第十三話 分岐点
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勝呂は一人、認定試験の用紙を手にしながら、下の階の中央広場で行われる会議を眺めていた。
誰よりも早く時間に集合する勝呂に続き、これまた早いご到着の出雲が、勝呂を見つけて声をかける。
「・・・塾の教室の外に、こんなベランダがあったなんて知らなかったわ」
「・・・・・・・・」
「なにこんな所で黄昏てんのよ」
用紙をポケットにしまい込み、勝呂は視線を下に向けながら言う。
「こっから集会覗けるんや。関東圏にある出張所の所長級も集まっとるらしいで。
認定試験が早まる件にも、触れるんやないんか?」
出雲も一緒に覗き込み、認定試験の話にため息が出てしまう。
「一体、どのくらい早まるのかしら。正直参ったわ」
「・・・・・・せやな」
「・・・・・あんた、まさか祓魔師になるか迷ってるんじゃないでしょうね」
「は!?」
おもいもよらぬ出雲の発言に驚き慌てる。
「んなワケあるか!なる気バンバンや!!」
「あっそ。なら別にいーけど」
「・・・・・・・・・」
何もかも、出雲に見透かされているような。
「あんたの気持ちも、少しは判るから」
「!?」
「大事な人や目的もなくなって、宙ぶらりんになっちゃった気持ち」
「それは・・・お前の方が・・・!そっちこそ、迷うてへんのんか?」
「あたしは、祓魔師になるわ。他に行くとこもないし、
なんにもなくなっちゃったから、逆に清々しいくらいよ」
明らかに以前の出雲とは性格も表情も違う。彼女はちゃんと迷いなく進んでる。
それもきっと、いい方向に。
「お前、変わったな」
「はぁ?なんか文句でもあるワケ?」
「今の方がええで」
なぜだろう、この告白シーンのような場面は。勝呂がサラッと言ったせいもあるのか、
好きとか嫌いとか関係なく、照れてしまう。
「な・・・なんであんたにそんな事言われなきゃなんないのよ!!」
「!?褒めたんやろ!!」
本当は褒められて嬉しいのに、そこは中々素直になれないのは変わらない。
「しょうがないじゃない。あたしがいつまでもウジウジしてたら、
女友達として、玲薇を助けられない。何度も支えてもらったから・・・」
正直、燐から温泉の連絡の電話をもらった後に言われた衝撃が、頭をはなれていない。
「風美夜・・・が、なんあったんか?」
「・・・何も、聞いてないの?」
「?」
勝呂が再び、何か問いかけようとしたところで、燐の声がした。
「あっ、おまえらこんなとこに。つーか、こんなベランダあったのか!」
良いタイミングなんだか、悪いタイミングなんだかイマイチ掴めないが勝呂が皆を誘うよう促す。
「おう、皆教室来とるんやったら呼んでこいや。どーせ先生達、集会終わるまで来うへんで」
「集会?」
他の面々も呼ばれて、集会の話に顔を覗かせた。
ザワつく集会場には、報告事項を担当する支部長のメフィスト・フェレスが呼ばれ話が始まった。
「グーテンモルゲン!呼ばれて飛び出たメフィスト・フェレスです☆
さっそく本題ですが、ここ二ヶ月程前から世界規模で悪魔の活動が活発化している事は既知の事実でしょう。
なにせ学園内ですら下級悪魔の出現が増え、こうしている今も警邏隊などを警備せねばならない始末。
祓魔依頼も急増し、"要・予約""キャンセル待ち"なーんて、人気アイドルの公演チケットみたいな有様です。
これは由々しき事態!!そこで、ヴァチカン本部からの早急な祓魔師の増員命令が下りました。
まずは、騎士團以外の祓魔組織と協力関係を結び、いざという時援軍を頼めるようにします。
更に、祓魔師認定試験を来年年明け早々繰り上げ行い、抜本的な祓魔師増員も図ります」
塾生が心配した祓魔師認定試験の思っていなかった予想外の日程に驚きを隠せない。
「年明け早々!?」
一番に声を荒らげたのは、やはり以前から誰より認定試験を意識していた出雲だった。
「う、ウソ・・・」
それに続き、玲薇が落胆する。年明け早々なんて、あと一月半しかない。
正直、一月半でいまの自分の心境が変わるとも言い難い。志摩には受かればいいだけと、
啖呵切ったように言ったけど、内心は不安でいっぱいだ。何せ祓魔師認定試験なんて、
普通の学園のテストとは内容がまったく違うだろうから。
「そんなに人手不足なのか?」
燐が首を傾げながら、しえみが細々と言う。
「悪魔が活発化してるのって・・・もしかして、イルミナティが関係してるのかな?」
イルミナティの単語に、まず誰もが思い浮かぶのは志摩のスパイ。
見事、塾生の仲間が痛い程の視線で見てくる。
「俺はノータッチやで!?」
