隠を歌恋の後ろで歩かせ、青山の気配を探りながら辺りを注意しながら歩く。
「ネビルレーザー出してくれてれば、もっと簡単に見つかるんだけど」
桜が示す気配に、きっと間違いはないハズだ。だって、これで幾度となく人を探してきたのだから。
そう、轟のことだって、探してきた・・・言い方は怖く聞こえるかもしれないけど。
「あ、しっ」
ドンピシャだ。歌恋が葉隠を止め、進行方向約数百メートル先を指し示す。
「まだ見えないよ?」
「桜にもまだバレてない。ゆっくり行こう、透ちゃんは目立たないけど、私でバレたら最悪だし」
「なんで?」
「青山くん、誰かといる」
「・・・!」
気配が近付くにつれ、細心の注意を払いながらそこにいた人数と会話に聞き見を立てる。
身を低くしている二人。歌恋が小さい声で言った。
「青山くんと、あの二人は・・・?」
青山と一緒にいる女の人が、声を震わせている。
「やるしかないのよ・・・あの人が、再び"指示"を出してきた。大丈夫・・・これまで通り傍受されていても、
民間の日常に取れるよう暗号化してあるわ。ここなら、監視の死角になるんでしょ・・・!?
大丈夫よ、神野まで・・・ちゃんとオール・フォー・ワンの言う通りできたじゃない!
やらなきゃ、私たちが殺されてしまうの!優雅!」
"神野"。その単語を聞き、青山の名前を聞き、歌恋の脳裏は、走馬灯のようにあの日が蘇る。
『君はトガちゃんの推薦』
合宿の時、Mr.コンプレスに言われた。爆豪のことは、死柄木が気に入ったから。
連合の仲間にするために。
青山が、オール・フォー・ワンを通した内通者ということなのか。
嘘だ・・・嘘だ・・・!
突き付けられる現実に震え、葉隠と手を繋ぐ。
「入学間もない頃、うまくあの人の要望に答えたじゃない!!合宿でも、誰にもバレずに居場所を教えられたじゃない!」
「ママン・・・パパン・・・でも・・・僕・・・!」
「私たちだって・・・一度だって、好きでやったことないわ!けれど・・・もう遅いのよ、遅すぎるの・・・!!」
誰かに、伝えなくちゃ。急がなくちゃ。
「私たちは、あなたにただ・・・幸せを掴んで欲しかった。"個性"を持たず生まれたあなたが、"皆"から外れないように・・・!!
皆といっしょに、夢を追えるように・・・!!こうなることがわかっていたなら・・・しなかった・・・!!
オール・フォー・ワンに"個性"を貰うなんて・・・!!」