第四話 審議
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[燈矢君のお話ってことで出てきませんでしたが]
言いながらホークスは、轟の肩に右肘を乗せた。
[焦凍君の火傷、これもエンデヴァーさん?]
(近い)
火傷の話に、ズキリと歌恋は胸が痛む。原因を話してくれてるから、知ってるから。
「・・・私です」
轟のお母さんが、自ら名乗り出た。
「お・・・」
何か言おうとしたけど、轟は言葉を飲み込む。
『恨んで当然の私を、再びお母さんと呼んでくれた』
それはそういうことだったのかと、ホークスは納得した。
[そっか]
自分の両親が、脳裏に浮かぶ。
(俺はあの人たちに向き合えなかった。諦めて見限った)
ふとホークスは、後ろにいる歌恋に目を向ける。なんとなく、彼女の気持ちがわかる気がした。
[焦凍君、君はかっこいいな]
「?」
[エンデヴァーさん、外は今地獄です]
「・・・ああ」
[死柄木・荼毘・トガヒミコ・スピナー・スケプティック、逃走した解放戦線構成員132名。
そして7匹の脳無、ニア・ハイエンド・・・全て行方不明。更に死柄木と脳無により、
タルタロス他6ヵ所の刑務所が破られ、少なくとも一万以上の受刑者が野に放たれました。
ヒーロー公安委員会の中枢メンバーが死亡および重症。ヒーローをまとめる機能が失われています。
風向きの悪さを察したヒーローたちが、今も続々と辞職中。敵の活性化が進み、
ヒーローを信じきれなくなった一般市民が武器を手に取り、戦うことで被害が被害を呼ぶような状況。
現在政府は、各国から救助隊・ヒーローの要請をしていますが、公安の停止によりヒーローの派遣手続きが滞っています。
これが、わずか2日間で起きています。奥さんの仰った通り、あなたは戦う他に道はありません。
そして、俺たちもです!此度の責任、No.1だけのモノじゃない。ご家庭だけで占有しないでいただきたい!]
「なぜ・・・何を・・・」
(荼毘の語った轟家の話が本当だとしても・・・きっと、今は違う。正しくあろうとする人を、俺は支えたいんだ)
真面目な表情から変わって、ホークスの目は笑っていた。
[てなワケで、こっからはトップ3のチームアップです!]
「私は元より、ホークスに命をベットした身。地獄の花道ランウェイなら、歩き慣れている」
[もちろん、彼女もね。俺のとこの大事なインターン生]
思わぬ形でホークスに背中を押された。それは轟家の事情は知っていたし、ホークスに内緒にされるのはこれ以上嫌だけど。
「!ホークス・・・!?」
轟の目も、ハッと見開く。彼女はこれ以上轟家の事情に巻き込みたくないのに。だから、あんな話になったのに。
「歌恋は!これ以上は・・・!」
荼毘のニヤリと嗤う顔が浮かぶ。
「大丈夫・・・!皆がいるから」
急いで轟の言葉を消した。ホークスの手が、歌恋の頭の上に乗る。
[ホラ、俺らとご家族、少しは肩も軽くなって立って歩ける気ィしません?]
「・・・・・・ああ!!」
溢れるエンデヴァーの涙。だが轟は、一人歯を食いしばり握り拳を作っていた。
(何で、俺は・・・!)
「燈矢兄を・・・止めるまでだから」
「・・・ああ・・・!!」
協力してくれるという夏雄の言葉も、エンデヴァーにとっては嬉しいのだろう。
ここから、ホークスは容赦なく提案を述べていく。
[早速ですが、まず皆々様への説明責任!荼毘の告発を受けた以上、避けて通れません。
ざっくりと答弁内容考えてたんスけど・・・一つ、不明瞭な要素が・・・"ワン・フォー・オール"って、何なんですかね?]
