第五話 A組
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エンデヴァーたちが記者会見をする少し前、全生徒へ校長から話があった。
雄英高校を避難所にすること、4月の進級は留め置かれ授業はしばらく中止。常に雄英バリアを発動させる。
そんな非常事態の中、緑谷だけまだ退院できていない時。
「あぁ、もう!!」
歌恋は自分の部屋でむしゃくしゃしていた。その理由は変わらず、両親からの連絡が五月蝿いのだ。
「スマホ壊したい」
でも、さすがにそれは出来ないし。連絡が来た時一度は出た。
今度雄英高校に避難生活すること。進級の話、これからの生活の話。将来の不安。
歌恋自身が生きているか、毎日一回は声を聞かせてくれだとか。
エンデヴァー、轟家の話は避難するにあたって、校長から知らされたという。
それも相まって心配してくれてるのはわかる。けど、少なくとも自分は戦える力がある。
逆に自分が親を心配すればいい。雄英に避難してるとわかれば安心なのだからそんなに連絡はいらないのに。
「・・・そろそろ皆起きるかな・・・」
まだ少し早いかな、6時半頃には目が覚めている歌恋は、軽く身支度してから女子の談話室に向かった。
いつも一足早く起きてるのは、八百万だ。
「あら、おはようございます」
「おはよ、ヤオモモ」
「一夜明けましたが、いろんなことがあって落ち着きませんわ」
「・・・両親、心配してるよね。電話がさんざんでさ」
「それだけ心配なんです」
「度がすぎるって。皆のとこもそうなのかなー、もういっそ電源きっていいかな」
「・・・それは、さすがに可哀想かと」
「う~ん・・・しばらくスマホ見ない生活にしようかな」
「おはよう、なに?なんの話?」
「お茶子ちゃん、梅雨ちゃん」
「ご両親のお話ですわ」
「皆の親もここに来るんだよね、メチャクチャ心配してこない?」
「それは、そうやよ。でも、やるって決めたからね」
「雄英にいてもらえば安心でしょう?」
「ああ~」
一人頭を抱える歌恋。上着のポケットに入ってるスマホが鳴る。
「「「・・・・・・・・」」」
「歌恋ちゃんのかしら?」
蛙吹が可愛らしく、きょとんと首をかしげた。
「・・・お母さんだ・・・」
チラッと、一部始終話していた八百万を見る。彼女は出なさいと、身振り。
「うー・・・もしもし・・・」
今日も皆集まって、それぞれ訓練していた。先生も不在だし、外に出るにはまだ危険だったからだ。
体動かしてないと、余計なことを考えてしまうから。訓練はよく、常闇や耳郞、八百万が創造で作ってくれるモノと戦ったり。
「・・・・・・・」
辛い戦いの中でも、仲間と笑えられてることが何より嬉しい。皆がここにいる、一緒に頑張れる仲間が、ここにいる。
笑顔で笑ってる歌恋。彼女があんなに笑ってるのを見たのはいつぶりだろう。
距離を置こうと申し出たのは自分だ。燈矢をどうにかしなければ。また、連合の元に行かせたくないから。
彼女に触れられなくても、今は、遠くで姿を確認出来るだけでいい。笑ってくれていれば、それだけで。
話すチャンスなんて、いくらでもあった。でも、かける言葉がなくなっていた。
前なら、ここで爆豪も茶化したり本気で狙いにきたりしただろう。けど、二人の微妙な空気に切り出せなかった。
「おやすみ」って。「おはよう」って。普通に言えなくなっていた。
そんな中に起きた、衝撃な"個性"の真実。雄英を離れてしまった緑谷出久。
「なに、これ・・・」
ドアに挟んであった緑谷からの手紙に、歌恋はそこから動けなくなっていた。
【登坂さん 今までありがとう】
そう書いてある見出しに、内容は緑谷の"個性"ワン・フォー・オールについて。
緑谷のこの"個性"はオールマイトから授かった特別なもので、死柄木とオール・フォー・ワンは緑谷を狙っていると。
だから、雄英にはいられないと。
「意味がわかんないよ、緑谷くん」
皆が少しずつ、離れていく。