玲薇は一人、肩を竦めた。コイツの、志摩廉造の発言はどこまで信用していいのか分からないから。
その頃にも、メフィストは質問攻めにあっていた。
「何故、悪魔が活発化しているのか具体的な説明を」
「本部の調査は、進んでいるんですか!?」
メフィストは包み隠ずと言った口調で答えていく。
「説明出来る調査結果はまだありません。辛抱してください」
「そんなに早急に祓魔師を増員、質の低下にも繋がりませんか・・・!?」
「それは尤もな意見です。しかし、ご安心ください。
実は、ヴァチカン本部より、塾講師てして強力な助っ人が来て下さっています。紹介しましょう!!」
メフィストが一層、声を高らかに"ルーイン"と叫んだ瞬間、どこからともかく小鬼の群れの襲撃に会う。
「アララ☆でも、丁度よかった」
しかし、メフィストは慌てる様子もなく、塾講師の紹介を続けた。
「軽く自己紹介してあげて下さいよ」
「えー・・・何かハメられた気がするけど、いい天気だし、誰か来てくれるかも」
そう気だるげに登場したのは、塾生は一度見たことある人物だった。それも、記憶に新しい人。
「ライトニング!?」
まさかの塾講師がライトニングだとは。
「フールフール!」
ライトニングが何かを呼び出すような詠唱開始と同時に、窓の空からはゴロゴロと鳴り響く。
「"厳霊(いかずち)"よ、四大を統べし主よ・・・"以下省略」
以下省略なんて詠唱、誰も聞いたことがない。
それでも、氣の眷属の中の超上級悪魔フールフールは、姿を現したのだ。
「ドッカーン!!」
と、ライトニングの掛け声と共に、雷の攻撃が小鬼を完全にノックアウトさせた。
「な・・・」
僅かに、だが、塾生の誰もが気づかなかった。ライトニングの詠唱の技術の高さに、勝呂が驚愕したことを。
「えー・・・改めてご紹介します!」
沈黙する会場内で、メフィストがわざとらしく咳ばらい。
そして、普段と変わらない意気揚々とした声で言った。
「アークナイトの一柱、詠唱・召喚儀式の達人(ライトニング)こと、
ルーイン・ライトです・・・!!」
「いやぁ、ドーモドーモ、てれちゃうな〜」
照れ隠しで帽子を被った頭に手をやるライトニングを見て、志摩は絶句する。
何せルーイン・ライトにはあの時受けた拷問の話があるから。
「ヒェ〜、サイアクや〜〜」
「まじか!」
さすがにあの出来事で絡んだ人物だ。燐でさえ唖然としていた。
ルーイン・ライトに落ち込む仲間が数名いるにも構わず、勝呂だけは違っていた。
「凄い」
と・・・。
誰よりも早く時間に集合する勝呂に続き、これまた早いご到着の出雲が、勝呂を見つけて声をかける。
「・・・塾の教室の外に、こんなベランダがあったなんて知らなかったわ」
「・・・・・・・・」
「なにこんな所で黄昏てんのよ」
用紙をポケットにしまい込み、勝呂は視線を下に向けながら言う。
「こっから集会覗けるんや。関東圏にある出張所の所長級も集まっとるらしいで。
認定試験が早まる件にも、触れるんやないんか?」
出雲も一緒に覗き込み、認定試験の話にため息が出てしまう。
「一体、どのくらい早まるのかしら。正直参ったわ」
「・・・・・・せやな」
「・・・・・あんた、まさか祓魔師になるか迷ってるんじゃないでしょうね」
「は!?」
おもいもよらぬ出雲の発言に驚き慌てる。
「んなワケあるか!なる気バンバンや!!」
「あっそ。なら別にいーけど」
「・・・・・・・・・」
何もかも、出雲に見透かされているような。
「あんたの気持ちも、少しは判るから」
「!?」
「大事な人や目的もなくなって、宙ぶらりんになっちゃった気持ち」
「それは・・・お前の方が・・・!そっちこそ、迷うてへんのんか?」
「あたしは、祓魔師になるわ。他に行くとこもないし、
なんにもなくなっちゃったから、逆に清々しいくらいよ」
明らかに以前の出雲とは性格も表情も違う。彼女はちゃんと迷いなく進んでる。
それもきっと、いい方向に。
「お前、変わったな」
「はぁ?なんか文句でもあるワケ?」
「今の方がええで」
なぜだろう、この告白シーンのような場面は。勝呂がサラッと言ったせいもあるのか、
好きとか嫌いとか関係なく、照れてしまう。
「な・・・なんであんたにそんな事言われなきゃなんないのよ!!」
「!?褒めたんやろ!!」
本当は褒められて嬉しいのに、そこは中々素直になれないのは変わらない。
「しょうがないじゃない。あたしがいつまでもウジウジしてたら、
女友達として、玲薇を助けられない。何度も支えてもらったから・・・」
正直、燐から温泉の連絡の電話をもらった後に言われた衝撃が、頭をはなれていない。
「風美夜・・・が、なんあったんか?」
「・・・何も、聞いてないの?」
「?」