「"ワン・フォー・オール"?」
歌恋は人知れず首を傾げる。
「それ・・・そういえばさっきも・・・」
冬美たちは病院に入る前に、マスコミから散々質問攻めされていたらしい。
[ワン・フォー・オール・・・我々はそれの正体を知らなきゃいけません]
「・・・デク・・・?」
ポツリとエンデヴァーが呟いた名前。よく知るクラスメイトの名前に、思わず轟と歌恋は顔を合わせる。
「緑谷の"個性"は、超パワーじゃねぇのか?」
「そんな名前、緑谷くん言ったことない」
「確信があるワケじゃない。だが、死柄木と戦ってた時、デクから自分が狙われてると個別通信を受けた。
実際、デクが移動したとこへ死柄木も向かったのだ」
[目の前で見ているのであれば、緑谷くんに話を聞くぐらいはしてみてもいいかもしれませんね。
話してくれるかはわかりませんが・・・緑谷くんもここにいるんだっけ]
ホークスが歌恋に聞く。
「あ、部屋は私が知ってます。行きますか?ただ、緑谷くんまだ目が覚めてなくて」
[行くだけ行ってみようか]
ホークスたちと部屋を出ていく歌恋を、轟はそのまま見送る。
ここで何を言ってもしょうがない。自分の頭の中に、荼毘がいる限り・・・燈矢を、皆で止めない限り。
「・・・焦凍、何かあったの?」
前に家に来て挨拶に来てくれた歌恋の態度が少し気にかかり、複雑そうな轟に、冬美が聞いた。
「何もないよ、姉さん」
家族には余計なことで心配かけさせたくない。余計・・・。
(・・・余計、か・・・)
[焦凍くんと話す予定だったのに、付き合わせてごめんね?]
そうホークスが謝ってきた。
「いいんです。焦凍・・・くんとは、また寮でも会えますから」
どこか遠くをみる歌恋の目。寂しくないっていえば嘘になるけど。
「どうしたんだ?」
前を歩く、歌恋の後ろ姿をみて、隣を歩くホークスにベストジーニストが聞いている。
[ああ・・・彼女、焦凍くんと付き合ってるですよ。ね]
「!!」
「なるほど」
「ホークス・・・!!」
ホークスには何でも秘密にされがちで、おいてかれてるけど、逆にホークスに秘密です、て話は無理だと思った。
「そういうのはこっそり言うもんじゃないんですか!」
[いま俺はそれは無理だなー]
「ホークスはすぐ、内緒でいなくなっちゃうのに」
[いいじゃない、隠すことじゃないよ。ね、ジーニストさん]
「む、そこはノーコメントで」
ホークスにからかわられ、ベストジーニストに慰められながら向かう前方で、聞き覚えのある怒鳴り声に、歌恋は顔を向けた。
「・・・爆豪くん?」
「デクてめ、ゴラァァアア!!!」
小走りで近くにいってみれば、蛙吹の舌でぐるぐる巻きにされている爆豪がいる。
「何で俺が起きて、てめーが寝とんだぁ!!」
彼は瀬呂と峰田とも運ばれていた。
「なに、どうしたの?」
歌恋は困り顔の、前にいる瀬呂に聞く。
「あ、登坂。爆豪が暴れるんだよ」
「暴れてねぇ。デクを起こしとんだ」
「むしろ前よりうるさくなっとるよ。お帰り、歌恋ちゃん」
「うん。あ、お客がいるんだけど・・・」
「No.2とNo.3じゃん。歌恋、一緒だったの?」
耳郞が少し後ろにいる二人を、イヤホンで指している。
「へへ。緑谷くんは?」
「まだやよ」
麗日が眉を寄せ、しょんぼりと落ち込む。
[チワッす]
追い付いたホークスが、通りすぎる爆豪を抱えたクラスメイトに声をかけていた。
「大・爆・殺・神ダイナマイト・・・!無事か・・・!」
ベストジーニストが聞いている。
「無事に見えンのか」
(あれだけ叫べれば無事だよ、爆豪くん)
[緑谷出久くんと話したいんだけど]
ホークスに答えたのは飯田だ。
「今は、オールマイトが二人きりにしてくれと」
[・・・オールマイトが・・・]
ホークスは少し考えてから、大胆にドアをノックした。ぎょっとするもつかの間、オールマイトが出てくる。
[初めまして、オールマイトさん。俺は速すぎる男なんて呼ばれてまして、諸々すっ飛ばして伺いたい事が。
・・・って、緑谷くんやばい感じスか]
「いや!大丈夫、きっともうじき起きる。それより、何だいホークスくん」
皆は、待ちに待った緑谷との再会に早足になるが、歌恋はホークスとオールマイトの方を一度見た。
(ワン・フォー・オールとオールマイトと、緑谷くん・・・)
緑谷が狙われる理由を、ホークスたちと知りたかった。でも、ここでズケズケ入ったところで、
皆を守る力が足りない。好きな人を不安にさせるだけ。
今回の戦いは、まだ終わってない。
言いながらホークスは、轟の肩に右肘を乗せた。
[焦凍君の火傷、これもエンデヴァーさん?]
