第四話 審議
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最先端最高峰の治療を受けられる、セントラル病院。その病室で歌恋は目が覚めた。
(・・・・・・・・・・)
まだ麻酔が効いているのか、ボーッとする。両肩は動きが固定されたみたいに重い。
(・・・生きてる・・・皆は・・・?)
自分が今どうあるべきか。視線を動かし体の具合を確認する。荼毘に焼かれた体も、だいぶ落ち着いていた。
体中が包帯だらけだが、ヒリヒリと痛みももうない。きっと肩も元に戻ったのだろう。
「あっ、歌恋!」
開いたドアの方をみると、耳郞が耳のイヤホン部分を包帯に巻かれたまま、小走りにそっと抱き締めてくれた。
「響香ちゃん」
「よかった・・・マジェスティックが逃がしてくれた時歌恋いなかったから、何処にいったのかって、めっちゃ心配した」
「ごめんなさい・・・」
「あーゆー時、登坂さん無茶苦茶するからね」
「尾白くん」
「元気そうでよかった」
「他の皆は?」
耳郞と尾白は、複雑そうな表情で顔を合わせる。
「・・・とりあえず、A組は皆無事だよ」
この病院にいるとわかって、歌恋はホッとする。けど、深刻な表情で尾白は続けた。
「けど、まだ緑谷と爆豪が目を覚ましてない」
「・・・!」
「手術は成功してるから、大丈夫だって。相澤先生は片目をやられて"個性"が今後使えるかわからない。
それと・・・ミッドナイト先生も、マジェスティックも・・・」
命を落とした。だからあの時、ミッドナイト先生は八百万に巨人を眠らせることを頼んだのだ。
あの後、切島や芦戸、八百万らが捜しに行ったけど、遅かった。
「ウチがもっと、音を拾えてればよかったんだ」
「響香ちゃんのせいじゃないよ」
もう、ミッドナイト先生の授業は受けれないのか。楽しかったのに、優しかった先生だったのに。
爆豪の決まったヒーロー名、ミッドナイト先生なら絶対却下するだろうになとか、楽しみだったのにな。
もう、会えない。いない。さよならも言えなかった。
皆皆、傷を負った。誰も苦しみなんて望んでないのに。戦うだけじゃ解決口があるわけじゃないのに。
「・・・焦凍は・・・」
ミッドナイト先生の事を想うと、涙が溢れだしそうになってしまう。
「轟は、火傷が酷くて今、声が出せずらいみたい」
「え・・・?」
「連合の・・・荼毘?お兄さんの火力の方が圧倒的だったって」
「ねぇ、荼毘が流した映像は、皆が知ってるの?」
尾白も耳郞も、ぎこちなく頷く。皆知ってしまった、轟家の悲惨な過去。
轟自身がどこまでお兄さんの事を知ってるのかは分からない。話を聞いている時、彼も驚いていた。
プロヒーローのあり方って何なのか。エンデヴァーも、ホークスも。
今日の夕方の診察を受けて、明日には退院できると言ってもらえた。
(お母さんたちにも連絡しないと・・・)
スマホの画面をみても、轟から連絡はない。クラスのほとんどから連絡もらい返事はしているけど。
自分からどう連絡いれていいのか分からなかった。
『逃げてくれ』
あの時、ああに言ってくれたのに。でも、あの状態で逃げれたのかも分からない。
「あ、おか」
「歌恋!!あんた、いい加減戻ってくるきはないの!?やっぱりお母さんは不安しかないわ!
雄英は何か隠してるんじゃない!?エンデヴァーって、あれは・・・」
「待って、待って!いろいろ言いたいのわかるけど!私はもう明日退院できるし、雄英も関係ないし!」
「焦凍くんは何も話してくれないの?そんなんじゃ嘘つかれてない!?」
「焦凍は何にも悪くない!悪いのはエンデ・・・」
悪いのは、誰・・・?
