第一話 暗雲
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ミルコが一人で脳無を蹴散らしている中、蛇腔総合病院から役80km離れた場所にある館、群訝山荘後衛。
「そろそろだ。立とうぜ、グレープジュース」
「何故?」
岩場に腰かける峰田が、瀬呂に向け首をかしげる。
「後衛の仕事は前衛が捕り漏らした奴を捕まえること。つまり、オイラ達が張り切る事自体前衛に対する冒涜だ」
峰田が本気でそう思ってるかはさておき、一理ある言い種だが、仕事は仕事である。
「立ぁつの」
近くにいたヒーローが、小型通信からの音を拾い告げる。
「ー・・・始まった」
「え!?」
「そんな、ヌルリと」
状況を常に理解出来るように、耳郞はイヤホンを地面に刺し集中していた。イヤホンは痛いくらいビリビリ震えているのだ。
「動いてる」
「今回・・・かつてない規模でヒーローが集まった。だからと言って、決して気を抜くな。
裏を返せば、これだけ集めなければならぬほど敵は強大ということだ」
前衛にいる仲間が心配で、思わず声が漏れる。
「常闇と歌恋はともかく・・・大丈夫かなー・・・」
隣にいた八百万の手が、耳郞の肩に優しく乗った。
「きっと、大丈夫ですわ・・・!」
「みっ、皆といたいよーー!!!」
敵に先手を取られる前に、動き出した前衛は館である群訝山荘を目指し走っていた。
先ほどから、涙目になりながら訴える上鳴。彼はこんな弱腰な感じだったっけと歌恋は自分に問う。
何事も切島や爆豪と一緒にいることが多い彼だが、前向きなムードメーカーなのには変わらないと思っていたが。
授業とはワケの違う、今回は本物のヒーローとヴィランによる戦いが始まろうとしているのだ。
プロヒーローが、学生である自分たちの身は守ってくれると話してくれていたが不安は拭えない。
何度も自分に言い聞かせる。インターンでも、これは本物の戦なのだと。
「だ、大丈夫だよ上鳴くん!プロヒーローもこんなにいるし、先生達もいるんだから!」
自分自身を奮い立たせる為にも言った言葉。
「けど・・・!」
迷う二人の近くを走ってくれるのは、ミッドナイト先生だ。
「事前に了承してくれたじゃない。あなたの"個性"が必要なの。不甲斐ない大人を助けると思って」
「いや、大人不甲斐ないとか、思ってないっスもん」
「あんまり不安にさせないでよ」
せっかく奮い立たせているのだから、ここまできてしまったんだから。
いまにもいがみ合いになりそうか上鳴と歌恋の間に入ったのは、常闇だ。
「上鳴」
名前を呼ばれ、上鳴の視線は常闇に向けられる。
「おまえとギターを爪弾く中で、わかったことがあるんだ。おまえはすごい奴だ」
「今ギターほめられても!」
「違・・・」
どうすれば上鳴の気持ちを和らげられるだろう。不安なのは、皆一緒だ。
「開けます!」
前衛の先陣を走っていたセメントス先生の声に顔が上がる。
セメントス先生の"個性"で、頑丈な建物も一瞬にして崩壊させた。館の中から姿を見せる解放軍。その数は計り知れない。
「一人たりとも逃がすな!彼らは訓練されている!全員が目的成就に命を懸ける!
一人逃がせば、どこかで誰かを脅かす!!守る為に攻めろ!!」
初めての実践、雰囲気に飲まれそうになる。上鳴を励ますミッドナイト先生の言葉が、歌恋の気持ちも落ち着かせていた。
『どこの誰かじゃ難しいなら、今一番大事なものを心に据えな』
(大丈夫・・・!)
