第十四話 根幹
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「はぁ・・・はぁ・・・(追って来ない・・・)」
何を期待しているのだろう。どうして逃げてしまったのだろう。燐とちゃんと話すと決めたのに。
顔を見るだけで怖くなってしまった。何を言われるのか、嫌な方向ばかり考えてしまって。
ーお前なんていらないー
そう、いつか言われてもおかしくない行動をしているから。
そんな言葉を聞くくらいなら、彼から逃げていた方が気が楽なきがしてならなかった。
「あ、玲薇」
名前を呼ばれ、ビクッと震えた。燐に呼ばれたと思ったけど、違う顔を見て安心する。
「雪男・・・」
「兄さんと一緒じゃないの?」
「あ・・・え〜と、まぁ・・・」
誤魔化し用の言葉が思い浮かばない。
「あれ?雪男今日、退院だったっけ?」
「調子が良かったから、昨日退院したんだよ」
「なんだ、連絡くれればよかったのに」
「そのまま仕事してたから。玲薇に会えて丁度良かった」
「なに?」
悲しい顔を見られて雪男には心配させてたくなかった。だから笑顔を作った。
それなのに、どうしてだろう。
「・・・僕なら、そんな顔を玲薇にはさせないよ」
「え?」
「ところで、兄さんは?玲薇にも話があるんだけど」
「話?」
御手洗に行くと軽く嘘をついた後にまたすぐ戻ることになるとは思ってなかったけど。
皆、雪男の顔を見て賑わいを見せた。
「皆さん、ちょっといいですか?」
「雪男!?え、なに、玲薇と一緒って・・・」
「・・・・・・・・・・」
思わず玲薇は、雪男の背中に隠れてしまう。
そんな彼女の代わりに、雪男が答えてくれた。
「さっき、途中で会ったんだよ」
「奥村先生、明日退院じゃ・・・?」
「体調もいいので、昨日退院して・・・そのまま騎士團本部で溜まった仕事を片付けてきたんです」
「片手じゃ、一人で色々大変だったでしょ」
「慣れれば案外大丈夫ですよ」
子猫丸やしえみの質問に、雪男は笑顔を見せる。
「ミズクセー奴だな。つーか、もっと休んでりゃいいのに」
燐も気遣わしげに言うが、雪男は軽く否定。
「そうはいっても、三日後に学期末テストだからね」
その一言で、ハッと我に返る各々。
「認定試験も大事ですが、高校生としてそっちの勉強もしないと」
忘れていたわけではないが、改めて実感させられる。テスト、赤点だけは取るまいと。
「玲薇」
雪男の背中にいたつもりが、彼が動いたお陰で身を隠す場所がなくなった。
慌ててついていくと、燐に一言声を掛け三人で皆と少し距離をとる。
ジィーと、隣で見てくる燐の視線は玲薇には痛かった。
「なんだよ」
ぶっきらぼうに問いかける燐に、玲薇にも聞こえるように雪男は話してくれる。
「なっ・・・」
驚く玲薇に、唖然とする燐。
「・・・え!?じいちゃんが・・・」
「今朝、急性心不全で亡くなったそうだ。今夜、すぐ葬儀だから学校終わったら制服のまま修道院に行こう」
「・・・そんな、急に・・・」
「どうして・・・」
「お歳だったし、仕方ない」
「・・・そう、だけどさ・・・」
「・・・どないしたん・・・?」
子猫丸が三人に向け、首を傾げた。
「あぁ・・・」
どう話していいのか分からず言葉を濁す燐に、勝呂が急遽椅子から立ち上がる。
「先行くわ。パンの金、明日返すさかい。すまんな」
「あいつ、どーした?」
そして三人はそのまま、夜行われる葬儀に参加した。
「親父が死んでまだ九ヶ月も経ってねーのに・・・二・三年ぶりに帰ってきたみたいだよ」
「・・・そうだね」
玲薇は何も言わず、2人の会話を静かに聞いていた。