「ごめんなさい・・・お母さん・・・」
「歌恋!!」
何にも聞きたくなくて、通話を切った。轟は何も悪くない。
少しくらいなら、病院内を歩いても大丈夫だろう。尾白と耳郞から聞いた、彼の部屋番号。
それに、明日また皆がお見舞いに来てくれるって。それまでに、二人で。
「えーっと・・・ここだ」
ドアの前で小さく深呼吸をし、そっと、ドアを開けた。
「・・・・・・・・・」
轟は窓の方に顔を向けている。生きていてくれているその姿を見て、無性に安心して。涙がまた溢れて。
「焦凍・・・!」
名前を呼んで、気づけば駆け寄っていた。振り向いた轟は、驚いている。彼も包帯に巻かれ、点滴をうけている最中だ。
「・・・あ・・・」
声が掠れている。火傷の影響でって、聞いてはいたけど。
「・・・・・・・・・」
何も喋らず、彼は顔をまた窓の外に向けてしまった。
「・・・しょう、と・・・?」
轟に触れようとしたけれど、触れようとした手を思わず引っ込める。
「・・・・・なに、も・・・できな、かった・・・・・負けた・・・・・」
「焦凍だけじゃない、私だって同じだよ。生きていてくれて、嬉しい。安心した」
「・・・歌恋のこと、いつの間にか大事になりすぎてた・・・。荼毘・・・燈矢兄に、なにされた・・・?」
脳裏に浮かぶのは、ビー玉の時にされた荼毘のあの仕草。
「っ・・・!」
轟の表情に、ゾクリと寒気が走る。その目は、忘れかけていたあの目付き。本気だ。本気で彼は怒ってる。
「あ、あれは・・・!その・・・!」
どう言い訳すればいいのか戸惑い、歌恋は胸元であたふた両手を振るう。
自ら敵陣に突っ込んで問い詰めて。求めている答えなんかないとわかりそうなことだと思われて。
それでも、連合の彼らに聞きたかった。どうして戦う必要があるのか、どうしてそうしなければいけないのか。
「・・・戦うだけがヒーローじゃないって、思いたかった。
ヒーローは、街をパトロールして皆に声をかけてもらえて。道歩く人が困ってて、それに手を差しのべてる。
皆に頼りにしてもらえて、その場が明るくて、信頼されて。でも、現実はそうじゃなかった」
自分たちが知ってるヒーローは、表の明るい世界。それに憧れて、カッコよくなりたいからヒーローを目指して。
インターン行って、ホークスの元でどれだけプロヒーローが孤独なのか知った。
大きな羽根に包まれて、儚さと強さをもって。エンデヴァーだって、きっとそうだ。
あの大きな背中を、見てる人はちゃんと見てる。本人に届かないのがもどかしい。
「辛い戦いばかりがヒーローなのかな。どうすれば、ヴィランなんてのを産み出さなくていいのかな。
それを連合の奴らに聞きたかった。荼毘は言ってた、自分を魅て欲しいって。
トガヒミコも、仲間が大事だって言ってた。解決策が彼らになくて、皆私みたいに迷ってるだけなんだって」
それを隣で支えてくれる人がいるかいないかで、大きく変わってしまう。
「・・・だから私は、彼らに何もされてない」
轟はギリッと、歯をくいしばる。伸ばした左手は、歌恋の服を乱暴に掴み寄せた。
「!」
体制を崩し、ベッドの端に体が当たらないようにベッドの頭にある柵にガシャンと派手な音をたてながら手を掴む。
「何もされてねェ!?じゃあ、その体は何だ!?誰の火だ!?あいつの炎は親父の炎だ!
俺の炎も同じだ!誰がやったとか関係ねェ!あの場にいりゃ、誰の炎だって同じだよな!?
燈矢兄がビー玉になったアンタに何したか知ってるか!?動けねェアンタを突き落とす!
焼かれた体を見て、目を閉じてる歌恋を見て!また俺は何も出来ねえ!
