第十二話 わだかまり
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突如現れた壁の上にいる悪魔。
「スリーワイズモンキーて確か・・・人のよくない本音を"見ざる""言わざる""聞かざる"知恵を説く、
置き物なんかに憑依する悪魔で・・・」
「玲薇は、俺のもんだ!!!」
志摩に対してか怒りをあらわにする燐に、怯える一同。
「近付く人間の本音を"見たい""言いたい""聞きたい"状態にさせてしまう悪魔なんや・・・!!」
「な、なんて恐ろしい悪魔なんや・・・!」
青い炎を見せる本気の燐に、志摩はキリクを構え直す。
「そっちがその気なら、最終手段や・・・!うおおおお!!!」
「!?」
詠唱でヤマンタカの黒い炎をキリクに宿しながら、志摩は勢いよく穴を掘り始める。
「まずい、志摩くんが壁に穴を掘り始めた!!」
「させねぇよ!!」
穴を掘る志摩に、燐が拳を振るう。
「このままじゃ壁が壊れる・・・!早くスリーワイズモンキーを祓わないと・・・!!」
どうにかせねばという気持ちは三人一緒だ。けれど、どうしても動けない。
それは悪魔の特徴である、自分らの本音をさらけ出したくないから。
(((近付きたくない!!)))
これも心の中で満場一致。
「武器を取ってきます・・・!!」
「先生!!」
(今、取り憑かれて僕の本音をさらけ出すわけにはいかない・・・!!絶対に・・・!!)
「"礼にあらざれば"」
「!」
聞こえた勝呂の詠唱に、雪男は足を止める。
「"みる事勿れ聴く事勿れ言う事勿れ。己に克ちて礼に復る(かえる)を仁と為す成り"」
《ピキキー〜ッ》
それぞれ目、口、耳を塞がれた三人の猿は逃げ出す。
「「はっ!?」」
それにより、我に返る燐と志摩。
「え!?」
「え?俺・・・」
「魔除けの程度の効力やけど・・・とっさに思い出せてよかったわ!」
「坊・・・!さすがの記憶力です!」
「助かりました、勝呂く・・・」
安心したのもつかの間。志摩が穴を掘った壁が崩壊する。
崩れた壁の先には女子四人がお風呂に浸かっていて・・・。
顔が鉢合わせになり、しゃがみ隠すしえみ、出雲、玲薇に代わり。
「"八つ姫を喰らう・・・"」
シュラが先陣を切り、男たちに向かったのだった。
「「「ぎゃぁぁあああ〜〜・・・」」」
「すみません、壁の修繕費は、正十字騎士團に」
雪男が頭を下げ領収証にサインする中、他はそれぞれため息つく。
「・・・はぁー。余計に疲れてもーたわ〜」
「全くや」
「消えたい・・・」
一人テンション低い燐。
「ワタアメとかになりたい」
あんな大声で叫べば、きっと女子たちにも聞こえたハズ。
「お前の本音なんて、聞いたところで今更やろ」
「えっ」
「ただ・・・上手くいっとらんのか、風美夜と」
勝呂の言葉に、ついカッとなる。
「そ、そんなんじゃねーよ!」
ただ、やはり脳裏を過ぎるのはこの間の出来事で。だけど、相談出来る訳ない。
「まぁ・・・別にええけどな」
そして勝呂は、気絶してる志摩に目を向けた。
「・・・それに、コイツの煩悩が相変わらずで少しホッとしたわ」
「坊、僕・・・案外志摩さんの言う事に、嘘はないんやないかな・・・て思てるんです」
「そうか」
スパイになった志摩を知って、勝呂も子猫丸もそれぞれに悩みはあるけれど。
やっぱり、昔からの友達ー・・・家族同等で過ごした仲間を簡単に裏切れない。
脱衣場を出た燐は、ベンチに座る玲薇と出雲を見かける。
