第十三話 分岐点
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「・・・で、出雲?勉強は何をやるの?」
「ちょっと待ってなさい」
出雲がいつもいる寮に向かう途中、彼女は誰かに連絡を取っているようだった。
いつ遊びに来ても、新館の寮はやはり羨ましい。
燐と雪男と一緒にいるから旧館でも大丈夫と自分に言い聞かせてきていたけど、
最近二人とも行動がバラバラな気がして、一人での旧館は怖い時があるから。
それでも、大概燐とは夕飯の時間にはいつも一緒にいるけど。
「朴ー、ただいまー!」
「おかえりー、出雲ちゃん」
部屋に入ると、朴が出迎えてくれる。
「玲薇ちゃんも、いらっしゃい〜」
彼女の笑顔は、いつ見てものほほんと癒しをくれる。
「朔ちゃん」
学校でもしょっちゅう会ってる為、もうお互いが特別な存在とは意識しなくなってきている。
「出雲ちゃん、朗報だよ!新月堂でお茶出来るよー」
「ホント!?」
「ホントホント!予約キャンセル待ち分が出たって。私達、ラッキーかもね」
「かもね、じゃなくてラッキーなのよ!あそこは並ぶし、カフェなんてまた夢の夢なんだから!」
「アハハ」
普段、塾では見せない出雲のテンションに玲薇は首を傾げる。
「あの〜、話が見えないんだけど・・・?」
「あれ、玲薇ちゃんには話してないの?」
「まぁね。他の連中がいたし、思い立っての行動だったし」
「・・・?」
尚も首を傾げる玲薇。
「テスト勉強もついで、だけど!たまには三人で時間があうからって、
さっき朴に連絡してたの。新月堂のカフェでお茶しましょう!」
「待って、待って、出雲!」
やたらと見ない彼女のハイテンションに、玲薇は戸惑う。
「あの・・・その・・・」
出雲の腕を掴んだままモゴモゴする玲薇に、今度は二人が首を傾げる。
「私・・・お金、もってない・・・」
旧館で生活しているとはいえ、そこはメフィストのお陰でもあるし、
文句を言えない立場上、メフィストからもらうチンケな生活費で我慢する身。
ほとんどが生活費に消えてしまうため、そんなカフェでお茶など贅沢な事は出来ない。
バイトでお金を稼ぐ方法はあれど、これ以上極々普通の人間と関わる事が怖くて出来ないでいた。
「だから・・・」
いつもオシャレな朴が羨ましい。
いつも可愛くて自分の丈を知る出雲が羨ましい。
「学園祭の時にした・・・朔ちゃんが貸してくれた時のオシャレで限界なの・・・」
だって、普通の女の子じゃない、から・・・。
「玲薇ちゃん・・・」
そう言うと、何故だか出雲がいつものツンケンとした態度に戻る。
「今日の玲薇に、拒否権はないって言ったでしょ」
「え?」
「ケーキの一個や二個、あたしが奢るわよ」
「そーそ!大変な時は助け合い」
「え?」
いつの間にか朴に腕を捕まれ、さらには今度出雲が腕を取る。
「あんたにはいつも、助けられてるから」
「出雲・・・」
そして玲薇は、首を横に振る。
「私だって、出雲に助けられてるよ」
お互い顔を合わせて笑い合う。
「私もいるんだけどな〜」
「もちろん、朔ちゃんも一緒だよ」
三人で、いつまでも一緒に笑い合えればいい。
楽しい時間は、あっという間に過ぎていく・・・。
辺りはすっかり暗くなっていた。帰る時も、出雲達が送ってくれて。
「今日はありがとう!ケーキ凄く美味しかった!」
「こんな機会、滅多にないもんね〜」
「じゃあ、また明日。必ず学校来なさいよ」
「ん、うん」
お互いに『お休み』と声をかけて、玲薇は中に入る。
「ただいまー」
ウキウキ気分のまま部屋に入るも、誰もいない。
「・・・・・・・・・」
ここで、一人の時はいつも寂しくなる・・・余計な事を考える・・・。
「ただいま」
ぼーっと突っ立っている所に、誰かの大きな手が頭に乗っかった。
「燐・・・・・・」
全然、気配を感じなかった。
「なんだよ?」
きょとんとした、燐の表情からは疲れの色が見える。慌てて言葉を探す玲薇。
「お、お疲れ様・・・」
「ライトニングの部屋がちょーゴミ屋敷だった」
「ゴミ屋敷・・・」
「玲薇はなんかあったのか?」
「え、ううん。何もないよ」
今日のお茶会は、三人の秘密だ。
「燐、お腹空いたでしょ。私が作るよ」
「んー、俺も手伝う」
料理の事となると、燐は自ら進んでやってくれるのが有難い。
「じゃあ、一緒にやろ」
「おう」
燐の話によると、ライトニングの部屋は物で散乱していたらしい。
その片付けの間に、勝呂がライトニングに弟子入りを申し込んだとか。
あの強い勝呂が、弟子入りを申し込むなんて、誰が想像するだろう。
「・・・京都の二人は、驚くね」
「だろ!?俺だって、あんな胡散臭い奴のどこに魅力を感じたのか分かんねーのに」
「勝呂くんが弟子入りかぁ・・・」
「頭のいー奴が考えることは、わからん」
雪男も帰ってこない日が続いてる。
帰ってこなくても、塾には顔を見るから大丈夫なのは知ってるけど。
