第十四話 根幹
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「だから、最近冷たかったんでしょ・・・もういい」
悲しいとか、寂しいとか、そんな感情もう知らない。
「なっ、勝手に割り込んでそれはねーだろ!?」
聞く耳を持たない玲薇の態度に、怒りを増す燐。
「逆ギレしないでよね!?杜山さん"も"って事は、どっかで燐が好きだって言ったんでしょ!?」
「ぐっ・・・それはお前が全然相手してくれねーからだろ!?雪男の帰りばっか気にするし!」
「それはキョウダイとして心配してるからよ!」
「俺といる時は雪男雪男じゃねーか!雪男とコソコソ何話してんだよ!?」
「それは・・・」
『僕達も炎を継いでると思う?』
自分たち二人の悩みは、きっと燐には分からない。
「まーまー、二人とも!ここは病院だから、ね?」
優しい口調で止めに入ってくれたのは、朴だ。困っている朴の顔を見て、玲薇は逃げるように吐き捨てた。
「もう、勝手にすれば!?」
カバンを持ち直し、さっさと出口の方に足を進める。
「お前がいつまでもそんな態度なら、俺も好きにさせてもらうからな!?」
「どーぞ、ご自由に」
「ぐぬぬ・・・」
「あんた、ホント馬鹿ね」
玲薇に一緒につく朴に、出雲は二人を見送りつつ、燐に言葉を投げる。
「帰る場所が一緒なのに、どーするのよ」
帰れる場所があるのに、自分からなくしてはダメではないか。
「え・・・えっと・・・燐?」
「・・・しえみ、俺の事嫌いじゃねーなら・・・つ、付き合ってくれ・・・」
玲薇には見放され、どうしようもない心の傷を、どう洗い流せばいいのか分からない。
他の子を好きになって、手を出さない男がどこにいる。
玲薇は我慢しろだのヤッてもいいだの、好きだ好きだと言葉にしたって、
いくらキスしたって、玲薇自身がいない。自分の存在を受け止めてない。
何を迷って悩んでるのかだって、全然相談してくれない。
思い当たるのは、彼女の悪い所ばかりで、いい所が見当たらなくなっていた。
普通の恋愛って、何だ・・・?
「付き合うって・・・恋人同士ってことだよね?風美夜さん、どうしてあんなに怒ってるの?」
「あー・・・もう、知らねぇよ!帰る!!」
「え、燐!?」
「放っときなさい」
走る燐を、二人のどちらも追いかけることはない。
「付き合う・・・」
その時、出雲の携帯が鳴る。名前を確認すれば、朴だった。
「もしもし?朴?」
「出雲ちゃん、奥村くんは?」
「さっき帰ったわよ。玲薇は、大丈夫なの?」
「私たちの寮にいるよ。たぶん、帰らない方がいいと思って」
「そうね・・・。朴、玲薇がいなくならないようについててあげて」
「分かってるわ」
「・・・朔ちゃん?」
「まぁね。で、奥村燐とはどうするのよ」
「・・・私は、何が恋愛かわからないし、風美夜さんが怒った原因も分からない。
それに、お母さんに祓魔師になるの反対されてるの、説得もできてない。
早く、まともな人間になりたい・・・!」
「妖怪かよ」
玲薇の気持ちも分かるし、しえみの気持ちも分かる。
どちらかといえば、どちらを味方するつもりもないが、
いまの玲薇には、彼氏になりそうな男を持っている朴がいる。
それに、恋愛のこと以外にも、恋のライバルだということもしえみには勉強としていいかもしれない。
「月曜って、悪魔薬学の小テストじゃない?」
「?・・・うん」
「あんた、得意でしょ。あたし苦手なのよね、教えてよ。徹底的に勉強会しようじゃない!
場所、寮だと色々面倒だから、あんたの家に泊まっていい?」
「・・・え?家に・・・?神木さんが?」
「何か問題ある?」
「神木さんがうちに来るの!?」
「そうよ!!」
「ぎゃあーーー!!!」
激しく膝から崩れ落ちるしえみに、出雲は恐怖さえ覚えた。
「どーゆーテンション!!?」
出雲がしえみの家に泊まると聞いて、驚いている朴と玲薇がいる。
「え、出雲ちゃんがしえみちゃんの家に泊まるの!?」
そう、朴の驚きの声が上がる。
「いい加減、見てるこっちもイライラするわ」
しゅんと落ち込む玲薇の背中を、出雲がバシッと叩く。
「いたっ!」
「アンタも、そんなに奥村燐を他の奴に取られたくなかったらシャキッとしなさい。
だから隙をつかれるのよ。アンタも奥村燐も。まぁ、悩むのは分かるけどね。
言っとくけど、あたしはどっちの味方でもないから」
"行ってきます"と言い残し、出雲は出て行ってしまった。
「出雲ちゃん、あんな態度だけど、心底心配してると思うよ。
今夜は私と二人だけになるけど、大丈夫かな?」
朴が少し、気づかわしげに聞いてきた。
「ううん、いつもありがとう。私、二人がいなかったらどうなってたか分からない」
「玲薇ちゃんがどうしてそんなに恋愛に悩むのか、奥村くんにあたっちゃうのか聞かせてくれる?
