第四話 審議
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「君はこれからどうするんだい?」
ベストジーニストが髪を整えながら、歌恋に聞く。
「えーと、轟くんの様子を見にきたんですけど、いなくて。どうしようかな、と思ってたところでした」
[俺たちはこれからエンデヴァーさんの所に行くんだけど、一緒に来る?ショートくんもそっちじゃないかな?]
「友達から、家族がお見舞いに来てるって教えてくれたので、もしかしたらそうかもしれません。
でも、お邪魔じゃないでしょうか・・・?」
[歌恋ちゃんもきになってるんでしょ、荼毘のこととか]
「!」
「まだ傷が癒えきっていないだろうが、表に出て情報をまとめねばならなくてね。彼にはまだ死なれては困るのさ」
[部屋は俺たちが知ってる]
歌恋は二人とエンデヴァーの部屋に向かう。向かう途中、またどうしようと心が揺れたが、もう考えないようにしていた。
ホークスたちの話に、聞きたかったことを沢山聞いた。ホークスがベストジーニストを仮死状態にした経緯。
ヴィラン連合にいつからスパイとして動いていたのか。背中の羽根がないのは、誰のせいなのか・・・。
ホークスに、沢山聞いてくるね、なんて苦笑されたけれど、包み隠さず話してくれた。
話してくれたことに、気分がスッキリしていく。邪魔なわけじゃなかったのかって。
話を聞いていく内に、公安はなんだかヒーローとしては違うな、と内心思ったり。
そうしていく内にエンデヴァーが入院している部屋についたようだ。だけど、ドアを開ける前に話声が聞こえた。
「一番辛いのはあなたじゃないし、あの子を見なかったのはあなただけじゃない」
(・・・この声・・・)
中に入らず、歌恋とホークスとベストジーニストは、こっそり様子を伺う。
「私は病院に隔離され、そして燈矢の事を聞いた・・・。完全に心が壊れてしまった。
・・・あなたは、行かなかった」
「・・・薪をくべてしまうだけだと・・・いや、何と声を掛けたらいいのか、わからなかったんだ」
「私も、そうだった」
「あの日、全て諦めていれば・・・燈矢を殺してしまったことで、後に引けなくなっていた・・・。
焦凍に傾倒する他・・・なくなっていた」
「エスカレートしていくあなたがおぞましくて・・・子供たちにまで面影を見るようになってしまった」
「壊れてるのを知りながら・・・怖くて踏み込めなかった・・・上っ面で繕うことしか・・・してこなかった」
「全部あんたが始めた事で、あんたが原因だ。でも、俺がぶん殴って燈矢兄と向かい合わせてやれてたら・・・、
荼毘は生まれてなくて、焦凍に盛り蕎麦をご馳走してやれてたかもしれない」
「責任は、あなただけのものじゃない。心が砕けても、私たちが立たせます。あなたは荼毘と戦うしかないの」
「・・・おまえ・・・本当に・・・冷か・・・?」
「私たちよりよっぽど辛いハズの子が、恨んで当然の私を、再びお母さんと呼んでくれた。
雄英高校でお友だちをつくって、私たちをつなぎとめてくれた。焦凍が轟家(ウチ)のヒーローになってくれたのよ」
大事な家族の話。轟の家族の話は、彼から聞いている。でも、改めて突きつけられる現実に、動揺してしまう。
(私・・・)
彼は、彼の心はきっと人一倍強いのかもしれない。故に、一番脆くもあるのだろう。
だから彼は、とても優しい。優しく育ってくれたのだ。出逢った頃他人を寄せ付けようとしなかったのも、
周りの人間を巻き込もうとしなかったから。
火傷して出しずらい声を、咳払いしてから轟はゆっくり話す。
「ここに・・・来る前に、お母さんと話した。おまえが・・・もう、戦えねェと思って。
俺が、やるしかねェって思ってた・・・。でも、違うみてえだ。泣き終わったら立てよ。皆で燈矢兄を止めに行こう」
「ショーォォトォォーー!!!」
豪快に泣くその姿は見えなくても思う。
(ほら、端からみればやっぱりエンデヴァーも親バカなんだよ)
荼毘・・・燈矢が言っていた、自分を見て欲しいって。
[すみませーん]
突如、ホークスがドアを開けた。歌恋は驚いて、思わずホークスの背中に隠れる。
[話、立ち聞きしちゃいました。その家族旅行、俺らもご一緒してよろしいですかね?]
(ベストジーニスト、ホークス・・・!)
