第五話 A組
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雄英バリアの前で待っている轟、エンデヴァー、ホークスのもとにエクトプラズム先生が呼びに来た。
「キイテイタカイ?ウラビティノ演説。入ッテ・・・見タ方ガイイ。大丈夫ダ、少ナクトモ今ハ」
小走りで先頭を行く轟の後についていくエンデヴァーとホークス。その中で見た光景に、目を見開く。
あんなにいがみ合っていたヒーローと一般人。いまは、皆が手を取り合っていた。
「・・・結局俺たちは、デクに辛い想いをさせただけだった。何も進展のない・・・遠回りをさせただけだ」
「進展なら、ありますよ。ここにあったんだ、ワン・フォー・オールは、人々の心が紡いできた力の結晶。
オールマイトが緑谷くんに繋いだ。緑谷くんを、A組が繋いだ。ウラビティが、人々と緑谷くんを繋いだ。
そして人々が、もしも全員が少しだけ"みんな"の事を思えたなら、きっとそこはヒーローが暇を持て余す、
笑っちまうくらい明るい未来です」
想いは、言葉と共に共鳴する。いつかきっと、轟家だって諦めなければわかりあえる日が来るハズだ。
「親父、一緒に、だ」
荼毘を、燈矢を止める。これ以上関係ない人間を巻き込む前に、大事な人をメチャクチャにされる前に。
エンデヴァーは、目深く帽子を被り直し表情を見せてはくれなかった。ただ一言、小さく。
「あぁ・・・」
そう、頷いた。
夜、A組は緑谷を連れて尞に戻った。ハイテンションな男子が、素早く緑谷を風呂に連れていく。
「はやっ」
「もっとゆっくりすればいいのに」
そんな彼らのノリに、歌恋と耳郞はやれやれと肩をすくめる。
あれからずっと降っていた雨もやんだ。これから先、どうなるか分からないけれど。
「雨で体が冷えてますわ、風邪をひかないようにしましょ」
「あったまろー、あったまろー」
「私そんまま寝ちゃいそうや」
「ダメよお茶子ちゃん、一緒に行きましょ」
「大活躍だったもんね」
ニシシと芦戸がからかいながら、麗日と話している。
久しぶりに皆で一緒にワイワイお風呂に入れた。こんな楽しい時間を、忘れていた気がする。
ヒーローって、なんだろうと、ふと、頭の片隅を過っていくが、歌恋は一人首を横に振っていまは忘れる。
先に共有スペースに向かわせてもらう。麗日は疲れてしまったらしく、部屋に行ってしまった。
男子はほとんど既にあがっていて、緑谷を中心に話が盛り上がっているようだった。
緑谷が、轟にオールマイトに酷い事をしたままで謝れていないことが心残りでいると、
歌恋が遠巻きに聴いている時だった。
「きゃぁー!!!」
「「「!!!」」」
歌恋の悲鳴が上がる。真っ暗な窓の向こうに、骸骨のように佇むその姿がうつっていた。
「オールマイト・・・!」
驚いた緑谷が駆け付け、窓の鍵を開け、未だ心臓がバクバクしたままの歌恋の肩に、轟が横に立ち手を乗せた。
「大丈夫か・・・?」
「び、び、ビックリした・・・」
危うく腰を抜かすところだ。
「「あ・・・」」
驚きで、今までの態度を気にする暇もなかったけど、真っ正面からの直視で、素直に照れてしまった。
「登坂くん!驚かしてしまってすまない!」
「本当ですよ!」
中に入ったオールマイトが、早速謝ってくれる。そして彼は、緑谷にも頭を下げた。
「こちらこそ、力になれずすまなかった緑谷少年!!」
「そんな・・・!オールマイトは十分力になってくれてます」
「謝るなら、私たちにも謝ってヨネオールマイト!黙ってどっか行っちゃわないでよー!」
芦戸が怒るのも、無理はない。皆が、そう思っているのだから。誰一人、欠けちゃいけないのだから。
「決戦の日は、恐らくもうすぐそこだ」
「「!?」」
真面目な話に、一気に緊張が高まる。