この戦いが終わったら、一番に彼に会いに行くんだ。
「数は無意味」
先に動いたのは、解放軍の一人。バチバチと全身に電気を走らせる者の姿を捉える。
それを見た上鳴は、意を決したように誰よりも早くその相手に向かって走り出す。
「制圧放電、雷網!!」
「「!」」
放たれた電撃は、一線目掛けて吸われていく。その電撃を無効化にしたのはまぎれもなく、上鳴だった。
「ハイ、幹部一名無力化成功!後衛に心配かけねー為にも、皆さんパパッとやっちゃって!」
先手を取った。
「最高だよ、チャージ!」
セメントス先生が励ましの言葉を送る。
「あざあぁっす!!」
上鳴の"個性"が優位にあるいま、プロヒーローが動き出す。エッジショットを初めミッドナイト先生も。
「キルシュ、背後は任せていいかな」
憧れていたプロヒーローの一人シンリンカムイと共闘できる喜びが、歌恋をさらにやる気にさせた。
「はい!」
「ウルシ鎖牢!!」
「樹揮奏縛(じゅきそうばく)!!」
敵陣前後を、二人の幹が次々と拘束していく。そして同じく雄英高校の一年B組である骨抜ヒーロー名マッドマンは地面を柔らかくし、
彼のクラスメイトである小森ヒーロー名シーメイジが、広域制圧出来るキノコを生やしていく。
「君はこっちや!!」
「御意!」
ファットガムに呼ばれた常闇は、天喰とともに地下の巨大神殿に沢山集まっているという敵の所へ。
地上に上がる道は外にいくつかあったが、ヒーローらが事前に潰し残りは屋敷内に5ヵ所。
その通路はセメントス先生の射程外の為、選抜されていたヒーローらが防ぎにかかる。
危険を察知した解放軍が、ヒーローを目前に驚く中で、緊張しいの天喰も本領発揮していく。
外にいた敵がヒーローと敵対している間に、常闇は大技終焉で通路を一瞬にしてふさいでみせた。
「すんごいな!一瞬や」
ファットガムは感心してくれるが、ダークシャドウは震えながら戻ってくる。
「フミカゲ・・・下・・・ヤバイのイルゾ」
「ああ・・・「終焉」と張り合える奴がいるとは・・・」
「違う!ソイツじゃナイ!!アレハ・・・化け物ダ・・・!」
「・・・・・・!?」
姿を見ない常闇には、話の筋がわからない。ここまでダークシャドウが怯えるなんて。
「気にすな、ソレは動かん・・・らしい!」
そう説明してくれるのはファットガムで。
「敵さんの大将の命令やないと動かへんのやと。で、その大将は今お休み中らしいわ。戻るで!後衛まで腹入りィ!」
「情報が精細すぎやしませんか・・・!?」
「ホークスが"調査"で掴んだらしいで」
「ホークスが・・・!?」
「俺も詳しくは知らんけどな。恐らく今もどっかにおるんやないか」
ふと常闇は、ホークスと夜間飛行したときのことを思い返す。
『弱点の近距離カバーに尽力もいいけど、"得意"を伸ばす事も忘れないほうがいい』
(言われた通り伸ばしたぞ。俺はもっと強いヒーローになるぞ。師、今ここにいるのなら)
あなたにまた、見てほしいな。
セメントス先生が館を破壊し残った一部の部屋では、ホークスがトゥワイスを追い詰めていた。
「どうなってんだよ、なァ・・・!」
解放軍にいた時のヘラっとして笑っていたホークスの表情は今はない。
「襲撃日時は暗号でやりとりしました。いやー、めちゃくちゃ大変でしたよ。
今回はとにかく、数が脅威でしたので「二倍」のあなたに少しの猶予も与えたくなかった」
何度も仲間だと思っていたホークスに、トゥワイスは「おいっ」と声をかけるもそれに対しての返答はない。
「あなたを常にマークする必要があった。「会議前に解放思想のおさらい」自然でしょ」
「ホーク」
顔を向け直そうとするトゥワイスに、羽根が容赦なく牙を向く。
「抵抗しないで下さい。あなたはこのまま拘束し、警察に引き渡します」
「ちょっと・・・待ってよ・・・ああぁ・・・ねぇえ」