力になれるか分からないけど、私も一応先輩とお付き合いしてるから・・・二人きりの恋愛トーク」
夜、朴に勢いで自分たちの状況を話した。どうしてだか、答えがなくても話しただけでスッキリする自分がいる。
「玲薇ちゃんは、小さい頃から奥村くん達と一緒にいるんだね。
私はほら、何も知らない人とお付き合いすることになったから。
でも、普通の恋愛なんて、みんな分からないと思うなぁ」
「え、朔ちゃんも?だって朔ちゃんは、私達みたいに悪魔でも何も無い普通の人でしょ?」
「普通でも、人によって基準は違うとおもうよ。好きで結婚しても、ニュースを見れば別れたり、
理解し合えない時は人間同士でも殺しちゃう世の中だし、子供が欲しくても訳あって産めない人もいる。
結婚したら必ず子供作らなくちゃなんて思わなくてもいいと思うし、夫婦二人でのんびり過ごすのもいいと思う。
確かに、玲薇ちゃんも奥村くんも、一般的な人から見たら怖がられるかもしれない。
だからって、二人の中を誰も邪魔する権利もないと思うし、このまま奥村くんがしえみちゃんの事を好きになるのも悪い事じゃない。
本当に大事なのは、玲薇ちゃんが将来どうしたいかじゃないかな。だから、奥村くんも気持ちが宙ぶらりんになっちゃうと思うよ。
まぁ、奥村くんも奥村くんで、いろいろ破天荒だけどさ。二人は小さい頃からの仲だから。
だから、もうどこかで家族みたいな気持ちがあるんじゃないかな?奥村先生を心配する気持ちが出るのもしょうがないよ」
悲しいとか、寂しいとか、そんな感情もう知らない。
「なっ、勝手に割り込んでそれはねーだろ!?」
聞く耳を持たない玲薇の態度に、怒りを増す燐。
「逆ギレしないでよね!?杜山さん"も"って事は、どっかで燐が好きだって言ったんでしょ!?」
「ぐっ・・・それはお前が全然相手してくれねーからだろ!?雪男の帰りばっか気にするし!」
「それはキョウダイとして心配してるからよ!」
「俺といる時は雪男雪男じゃねーか!雪男とコソコソ何話してんだよ!?」
「それは・・・」
『僕達も炎を継いでると思う?』
自分たち二人の悩みは、きっと燐には分からない。
「まーまー、二人とも!ここは病院だから、ね?」
優しい口調で止めに入ってくれたのは、朴だ。困っている朴の顔を見て、玲薇は逃げるように吐き捨てた。
「もう、勝手にすれば!?」
カバンを持ち直し、さっさと出口の方に足を進める。
「お前がいつまでもそんな態度なら、俺も好きにさせてもらうからな!?」
「どーぞ、ご自由に」
「ぐぬぬ・・・」
「あんた、ホント馬鹿ね」
玲薇に一緒につく朴に、出雲は二人を見送りつつ、燐に言葉を投げる。
「帰る場所が一緒なのに、どーするのよ」
帰れる場所があるのに、自分からなくしてはダメではないか。
「え・・・えっと・・・燐?」
「・・・しえみ、俺の事嫌いじゃねーなら・・・つ、付き合ってくれ・・・」
玲薇には見放され、どうしようもない心の傷を、どう洗い流せばいいのか分からない。
他の子を好きになって、手を出さない男がどこにいる。
玲薇は我慢しろだのヤッてもいいだの、好きだ好きだと言葉にしたって、
いくらキスしたって、玲薇自身がいない。自分の存在を受け止めてない。
何を迷って悩んでるのかだって、全然相談してくれない。
思い当たるのは、彼女の悪い所ばかりで、いい所が見当たらなくなっていた。
普通の恋愛って、何だ・・・?