「心労をかけてすまなかった・・・。詳しい話は避けるが、情報を得ている。近い内に答えがわかる。
総力を以てあたる。私も・・・この身でできる事など限られているが、それでも」
「オールマイト!」
言葉を濁すオールマイトに、緑谷はハッキリ伝えた。
「トンカツ弁当、とても力になりました・・・!僕はきっと、オールマイトから離れてしまったからあんな風に・・・。
だから、一緒に・・・!!」
「守りましょう!!」
胸を張って、飯田が言った。オールマイトは、ニコリと笑ってくれて。
「ありがとう」
そう、答えてくれた。
「それでは・・・行かなくては!」
「もう!?どこに!?」
「エンデヴァーたちのところへ。私にはまだ、やる事がある!」
帰る時は玄関からで、常闇がオールマイトに言った。
「メールくらいくれと言伝を」
確かに、ホークスは一度だって返事をくれなかった。やっぱり、何もおもわれてないのか、それとも・・・。
「ああ」
オールマイトを見送り、芦戸がドアを閉めながら軽口で。
「おこじゃん、オコヤミ君じゃん」
(オコヤミ君・・・なんか可愛・・・)
「心配だったんだよ」
変な事を考えないよう、歌恋は頭を横に振る。
「そ、そういえばエンデヴァー達は雄英入らないのかな?」
彼らにだって、休むことは必要だ。
「いたずらに人前に出れねぇよ、荼毘がチラつくからな」
歌恋は「あっ」と、罰が悪そうな顔をした。簡単に出してしまったその名前。
「今回の件で、避難してる人たち全員が全員、一様に見方が変わったワケでもねェだろうし」
「・・・・・・・・」
なんて声を掛ければいいのだろう。わかってる、それもあるから、轟は歌恋と接するのを控えているのも。
「あら」
八百万が、ソファでうたた寝する緑谷を見つけた。
「ようやく少しは、気が休まったみたいですね」
オールマイトと話せて、心配事が少しなくなったのだろう。落ち着いた、優しい寝顔。
轟は準備していたのか、手に持っていた毛布を緑谷にかけてあげている。
「よかった・・・」
麗日の頑張りも、無駄ではなくて。やっと、緑谷が帰ってきた。皆が揃った。
「・・・・・・・」
久しぶりにみる、皆の安心した表情。歌恋の、微笑んだ顔。それだけなのに、やっぱり胸が苦しい。
どうすれば君を安心させてあげられるだろう、傍で支えてあげられるだろう。
「荼毘の兄弟、エンデヴァーの息子」
A組の皆に、隠していたわけじゃない。最悪な形で知られてしまった、己の過去。
「内心ではきっと、俺の存在も未だ不安だろう」
切島が、呟くように言う。
「家庭事情で――悔しいよなぁ、轟が何かしたわけじゃねぇのになぁ」
「したよ――。血に囚われて、原点を見失った。でも、今は違うから」
暗かった彼の表情が、明るくなる。
「違うって事を証明する。皆に安心してもらえるように(それが出来れば・・・)」
歌恋に、視線を向けて微笑んだ。
「焦凍・・・」
「う~ん、じれったいなぁ・・・!」
芦戸ががしがし、歌恋の髪の毛を強引にかく。
「三奈ちゃん!」
そして切島は、目に涙を浮かべながら、轟の肩に手を乗せていた。
「・・・漢だよ、おめぇは・・・!俺、何だか涙が出てくるよ・・・!」
「避難してる人たち全員が全員、見方が変わったワケでもない・・・か」
耳郞がボソリと呟く。
「あれだね、なんかあれ、同列に言っちゃうのもおかしな話だけどさ」
すると彼女はイヤホンを伸ばし、上鳴を。
「何?やだ、やめて」
そして、八百万と常闇も引き寄せる。
「きゃっ」
「ム」
「耳郞」
「ウチら、不安視してた人たちがいてさ。皆に安心してほしくて、笑ってほしくてさ。やれる事考えてさ」
つっけんどんな爆豪も、隣に。これは、文化祭の時のバンドメンバーだ。
「文化祭みたいに、最大限の力でやれることやろう。ウチら、出来たじゃんね!」
