第十二話 わだかまり
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「すごーい!お風呂たくさん!!滝もあるよ!」
「ここも変わらないなぁ」
「玲薇は、来たことあるの?」
「うん。子供の頃、何度か連れてきてもらったの!懐かしい」
「みてー、神木さん!風美夜さん!!ピンクのあわあわのお風呂だよ!入ろーよ!」
「・・・ったく、しょーがないわね。(ピンクのあわあわ!?)」
愚痴を言いながらも皆と一緒に行動してくれるようになった出雲は、変わり始めてる。
「ふわぁあ・・・きもちい・・・」
のんびりくつろぐ中、隣の男子湯から燐の豪快な笑い声が聞こえる。
「あっ、燐の声!すぐ隣にいるんだ!ふふ」
「何ヘラヘラしてんのよ」
「えへへ」
玲薇は、自分の視線がしえみの胸にいってしまうのがどうしても悔しかった。
(くっそー!燐のせいで気にしちゃうじゃない!)
確か男湯は、プールにあるような滑り台があったハズだ。今頃燐は呑気に遊んでいるにちがいない。
「朔ちゃんも一緒だったらよかったのになぁ・・・」
そう言うしえみの顔を盗み見る。
「しょーがないでしょ。今回は戦いの慰労目的なんだから。
それに、これからいくらでも来られるじゃない。近いんだし、今度は四人で来れば・・・」
ごにょごにょ言う出雲だが、まさか出雲から誘ってくれるとは思わなくて、素直に嬉しい。
「うん!また来ようね・・・」
「確かに。いつもあのお風呂じゃぁ、気が滅入るかも・・・」
珍しく愚痴を零す玲薇に、出雲はため息混じりに言った。
「あんたも、よくあそこで我慢できるわね。理事長にお願いして、新館に移れないの?」
「んー・・・たぶん、無理じゃないかなぁ・・・」
確か雪男という監視者がいてこの学園に入れたようなものだし。
「でも、風美夜さんは燐と雪ちゃんとずっと一緒にいれるから、羨ましいなぁ」
「え?」
コホンと、ここで出雲がわざとらしく咳払いしてみせる。
「ま、まぁ玲薇。それより無茶な行動はしないでよね」
「え?」
「いや、こっちの話(皆がいるお風呂で自殺紛いのことはできないでしょ)」
男子湯の方では、遊び回る燐を注意しつつ、雪男は子猫丸に志摩は本当に信用出来るのか話を聞いていた。
以前、不浄王戦の時行動を一緒にしていた子猫丸は、あの時志摩が逃げ出した時、
子供の頃から「遠くに行ってしまう人」だと思ってついにいなくなってしまうのかなと頭に過ぎった。
けど、彼は仲間を裏切ることなく戻ってきてくれた。そんな些細な事だろうとも、子猫丸と志摩との間では、
それで充分と胸をはれる根拠なんだと。いま、志摩は一人で何をやろうとしてるのか検討もないけれど。
「そうか」
「!」
身体を丁寧にあらい終えた勝呂が、同じ湯船に浸かる。
「坊!」
「・・・そういえば、あのスパイはどこ行ったんや?」
皆の知らないところで話を付けた勝呂は、それ以来志摩をスパイと呼んでいる。
「そういえば・・・」
メガネを外している子猫丸は目を細めあちこち顔を向ける。
すると、後方の方に見慣れたピンク頭を見つけた。
「あ、おった!志摩さん!」
志摩は呼ばれてビクッと身体を揺らすも、返事をしない。
「?」
「志摩さん・・・?」
「俺は一人になりたいんや!声かけんで!!」
「!?」
「お前、どうしたんや。さっきからおかしいで!?」
勝呂は心配になり声をかけるも、志摩は壁に張り付いたままだ。
「・・・俺が?おかしい・・・?」
すると、志摩は勢いよく立ち上がる。
「おかしいのは皆の方やろ!!皆して爽やかにお湯浸かって仲良く裸の付き合いて・・・何やねん気持ち悪い!
こんなん全部嘘っぱちや!!俺はただ、正直者なだけや!!」
叫ぶ志摩に注目が集まり、勝呂が問い詰める。
「な・・・志摩!やっぱりお前まだ何か蟠っとったんか・・・!!だったらはっきり言えや!!」
「じゃあ、言わせてもらうわ!!すぐ隣で出雲ちゃんと杜山さんと玲薇ちゃんと霧隠先生が、
まっぱなんやで・・・!?」
その瞬間、静まる男子湯。
「なんの、話をしとるんや・・・!?」
「まっぱですよ!!それをどーにかして見たいと思うのが男やろ!!」
「お前・・・!!!さっきから静かやと思っとったら・・・まさか・・・!!」
「・・・フッ、安心して下さい。まだ覗いてません。この銭湯のセキュリティは完璧ですよ!