整理しきれていない頭のまま、皆がいる場所に小走りで向かう。共有スペースは既に、緑谷のことで混乱していた。
「だから!どうすんのかって、聞いてんの!提案してんの!」
「うっせぇつってんだろ!」
「この薄情者!!」
いつにもまして、賑やかな男子メンバーは、緑谷と幼なじみである爆豪にくってかかっている。
「何してるの?」
もはや他人のフリを決めているクラスメイトに問いかける。
「登坂くん」
「緑谷からの手紙、読んだ?」
「うん」
いつもまわりがみえて冷静な尾白が教えてくれた。
「上鳴も峰田も、緑谷が心配なんは分かるけど、爆豪が原因だーとか変な方向に走ってんだ。
緑谷の"個性"の秘密を知ってたのも爆豪だし、そんな驚いてなさげだったから」
「・・・ふーん、そっか・・・」
「だからどうやって居場所突き止めるか考えさせろっつてんだ!」
「ウチの音とかで拾えないかな?探知なら障子も歌恋もいる」
「あちらも動き回ってるとなれば困難ですわ。限度もありますし」
「ヤオモモの創造で探知機とか?」
「親父も全然出ねぇ」
「あ、ねぇ、これ!ネットのトップニュース、トップ3がチームアップだって」
「トップ3ってことは、エンデヴァーとホークスとベストジーニストか」
「エンデヴァーが出ないとなればホークスにも連絡してみよう」
「爆豪!ベストジーニストの連絡先、おめぇ知ってるよな!」
「知っとるわ!」
「登坂」
「常闇くん」
「俺たちも、互いにホークスに連絡してみよう」
「わかった」
緑谷の居場所を探る為、A組は総出で動く。教師も不在、授業も停止、進級も留め置きな状態の現在、
ヒーロー科は基本、寮待機と周辺の警備協力な為自分達で考え動く為、自由が少し効いていた。
ニュースは常に、テレビ情報収集が好きな上鳴を中心にチェックしてもらい、
トップ3がチームアップを組んでいると聞いてから、四人はそれぞれに電話やLINEを常におくっていた。
轟は父親であるエンデヴァーに、爆豪は職場体験でお世話になったベストジーニストに。
そして歌恋と常闇は順番にホークスに連絡を。
「・・・出ない」
時間を見てはホークスに連絡をしてみてるものの、相手は一向に連絡をくれる気配はない。
「親はこんなに心配してんだけどなー」
人の姿が少なくなった共有スペースのソファーで、常闇と一緒に座りダランと背中を預け上を見上げる歌恋。
「しつこくすればどちらかには出てくれると思ったが、ダメか。これが俗に言う既読スルー」
「めんどくさがられて既読もつかない」
信頼してくれてるのか信頼してくれてないのか・・・どちらかといえば後者なのか。
「そろそろ寝るか」
アクビをしながら腕を伸ばす上鳴に、うとうとしていた峰田は飯田にガシッと捕まれる。
「寝るのは部屋でな!二人も返事が気になるだろうが、あまり遅くならないように!次に響くぞ」
「ありがとう、飯田くん」
「徹夜はお肌にも対敵だしね!」
「葉隠も気にすんだね」
透明で姿の見えない葉隠に、ズバリ言い返す耳郞。
「じろちゃん!私も女だよ!!」
「冗談だって」
「あれ、轟こんな時間に珍しいじゃん」
わざわざ共有スペースのキッチンにこなくても、男子寮の談話室にも冷蔵庫くらいはあるのに。
寝ようかとフラフラしていた芦戸が、冷蔵庫を覗く轟に声をかけていた。
「ああ、少し特訓で。皆の声も聞こえたから」
「う~ん、精が出るね~」
「俺も飲んでからねよ!そだ、ホークスどうだ?」
後ろからひょっこり、切島が声をかける。
「連絡なしだ」
答える常闇に、隣で頷く歌恋。
「そっか。また明日だな」
「皆!電気消すぞー!」
深夜、飯田の少し怒った声が響く。歌恋は轟に、この時も何も言えなかった。
自分の飲み物を共有スペースに置いておくのは口実を作る為。1日の終わりに、君の無事を確認したくて。
もしかしたら今度こそ話せるかなって、変に期待して。そんなことない、自分から遠ざけたから。
自分から話かけなくちゃ何も変わらない。けど、それは出来ないから。
