第三話 醜悪
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「ごめんなさい!!」
巨人の力に、腕の限界。肩が脱臼したのかしないのか。
(腕が、上がらない・・・!)
「立て直す!!」
完全に立ち上がってしまう巨人。しかし、エンデヴァーの渾身の一撃が顔面に直撃した。
立ち上がった巨人は、倒れたまま、もたつきをみせる。
「マキアぁ!?」
「~~!?力が・・・!」
エンデヴァーの一撃が効いたのか、いや、それと相まってなのか。
「・・・麻酔・・・?」
切島が唯一放り込んでくれた、八百万特性の麻酔の効果がいま、ようやく発揮されてきてるということなのか。
「山荘から連絡あったけど、効果なかったって・・・」
歌恋の隣で、通形が確認するように言うが、ベストジーニストがハッキリ言った。
「麻酔が効いてる!この場で麻酔の効果が表れたこと・・・!きっと偶然では、ないハズだ。
多くの者が少しずつ、強大な此奴を削り、効果が表れる程に弱らせたのだと、私は信じる・・・!
一本は細くとも、縒って連なり縄となったのだ。どれか一本ほつれていても、この結果は生じ得なかったと!私は信じる!!」
あと、一息。
「君、もう限界だよね!」
一体一体、脳無のパワーもスピードも尋常じゃない。腕が下がりきったままの歌恋を、
通形を狙っていた脳無の攻撃に巻き添えになりかけた。通形に抱き抱えられた状態にどうもできない。
「すみません、足引っ張ってます」
「そんな事ないさ。恐らく、一体一体が九州の脳無に匹敵する程の強さ。雑兵に与えられていいスペックじゃないんだよね!!」
巨人が麻酔の効果で横たわる。ベストジーニストに照準が向かないようにと、皆で脳無と戦う。
ベストジーニストの"繊維"が、さらにヴィラン連合をきつく締める。
しかし、Mr.コンプレスが自身の体を抉り、腕の可動スペースを確保してしまう。
彼に触れられたら、皆あのビー玉の中に閉じ込められてしまう。捕まえていたスピナーも死柄木も同じだ。
「先輩!」
抱えられていたからか、敵の一部始終の動きに目が入っていた。このままじゃ逃げられてしまう。
「私、足は大丈夫です」
「オッケー!」
Mr.コンプレスのせいで、ヴィラン連合が次々姿を消していく。ベストジーニストの"繊維"を燃やせる燈矢は、状況を把握したらしい。
「燈矢ーー!!」
「ごめん焦凍。事情が変わった」
二人の赫灼熱拳ジェットバーンが、辺りを眩く照らす。そこから、落ちる姿に目がいった。
「焦凍!!!」
あの、クラス一の炎の使い手の彼が、荼毘の放つ青い炎に負けた。
「轟炎司がまだ壊れてない上に、気絶しちまったらこのショーの意味がない。ごめんな、最高傑作。
それに、まだ二人で傷の舐めあいしていたいだろ?もっともっと、くれてやるよ」
二人で一緒にいたいと思えば思うほど。離れ離れにして粉々にして。
「楽しみだよ、登坂歌恋。焦凍をもっと、たくさん好きになってくれよ」
轟に駆け寄る前に、空中にいる荼毘に向け睨む。視線がぶつかれば、荼毘は本当に楽しそうにニヤニヤしていた。
炎で燃えて体は痛くないのだろうか。焦凍よりも強力な炎は、彼の体から煙が出ているのに。
「こんな・・・こんな事して、傷付いてるのは皆一緒なのに・・・」
「だからアンタ、幸せ家族なんだよ」
「来い!荼毘!!」
「・・・・・・・」
仲間に呼ばれた荼毘は、そのままMr.コンプレスのビー玉になり、手の内におさまる。
「俺ァ張間の孫の孫!!盗賊王の血を継ぐ男!!カゲが薄いと思ってた!?そりゃこちらの術中よ!