もっと怒ってくれよ!もっと頼ってくれ!ここに何しにきた!?」
(・・・・・・・・・・)
まだ麻酔が効いているのか、ボーッとする。両肩は動きが固定されたみたいに重い。
(・・・生きてる・・・皆は・・・?)
自分が今どうあるべきか。視線を動かし体の具合を確認する。荼毘に焼かれた体も、だいぶ落ち着いていた。
体中が包帯だらけだが、ヒリヒリと痛みももうない。きっと肩も元に戻ったのだろう。
「あっ、歌恋!」
開いたドアの方をみると、耳郞が耳のイヤホン部分を包帯に巻かれたまま、小走りにそっと抱き締めてくれた。
「響香ちゃん」
「よかった・・・マジェスティックが逃がしてくれた時歌恋いなかったから、何処にいったのかって、めっちゃ心配した」
「ごめんなさい・・・」
「あーゆー時、登坂さん無茶苦茶するからね」
「尾白くん」
「元気そうでよかった」
「他の皆は?」
耳郞と尾白は、複雑そうな表情で顔を合わせる。
「・・・とりあえず、A組は皆無事だよ」
この病院にいるとわかって、歌恋はホッとする。けど、深刻な表情で尾白は続けた。
「けど、まだ緑谷と爆豪が目を覚ましてない」
「・・・!」
「手術は成功してるから、大丈夫だって。相澤先生は片目をやられて"個性"が今後使えるかわからない。
それと・・・ミッドナイト先生も、マジェスティックも・・・」
命を落とした。だからあの時、ミッドナイト先生は八百万に巨人を眠らせることを頼んだのだ。
あの後、切島や芦戸、八百万らが捜しに行ったけど、遅かった。
「ウチがもっと、音を拾えてればよかったんだ」
「響香ちゃんのせいじゃないよ」
もう、ミッドナイト先生の授業は受けれないのか。楽しかったのに、優しかった先生だったのに。
爆豪の決まったヒーロー名、ミッドナイト先生なら絶対却下するだろうになとか、楽しみだったのにな。
もう、会えない。いない。さよならも言えなかった。
皆皆、傷を負った。誰も苦しみなんて望んでないのに。戦うだけじゃ解決口があるわけじゃないのに。
「・・・焦凍は・・・」
ミッドナイト先生の事を想うと、涙が溢れだしそうになってしまう。
「轟は、火傷が酷くて今、声が出せずらいみたい」
「え・・・?」
「連合の・・・荼毘?お兄さんの火力の方が圧倒的だったって」
「ねぇ、荼毘が流した映像は、皆が知ってるの?」
尾白も耳郞も、ぎこちなく頷く。皆知ってしまった、轟家の悲惨な過去。
轟自身がどこまでお兄さんの事を知ってるのかは分からない。話を聞いている時、彼も驚いていた。
プロヒーローのあり方って何なのか。エンデヴァーも、ホークスも。
今日の夕方の診察を受けて、明日には退院できると言ってもらえた。
(お母さんたちにも連絡しないと・・・)
スマホの画面をみても、轟から連絡はない。クラスのほとんどから連絡もらい返事はしているけど。
自分からどう連絡いれていいのか分からなかった。
『逃げてくれ』
あの時、ああに言ってくれたのに。でも、あの状態で逃げれたのかも分からない。
「あ、おか」
「歌恋!!あんた、いい加減戻ってくるきはないの!?やっぱりお母さんは不安しかないわ!
雄英は何か隠してるんじゃない!?エンデヴァーって、あれは・・・」
「待って、待って!いろいろ言いたいのわかるけど!私はもう明日退院できるし、雄英も関係ないし!」
「焦凍くんは何も話してくれないの?そんなんじゃ嘘つかれてない!?」
「焦凍は何にも悪くない!悪いのはエンデ・・・」
悪いのは、誰・・・?