スパイの俺が保証するんやから間違いない・・・!もう、こうなったら・・・ハイリスクすぎてやりたくはなかったが・・・、
この壁を登るしかない・・・!!キリク!!」
志摩は武器であるキリクを呼び、詠唱でヤマンタカを呼び出す。
「「!!」」
勝呂、子猫丸、雪男が止める前に志摩は飛び上がる。
「ヤマンタカくん、俺に力を!!」
「アカン、本気で覗く気や!!」
「やめろ、志摩バカ!!」
「ホゲー」
そんな勢い余る志摩を飛び蹴りで止めたのは燐だった。
「お前、それもう覗きじゃねーよ、完全に見に行ってるだろ!」
「なんでや奥村くん!!奥村くんだって、女子の・・・玲薇ちゃんの裸見たいやろ!?」
「べ、別にいま見たくねーよ!」
いや、本音は見たいのはやまやまだ。だが、こんな形ではない。
「またまたぁ、我慢してはるんやろ」
「ちげよー!万一こんなんで見たら嫌われるし、ちょー気まずくなる!
つーか、殺されそーだし・・・だけど、素直に言うと・・・」
「!?」
「玲薇とヤリたい!!!」
志摩以外の周りの男子がザワつく。
「兄・・・さん・・・!?」
「さすがや奥村くん!!」
泣き喜ぶ志摩に対し、燐はそれを拒否る。
「違う!!お前と一緒にすんな!!俺は・・・玲薇と、ふ、二人きりのシチュエーションでって事だ!!
それなのに、なんでアイツは毎回俺のことお断りすんだよ!!もう見てもいーカンケーじゃねーのかよ!!
アイツはもう、俺のもんだろ!!?」
燐の恥ずかしい心の告白に、子猫丸は顔を赤くする。
「どうしたんや奥村くん・・・心の中の恥ずかしい願望がダダ漏れや!!」
「・・・玲薇と兄さん、まだそんな関係じゃない・・・」
「志摩といい、さすがにおかしい!悪魔の仕業じゃ・・・!!」
勝呂がハッと気づいた場所に、何かが跳ねている。
「先生、壁の上!」
「あれは・・・スリーワイズモンキー!??」
《キキー》
《キッキー》
そこには、三匹の猿がいた。
「ここも変わらないなぁ」
「玲薇は、来たことあるの?」
「うん。子供の頃、何度か連れてきてもらったの!懐かしい」
「みてー、神木さん!風美夜さん!!ピンクのあわあわのお風呂だよ!入ろーよ!」
「・・・ったく、しょーがないわね。(ピンクのあわあわ!?)」
愚痴を言いながらも皆と一緒に行動してくれるようになった出雲は、変わり始めてる。
「ふわぁあ・・・きもちい・・・」
のんびりくつろぐ中、隣の男子湯から燐の豪快な笑い声が聞こえる。
「あっ、燐の声!すぐ隣にいるんだ!ふふ」
「何ヘラヘラしてんのよ」
「えへへ」
玲薇は、自分の視線がしえみの胸にいってしまうのがどうしても悔しかった。
(くっそー!燐のせいで気にしちゃうじゃない!)
確か男湯は、プールにあるような滑り台があったハズだ。今頃燐は呑気に遊んでいるにちがいない。
「朔ちゃんも一緒だったらよかったのになぁ・・・」
そう言うしえみの顔を盗み見る。
「しょーがないでしょ。今回は戦いの慰労目的なんだから。
それに、これからいくらでも来られるじゃない。近いんだし、今度は四人で来れば・・・」
ごにょごにょ言う出雲だが、まさか出雲から誘ってくれるとは思わなくて、素直に嬉しい。
「うん!また来ようね・・・」
「確かに。いつもあのお風呂じゃぁ、気が滅入るかも・・・」
珍しく愚痴を零す玲薇に、出雲はため息混じりに言った。
「あんたも、よくあそこで我慢できるわね。理事長にお願いして、新館に移れないの?」
「んー・・・たぶん、無理じゃないかなぁ・・・」
確か雪男という監視者がいてこの学園に入れたようなものだし。
「でも、風美夜さんは燐と雪ちゃんとずっと一緒にいれるから、羨ましいなぁ」
「え?」
コホンと、ここで出雲がわざとらしく咳払いしてみせる。
「ま、まぁ玲薇。それより無茶な行動はしないでよね」
「え?」
「いや、こっちの話(皆がいるお風呂で自殺紛いのことはできないでしょ)」
男子湯の方では、遊び回る燐を注意しつつ、雪男は子猫丸に志摩は本当に信用出来るのか話を聞いていた。