「そーいや、あの日も雨だったっけ」
「そうだね」
雪男は2人と少し別れて御手洗を済ます。その帰りに耳にしてしまった。
あのライトニングが、修道院に来たということを。
「・・・燐、あのね・・・」
ボソッと、玲薇から話かけてきて燐は顔を向けてくれる。
「話そうとずっと思ってたんだけどね・・・今日みたいな日で、なんかごめんね」
あまりにもよそよそしい態度なので不安になる。
「何だよ?」
「・・・燐のこと、好きだよ。だけどね、いつも余計な事考えちゃうの」
自分の気持ちに素直になって、彼に気持ちをちゃんと分かって欲しくて。
「自分は、本当に人間なのか、それとも悪魔側なのかって」
「そんなん、決まってんだろ!」
「待って、聞いて、お願い」
真剣な玲薇の表情。燐は必ず、いつも『人間だ』と言ってくれるけれど。
「っ・・・」
「気持ちも想いも、燐と一緒だと想ってる。だけど、私が一歩踏み出せないのは何かあったらどうしようってなるから。
朔ちゃんみたいに、普通に恋愛して普通にデートして、好きな人と寄り添って、その・・・繋がって・・・。
本当は、私も燐とそうなりたいって思ってるよ。でもね、わからないじゃない。私だって普通の人じゃないかもしれない。
燐だって、他の人と同じって訳にはいかない・・・好きって気持ちだけでやってしまった後がどうしようもなく怖いの・・・」
「玲薇・・・」
「自分の事をもっとよく知らなくちゃ、前に進めない・・・」
2人の所に戻ってきていた雪男だが、彼らの前に出ずに静かに話を聞いていた。
「だから、キス止まりになっちゃうし・・・いつも否定して燐に愛想つかされてもしょうがないと自分に言い聞かせて・・・」
「・・・バカだな、俺・・・」
どこまで鈍感なんだ。こんなに悩んで悩んで相手してくれてたなんて知らなくて。
構って欲しくて散々色んな事やらかして。
「ありがとう玲薇、話してくれて」
「ごめんね、燐」
何を期待しているのだろう。どうして逃げてしまったのだろう。燐とちゃんと話すと決めたのに。
顔を見るだけで怖くなってしまった。何を言われるのか、嫌な方向ばかり考えてしまって。
ーお前なんていらないー
そう、いつか言われてもおかしくない行動をしているから。
そんな言葉を聞くくらいなら、彼から逃げていた方が気が楽なきがしてならなかった。
「あ、玲薇」
名前を呼ばれ、ビクッと震えた。燐に呼ばれたと思ったけど、違う顔を見て安心する。
「雪男・・・」
「兄さんと一緒じゃないの?」
「あ・・・え〜と、まぁ・・・」
誤魔化し用の言葉が思い浮かばない。
「あれ?雪男今日、退院だったっけ?」
「調子が良かったから、昨日退院したんだよ」
「なんだ、連絡くれればよかったのに」
「そのまま仕事してたから。玲薇に会えて丁度良かった」
「なに?」
悲しい顔を見られて雪男には心配させてたくなかった。だから笑顔を作った。
それなのに、どうしてだろう。
「・・・僕なら、そんな顔を玲薇にはさせないよ」
「え?」
「ところで、兄さんは?玲薇にも話があるんだけど」
「話?」
御手洗に行くと軽く嘘をついた後にまたすぐ戻ることになるとは思ってなかったけど。
皆、雪男の顔を見て賑わいを見せた。
「皆さん、ちょっといいですか?」
「雪男!?え、なに、玲薇と一緒って・・・」
「・・・・・・・・・・」
思わず玲薇は、雪男の背中に隠れてしまう。
そんな彼女の代わりに、雪男が答えてくれた。
「さっき、途中で会ったんだよ」
「奥村先生、明日退院じゃ・・・?」
「体調もいいので、昨日退院して・・・そのまま騎士團本部で溜まった仕事を片付けてきたんです」
「片手じゃ、一人で色々大変だったでしょ」