「玲薇・・・」
「!」
振り返る玲薇の顔はほんのり赤い。
「き、聞こえた・・・?」
目線を泳がせながら、恐る恐る聞いてみる。
玲薇は出雲に寄りかかり、燐から目線を外し頷く。
やっぱり、聞こえていた。やってしまったことは仕方ない。
「悪魔に取り憑かれるなんて、ほんとサイテーね」
「わ、悪かったよっ」
「あとは二人で話しなさいよ」
「あっ・・・」
出雲はスタスタと、何処かへ行ってしまう。
「ごめん・・・」
謝る燐に、玲薇はモジモジする。
「うん・・・」
それでも、顔は合わせられなくて・・・。
「燐は・・・私の事一番に見てくれるの・・・?」
「当たり前だろ」
「・・・何者か分からない私なのに・・・」
「それもう言うな」
「!」
ワシャワシャと、せっかく整った髪を燐は無造作に撫でる。
「もう・・・!」
「お前が悪い」
いつまでも後ろに立ってるのもあれなので、玲薇の隣に座る燐。
「お前もそうだけどさ・・・雪男もあれ、何か隠してるよな・・・」
「雪男?」
「ああ。何も聞いてねーのか?あの時」
「あの時・・・」
『僕達も、青い炎を継いでると思う?』
雪男は『僕達も』と言っていた。自分の事だけなら『君は』でいいと思うのに。
あの時は雪男に気づかれたと思い、焦って冷静でいられなかったから問い詰めなかったけど。
今考えれば『僕達』って事は、雪男も含まれてるかもしれない。
そういえば、雪男に詰め寄られた時、彼の目に違和感があったことを思い出す。
でも、それを燐に勝手に相談して大丈夫だろうか。また二人の間にこじれが生じるのはもう嫌だった。
未だ自分玲薇の事でだって、いい解決法はないのだから。
「・・・分からない・・・」
「・・・そっか」
「兄さん、玲薇、帰るよ」
迎えに来てくれた雪男に、燐が呼び止める。
「雪男」
「ん?」
「お前も、ずっと悩んでるよな。なんか知んねーけど、力になるぞ!」
(僕は、そんなに弱く見えるのか・・・?)
湧き上がる怒りを押さえ込み、雪男は笑顔で言う。
「・・・少し、疲れてたんだ。もう、大丈夫だよ。さ、帰ろう」
「・・・・・・そか?」
「うん」
玲薇も、雪男と視線が合った。なんだか彼の表情は・・・怖かった。
「スリーワイズモンキーて確か・・・人のよくない本音を"見ざる""言わざる""聞かざる"知恵を説く、
置き物なんかに憑依する悪魔で・・・」
「玲薇は、俺のもんだ!!!」
志摩に対してか怒りをあらわにする燐に、怯える一同。
「近付く人間の本音を"見たい""言いたい""聞きたい"状態にさせてしまう悪魔なんや・・・!!」
「な、なんて恐ろしい悪魔なんや・・・!」
青い炎を見せる本気の燐に、志摩はキリクを構え直す。
「そっちがその気なら、最終手段や・・・!うおおおお!!!」
「!?」
詠唱でヤマンタカの黒い炎をキリクに宿しながら、志摩は勢いよく穴を掘り始める。
「まずい、志摩くんが壁に穴を掘り始めた!!」
「させねぇよ!!」
穴を掘る志摩に、燐が拳を振るう。
「このままじゃ壁が壊れる・・・!早くスリーワイズモンキーを祓わないと・・・!!」
どうにかせねばという気持ちは三人一緒だ。けれど、どうしても動けない。
それは悪魔の特徴である、自分らの本音をさらけ出したくないから。
(((近付きたくない!!)))
これも心の中で満場一致。
「武器を取ってきます・・・!!」
「先生!!」
(今、取り憑かれて僕の本音をさらけ出すわけにはいかない・・・!!絶対に・・・!!)