(近い)
火傷の話に、ズキリと歌恋は胸が痛む。原因を話してくれてるから、知ってるから。
「・・・私です」
轟のお母さんが、自ら名乗り出た。
「お・・・」
何か言おうとしたけど、轟は言葉を飲み込む。
『恨んで当然の私を、再びお母さんと呼んでくれた』
それはそういうことだったのかと、ホークスは納得した。
[そっか]
自分の両親が、脳裏に浮かぶ。
(俺はあの人たちに向き合えなかった。諦めて見限った)
ふとホークスは、後ろにいる歌恋に目を向ける。なんとなく、彼女の気持ちがわかる気がした。
[焦凍君、君はかっこいいな]
「?」
[エンデヴァーさん、外は今地獄です]
「・・・ああ」
[死柄木・荼毘・トガヒミコ・スピナー・スケプティック、逃走した解放戦線構成員132名。
そして7匹の脳無、ニア・ハイエンド・・・全て行方不明。更に死柄木と脳無により、
タルタロス他6ヵ所の刑務所が破られ、少なくとも一万以上の受刑者が野に放たれました。
ヒーロー公安委員会の中枢メンバーが死亡および重症。ヒーローをまとめる機能が失われています。
風向きの悪さを察したヒーローたちが、今も続々と辞職中。敵の活性化が進み、
ヒーローを信じきれなくなった一般市民が武器を手に取り、戦うことで被害が被害を呼ぶような状況。
現在政府は、各国から救助隊・ヒーローの要請をしていますが、公安の停止によりヒーローの派遣手続きが滞っています。
これが、わずか2日間で起きています。奥さんの仰った通り、あなたは戦う他に道はありません。
そして、俺たちもです!此度の責任、No.1だけのモノじゃない。ご家庭だけで占有しないでいただきたい!]
「なぜ・・・何を・・・」
(荼毘の語った轟家の話が本当だとしても・・・きっと、今は違う。正しくあろうとする人を、俺は支えたいんだ)
真面目な表情から変わって、ホークスの目は笑っていた。
[てなワケで、こっからはトップ3のチームアップです!]
「私は元より、ホークスに命をベットした身。地獄の花道ランウェイなら、歩き慣れている」
[もちろん、彼女もね。俺のとこの大事なインターン生]
思わぬ形でホークスに背中を押された。それは轟家の事情は知っていたし、ホークスに内緒にされるのはこれ以上嫌だけど。
「!ホークス・・・!?」
轟の目も、ハッと見開く。彼女はこれ以上轟家の事情に巻き込みたくないのに。だから、あんな話になったのに。
「歌恋は!これ以上は・・・!」
荼毘のニヤリと嗤う顔が浮かぶ。
「大丈夫・・・!皆がいるから」
急いで轟の言葉を消した。ホークスの手が、歌恋の頭の上に乗る。
[ホラ、俺らとご家族、少しは肩も軽くなって立って歩ける気ィしません?]
「・・・・・・ああ!!」
溢れるエンデヴァーの涙。だが轟は、一人歯を食いしばり握り拳を作っていた。
(何で、俺は・・・!)
「燈矢兄を・・・止めるまでだから」
「・・・ああ・・・!!」
協力してくれるという夏雄の言葉も、エンデヴァーにとっては嬉しいのだろう。
ここから、ホークスは容赦なく提案を述べていく。
[早速ですが、まず皆々様への説明責任!荼毘の告発を受けた以上、避けて通れません。
ざっくりと答弁内容考えてたんスけど・・・一つ、不明瞭な要素が・・・"ワン・フォー・オール"って、何なんですかね?]