以前、不浄王戦の時行動を一緒にしていた子猫丸は、あの時志摩が逃げ出した時、
子供の頃から「遠くに行ってしまう人」だと思ってついにいなくなってしまうのかなと頭に過ぎった。
けど、彼は仲間を裏切ることなく戻ってきてくれた。そんな些細な事だろうとも、子猫丸と志摩との間では、
それで充分と胸をはれる根拠なんだと。いま、志摩は一人で何をやろうとしてるのか検討もないけれど。
「そうか」
「!」
身体を丁寧にあらい終えた勝呂が、同じ湯船に浸かる。
「坊!」
「・・・そういえば、あのスパイはどこ行ったんや?」
皆の知らないところで話を付けた勝呂は、それ以来志摩をスパイと呼んでいる。
「そういえば・・・」
メガネを外している子猫丸は目を細めあちこち顔を向ける。
すると、後方の方に見慣れたピンク頭を見つけた。
「あ、おった!志摩さん!」
志摩は呼ばれてビクッと身体を揺らすも、返事をしない。
「?」
「志摩さん・・・?」
「俺は一人になりたいんや!声かけんで!!」
「!?」
「お前、どうしたんや。さっきからおかしいで!?」
勝呂は心配になり声をかけるも、志摩は壁に張り付いたままだ。
「・・・俺が?おかしい・・・?」
すると、志摩は勢いよく立ち上がる。
「おかしいのは皆の方やろ!!皆して爽やかにお湯浸かって仲良く裸の付き合いて・・・何やねん気持ち悪い!
こんなん全部嘘っぱちや!!俺はただ、正直者なだけや!!」
叫ぶ志摩に注目が集まり、勝呂が問い詰める。
「な・・・志摩!やっぱりお前まだ何か蟠っとったんか・・・!!だったらはっきり言えや!!」
「じゃあ、言わせてもらうわ!!すぐ隣で出雲ちゃんと杜山さんと玲薇ちゃんと霧隠先生が、
まっぱなんやで・・・!?」
その瞬間、静まる男子湯。
「なんの、話をしとるんや・・・!?」
「まっぱですよ!!それをどーにかして見たいと思うのが男やろ!!」
「お前・・・!!!さっきから静かやと思っとったら・・・まさか・・・!!」
「・・・フッ、安心して下さい。まだ覗いてません。この銭湯のセキュリティは完璧ですよ!
スパイの俺が保証するんやから間違いない・・・!もう、こうなったら・・・ハイリスクすぎてやりたくはなかったが・・・、
この壁を登るしかない・・・!!キリク!!」
志摩は武器であるキリクを呼び、詠唱でヤマンタカを呼び出す。
「「!!」」
勝呂、子猫丸、雪男が止める前に志摩は飛び上がる。
「ヤマンタカくん、俺に力を!!」
「アカン、本気で覗く気や!!」
「やめろ、志摩バカ!!」
「ホゲー」
そんな勢い余る志摩を飛び蹴りで止めたのは燐だった。
「お前、それもう覗きじゃねーよ、完全に見に行ってるだろ!」
「なんでや奥村くん!!奥村くんだって、女子の・・・玲薇ちゃんの裸見たいやろ!?」
「べ、別にいま見たくねーよ!」
いや、本音は見たいのはやまやまだ。だが、こんな形ではない。
「またまたぁ、我慢してはるんやろ」
「ちげよー!万一こんなんで見たら嫌われるし、ちょー気まずくなる!
つーか、殺されそーだし・・・だけど、素直に言うと・・・」
「!?」
「玲薇とヤリたい!!!」
志摩以外の周りの男子がザワつく。
「兄・・・さん・・・!?」
「さすがや奥村くん!!」
泣き喜ぶ志摩に対し、燐はそれを拒否る。
「違う!!お前と一緒にすんな!!俺は・・・玲薇と、ふ、二人きりのシチュエーションでって事だ!!
それなのに、なんでアイツは毎回俺のことお断りすんだよ!!もう見てもいーカンケーじゃねーのかよ!!
アイツはもう、俺のもんだろ!!?」
燐の恥ずかしい心の告白に、子猫丸は顔を赤くする。
「どうしたんや奥村くん・・・心の中の恥ずかしい願望がダダ漏れや!!」
「・・・玲薇と兄さん、まだそんな関係じゃない・・・」
「志摩といい、さすがにおかしい!悪魔の仕業じゃ・・・!!」
勝呂がハッと気づいた場所に、何かが跳ねている。
「先生、壁の上!」
「あれは・・・スリーワイズモンキー!??」
《キキー》
《キッキー》
そこには、三匹の猿がいた。