No.2とNo.3が一緒にいることに、少し目を見開く轟。そこにあと一人、よく知る子もいた。
(歌恋・・・)
[なんで隠れるの?]
彼女はそうホークスに聞かれている。
「な、なんとなく」
「歌恋ちゃん!」
冬美が嬉しそうに手を振ってくれる。けど、歌恋は苦笑いを返すだけだった。
轟の方に目を移せば、視線が合う。だけど、お互い気まずくて反らしてしまった。
「?」
他の轟家の人からすれば、二人の態度に疑問がわが、この状況で聞くものはいない。
「ホークスが、ドア開けると思わなくて・・・」
ホークスのそばで、こそこそっと話す歌恋。機械を使って声を出す為、小さい声では喋れない。
[なんの為にここに来たの。俺は昨日既に退院して、色々と情報集めていたんですけ・・・]
すると、轟のお母さんが前に出て、土下座をしてホークスに頭を下げたのだ。
「ウチの息子が・・・申し訳ありませんでした」
驚く三人に、ホークスは必死に否定する。
[やややや、そういうつもりで出てきたんじゃないんで!やめて下さい、奥さん!]
「荼毘について伺いたかっただけです・・・!盗み聞きは、違法デニムでしたが・・・」
(違法デニムとは?)
誰もが突っ込みたくなるが、ベストジーニストは至って真面目に轟のお母さんに手を差しのべている。
「怨嗟の原点は、捜査の手掛かりになります。その後の"どう生き延びどうやって荼毘へと変貌を遂げたか"は、本人に聞くとしましょう」
[俺、あなたの昔の映像とかよく観てましたけど、若い頃の執念がまさかこんな形で肥大していたとは・・・ショックですねー]
ホークスがプロヒーローになりたいと思ったきっかけ、原点はエンデヴァーだと歌恋に教えてくれていた。
エンデヴァーは何も言わない。自分の犯した過ちを、彼はちゃんと理解している。
家族が、それを後押ししてくれている。この家族はいま、必死に幸せを探している。つかみかけている。大丈夫だ。
「あの・・・こんなこと言うのはおこがましいのかもしれませんが、荼毘が、自分を見て欲しいって言ってました。
だから今度、もし荼毘が帰ったら・・・彼を見てあげてください」
「・・・あぁ、ありがとう」
ベストジーニストが髪を整えながら、歌恋に聞く。
「えーと、轟くんの様子を見にきたんですけど、いなくて。どうしようかな、と思ってたところでした」
[俺たちはこれからエンデヴァーさんの所に行くんだけど、一緒に来る?ショートくんもそっちじゃないかな?]
「友達から、家族がお見舞いに来てるって教えてくれたので、もしかしたらそうかもしれません。
でも、お邪魔じゃないでしょうか・・・?」
[歌恋ちゃんもきになってるんでしょ、荼毘のこととか]
「!」
「まだ傷が癒えきっていないだろうが、表に出て情報をまとめねばならなくてね。彼にはまだ死なれては困るのさ」
[部屋は俺たちが知ってる]
歌恋は二人とエンデヴァーの部屋に向かう。向かう途中、またどうしようと心が揺れたが、もう考えないようにしていた。
ホークスたちの話に、聞きたかったことを沢山聞いた。ホークスがベストジーニストを仮死状態にした経緯。
ヴィラン連合にいつからスパイとして動いていたのか。背中の羽根がないのは、誰のせいなのか・・・。
ホークスに、沢山聞いてくるね、なんて苦笑されたけれど、包み隠さず話してくれた。
話してくれたことに、気分がスッキリしていく。邪魔なわけじゃなかったのかって。
話を聞いていく内に、公安はなんだかヒーローとしては違うな、と内心思ったり。
そうしていく内にエンデヴァーが入院している部屋についたようだ。だけど、ドアを開ける前に話声が聞こえた。
「一番辛いのはあなたじゃないし、あの子を見なかったのはあなただけじゃない」
(・・・この声・・・)
中に入らず、歌恋とホークスとベストジーニストは、こっそり様子を伺う。
「私は病院に隔離され、そして燈矢の事を聞いた・・・。完全に心が壊れてしまった。
・・・あなたは、行かなかった」
「・・・薪をくべてしまうだけだと・・・いや、何と声を掛けたらいいのか、わからなかったんだ」
「私も、そうだった」
「あの日、全て諦めていれば・・・燈矢を殺してしまったことで、後に引けなくなっていた・・・。