「・・・そうだな」
「取り戻すだけじゃなくて、前よりもっと良くなるように、皆で行こうよ」
更に向こうへ。
「キイテイタカイ?ウラビティノ演説。入ッテ・・・見タ方ガイイ。大丈夫ダ、少ナクトモ今ハ」
小走りで先頭を行く轟の後についていくエンデヴァーとホークス。その中で見た光景に、目を見開く。
あんなにいがみ合っていたヒーローと一般人。いまは、皆が手を取り合っていた。
「・・・結局俺たちは、デクに辛い想いをさせただけだった。何も進展のない・・・遠回りをさせただけだ」
「進展なら、ありますよ。ここにあったんだ、ワン・フォー・オールは、人々の心が紡いできた力の結晶。
オールマイトが緑谷くんに繋いだ。緑谷くんを、A組が繋いだ。ウラビティが、人々と緑谷くんを繋いだ。
そして人々が、もしも全員が少しだけ"みんな"の事を思えたなら、きっとそこはヒーローが暇を持て余す、
笑っちまうくらい明るい未来です」
想いは、言葉と共に共鳴する。いつかきっと、轟家だって諦めなければわかりあえる日が来るハズだ。
「親父、一緒に、だ」
荼毘を、燈矢を止める。これ以上関係ない人間を巻き込む前に、大事な人をメチャクチャにされる前に。
エンデヴァーは、目深く帽子を被り直し表情を見せてはくれなかった。ただ一言、小さく。
「あぁ・・・」
そう、頷いた。
夜、A組は緑谷を連れて尞に戻った。ハイテンションな男子が、素早く緑谷を風呂に連れていく。
「はやっ」
「もっとゆっくりすればいいのに」
そんな彼らのノリに、歌恋と耳郞はやれやれと肩をすくめる。
あれからずっと降っていた雨もやんだ。これから先、どうなるか分からないけれど。
「雨で体が冷えてますわ、風邪をひかないようにしましょ」
「あったまろー、あったまろー」
「私そんまま寝ちゃいそうや」
「ダメよお茶子ちゃん、一緒に行きましょ」
「大活躍だったもんね」
ニシシと芦戸がからかいながら、麗日と話している。
久しぶりに皆で一緒にワイワイお風呂に入れた。こんな楽しい時間を、忘れていた気がする。
ヒーローって、なんだろうと、ふと、頭の片隅を過っていくが、歌恋は一人首を横に振っていまは忘れる。
先に共有スペースに向かわせてもらう。麗日は疲れてしまったらしく、部屋に行ってしまった。
男子はほとんど既にあがっていて、緑谷を中心に話が盛り上がっているようだった。
緑谷が、轟にオールマイトに酷い事をしたままで謝れていないことが心残りでいると、
歌恋が遠巻きに聴いている時だった。
「きゃぁー!!!」
「「「!!!」」」
歌恋の悲鳴が上がる。真っ暗な窓の向こうに、骸骨のように佇むその姿がうつっていた。
「オールマイト・・・!」
驚いた緑谷が駆け付け、窓の鍵を開け、未だ心臓がバクバクしたままの歌恋の肩に、轟が横に立ち手を乗せた。
「大丈夫か・・・?」
「び、び、ビックリした・・・」
危うく腰を抜かすところだ。
「「あ・・・」」
驚きで、今までの態度を気にする暇もなかったけど、真っ正面からの直視で、素直に照れてしまった。
「登坂くん!驚かしてしまってすまない!」
「本当ですよ!」
中に入ったオールマイトが、早速謝ってくれる。そして彼は、緑谷にも頭を下げた。
「こちらこそ、力になれずすまなかった緑谷少年!!」
「そんな・・・!オールマイトは十分力になってくれてます」
「謝るなら、私たちにも謝ってヨネオールマイト!黙ってどっか行っちゃわないでよー!」
芦戸が怒るのも、無理はない。皆が、そう思っているのだから。誰一人、欠けちゃいけないのだから。
「決戦の日は、恐らくもうすぐそこだ」
「「!?」」
真面目な話に、一気に緊張が高まる。
「心労をかけてすまなかった・・・。詳しい話は避けるが、情報を得ている。近い内に答えがわかる。