遠くなる背中を、ただ見て。人知れずギリッと、歯を食い縛った。
気持ちだけが、溢れていくのに。
雄英高校を避難所にすること、4月の進級は留め置かれ授業はしばらく中止。常に雄英バリアを発動させる。
そんな非常事態の中、緑谷だけまだ退院できていない時。
「あぁ、もう!!」
歌恋は自分の部屋でむしゃくしゃしていた。その理由は変わらず、両親からの連絡が五月蝿いのだ。
「スマホ壊したい」
でも、さすがにそれは出来ないし。連絡が来た時一度は出た。
今度雄英高校に避難生活すること。進級の話、これからの生活の話。将来の不安。
歌恋自身が生きているか、毎日一回は声を聞かせてくれだとか。
エンデヴァー、轟家の話は避難するにあたって、校長から知らされたという。
それも相まって心配してくれてるのはわかる。けど、少なくとも自分は戦える力がある。
逆に自分が親を心配すればいい。雄英に避難してるとわかれば安心なのだからそんなに連絡はいらないのに。
「・・・そろそろ皆起きるかな・・・」
まだ少し早いかな、6時半頃には目が覚めている歌恋は、軽く身支度してから女子の談話室に向かった。
いつも一足早く起きてるのは、八百万だ。
「あら、おはようございます」
「おはよ、ヤオモモ」
「一夜明けましたが、いろんなことがあって落ち着きませんわ」
「・・・両親、心配してるよね。電話がさんざんでさ」
「それだけ心配なんです」
「度がすぎるって。皆のとこもそうなのかなー、もういっそ電源きっていいかな」
「・・・それは、さすがに可哀想かと」
「う~ん・・・しばらくスマホ見ない生活にしようかな」
「おはよう、なに?なんの話?」
「お茶子ちゃん、梅雨ちゃん」
「ご両親のお話ですわ」
「皆の親もここに来るんだよね、メチャクチャ心配してこない?」
「それは、そうやよ。でも、やるって決めたからね」
「雄英にいてもらえば安心でしょう?」
「ああ~」
一人頭を抱える歌恋。上着のポケットに入ってるスマホが鳴る。
「「「・・・・・・・・」」」
「歌恋ちゃんのかしら?」
蛙吹が可愛らしく、きょとんと首をかしげた。
「・・・お母さんだ・・・」
チラッと、一部始終話していた八百万を見る。彼女は出なさいと、身振り。
「うー・・・もしもし・・・」
今日も皆集まって、それぞれ訓練していた。先生も不在だし、外に出るにはまだ危険だったからだ。
体動かしてないと、余計なことを考えてしまうから。訓練はよく、常闇や耳郞、八百万が創造で作ってくれるモノと戦ったり。
「・・・・・・・」
辛い戦いの中でも、仲間と笑えられてることが何より嬉しい。皆がここにいる、一緒に頑張れる仲間が、ここにいる。
笑顔で笑ってる歌恋。彼女があんなに笑ってるのを見たのはいつぶりだろう。
距離を置こうと申し出たのは自分だ。燈矢をどうにかしなければ。また、連合の元に行かせたくないから。
彼女に触れられなくても、今は、遠くで姿を確認出来るだけでいい。笑ってくれていれば、それだけで。
話すチャンスなんて、いくらでもあった。でも、かける言葉がなくなっていた。
前なら、ここで爆豪も茶化したり本気で狙いにきたりしただろう。けど、二人の微妙な空気に切り出せなかった。
「おやすみ」って。「おはよう」って。普通に言えなくなっていた。
そんな中に起きた、衝撃な"個性"の真実。雄英を離れてしまった緑谷出久。
「なに、これ・・・」
ドアに挟んであった緑谷からの手紙に、歌恋はそこから動けなくなっていた。
【登坂さん 今までありがとう】
そう書いてある見出しに、内容は緑谷の"個性"ワン・フォー・オールについて。
緑谷のこの"個性"はオールマイトから授かった特別なもので、死柄木とオール・フォー・ワンは緑谷を狙っていると。
だから、雄英にはいられないと。
「意味がわかんないよ、緑谷くん」
皆が少しずつ、離れていく。
整理しきれていない頭のまま、皆がいる場所に小走りで向かう。共有スペースは既に、緑谷のことで混乱していた。