「慣れれば案外大丈夫ですよ」
子猫丸やしえみの質問に、雪男は笑顔を見せる。
「ミズクセー奴だな。つーか、もっと休んでりゃいいのに」
燐も気遣わしげに言うが、雪男は軽く否定。
「そうはいっても、三日後に学期末テストだからね」
その一言で、ハッと我に返る各々。
「認定試験も大事ですが、高校生としてそっちの勉強もしないと」
忘れていたわけではないが、改めて実感させられる。テスト、赤点だけは取るまいと。
「玲薇」
雪男の背中にいたつもりが、彼が動いたお陰で身を隠す場所がなくなった。
慌ててついていくと、燐に一言声を掛け三人で皆と少し距離をとる。
ジィーと、隣で見てくる燐の視線は玲薇には痛かった。
「なんだよ」
ぶっきらぼうに問いかける燐に、玲薇にも聞こえるように雪男は話してくれる。
「なっ・・・」
驚く玲薇に、唖然とする燐。
「・・・え!?じいちゃんが・・・」
「今朝、急性心不全で亡くなったそうだ。今夜、すぐ葬儀だから学校終わったら制服のまま修道院に行こう」
「・・・そんな、急に・・・」
「どうして・・・」
「お歳だったし、仕方ない」
「・・・そう、だけどさ・・・」
「・・・どないしたん・・・?」
子猫丸が三人に向け、首を傾げた。
「あぁ・・・」
どう話していいのか分からず言葉を濁す燐に、勝呂が急遽椅子から立ち上がる。
「先行くわ。パンの金、明日返すさかい。すまんな」
「あいつ、どーした?」
そして三人はそのまま、夜行われる葬儀に参加した。
「親父が死んでまだ九ヶ月も経ってねーのに・・・二・三年ぶりに帰ってきたみたいだよ」
「・・・そうだね」
玲薇は何も言わず、2人の会話を静かに聞いていた。
「そーいや、あの日も雨だったっけ」
「そうだね」
雪男は2人と少し別れて御手洗を済ます。その帰りに耳にしてしまった。
あのライトニングが、修道院に来たということを。
「・・・燐、あのね・・・」
ボソッと、玲薇から話かけてきて燐は顔を向けてくれる。
「話そうとずっと思ってたんだけどね・・・今日みたいな日で、なんかごめんね」
あまりにもよそよそしい態度なので不安になる。
「何だよ?」
「・・・燐のこと、好きだよ。だけどね、いつも余計な事考えちゃうの」
自分の気持ちに素直になって、彼に気持ちをちゃんと分かって欲しくて。
「自分は、本当に人間なのか、それとも悪魔側なのかって」
「そんなん、決まってんだろ!」
「待って、聞いて、お願い」
真剣な玲薇の表情。燐は必ず、いつも『人間だ』と言ってくれるけれど。
「っ・・・」
「気持ちも想いも、燐と一緒だと想ってる。だけど、私が一歩踏み出せないのは何かあったらどうしようってなるから。
朔ちゃんみたいに、普通に恋愛して普通にデートして、好きな人と寄り添って、その・・・繋がって・・・。
本当は、私も燐とそうなりたいって思ってるよ。でもね、わからないじゃない。私だって普通の人じゃないかもしれない。
燐だって、他の人と同じって訳にはいかない・・・好きって気持ちだけでやってしまった後がどうしようもなく怖いの・・・」
「玲薇・・・」
「自分の事をもっとよく知らなくちゃ、前に進めない・・・」
2人の所に戻ってきていた雪男だが、彼らの前に出ずに静かに話を聞いていた。
「だから、キス止まりになっちゃうし・・・いつも否定して燐に愛想つかされてもしょうがないと自分に言い聞かせて・・・」
「・・・バカだな、俺・・・」
どこまで鈍感なんだ。こんなに悩んで悩んで相手してくれてたなんて知らなくて。
構って欲しくて散々色んな事やらかして。
「ありがとう玲薇、話してくれて」
「ごめんね、燐」