第五話 A組
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場所は少し離れ、切島、青山、葉隠は捉えていたディクテイターをエンデヴァー達に受け渡していた。
「単独とも限らん。今散開した脱ヒーロー派の民間人、彼らの安否も確認せねばならない」
「それならいま、登坂の桜が探知してるハズじゃ・・・」
切島が答えてると、エンデヴァーにホークスから通信が入った。
[少ない羽根でも桜の確認できたんで、大丈夫かと。俺のと合わせてんで。ジーニストさんにも手伝ってもらいますか?]
「あんな動きされちゃ、俺ぁ出る幕ねぇかもしんねぇけどよ・・・ああ、でもチキショウ!
俺も、言いたい事は山ほどあるんだ!」
「私も!!」
「ウィ☆」
彼らの心境を鑑みて、ホークスに伝えた。
[ホークス、今は・・・何者にも邪魔をさせないように・・・]
桜を飛ばしたままだった歌恋は、ハッとする。緑谷のことで疎かになってた部分を、
ホークスが少ない羽根でアシストしてくれているのに気づいた。
(気付くのが遅れたけど、ホークス達もいるんだ・・・!)
歌恋の目の前に、桜とホークスの羽根が飛んでくる。
[[大丈夫・・・!!]]
市民に向けていた歌恋の集中は、これから緑谷だけに集中できる。
「緑谷!」
轟が呼ぶ声に、ハッと我に返り目を向ける。
「今の状態がオール・フォー・ワンの狙いかもしれねェだろ、その隙に雄英を狙ってくるかもしれねェ!!」
巨大な氷の柱の中に緑谷を閉じ込める。顔だけ柱から出ている緑谷は、
力で氷を砕き、轟は再生を繰り返していた。でも、圧倒的に今の緑谷の方が強い。
「そんなナリになるまで駆け回って見つかんねェなら、次善策も頭に入れろ!!
大切な雄英を守りてぇってんなら!離れず側にいるって選択肢もあるだろ!!俺たちも一緒に戦わせろ!!」
「・・・できないよ。これは、ワン・フォー・オールとオール・フォー・ワンの戦いだから、皆は・・・ついてこれない」
氷の柱は破壊され、緑谷は脱出してしまう。蛙吹が長い舌を伸ばし、緑谷は避けるも、舌の先には峰田がいた。
峰田の"個性"であるモギモギが、緑谷の体に張り付く。
「おまえのパワーがカッケェなんて、オイラ思った事ねぇや。オイラが惚れたおまえは冷や汗ダラダラで!
ブルブル震えて!一緒に道を切り拓いた、あんときのおまえだ!」
張りついていたモギモギを、黒鞭をおもいっきり放ち切りはなつ。
「ごめん・・・峰田くん・・・!僕はもう――」
「行かせてたまるか!デクくん!!」
「!」
「あん時とはちゃう・・・私わっ!」
黒鞭で使った勢いで、緑谷は麗日を追い抜いて行ってしまう。それでも・・・。
「皆ぁ!!」
轟の氷でジェットコースターのような滑走路を作り、一番前にいる飯田を、芦戸の保護被膜用溶解を纏わせた。
轟の膨冷熱波でスピードを出し、空中途中にいる麗日が飯田たちを軽くさせる。
今の君に、言いたい事なら山程あって。でも君に、言葉は届かないから。
(デクくん、私たちは守られたいわけでも、君を否定したいわけでもなくて)
ただ、君の隣に。A組総出で、緑谷のスピードについていく。そのスピードに耐え得る身体にいる飯田が、
初めて逃げる緑谷の右手を左手で握り掴んだ。
同じ意志で、同じ歩調で。皆と一緒に。
(ふりほどかなきゃいけないのに、力が入らない)
掴まれた手を見て、溢れ出す感情を抑えられなくて、堪えていた涙が溢れ出す。
飯田に寄りかかり抱きとめられたまま、麗日は軽くしていた飯田の身体を解除した。
元の体重に戻り、流れるまま二人は落下していく。
「うまく、着地できるか」
でなければ二人ともただではすまなくなる。顔を下になんとか向けると、切島がいる。
「切島く――」
気付くやいなや、落ちた場所に切島が身構え、受け止めてくれているが、スピードがしばらく落ちない。
「倒れねぇえ!!!緑谷!!俺、昔な!!とある話にうちのめされた!
同い年の奴が、ダチ助ける為に駆け出したって!あれ、おまえなんだろ・・・!?