「だから!どうすんのかって、聞いてんの!提案してんの!」
「うっせぇつってんだろ!」
「この薄情者!!」
いつにもまして、賑やかな男子メンバーは、緑谷と幼なじみである爆豪にくってかかっている。
「何してるの?」
もはや他人のフリを決めているクラスメイトに問いかける。
「登坂くん」
「緑谷からの手紙、読んだ?」
「うん」
いつもまわりがみえて冷静な尾白が教えてくれた。
「上鳴も峰田も、緑谷が心配なんは分かるけど、爆豪が原因だーとか変な方向に走ってんだ。
緑谷の"個性"の秘密を知ってたのも爆豪だし、そんな驚いてなさげだったから」
「・・・ふーん、そっか・・・」
「だからどうやって居場所突き止めるか考えさせろっつてんだ!」
「ウチの音とかで拾えないかな?探知なら障子も歌恋もいる」
「あちらも動き回ってるとなれば困難ですわ。限度もありますし」
「ヤオモモの創造で探知機とか?」
「親父も全然出ねぇ」
「あ、ねぇ、これ!ネットのトップニュース、トップ3がチームアップだって」
「トップ3ってことは、エンデヴァーとホークスとベストジーニストか」
「エンデヴァーが出ないとなればホークスにも連絡してみよう」
「爆豪!ベストジーニストの連絡先、おめぇ知ってるよな!」
「知っとるわ!」
「登坂」
「常闇くん」
「俺たちも、互いにホークスに連絡してみよう」
「わかった」
緑谷の居場所を探る為、A組は総出で動く。教師も不在、授業も停止、進級も留め置きな状態の現在、
ヒーロー科は基本、寮待機と周辺の警備協力な為自分達で考え動く為、自由が少し効いていた。
ニュースは常に、テレビ情報収集が好きな上鳴を中心にチェックしてもらい、
トップ3がチームアップを組んでいると聞いてから、四人はそれぞれに電話やLINEを常におくっていた。
轟は父親であるエンデヴァーに、爆豪は職場体験でお世話になったベストジーニストに。
そして歌恋と常闇は順番にホークスに連絡を。
「・・・出ない」
時間を見てはホークスに連絡をしてみてるものの、相手は一向に連絡をくれる気配はない。
「親はこんなに心配してんだけどなー」
人の姿が少なくなった共有スペースのソファーで、常闇と一緒に座りダランと背中を預け上を見上げる歌恋。
「しつこくすればどちらかには出てくれると思ったが、ダメか。これが俗に言う既読スルー」
「めんどくさがられて既読もつかない」
信頼してくれてるのか信頼してくれてないのか・・・どちらかといえば後者なのか。
「そろそろ寝るか」
アクビをしながら腕を伸ばす上鳴に、うとうとしていた峰田は飯田にガシッと捕まれる。
「寝るのは部屋でな!二人も返事が気になるだろうが、あまり遅くならないように!次に響くぞ」
「ありがとう、飯田くん」
「徹夜はお肌にも対敵だしね!」
「葉隠も気にすんだね」
透明で姿の見えない葉隠に、ズバリ言い返す耳郞。
「じろちゃん!私も女だよ!!」
「冗談だって」
「あれ、轟こんな時間に珍しいじゃん」
わざわざ共有スペースのキッチンにこなくても、男子寮の談話室にも冷蔵庫くらいはあるのに。
寝ようかとフラフラしていた芦戸が、冷蔵庫を覗く轟に声をかけていた。
「ああ、少し特訓で。皆の声も聞こえたから」
「う~ん、精が出るね~」
「俺も飲んでからねよ!そだ、ホークスどうだ?」
後ろからひょっこり、切島が声をかける。
「連絡なしだ」
答える常闇に、隣で頷く歌恋。
「そっか。また明日だな」
「皆!電気消すぞー!」
深夜、飯田の少し怒った声が響く。歌恋は轟に、この時も何も言えなかった。
自分の飲み物を共有スペースに置いておくのは口実を作る為。1日の終わりに、君の無事を確認したくて。
もしかしたら今度こそ話せるかなって、変に期待して。そんなことない、自分から遠ざけたから。
自分から話かけなくちゃ何も変わらない。けど、それは出来ないから。
遠くなる背中を、ただ見て。人知れずギリッと、歯を食い縛った。
気持ちだけが、溢れていくのに。