総力を以てあたる。私も・・・この身でできる事など限られているが、それでも」
「オールマイト!」
言葉を濁すオールマイトに、緑谷はハッキリ伝えた。
「トンカツ弁当、とても力になりました・・・!僕はきっと、オールマイトから離れてしまったからあんな風に・・・。
だから、一緒に・・・!!」
「守りましょう!!」
胸を張って、飯田が言った。オールマイトは、ニコリと笑ってくれて。
「ありがとう」
そう、答えてくれた。
「それでは・・・行かなくては!」
「もう!?どこに!?」
「エンデヴァーたちのところへ。私にはまだ、やる事がある!」
帰る時は玄関からで、常闇がオールマイトに言った。
「メールくらいくれと言伝を」
確かに、ホークスは一度だって返事をくれなかった。やっぱり、何もおもわれてないのか、それとも・・・。
「ああ」
オールマイトを見送り、芦戸がドアを閉めながら軽口で。
「おこじゃん、オコヤミ君じゃん」
(オコヤミ君・・・なんか可愛・・・)
「心配だったんだよ」
変な事を考えないよう、歌恋は頭を横に振る。
「そ、そういえばエンデヴァー達は雄英入らないのかな?」
彼らにだって、休むことは必要だ。
「いたずらに人前に出れねぇよ、荼毘がチラつくからな」
歌恋は「あっ」と、罰が悪そうな顔をした。簡単に出してしまったその名前。
「今回の件で、避難してる人たち全員が全員、一様に見方が変わったワケでもねェだろうし」
「・・・・・・・・」
なんて声を掛ければいいのだろう。わかってる、それもあるから、轟は歌恋と接するのを控えているのも。
「あら」
八百万が、ソファでうたた寝する緑谷を見つけた。
「ようやく少しは、気が休まったみたいですね」
オールマイトと話せて、心配事が少しなくなったのだろう。落ち着いた、優しい寝顔。
轟は準備していたのか、手に持っていた毛布を緑谷にかけてあげている。
「よかった・・・」
麗日の頑張りも、無駄ではなくて。やっと、緑谷が帰ってきた。皆が揃った。
「・・・・・・・」
久しぶりにみる、皆の安心した表情。歌恋の、微笑んだ顔。それだけなのに、やっぱり胸が苦しい。
どうすれば君を安心させてあげられるだろう、傍で支えてあげられるだろう。
「荼毘の兄弟、エンデヴァーの息子」
A組の皆に、隠していたわけじゃない。最悪な形で知られてしまった、己の過去。
「内心ではきっと、俺の存在も未だ不安だろう」
切島が、呟くように言う。
「家庭事情で――悔しいよなぁ、轟が何かしたわけじゃねぇのになぁ」
「したよ――。血に囚われて、原点を見失った。でも、今は違うから」
暗かった彼の表情が、明るくなる。
「違うって事を証明する。皆に安心してもらえるように(それが出来れば・・・)」
歌恋に、視線を向けて微笑んだ。
「焦凍・・・」
「う~ん、じれったいなぁ・・・!」
芦戸ががしがし、歌恋の髪の毛を強引にかく。
「三奈ちゃん!」
そして切島は、目に涙を浮かべながら、轟の肩に手を乗せていた。
「・・・漢だよ、おめぇは・・・!俺、何だか涙が出てくるよ・・・!」
「避難してる人たち全員が全員、見方が変わったワケでもない・・・か」
耳郞がボソリと呟く。
「あれだね、なんかあれ、同列に言っちゃうのもおかしな話だけどさ」
すると彼女はイヤホンを伸ばし、上鳴を。
「何?やだ、やめて」
そして、八百万と常闇も引き寄せる。
「きゃっ」
「ム」
「耳郞」
「ウチら、不安視してた人たちがいてさ。皆に安心してほしくて、笑ってほしくてさ。やれる事考えてさ」
つっけんどんな爆豪も、隣に。これは、文化祭の時のバンドメンバーだ。
「文化祭みたいに、最大限の力でやれることやろう。ウチら、出来たじゃんね!」
「・・・そうだな」
「取り戻すだけじゃなくて、前よりもっと良くなるように、皆で行こうよ」
更に向こうへ。