焦凍に傾倒する他・・・なくなっていた」
「エスカレートしていくあなたがおぞましくて・・・子供たちにまで面影を見るようになってしまった」
「壊れてるのを知りながら・・・怖くて踏み込めなかった・・・上っ面で繕うことしか・・・してこなかった」
「全部あんたが始めた事で、あんたが原因だ。でも、俺がぶん殴って燈矢兄と向かい合わせてやれてたら・・・、
荼毘は生まれてなくて、焦凍に盛り蕎麦をご馳走してやれてたかもしれない」
「責任は、あなただけのものじゃない。心が砕けても、私たちが立たせます。あなたは荼毘と戦うしかないの」
「・・・おまえ・・・本当に・・・冷か・・・?」
「私たちよりよっぽど辛いハズの子が、恨んで当然の私を、再びお母さんと呼んでくれた。
雄英高校でお友だちをつくって、私たちをつなぎとめてくれた。焦凍が轟家(ウチ)のヒーローになってくれたのよ」
大事な家族の話。轟の家族の話は、彼から聞いている。でも、改めて突きつけられる現実に、動揺してしまう。
(私・・・)
彼は、彼の心はきっと人一倍強いのかもしれない。故に、一番脆くもあるのだろう。
だから彼は、とても優しい。優しく育ってくれたのだ。出逢った頃他人を寄せ付けようとしなかったのも、
周りの人間を巻き込もうとしなかったから。
火傷して出しずらい声を、咳払いしてから轟はゆっくり話す。
「ここに・・・来る前に、お母さんと話した。おまえが・・・もう、戦えねェと思って。
俺が、やるしかねェって思ってた・・・。でも、違うみてえだ。泣き終わったら立てよ。皆で燈矢兄を止めに行こう」
「ショーォォトォォーー!!!」
豪快に泣くその姿は見えなくても思う。
(ほら、端からみればやっぱりエンデヴァーも親バカなんだよ)
荼毘・・・燈矢が言っていた、自分を見て欲しいって。
[すみませーん]
突如、ホークスがドアを開けた。歌恋は驚いて、思わずホークスの背中に隠れる。
[話、立ち聞きしちゃいました。その家族旅行、俺らもご一緒してよろしいですかね?]
(ベストジーニスト、ホークス・・・!)
No.2とNo.3が一緒にいることに、少し目を見開く轟。そこにあと一人、よく知る子もいた。
(歌恋・・・)
[なんで隠れるの?]
彼女はそうホークスに聞かれている。
「な、なんとなく」
「歌恋ちゃん!」
冬美が嬉しそうに手を振ってくれる。けど、歌恋は苦笑いを返すだけだった。
轟の方に目を移せば、視線が合う。だけど、お互い気まずくて反らしてしまった。
「?」
他の轟家の人からすれば、二人の態度に疑問がわが、この状況で聞くものはいない。
「ホークスが、ドア開けると思わなくて・・・」
ホークスのそばで、こそこそっと話す歌恋。機械を使って声を出す為、小さい声では喋れない。
[なんの為にここに来たの。俺は昨日既に退院して、色々と情報集めていたんですけ・・・]
すると、轟のお母さんが前に出て、土下座をしてホークスに頭を下げたのだ。
「ウチの息子が・・・申し訳ありませんでした」
驚く三人に、ホークスは必死に否定する。
[やややや、そういうつもりで出てきたんじゃないんで!やめて下さい、奥さん!]
「荼毘について伺いたかっただけです・・・!盗み聞きは、違法デニムでしたが・・・」
(違法デニムとは?)
誰もが突っ込みたくなるが、ベストジーニストは至って真面目に轟のお母さんに手を差しのべている。
「怨嗟の原点は、捜査の手掛かりになります。その後の"どう生き延びどうやって荼毘へと変貌を遂げたか"は、本人に聞くとしましょう」
[俺、あなたの昔の映像とかよく観てましたけど、若い頃の執念がまさかこんな形で肥大していたとは・・・ショックですねー]
ホークスがプロヒーローになりたいと思ったきっかけ、原点はエンデヴァーだと歌恋に教えてくれていた。
エンデヴァーは何も言わない。自分の犯した過ちを、彼はちゃんと理解している。
家族が、それを後押ししてくれている。この家族はいま、必死に幸せを探している。つかみかけている。大丈夫だ。
「あの・・・こんなこと言うのはおこがましいのかもしれませんが、荼毘が、自分を見て欲しいって言ってました。
だから今度、もし荼毘が帰ったら・・・彼を見てあげてください」
「・・・あぁ、ありがとう」