特別だとか、力だとか関係ねぇ。あん時のおまえが、今の俺たちの答えだと思うぜ・・・!」
ぐったりとした緑谷の身体を、切島が支える。彼に、言葉は届いているのだろうか。
「よくあんなところにいたな、切島くん」
「エンデヴァーの指示でな!偶々!」
三人がいる場所に、皆が集まる。息を切らしながら、芦戸が言った。
「緑谷・・・!もう、誰かがいなくなんの嫌だよ。一緒にいよう!?また皆で、授業受けよう」
「・・・・・・・」
答えるように、緑谷は立ち上がる。フラフラな身体を、必死に耐えて。
「おい!」
「緑谷くん!」
「・・・そう・・・したいよ・・・。けど、怖いんだ・・・!雄英には・・・!沢山の人がいて・・・!
他人に、迷惑かけたくないんだ・・・!もう、今まで通りじゃ、いられないんだ・・・」
彼の気持ちもわかる。でも、だからこそ一人で背負いこまないで欲しい。
"私たちがいる"一人じゃないよって。
「死柄木にぶっ刺された時、言った事覚えてっか?」
爆豪が皆の前に出て、静かに緑谷に問いかける。
「・・・覚えてない」
「「一人で勝とうとしてんじゃねェ」だ。続きがあるんだよ・・・身体が勝手に動いて、ぶっ刺されて・・・!
言わなきゃって思ったんだ。てめェをずっと見下してた・・・"無個性"だったから。
俺より遥か後ろにいるハズなのに、俺より遥か先にいるような気がして。嫌だった、見たくなかった。
認めたくなかった。だから遠ざけたくて虐めてた」
緑谷に対する、爆豪が初めて口にする本音。
「否定することで、優位に立とうとしてたんだ。俺はずっと、敗けてた。
雄英入って、思い通りに行くことなんて一つもなかった。自分の弱さを、理解してく日々だった。
言ってどうにかなるもんじゃねェけど、本音だ、出久。「今までごめん」」
爆豪が初めて名前を呼んだ。初めて頭を下げた。
「ワン・フォー・オールを継いだおまえの歩みは、理想そのもので、何も間違ってねぇよ。
けど今、おまえはフラフラだ。理想だけじゃ越えられねぇ壁がある。おまえが拭えねぇもんは、俺たちが拭う。
理想を越える為に、おまえも雄英の避難民も街の人も、もれなく救けて勝つんだ」
「(皆とっくに、僕なんかよりずっと先に)ついてこれない・・・なんて、「ついてこれない」なんて酷い事言って・・・ごめん・・・」
倒れる寸前、爆豪が寄り添う。
「わーってる」
きっと、幼なじみの二人が初めて和解できた日だろう。
緑谷との鬼ごっこは、無事に終わった。だけど、ここからが本題だろう。
「単独とも限らん。今散開した脱ヒーロー派の民間人、彼らの安否も確認せねばならない」
「それならいま、登坂の桜が探知してるハズじゃ・・・」
切島が答えてると、エンデヴァーにホークスから通信が入った。
[少ない羽根でも桜の確認できたんで、大丈夫かと。俺のと合わせてんで。ジーニストさんにも手伝ってもらいますか?]
「あんな動きされちゃ、俺ぁ出る幕ねぇかもしんねぇけどよ・・・ああ、でもチキショウ!
俺も、言いたい事は山ほどあるんだ!」
「私も!!」
「ウィ☆」
彼らの心境を鑑みて、ホークスに伝えた。
[ホークス、今は・・・何者にも邪魔をさせないように・・・]
桜を飛ばしたままだった歌恋は、ハッとする。緑谷のことで疎かになってた部分を、
ホークスが少ない羽根でアシストしてくれているのに気づいた。
(気付くのが遅れたけど、ホークス達もいるんだ・・・!)
歌恋の目の前に、桜とホークスの羽根が飛んでくる。
[[大丈夫・・・!!]]
市民に向けていた歌恋の集中は、これから緑谷だけに集中できる。
「緑谷!」
轟が呼ぶ声に、ハッと我に返り目を向ける。
「今の状態がオール・フォー・ワンの狙いかもしれねェだろ、その隙に雄英を狙ってくるかもしれねェ!!」
巨大な氷の柱の中に緑谷を閉じ込める。顔だけ柱から出ている緑谷は、
力で氷を砕き、轟は再生を繰り返していた。でも、圧倒的に今の緑谷の方が強い。
「そんなナリになるまで駆け回って見つかんねェなら、次善策も頭に入れろ!!
大切な雄英を守りてぇってんなら!離れず側にいるって選択肢もあるだろ!!俺たちも一緒に戦わせろ!!」
「・・・できないよ。これは、ワン・フォー・オールとオール・フォー・ワンの戦いだから、皆は・・・ついてこれない」
氷の柱は破壊され、緑谷は脱出してしまう。蛙吹が長い舌を伸ばし、緑谷は避けるも、舌の先には峰田がいた。
峰田の"個性"であるモギモギが、緑谷の体に張り付く。
「おまえのパワーがカッケェなんて、オイラ思った事ねぇや。オイラが惚れたおまえは冷や汗ダラダラで!