「付き合うって・・・恋人同士ってことだよね?風美夜さん、どうしてあんなに怒ってるの?」
「あー・・・もう、知らねぇよ!帰る!!」
「え、燐!?」
「放っときなさい」
走る燐を、二人のどちらも追いかけることはない。
「付き合う・・・」
その時、出雲の携帯が鳴る。名前を確認すれば、朴だった。
「もしもし?朴?」
「出雲ちゃん、奥村くんは?」
「さっき帰ったわよ。玲薇は、大丈夫なの?」
「私たちの寮にいるよ。たぶん、帰らない方がいいと思って」
「そうね・・・。朴、玲薇がいなくならないようについててあげて」
「分かってるわ」
「・・・朔ちゃん?」
「まぁね。で、奥村燐とはどうするのよ」
「・・・私は、何が恋愛かわからないし、風美夜さんが怒った原因も分からない。
それに、お母さんに祓魔師になるの反対されてるの、説得もできてない。
早く、まともな人間になりたい・・・!」
「妖怪かよ」
玲薇の気持ちも分かるし、しえみの気持ちも分かる。
どちらかといえば、どちらを味方するつもりもないが、
いまの玲薇には、彼氏になりそうな男を持っている朴がいる。
それに、恋愛のこと以外にも、恋のライバルだということもしえみには勉強としていいかもしれない。
「月曜って、悪魔薬学の小テストじゃない?」
「?・・・うん」
「あんた、得意でしょ。あたし苦手なのよね、教えてよ。徹底的に勉強会しようじゃない!
場所、寮だと色々面倒だから、あんたの家に泊まっていい?」
「・・・え?家に・・・?神木さんが?」
「何か問題ある?」
「神木さんがうちに来るの!?」
「そうよ!!」
「ぎゃあーーー!!!」
激しく膝から崩れ落ちるしえみに、出雲は恐怖さえ覚えた。
「どーゆーテンション!!?」
出雲がしえみの家に泊まると聞いて、驚いている朴と玲薇がいる。
「え、出雲ちゃんがしえみちゃんの家に泊まるの!?」
そう、朴の驚きの声が上がる。
「いい加減、見てるこっちもイライラするわ」
しゅんと落ち込む玲薇の背中を、出雲がバシッと叩く。
「いたっ!」
「アンタも、そんなに奥村燐を他の奴に取られたくなかったらシャキッとしなさい。
だから隙をつかれるのよ。アンタも奥村燐も。まぁ、悩むのは分かるけどね。
言っとくけど、あたしはどっちの味方でもないから」
"行ってきます"と言い残し、出雲は出て行ってしまった。
「出雲ちゃん、あんな態度だけど、心底心配してると思うよ。
今夜は私と二人だけになるけど、大丈夫かな?」
朴が少し、気づかわしげに聞いてきた。
「ううん、いつもありがとう。私、二人がいなかったらどうなってたか分からない」
「玲薇ちゃんがどうしてそんなに恋愛に悩むのか、奥村くんにあたっちゃうのか聞かせてくれる?
力になれるか分からないけど、私も一応先輩とお付き合いしてるから・・・二人きりの恋愛トーク」
夜、朴に勢いで自分たちの状況を話した。どうしてだか、答えがなくても話しただけでスッキリする自分がいる。
「玲薇ちゃんは、小さい頃から奥村くん達と一緒にいるんだね。
私はほら、何も知らない人とお付き合いすることになったから。
でも、普通の恋愛なんて、みんな分からないと思うなぁ」
「え、朔ちゃんも?だって朔ちゃんは、私達みたいに悪魔でも何も無い普通の人でしょ?」
「普通でも、人によって基準は違うとおもうよ。好きで結婚しても、ニュースを見れば別れたり、
理解し合えない時は人間同士でも殺しちゃう世の中だし、子供が欲しくても訳あって産めない人もいる。
結婚したら必ず子供作らなくちゃなんて思わなくてもいいと思うし、夫婦二人でのんびり過ごすのもいいと思う。
確かに、玲薇ちゃんも奥村くんも、一般的な人から見たら怖がられるかもしれない。
だからって、二人の中を誰も邪魔する権利もないと思うし、このまま奥村くんがしえみちゃんの事を好きになるのも悪い事じゃない。
本当に大事なのは、玲薇ちゃんが将来どうしたいかじゃないかな。だから、奥村くんも気持ちが宙ぶらりんになっちゃうと思うよ。
まぁ、奥村くんも奥村くんで、いろいろ破天荒だけどさ。二人は小さい頃からの仲だから。
だから、もうどこかで家族みたいな気持ちがあるんじゃないかな?奥村先生を心配する気持ちが出るのもしょうがないよ」