第十四話 根幹
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勝呂が皆の所に戻ったのは、丁度お昼時だった。あんなにいい天気だったのに、
いつの間にか空から冷たい雨と、五月蝿い雷がなりはじめている。
ライトニングの弟子になったのはいいが、彼は人間として非情なやり方が目立っていた。
それは修道院を訪れた今回も例外ではない。情報欲しさに我を失いかけたライトニングを、
勝呂が寸前で一度は止めた。相手も、話せば「何が起きるか分からない、殺される」と謳っていたから。
そんなこと、塾生の勝呂だって薄らと気付いていた『モリナスの契約書』の事を。
けれど、真実を知る一人、三角正は観念したように話す事を決意してくれる。
『わ、私は、十三號セクションにいた・・・!エリクサ・・・』
そこまで言いかけると、契約されていた時の眷属"死神(デス)"が現れ、その命を奪っていった。
初めてそういう経験をした。初めて知人の家族に等しい人を目の前にした。
あの三人に、合わせる顔がない。どんな表情で学校に戻ればいい。
「坊!」
戸惑いに、立ち止まっていた勝呂に気付いた志摩が声をかけた。
「そないな所で何しとるんです!?コワッッ!」
「・・・・・・・・・」
皆の方に行き、ワザとらしく志摩は身を引いてみせる。
「ビショ濡れやないですか!!」
「外に出てはったんですか?」
と、子猫丸。
「ちょっとな」
話すに話せない現実に、皆には先程の出来事の事を隠す。言えない、言えるわけがない。
「ホレ、勝呂」
気落ちする様子も不思議にとらわれず、燐がいつもの笑顔で話かける。
「勝呂セット、買っといてやったぞ、醐醍院が」
いつもなら何か突っ込んでやりたいが、その気力さえない。
燐から昼食のセットを受け取りながら、礼を述べる。
「醐醍院くん、ありがとう」
「うん」
「坊、聞きました?アマイモンの事」
志摩の質問に、勝呂は受け流す。
「なんや・・・?」
「そーなんだよ!やべーんだよ」
慌てふためく燐の説明では。
アマイモンは、アンブロシウス・ファウストという名を名乗り、
クラスではなんとしえみと玲薇がいる1-Bで、玲薇の隣の席らしい。
「コレ、完全に二人にプレッシャーかけに来てるだろ!!つーか何だよ、アンブロシウスって、ウマイモンだろ!!」
「いや、アマイモンやで」
「席も席で?何で玲薇の隣なんだよ!」
「ま〜落ち着いて〜や、奥村くん。玲薇ちゃんは玲薇ちゃんで強いけど、
杜山さんの事気になっちゃってはるもんなぁ〜「地の王であるオレ様に歯向かった女はお前が初めてだ」とかで〜?」
「はぁ〜!?」
「杜山さん、アンブロシウスに啖呵切っとったもんなぁ」
「女の子って、案外強いよね」
しえみに告白し、フラれたのを知る志摩は燐を見るニヤニヤが止まらない。
「アンブロシウスは強い女がお好みちゃうん〜?」
「バッ・・・ふっ、ふざけんなよ!くっそー、何なんだよ!?アンブロシウス!!なぁ、勝呂!
アンブロシウス、そんなんじゃねーよな!?な?」
「アンブロシウスはドイツ人の名前やろ・・・」
ボーッと、パンをかじりながら言う勝呂は、話が噛み合ってないし、突っ込みがなくて調子が狂う。
ハッと、皆の視線を感じ、勝呂がやっと燐と顔を合わせた。
「勝呂、さっきからどーした?」
「え、な、何でや。どーもせえへんで。それよか、杜山さんの心配ばかりせんと、風美夜の事はどないやねん」
無理やり話をねじ曲げ、自分から注意を逸らさせる。
「あ・・・アイツとは、会えてない・・・つーか、会いずらい・・・」
「そない悠長な事しとったら、誰かにとられるで」
「・・・・・・・・・・」
「例えば、坊とか?」
「何でや!」
志摩に突っ込みが入り、いつもの勝呂の調子に戻ったかと思えば、志摩の視線は次のターゲットにあった。
「あっ、女の子たち〜♡こっち椅子あるで〜!」
呼ばれて玲薇を除く三人は真っ直ぐ皆のいる方へ向かっていく。
一人足を向けない玲薇と、燐は目が合う。
「お前もこっち、来いよ」
燐が手招きして呼んでくれてる。燐のランチを見れば、彼一人自前のお弁当で。
いつもなら雪男も入れて三人分、玲薇のお弁当も一緒になって作ってくれて。
でも、今日の玲薇のお弁当は違う。普通のコンビニ弁当だ。
「ご・・・ごめん、ちょっと御手洗行ってくるっ」
「あ、おいっ!」
人が多いレストランに、見失うのも早い。燐は追いかけることなく、椅子に座りなおす。
「何なんだよアイツ!まだ怒ってんのか!?」