ホークスの目は、獲物を狩るような仲間を見る目じゃない。
「いっっつも、こうだぁ」
他に何か思い当たる節があるのだろう、トゥワイスは涙を流し出す。悔しくて悔しくて仕方ない。
「またかよォオオお・・・!」
いつものヘラりとした笑顔で言っていた。『俺の居場所はあそこじゃない』と。
ヒーロー側にホークスの居場所はないんだと。けど、もうホークスはヴィランの敵だ。
「信じて・・・信じてあげねぇと、可哀想だって思ったからーー・・・」
かつての自分がそうだったから。
"終わった人間は、どうしたらいい""信頼されることだ""誰に"
仲間に。
「そろそろだ。立とうぜ、グレープジュース」
「何故?」
岩場に腰かける峰田が、瀬呂に向け首をかしげる。
「後衛の仕事は前衛が捕り漏らした奴を捕まえること。つまり、オイラ達が張り切る事自体前衛に対する冒涜だ」
峰田が本気でそう思ってるかはさておき、一理ある言い種だが、仕事は仕事である。
「立ぁつの」
近くにいたヒーローが、小型通信からの音を拾い告げる。
「ー・・・始まった」
「え!?」
「そんな、ヌルリと」
状況を常に理解出来るように、耳郞はイヤホンを地面に刺し集中していた。イヤホンは痛いくらいビリビリ震えているのだ。
「動いてる」
「今回・・・かつてない規模でヒーローが集まった。だからと言って、決して気を抜くな。
裏を返せば、これだけ集めなければならぬほど敵は強大ということだ」
前衛にいる仲間が心配で、思わず声が漏れる。
「常闇と歌恋はともかく・・・大丈夫かなー・・・」
隣にいた八百万の手が、耳郞の肩に優しく乗った。
「きっと、大丈夫ですわ・・・!」
「みっ、皆といたいよーー!!!」
敵に先手を取られる前に、動き出した前衛は館である群訝山荘を目指し走っていた。
先ほどから、涙目になりながら訴える上鳴。彼はこんな弱腰な感じだったっけと歌恋は自分に問う。
何事も切島や爆豪と一緒にいることが多い彼だが、前向きなムードメーカーなのには変わらないと思っていたが。
授業とはワケの違う、今回は本物のヒーローとヴィランによる戦いが始まろうとしているのだ。
プロヒーローが、学生である自分たちの身は守ってくれると話してくれていたが不安は拭えない。
何度も自分に言い聞かせる。インターンでも、これは本物の戦なのだと。
「だ、大丈夫だよ上鳴くん!プロヒーローもこんなにいるし、先生達もいるんだから!」
自分自身を奮い立たせる為にも言った言葉。
「けど・・・!」
迷う二人の近くを走ってくれるのは、ミッドナイト先生だ。
「事前に了承してくれたじゃない。あなたの"個性"が必要なの。不甲斐ない大人を助けると思って」
「いや、大人不甲斐ないとか、思ってないっスもん」
「あんまり不安にさせないでよ」
せっかく奮い立たせているのだから、ここまできてしまったんだから。
いまにもいがみ合いになりそうか上鳴と歌恋の間に入ったのは、常闇だ。
「上鳴」
名前を呼ばれ、上鳴の視線は常闇に向けられる。
「おまえとギターを爪弾く中で、わかったことがあるんだ。おまえはすごい奴だ」
「今ギターほめられても!」
「違・・・」
どうすれば上鳴の気持ちを和らげられるだろう。不安なのは、皆一緒だ。
「開けます!」
前衛の先陣を走っていたセメントス先生の声に顔が上がる。
セメントス先生の"個性"で、頑丈な建物も一瞬にして崩壊させた。館の中から姿を見せる解放軍。その数は計り知れない。
「一人たりとも逃がすな!彼らは訓練されている!全員が目的成就に命を懸ける!
一人逃がせば、どこかで誰かを脅かす!!守る為に攻めろ!!」
初めての実践、雰囲気に飲まれそうになる。上鳴を励ますミッドナイト先生の言葉が、歌恋の気持ちも落ち着かせていた。
『どこの誰かじゃ難しいなら、今一番大事なものを心に据えな』
(大丈夫・・・!)