「ごめんなさい・・・お母さん・・・」
「歌恋!!」
何にも聞きたくなくて、通話を切った。轟は何も悪くない。
少しくらいなら、病院内を歩いても大丈夫だろう。尾白と耳郞から聞いた、彼の部屋番号。
それに、明日また皆がお見舞いに来てくれるって。それまでに、二人で。
「えーっと・・・ここだ」
ドアの前で小さく深呼吸をし、そっと、ドアを開けた。
「・・・・・・・・・」
轟は窓の方に顔を向けている。生きていてくれているその姿を見て、無性に安心して。涙がまた溢れて。
「焦凍・・・!」
名前を呼んで、気づけば駆け寄っていた。振り向いた轟は、驚いている。彼も包帯に巻かれ、点滴をうけている最中だ。
「・・・あ・・・」
声が掠れている。火傷の影響でって、聞いてはいたけど。
「・・・・・・・・・」
何も喋らず、彼は顔をまた窓の外に向けてしまった。
「・・・しょう、と・・・?」
轟に触れようとしたけれど、触れようとした手を思わず引っ込める。
「・・・・・なに、も・・・できな、かった・・・・・負けた・・・・・」
「焦凍だけじゃない、私だって同じだよ。生きていてくれて、嬉しい。安心した」
「・・・歌恋のこと、いつの間にか大事になりすぎてた・・・。荼毘・・・燈矢兄に、なにされた・・・?」
脳裏に浮かぶのは、ビー玉の時にされた荼毘のあの仕草。
「っ・・・!」
轟の表情に、ゾクリと寒気が走る。その目は、忘れかけていたあの目付き。本気だ。本気で彼は怒ってる。
「あ、あれは・・・!その・・・!」
どう言い訳すればいいのか戸惑い、歌恋は胸元であたふた両手を振るう。
自ら敵陣に突っ込んで問い詰めて。求めている答えなんかないとわかりそうなことだと思われて。
それでも、連合の彼らに聞きたかった。どうして戦う必要があるのか、どうしてそうしなければいけないのか。
「・・・戦うだけがヒーローじゃないって、思いたかった。
ヒーローは、街をパトロールして皆に声をかけてもらえて。道歩く人が困ってて、それに手を差しのべてる。
皆に頼りにしてもらえて、その場が明るくて、信頼されて。でも、現実はそうじゃなかった」
自分たちが知ってるヒーローは、表の明るい世界。それに憧れて、カッコよくなりたいからヒーローを目指して。
インターン行って、ホークスの元でどれだけプロヒーローが孤独なのか知った。
大きな羽根に包まれて、儚さと強さをもって。エンデヴァーだって、きっとそうだ。
あの大きな背中を、見てる人はちゃんと見てる。本人に届かないのがもどかしい。
「辛い戦いばかりがヒーローなのかな。どうすれば、ヴィランなんてのを産み出さなくていいのかな。
それを連合の奴らに聞きたかった。荼毘は言ってた、自分を魅て欲しいって。
トガヒミコも、仲間が大事だって言ってた。解決策が彼らになくて、皆私みたいに迷ってるだけなんだって」
それを隣で支えてくれる人がいるかいないかで、大きく変わってしまう。
「・・・だから私は、彼らに何もされてない」
轟はギリッと、歯をくいしばる。伸ばした左手は、歌恋の服を乱暴に掴み寄せた。
「!」
体制を崩し、ベッドの端に体が当たらないようにベッドの頭にある柵にガシャンと派手な音をたてながら手を掴む。
「何もされてねェ!?じゃあ、その体は何だ!?誰の火だ!?あいつの炎は親父の炎だ!
俺の炎も同じだ!誰がやったとか関係ねェ!あの場にいりゃ、誰の炎だって同じだよな!?
燈矢兄がビー玉になったアンタに何したか知ってるか!?動けねェアンタを突き落とす!
焼かれた体を見て、目を閉じてる歌恋を見て!また俺は何も出来ねえ!
もっと怒ってくれよ!もっと頼ってくれ!ここに何しにきた!?」