「・・・・・・・・・・」
「玲薇?」
「燐のご飯は、美味しいなって」
「はぁ!?」
「ちょっと待ってなさい」
出雲がいつもいる寮に向かう途中、彼女は誰かに連絡を取っているようだった。
いつ遊びに来ても、新館の寮はやはり羨ましい。
燐と雪男と一緒にいるから旧館でも大丈夫と自分に言い聞かせてきていたけど、
最近二人とも行動がバラバラな気がして、一人での旧館は怖い時があるから。
それでも、大概燐とは夕飯の時間にはいつも一緒にいるけど。
「朴ー、ただいまー!」
「おかえりー、出雲ちゃん」
部屋に入ると、朴が出迎えてくれる。
「玲薇ちゃんも、いらっしゃい〜」
彼女の笑顔は、いつ見てものほほんと癒しをくれる。
「朔ちゃん」
学校でもしょっちゅう会ってる為、もうお互いが特別な存在とは意識しなくなってきている。
「出雲ちゃん、朗報だよ!新月堂でお茶出来るよー」
「ホント!?」
「ホントホント!予約キャンセル待ち分が出たって。私達、ラッキーかもね」
「かもね、じゃなくてラッキーなのよ!あそこは並ぶし、カフェなんてまた夢の夢なんだから!」
「アハハ」
普段、塾では見せない出雲のテンションに玲薇は首を傾げる。
「あの〜、話が見えないんだけど・・・?」
「あれ、玲薇ちゃんには話してないの?」
「まぁね。他の連中がいたし、思い立っての行動だったし」
「・・・?」
尚も首を傾げる玲薇。
「テスト勉強もついで、だけど!たまには三人で時間があうからって、
さっき朴に連絡してたの。新月堂のカフェでお茶しましょう!」
「待って、待って、出雲!」
やたらと見ない彼女のハイテンションに、玲薇は戸惑う。
「あの・・・その・・・」
出雲の腕を掴んだままモゴモゴする玲薇に、今度は二人が首を傾げる。
「私・・・お金、もってない・・・」
旧館で生活しているとはいえ、そこはメフィストのお陰でもあるし、
文句を言えない立場上、メフィストからもらうチンケな生活費で我慢する身。
ほとんどが生活費に消えてしまうため、そんなカフェでお茶など贅沢な事は出来ない。
バイトでお金を稼ぐ方法はあれど、これ以上極々普通の人間と関わる事が怖くて出来ないでいた。
「だから・・・」
いつもオシャレな朴が羨ましい。
いつも可愛くて自分の丈を知る出雲が羨ましい。
「学園祭の時にした・・・朔ちゃんが貸してくれた時のオシャレで限界なの・・・」
だって、普通の女の子じゃない、から・・・。
「玲薇ちゃん・・・」
そう言うと、何故だか出雲がいつものツンケンとした態度に戻る。
「今日の玲薇に、拒否権はないって言ったでしょ」
「え?」
「ケーキの一個や二個、あたしが奢るわよ」
「そーそ!大変な時は助け合い」
「え?」
いつの間にか朴に腕を捕まれ、さらには今度出雲が腕を取る。
「あんたにはいつも、助けられてるから」
「出雲・・・」
そして玲薇は、首を横に振る。
「私だって、出雲に助けられてるよ」
お互い顔を合わせて笑い合う。
「私もいるんだけどな〜」
「もちろん、朔ちゃんも一緒だよ」
三人で、いつまでも一緒に笑い合えればいい。
楽しい時間は、あっという間に過ぎていく・・・。
辺りはすっかり暗くなっていた。帰る時も、出雲達が送ってくれて。
「今日はありがとう!ケーキ凄く美味しかった!」
「こんな機会、滅多にないもんね〜」
「じゃあ、また明日。必ず学校来なさいよ」
「ん、うん」
お互いに『お休み』と声をかけて、玲薇は中に入る。
「ただいまー」
ウキウキ気分のまま部屋に入るも、誰もいない。
「・・・・・・・・・」
ここで、一人の時はいつも寂しくなる・・・余計な事を考える・・・。
「ただいま」
ぼーっと突っ立っている所に、誰かの大きな手が頭に乗っかった。
「燐・・・・・・」
全然、気配を感じなかった。
「なんだよ?」
きょとんとした、燐の表情からは疲れの色が見える。慌てて言葉を探す玲薇。
「お、お疲れ様・・・」
「ライトニングの部屋がちょーゴミ屋敷だった」
「ゴミ屋敷・・・」
「玲薇はなんかあったのか?」
「え、ううん。何もないよ」
今日のお茶会は、三人の秘密だ。
「燐、お腹空いたでしょ。私が作るよ」
「んー、俺も手伝う」
料理の事となると、燐は自ら進んでやってくれるのが有難い。
「じゃあ、一緒にやろ」
「おう」
燐の話によると、ライトニングの部屋は物で散乱していたらしい。
その片付けの間に、勝呂がライトニングに弟子入りを申し込んだとか。
あの強い勝呂が、弟子入りを申し込むなんて、誰が想像するだろう。
「・・・京都の二人は、驚くね」
「だろ!?俺だって、あんな胡散臭い奴のどこに魅力を感じたのか分かんねーのに」
「勝呂くんが弟子入りかぁ・・・」
「頭のいー奴が考えることは、わからん」
雪男も帰ってこない日が続いてる。
帰ってこなくても、塾には顔を見るから大丈夫なのは知ってるけど。
「・・・・・・・・・・」
「玲薇?」
「燐のご飯は、美味しいなって」
「はぁ!?」