勝呂が再び、何か問いかけようとしたところで、燐の声がした。
「あっ、おまえらこんなとこに。つーか、こんなベランダあったのか!」
良いタイミングなんだか、悪いタイミングなんだかイマイチ掴めないが勝呂が皆を誘うよう促す。
「おう、皆教室来とるんやったら呼んでこいや。どーせ先生達、集会終わるまで来うへんで」
「集会?」
他の面々も呼ばれて、集会の話に顔を覗かせた。
ザワつく集会場には、報告事項を担当する支部長のメフィスト・フェレスが呼ばれ話が始まった。
「グーテンモルゲン!呼ばれて飛び出たメフィスト・フェレスです☆
さっそく本題ですが、ここ二ヶ月程前から世界規模で悪魔の活動が活発化している事は既知の事実でしょう。
なにせ学園内ですら下級悪魔の出現が増え、こうしている今も警邏隊などを警備せねばならない始末。
祓魔依頼も急増し、"要・予約""キャンセル待ち"なーんて、人気アイドルの公演チケットみたいな有様です。
これは由々しき事態!!そこで、ヴァチカン本部からの早急な祓魔師の増員命令が下りました。
まずは、騎士團以外の祓魔組織と協力関係を結び、いざという時援軍を頼めるようにします。
更に、祓魔師認定試験を来年年明け早々繰り上げ行い、抜本的な祓魔師増員も図ります」
塾生が心配した祓魔師認定試験の思っていなかった予想外の日程に驚きを隠せない。
「年明け早々!?」
一番に声を荒らげたのは、やはり以前から誰より認定試験を意識していた出雲だった。
「う、ウソ・・・」
それに続き、玲薇が落胆する。年明け早々なんて、あと一月半しかない。
正直、一月半でいまの自分の心境が変わるとも言い難い。志摩には受かればいいだけと、
啖呵切ったように言ったけど、内心は不安でいっぱいだ。何せ祓魔師認定試験なんて、
普通の学園のテストとは内容がまったく違うだろうから。
「そんなに人手不足なのか?」
燐が首を傾げながら、しえみが細々と言う。
「悪魔が活発化してるのって・・・もしかして、イルミナティが関係してるのかな?」
イルミナティの単語に、まず誰もが思い浮かぶのは志摩のスパイ。
見事、塾生の仲間が痛い程の視線で見てくる。
「俺はノータッチやで!?」
玲薇は一人、肩を竦めた。コイツの、志摩廉造の発言はどこまで信用していいのか分からないから。
その頃にも、メフィストは質問攻めにあっていた。
「何故、悪魔が活発化しているのか具体的な説明を」
「本部の調査は、進んでいるんですか!?」
メフィストは包み隠ずと言った口調で答えていく。
「説明出来る調査結果はまだありません。辛抱してください」
「そんなに早急に祓魔師を増員、質の低下にも繋がりませんか・・・!?」
「それは尤もな意見です。しかし、ご安心ください。
実は、ヴァチカン本部より、塾講師てして強力な助っ人が来て下さっています。紹介しましょう!!」
メフィストが一層、声を高らかに"ルーイン"と叫んだ瞬間、どこからともかく小鬼の群れの襲撃に会う。
「アララ☆でも、丁度よかった」
しかし、メフィストは慌てる様子もなく、塾講師の紹介を続けた。
「軽く自己紹介してあげて下さいよ」
「えー・・・何かハメられた気がするけど、いい天気だし、誰か来てくれるかも」
そう気だるげに登場したのは、塾生は一度見たことある人物だった。それも、記憶に新しい人。
「ライトニング!?」
まさかの塾講師がライトニングだとは。
「フールフール!」
ライトニングが何かを呼び出すような詠唱開始と同時に、窓の空からはゴロゴロと鳴り響く。
「"厳霊(いかずち)"よ、四大を統べし主よ・・・"以下省略」
以下省略なんて詠唱、誰も聞いたことがない。
それでも、氣の眷属の中の超上級悪魔フールフールは、姿を現したのだ。
「ドッカーン!!」
と、ライトニングの掛け声と共に、雷の攻撃が小鬼を完全にノックアウトさせた。
「な・・・」
僅かに、だが、塾生の誰もが気づかなかった。ライトニングの詠唱の技術の高さに、勝呂が驚愕したことを。
「えー・・・改めてご紹介します!」
沈黙する会場内で、メフィストがわざとらしく咳ばらい。
そして、普段と変わらない意気揚々とした声で言った。
「アークナイトの一柱、詠唱・召喚儀式の達人(ライトニング)こと、
ルーイン・ライトです・・・!!」
「いやぁ、ドーモドーモ、てれちゃうな〜」
照れ隠しで帽子を被った頭に手をやるライトニングを見て、志摩は絶句する。
何せルーイン・ライトにはあの時受けた拷問の話があるから。
「ヒェ〜、サイアクや〜〜」
「まじか!」
さすがにあの出来事で絡んだ人物だ。燐でさえ唖然としていた。
ルーイン・ライトに落ち込む仲間が数名いるにも構わず、勝呂だけは違っていた。
「凄い」
と・・・。