ここぞという時、その為にーータネはとっとくもんなのよ。Mr.コンプレス、一世一代!!脱出ショウの開演だ!!」
Mr.コンプレスはビー玉にしていた死柄木とスピナーを元にもどしている。自ら致命傷を負いながら。
だがMr.コンプレスは、通形が行く手を阻んだ。
(通形先輩とベストジーニストが捕まえてくれてる。焦凍は!よかった)
彼は、無事だ。次の瞬間、訳もわからないまま強風に突き飛ばされる。
倒れたまま顔を上げ周囲を伺うと、顔にボロボロになった手をつけた死柄木が立ち上がっていた。
「本当に・・・良い仲間を持った・・・。心とは、力だ。彼の心が原点を強く抱けば抱く程共生する。
僕の意識も強くなる。憎しみを絶やすな、弔」
脳無が、さらに速く強くなる。
「「電波」を上手く扱えば、脳無たちに具体的な"信号"を送る事も可能だ。孵化したての弔には、まだ難しいだろうね」
(この声・・・確か・・・)
神野でオールマイトが最後に戦った相手。確か死柄木が、先生と呼んでいた奴の声。
体は死柄木のもののままなのに。
「死柄木、待て。コンプレスが!マキアはどうする!?それに、トガも」
「いいんだ、伊口くん。弔は負けた、ワン・フォー・オールとエンデヴァーに。その代償は潔く差し出そう、全ては僕の為に」
動ける脳無が、ヴィラン連合を連れ出そうとしている。
「荼毘もそっちだ!!」
「逃がすな!!」
黒鞭を使い、瀕死状態の死柄木に巻き付け緑谷が詰め寄る。
「この体が仕上がったらまた会おう、出来損ないの緑谷出久」
「おまえは黙ってろ・・・!オール・フォー・ワン!!」
「また会おう」
死柄木が手をかざしただけで起こる空気砲。
「死・・・柄木・・・!!」
大勢殺した!
(皆を傷つけた。許せるハズがない、許せない)
けれど、あの時・・・オール・フォー・ワンに飲まれたおまえが。
「待て・・・!!おまえを・・・必ず・・・」
あの時、おまえが、おまえの顔が。
救けを求めたように見えた。
その後。
前線の生存者、そして、避難・救助等各々の役割を遂行し終え、前線へ向かった者。
動ける者が死柄木の撤退を阻むも、脳無(以下、ニア・ハイエンドと呼称)による、
突然の陽動・撹乱行動、統率された連携に、ヒーローたちは翻弄されつつ、3体のニア・ハイエンドを仕留める。
しかし、残り7体と共に死柄木一行は、行方をくらました。ギガントマキア(巨人)、Mr.コンプレス確保。
リ・デストロ、外典、トランペット他、超常解放戦線構成員多数確保。
死柄木は死んでいた。装置を壊された時点で蘇生の道は絶たれていた。
その時の"感電"は傍らのエクスレスにすら感じ取れない程度のかすかなもので、
蘇生には不十分な電力だった。死柄木を蘇らせたのは夢と憎しみ。
たった一つの死柄木の執念によって、多くの者が散っていった。
そして、街の人々のヒーローへの不安は、荼毘の演説により、現No.1ヒーローエンデヴァーへの疑問を膨れ上がらせていた。
巨人の力に、腕の限界。肩が脱臼したのかしないのか。
(腕が、上がらない・・・!)
「立て直す!!」
完全に立ち上がってしまう巨人。しかし、エンデヴァーの渾身の一撃が顔面に直撃した。
立ち上がった巨人は、倒れたまま、もたつきをみせる。
「マキアぁ!?」
「~~!?力が・・・!」
エンデヴァーの一撃が効いたのか、いや、それと相まってなのか。
「・・・麻酔・・・?」
切島が唯一放り込んでくれた、八百万特性の麻酔の効果がいま、ようやく発揮されてきてるということなのか。
「山荘から連絡あったけど、効果なかったって・・・」
歌恋の隣で、通形が確認するように言うが、ベストジーニストがハッキリ言った。
「麻酔が効いてる!この場で麻酔の効果が表れたこと・・・!きっと偶然では、ないハズだ。
多くの者が少しずつ、強大な此奴を削り、効果が表れる程に弱らせたのだと、私は信じる・・・!