そう怒った燐の声が、かすかに聞こえた気がした。そんな中、朴と出雲は燐がしえみにフラれた事を知る。
いつの間にか空から冷たい雨と、五月蝿い雷がなりはじめている。
ライトニングの弟子になったのはいいが、彼は人間として非情なやり方が目立っていた。
それは修道院を訪れた今回も例外ではない。情報欲しさに我を失いかけたライトニングを、
勝呂が寸前で一度は止めた。相手も、話せば「何が起きるか分からない、殺される」と謳っていたから。
そんなこと、塾生の勝呂だって薄らと気付いていた『モリナスの契約書』の事を。
けれど、真実を知る一人、三角正は観念したように話す事を決意してくれる。
『わ、私は、十三號セクションにいた・・・!エリクサ・・・』
そこまで言いかけると、契約されていた時の眷属"死神(デス)"が現れ、その命を奪っていった。
初めてそういう経験をした。初めて知人の家族に等しい人を目の前にした。
あの三人に、合わせる顔がない。どんな表情で学校に戻ればいい。
「坊!」
戸惑いに、立ち止まっていた勝呂に気付いた志摩が声をかけた。
「そないな所で何しとるんです!?コワッッ!」
「・・・・・・・・・」
皆の方に行き、ワザとらしく志摩は身を引いてみせる。
「ビショ濡れやないですか!!」
「外に出てはったんですか?」
と、子猫丸。
「ちょっとな」
話すに話せない現実に、皆には先程の出来事の事を隠す。言えない、言えるわけがない。
「ホレ、勝呂」
気落ちする様子も不思議にとらわれず、燐がいつもの笑顔で話かける。
「勝呂セット、買っといてやったぞ、醐醍院が」
いつもなら何か突っ込んでやりたいが、その気力さえない。
燐から昼食のセットを受け取りながら、礼を述べる。
「醐醍院くん、ありがとう」
「うん」
「坊、聞きました?アマイモンの事」
志摩の質問に、勝呂は受け流す。
「なんや・・・?」
「そーなんだよ!やべーんだよ」
慌てふためく燐の説明では。
アマイモンは、アンブロシウス・ファウストという名を名乗り、
クラスではなんとしえみと玲薇がいる1-Bで、玲薇の隣の席らしい。
「コレ、完全に二人にプレッシャーかけに来てるだろ!!つーか何だよ、アンブロシウスって、ウマイモンだろ!!」
「いや、アマイモンやで」
「席も席で?何で玲薇の隣なんだよ!」
「ま〜落ち着いて〜や、奥村くん。玲薇ちゃんは玲薇ちゃんで強いけど、
杜山さんの事気になっちゃってはるもんなぁ〜「地の王であるオレ様に歯向かった女はお前が初めてだ」とかで〜?」
「はぁ〜!?」
「杜山さん、アンブロシウスに啖呵切っとったもんなぁ」
「女の子って、案外強いよね」
しえみに告白し、フラれたのを知る志摩は燐を見るニヤニヤが止まらない。
「アンブロシウスは強い女がお好みちゃうん〜?」
「バッ・・・ふっ、ふざけんなよ!くっそー、何なんだよ!?アンブロシウス!!なぁ、勝呂!
アンブロシウス、そんなんじゃねーよな!?な?」
「アンブロシウスはドイツ人の名前やろ・・・」
ボーッと、パンをかじりながら言う勝呂は、話が噛み合ってないし、突っ込みがなくて調子が狂う。
ハッと、皆の視線を感じ、勝呂がやっと燐と顔を合わせた。
「勝呂、さっきからどーした?」
「え、な、何でや。どーもせえへんで。それよか、杜山さんの心配ばかりせんと、風美夜の事はどないやねん」
無理やり話をねじ曲げ、自分から注意を逸らさせる。
「あ・・・アイツとは、会えてない・・・つーか、会いずらい・・・」
「そない悠長な事しとったら、誰かにとられるで」
「・・・・・・・・・・」
「例えば、坊とか?」
「何でや!」
志摩に突っ込みが入り、いつもの勝呂の調子に戻ったかと思えば、志摩の視線は次のターゲットにあった。
「あっ、女の子たち〜♡こっち椅子あるで〜!」
呼ばれて玲薇を除く三人は真っ直ぐ皆のいる方へ向かっていく。
一人足を向けない玲薇と、燐は目が合う。
「お前もこっち、来いよ」
燐が手招きして呼んでくれてる。燐のランチを見れば、彼一人自前のお弁当で。
いつもなら雪男も入れて三人分、玲薇のお弁当も一緒になって作ってくれて。
でも、今日の玲薇のお弁当は違う。普通のコンビニ弁当だ。
「ご・・・ごめん、ちょっと御手洗行ってくるっ」
「あ、おいっ!」
人が多いレストランに、見失うのも早い。燐は追いかけることなく、椅子に座りなおす。
「何なんだよアイツ!まだ怒ってんのか!?」
そう怒った燐の声が、かすかに聞こえた気がした。そんな中、朴と出雲は燐がしえみにフラれた事を知る。