この戦いが終わったら、一番に彼に会いに行くんだ。
「数は無意味」
先に動いたのは、解放軍の一人。バチバチと全身に電気を走らせる者の姿を捉える。
それを見た上鳴は、意を決したように誰よりも早くその相手に向かって走り出す。
「制圧放電、雷網!!」
「「!」」
放たれた電撃は、一線目掛けて吸われていく。その電撃を無効化にしたのはまぎれもなく、上鳴だった。
「ハイ、幹部一名無力化成功!後衛に心配かけねー為にも、皆さんパパッとやっちゃって!」
先手を取った。
「最高だよ、チャージ!」
セメントス先生が励ましの言葉を送る。
「あざあぁっす!!」
上鳴の"個性"が優位にあるいま、プロヒーローが動き出す。エッジショットを初めミッドナイト先生も。
「キルシュ、背後は任せていいかな」
憧れていたプロヒーローの一人シンリンカムイと共闘できる喜びが、歌恋をさらにやる気にさせた。
「はい!」
「ウルシ鎖牢!!」
「樹揮奏縛(じゅきそうばく)!!」
敵陣前後を、二人の幹が次々と拘束していく。そして同じく雄英高校の一年B組である骨抜ヒーロー名マッドマンは地面を柔らかくし、
彼のクラスメイトである小森ヒーロー名シーメイジが、広域制圧出来るキノコを生やしていく。
「君はこっちや!!」
「御意!」
ファットガムに呼ばれた常闇は、天喰とともに地下の巨大神殿に沢山集まっているという敵の所へ。
地上に上がる道は外にいくつかあったが、ヒーローらが事前に潰し残りは屋敷内に5ヵ所。
その通路はセメントス先生の射程外の為、選抜されていたヒーローらが防ぎにかかる。
危険を察知した解放軍が、ヒーローを目前に驚く中で、緊張しいの天喰も本領発揮していく。
外にいた敵がヒーローと敵対している間に、常闇は大技終焉で通路を一瞬にしてふさいでみせた。
「すんごいな!一瞬や」
ファットガムは感心してくれるが、ダークシャドウは震えながら戻ってくる。
「フミカゲ・・・下・・・ヤバイのイルゾ」
「ああ・・・「終焉」と張り合える奴がいるとは・・・」
「違う!ソイツじゃナイ!!アレハ・・・化け物ダ・・・!」
「・・・・・・!?」
姿を見ない常闇には、話の筋がわからない。ここまでダークシャドウが怯えるなんて。
「気にすな、ソレは動かん・・・らしい!」
そう説明してくれるのはファットガムで。
「敵さんの大将の命令やないと動かへんのやと。で、その大将は今お休み中らしいわ。戻るで!後衛まで腹入りィ!」
「情報が精細すぎやしませんか・・・!?」
「ホークスが"調査"で掴んだらしいで」
「ホークスが・・・!?」
「俺も詳しくは知らんけどな。恐らく今もどっかにおるんやないか」
ふと常闇は、ホークスと夜間飛行したときのことを思い返す。
『弱点の近距離カバーに尽力もいいけど、"得意"を伸ばす事も忘れないほうがいい』
(言われた通り伸ばしたぞ。俺はもっと強いヒーローになるぞ。師、今ここにいるのなら)
あなたにまた、見てほしいな。
セメントス先生が館を破壊し残った一部の部屋では、ホークスがトゥワイスを追い詰めていた。
「どうなってんだよ、なァ・・・!」
解放軍にいた時のヘラっとして笑っていたホークスの表情は今はない。
「襲撃日時は暗号でやりとりしました。いやー、めちゃくちゃ大変でしたよ。
今回はとにかく、数が脅威でしたので「二倍」のあなたに少しの猶予も与えたくなかった」
何度も仲間だと思っていたホークスに、トゥワイスは「おいっ」と声をかけるもそれに対しての返答はない。
「あなたを常にマークする必要があった。「会議前に解放思想のおさらい」自然でしょ」
「ホーク」
顔を向け直そうとするトゥワイスに、羽根が容赦なく牙を向く。
「抵抗しないで下さい。あなたはこのまま拘束し、警察に引き渡します」
「ちょっと・・・待ってよ・・・ああぁ・・・ねぇえ」
ホークスの目は、獲物を狩るような仲間を見る目じゃない。
「いっっつも、こうだぁ」
他に何か思い当たる節があるのだろう、トゥワイスは涙を流し出す。悔しくて悔しくて仕方ない。
「またかよォオオお・・・!」
いつものヘラりとした笑顔で言っていた。『俺の居場所はあそこじゃない』と。
ヒーロー側にホークスの居場所はないんだと。けど、もうホークスはヴィランの敵だ。
「信じて・・・信じてあげねぇと、可哀想だって思ったからーー・・・」
かつての自分がそうだったから。
"終わった人間は、どうしたらいい""信頼されることだ""誰に"
仲間に。