ブルブル震えて!一緒に道を切り拓いた、あんときのおまえだ!」
張りついていたモギモギを、黒鞭をおもいっきり放ち切りはなつ。
「ごめん・・・峰田くん・・・!僕はもう――」
「行かせてたまるか!デクくん!!」
「!」
「あん時とはちゃう・・・私わっ!」
黒鞭で使った勢いで、緑谷は麗日を追い抜いて行ってしまう。それでも・・・。
「皆ぁ!!」
轟の氷でジェットコースターのような滑走路を作り、一番前にいる飯田を、芦戸の保護被膜用溶解を纏わせた。
轟の膨冷熱波でスピードを出し、空中途中にいる麗日が飯田たちを軽くさせる。
今の君に、言いたい事なら山程あって。でも君に、言葉は届かないから。
(デクくん、私たちは守られたいわけでも、君を否定したいわけでもなくて)
ただ、君の隣に。A組総出で、緑谷のスピードについていく。そのスピードに耐え得る身体にいる飯田が、
初めて逃げる緑谷の右手を左手で握り掴んだ。
同じ意志で、同じ歩調で。皆と一緒に。
(ふりほどかなきゃいけないのに、力が入らない)
掴まれた手を見て、溢れ出す感情を抑えられなくて、堪えていた涙が溢れ出す。
飯田に寄りかかり抱きとめられたまま、麗日は軽くしていた飯田の身体を解除した。
元の体重に戻り、流れるまま二人は落下していく。
「うまく、着地できるか」
でなければ二人ともただではすまなくなる。顔を下になんとか向けると、切島がいる。
「切島く――」
気付くやいなや、落ちた場所に切島が身構え、受け止めてくれているが、スピードがしばらく落ちない。
「倒れねぇえ!!!緑谷!!俺、昔な!!とある話にうちのめされた!
同い年の奴が、ダチ助ける為に駆け出したって!あれ、おまえなんだろ・・・!?
特別だとか、力だとか関係ねぇ。あん時のおまえが、今の俺たちの答えだと思うぜ・・・!」
ぐったりとした緑谷の身体を、切島が支える。彼に、言葉は届いているのだろうか。
「よくあんなところにいたな、切島くん」
「エンデヴァーの指示でな!偶々!」
三人がいる場所に、皆が集まる。息を切らしながら、芦戸が言った。
「緑谷・・・!もう、誰かがいなくなんの嫌だよ。一緒にいよう!?また皆で、授業受けよう」
「・・・・・・・」
答えるように、緑谷は立ち上がる。フラフラな身体を、必死に耐えて。
「おい!」
「緑谷くん!」
「・・・そう・・・したいよ・・・。けど、怖いんだ・・・!雄英には・・・!沢山の人がいて・・・!
他人に、迷惑かけたくないんだ・・・!もう、今まで通りじゃ、いられないんだ・・・」
彼の気持ちもわかる。でも、だからこそ一人で背負いこまないで欲しい。
"私たちがいる"一人じゃないよって。
「死柄木にぶっ刺された時、言った事覚えてっか?」
爆豪が皆の前に出て、静かに緑谷に問いかける。
「・・・覚えてない」
「「一人で勝とうとしてんじゃねェ」だ。続きがあるんだよ・・・身体が勝手に動いて、ぶっ刺されて・・・!
言わなきゃって思ったんだ。てめェをずっと見下してた・・・"無個性"だったから。
俺より遥か後ろにいるハズなのに、俺より遥か先にいるような気がして。嫌だった、見たくなかった。
認めたくなかった。だから遠ざけたくて虐めてた」
緑谷に対する、爆豪が初めて口にする本音。
「否定することで、優位に立とうとしてたんだ。俺はずっと、敗けてた。
雄英入って、思い通りに行くことなんて一つもなかった。自分の弱さを、理解してく日々だった。
言ってどうにかなるもんじゃねェけど、本音だ、出久。「今までごめん」」
爆豪が初めて名前を呼んだ。初めて頭を下げた。
「ワン・フォー・オールを継いだおまえの歩みは、理想そのもので、何も間違ってねぇよ。
けど今、おまえはフラフラだ。理想だけじゃ越えられねぇ壁がある。おまえが拭えねぇもんは、俺たちが拭う。
理想を越える為に、おまえも雄英の避難民も街の人も、もれなく救けて勝つんだ」
「(皆とっくに、僕なんかよりずっと先に)ついてこれない・・・なんて、「ついてこれない」なんて酷い事言って・・・ごめん・・・」
倒れる寸前、爆豪が寄り添う。
「わーってる」
きっと、幼なじみの二人が初めて和解できた日だろう。
緑谷との鬼ごっこは、無事に終わった。だけど、ここからが本題だろう。