「"ワン・フォー・オール"?」
歌恋は人知れず首を傾げる。
「それ・・・そういえばさっきも・・・」
冬美たちは病院に入る前に、マスコミから散々質問攻めされていたらしい。
[ワン・フォー・オール・・・我々はそれの正体を知らなきゃいけません]
「・・・デク・・・?」
ポツリとエンデヴァーが呟いた名前。よく知るクラスメイトの名前に、思わず轟と歌恋は顔を合わせる。
「緑谷の"個性"は、超パワーじゃねぇのか?」
「そんな名前、緑谷くん言ったことない」
「確信があるワケじゃない。だが、死柄木と戦ってた時、デクから自分が狙われてると個別通信を受けた。
実際、デクが移動したとこへ死柄木も向かったのだ」
[目の前で見ているのであれば、緑谷くんに話を聞くぐらいはしてみてもいいかもしれませんね。
話してくれるかはわかりませんが・・・緑谷くんもここにいるんだっけ]
ホークスが歌恋に聞く。
「あ、部屋は私が知ってます。行きますか?ただ、緑谷くんまだ目が覚めてなくて」
[行くだけ行ってみようか]
ホークスたちと部屋を出ていく歌恋を、轟はそのまま見送る。
ここで何を言ってもしょうがない。自分の頭の中に、荼毘がいる限り・・・燈矢を、皆で止めない限り。
「・・・焦凍、何かあったの?」
前に家に来て挨拶に来てくれた歌恋の態度が少し気にかかり、複雑そうな轟に、冬美が聞いた。
「何もないよ、姉さん」
家族には余計なことで心配かけさせたくない。余計・・・。
(・・・余計、か・・・)
[焦凍くんと話す予定だったのに、付き合わせてごめんね?]
そうホークスが謝ってきた。
「いいんです。焦凍・・・くんとは、また寮でも会えますから」
どこか遠くをみる歌恋の目。寂しくないっていえば嘘になるけど。
「どうしたんだ?」
前を歩く、歌恋の後ろ姿をみて、隣を歩くホークスにベストジーニストが聞いている。
[ああ・・・彼女、焦凍くんと付き合ってるですよ。ね]
「!!」
「なるほど」
「ホークス・・・!!」
ホークスには何でも秘密にされがちで、おいてかれてるけど、逆にホークスに秘密です、て話は無理だと思った。
「そういうのはこっそり言うもんじゃないんですか!」
[いま俺はそれは無理だなー]
「ホークスはすぐ、内緒でいなくなっちゃうのに」
[いいじゃない、隠すことじゃないよ。ね、ジーニストさん]
「む、そこはノーコメントで」
ホークスにからかわられ、ベストジーニストに慰められながら向かう前方で、聞き覚えのある怒鳴り声に、歌恋は顔を向けた。
「・・・爆豪くん?」
「デクてめ、ゴラァァアア!!!」
小走りで近くにいってみれば、蛙吹の舌でぐるぐる巻きにされている爆豪がいる。
「何で俺が起きて、てめーが寝とんだぁ!!」
彼は瀬呂と峰田とも運ばれていた。
「なに、どうしたの?」
歌恋は困り顔の、前にいる瀬呂に聞く。
「あ、登坂。爆豪が暴れるんだよ」
「暴れてねぇ。デクを起こしとんだ」
「むしろ前よりうるさくなっとるよ。お帰り、歌恋ちゃん」
「うん。あ、お客がいるんだけど・・・」
「No.2とNo.3じゃん。歌恋、一緒だったの?」
耳郞が少し後ろにいる二人を、イヤホンで指している。
「へへ。緑谷くんは?」
「まだやよ」
麗日が眉を寄せ、しょんぼりと落ち込む。
[チワッす]
追い付いたホークスが、通りすぎる爆豪を抱えたクラスメイトに声をかけていた。
「大・爆・殺・神ダイナマイト・・・!無事か・・・!」
ベストジーニストが聞いている。
「無事に見えンのか」
(あれだけ叫べれば無事だよ、爆豪くん)
[緑谷出久くんと話したいんだけど]
ホークスに答えたのは飯田だ。
「今は、オールマイトが二人きりにしてくれと」
[・・・オールマイトが・・・]
ホークスは少し考えてから、大胆にドアをノックした。ぎょっとするもつかの間、オールマイトが出てくる。
[初めまして、オールマイトさん。俺は速すぎる男なんて呼ばれてまして、諸々すっ飛ばして伺いたい事が。
・・・って、緑谷くんやばい感じスか]
「いや!大丈夫、きっともうじき起きる。それより、何だいホークスくん」
皆は、待ちに待った緑谷との再会に早足になるが、歌恋はホークスとオールマイトの方を一度見た。
(ワン・フォー・オールとオールマイトと、緑谷くん・・・)
緑谷が狙われる理由を、ホークスたちと知りたかった。でも、ここでズケズケ入ったところで、
皆を守る力が足りない。好きな人を不安にさせるだけ。
今回の戦いは、まだ終わってない。