「"礼にあらざれば"」
「!」
聞こえた勝呂の詠唱に、雪男は足を止める。
「"みる事勿れ聴く事勿れ言う事勿れ。己に克ちて礼に復る(かえる)を仁と為す成り"」
《ピキキー〜ッ》
それぞれ目、口、耳を塞がれた三人の猿は逃げ出す。
「「はっ!?」」
それにより、我に返る燐と志摩。
「え!?」
「え?俺・・・」
「魔除けの程度の効力やけど・・・とっさに思い出せてよかったわ!」
「坊・・・!さすがの記憶力です!」
「助かりました、勝呂く・・・」
安心したのもつかの間。志摩が穴を掘った壁が崩壊する。
崩れた壁の先には女子四人がお風呂に浸かっていて・・・。
顔が鉢合わせになり、しゃがみ隠すしえみ、出雲、玲薇に代わり。
「"八つ姫を喰らう・・・"」
シュラが先陣を切り、男たちに向かったのだった。
「「「ぎゃぁぁあああ〜〜・・・」」」
「すみません、壁の修繕費は、正十字騎士團に」
雪男が頭を下げ領収証にサインする中、他はそれぞれため息つく。
「・・・はぁー。余計に疲れてもーたわ〜」
「全くや」
「消えたい・・・」
一人テンション低い燐。
「ワタアメとかになりたい」
あんな大声で叫べば、きっと女子たちにも聞こえたハズ。
「お前の本音なんて、聞いたところで今更やろ」
「えっ」
「ただ・・・上手くいっとらんのか、風美夜と」
勝呂の言葉に、ついカッとなる。
「そ、そんなんじゃねーよ!」
ただ、やはり脳裏を過ぎるのはこの間の出来事で。だけど、相談出来る訳ない。
「まぁ・・・別にええけどな」
そして勝呂は、気絶してる志摩に目を向けた。
「・・・それに、コイツの煩悩が相変わらずで少しホッとしたわ」
「坊、僕・・・案外志摩さんの言う事に、嘘はないんやないかな・・・て思てるんです」
「そうか」
スパイになった志摩を知って、勝呂も子猫丸もそれぞれに悩みはあるけれど。
やっぱり、昔からの友達ー・・・家族同等で過ごした仲間を簡単に裏切れない。
脱衣場を出た燐は、ベンチに座る玲薇と出雲を見かける。
「玲薇・・・」
「!」
振り返る玲薇の顔はほんのり赤い。
「き、聞こえた・・・?」
目線を泳がせながら、恐る恐る聞いてみる。
玲薇は出雲に寄りかかり、燐から目線を外し頷く。
やっぱり、聞こえていた。やってしまったことは仕方ない。
「悪魔に取り憑かれるなんて、ほんとサイテーね」
「わ、悪かったよっ」
「あとは二人で話しなさいよ」
「あっ・・・」
出雲はスタスタと、何処かへ行ってしまう。
「ごめん・・・」
謝る燐に、玲薇はモジモジする。
「うん・・・」
それでも、顔は合わせられなくて・・・。
「燐は・・・私の事一番に見てくれるの・・・?」
「当たり前だろ」
「・・・何者か分からない私なのに・・・」
「それもう言うな」
「!」
ワシャワシャと、せっかく整った髪を燐は無造作に撫でる。
「もう・・・!」
「お前が悪い」
いつまでも後ろに立ってるのもあれなので、玲薇の隣に座る燐。
「お前もそうだけどさ・・・雪男もあれ、何か隠してるよな・・・」
「雪男?」
「ああ。何も聞いてねーのか?あの時」
「あの時・・・」
『僕達も、青い炎を継いでると思う?』
雪男は『僕達も』と言っていた。自分の事だけなら『君は』でいいと思うのに。
あの時は雪男に気づかれたと思い、焦って冷静でいられなかったから問い詰めなかったけど。
今考えれば『僕達』って事は、雪男も含まれてるかもしれない。
そういえば、雪男に詰め寄られた時、彼の目に違和感があったことを思い出す。
でも、それを燐に勝手に相談して大丈夫だろうか。また二人の間にこじれが生じるのはもう嫌だった。
未だ自分玲薇の事でだって、いい解決法はないのだから。
「・・・分からない・・・」
「・・・そっか」
「兄さん、玲薇、帰るよ」
迎えに来てくれた雪男に、燐が呼び止める。
「雪男」
「ん?」
「お前も、ずっと悩んでるよな。なんか知んねーけど、力になるぞ!」
(僕は、そんなに弱く見えるのか・・・?)
湧き上がる怒りを押さえ込み、雪男は笑顔で言う。
「・・・少し、疲れてたんだ。もう、大丈夫だよ。さ、帰ろう」
「・・・・・・そか?」
「うん」
玲薇も、雪男と視線が合った。なんだか彼の表情は・・・怖かった。