一本は細くとも、縒って連なり縄となったのだ。どれか一本ほつれていても、この結果は生じ得なかったと!私は信じる!!」
あと、一息。
「君、もう限界だよね!」
一体一体、脳無のパワーもスピードも尋常じゃない。腕が下がりきったままの歌恋を、
通形を狙っていた脳無の攻撃に巻き添えになりかけた。通形に抱き抱えられた状態にどうもできない。
「すみません、足引っ張ってます」
「そんな事ないさ。恐らく、一体一体が九州の脳無に匹敵する程の強さ。雑兵に与えられていいスペックじゃないんだよね!!」
巨人が麻酔の効果で横たわる。ベストジーニストに照準が向かないようにと、皆で脳無と戦う。
ベストジーニストの"繊維"が、さらにヴィラン連合をきつく締める。
しかし、Mr.コンプレスが自身の体を抉り、腕の可動スペースを確保してしまう。
彼に触れられたら、皆あのビー玉の中に閉じ込められてしまう。捕まえていたスピナーも死柄木も同じだ。
「先輩!」
抱えられていたからか、敵の一部始終の動きに目が入っていた。このままじゃ逃げられてしまう。
「私、足は大丈夫です」
「オッケー!」
Mr.コンプレスのせいで、ヴィラン連合が次々姿を消していく。ベストジーニストの"繊維"を燃やせる燈矢は、状況を把握したらしい。
「燈矢ーー!!」
「ごめん焦凍。事情が変わった」
二人の赫灼熱拳ジェットバーンが、辺りを眩く照らす。そこから、落ちる姿に目がいった。
「焦凍!!!」
あの、クラス一の炎の使い手の彼が、荼毘の放つ青い炎に負けた。
「轟炎司がまだ壊れてない上に、気絶しちまったらこのショーの意味がない。ごめんな、最高傑作。
それに、まだ二人で傷の舐めあいしていたいだろ?もっともっと、くれてやるよ」
二人で一緒にいたいと思えば思うほど。離れ離れにして粉々にして。
「楽しみだよ、登坂歌恋。焦凍をもっと、たくさん好きになってくれよ」
轟に駆け寄る前に、空中にいる荼毘に向け睨む。視線がぶつかれば、荼毘は本当に楽しそうにニヤニヤしていた。
炎で燃えて体は痛くないのだろうか。焦凍よりも強力な炎は、彼の体から煙が出ているのに。
「こんな・・・こんな事して、傷付いてるのは皆一緒なのに・・・」
「だからアンタ、幸せ家族なんだよ」
「来い!荼毘!!」
「・・・・・・・」
仲間に呼ばれた荼毘は、そのままMr.コンプレスのビー玉になり、手の内におさまる。
「俺ァ張間の孫の孫!!盗賊王の血を継ぐ男!!カゲが薄いと思ってた!?そりゃこちらの術中よ!
ここぞという時、その為にーータネはとっとくもんなのよ。Mr.コンプレス、一世一代!!脱出ショウの開演だ!!」
Mr.コンプレスはビー玉にしていた死柄木とスピナーを元にもどしている。自ら致命傷を負いながら。
だがMr.コンプレスは、通形が行く手を阻んだ。
(通形先輩とベストジーニストが捕まえてくれてる。焦凍は!よかった)
彼は、無事だ。次の瞬間、訳もわからないまま強風に突き飛ばされる。
倒れたまま顔を上げ周囲を伺うと、顔にボロボロになった手をつけた死柄木が立ち上がっていた。
「本当に・・・良い仲間を持った・・・。心とは、力だ。彼の心が原点を強く抱けば抱く程共生する。
僕の意識も強くなる。憎しみを絶やすな、弔」
脳無が、さらに速く強くなる。
「「電波」を上手く扱えば、脳無たちに具体的な"信号"を送る事も可能だ。孵化したての弔には、まだ難しいだろうね」
(この声・・・確か・・・)
神野でオールマイトが最後に戦った相手。確か死柄木が、先生と呼んでいた奴の声。
体は死柄木のもののままなのに。
「死柄木、待て。コンプレスが!マキアはどうする!?それに、トガも」
「いいんだ、伊口くん。弔は負けた、ワン・フォー・オールとエンデヴァーに。その代償は潔く差し出そう、全ては僕の為に」
動ける脳無が、ヴィラン連合を連れ出そうとしている。
「荼毘もそっちだ!!」
「逃がすな!!」
黒鞭を使い、瀕死状態の死柄木に巻き付け緑谷が詰め寄る。
「この体が仕上がったらまた会おう、出来損ないの緑谷出久」
「おまえは黙ってろ・・・!オール・フォー・ワン!!」
「また会おう」
死柄木が手をかざしただけで起こる空気砲。
「死・・・柄木・・・!!」
大勢殺した!
(皆を傷つけた。許せるハズがない、許せない)
けれど、あの時・・・オール・フォー・ワンに飲まれたおまえが。
「待て・・・!!おまえを・・・必ず・・・」
あの時、おまえが、おまえの顔が。
救けを求めたように見えた。
その後。
前線の生存者、そして、避難・救助等各々の役割を遂行し終え、前線へ向かった者。
動ける者が死柄木の撤退を阻むも、脳無(以下、ニア・ハイエンドと呼称)による、
突然の陽動・撹乱行動、統率された連携に、ヒーローたちは翻弄されつつ、3体のニア・ハイエンドを仕留める。
しかし、残り7体と共に死柄木一行は、行方をくらました。ギガントマキア(巨人)、Mr.コンプレス確保。
リ・デストロ、外典、トランペット他、超常解放戦線構成員多数確保。
死柄木は死んでいた。装置を壊された時点で蘇生の道は絶たれていた。
その時の"感電"は傍らのエクスレスにすら感じ取れない程度のかすかなもので、
蘇生には不十分な電力だった。死柄木を蘇らせたのは夢と憎しみ。
たった一つの死柄木の執念によって、多くの者が散っていった。
そして、街の人々のヒーローへの不安は、荼毘の演説により、現No.1ヒーローエンデヴァーへの疑問を膨れ上がらせていた。