第十二話 わだかまり
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「え?温泉?」
シュラからの電話を終えた燐に、玲薇が聞き返す。
「明日!ほら、小さい頃よく行ったろ、ウルトラ南国の湯!貸し切りだってさ!」
「温泉・・・」
正直、こんな時に温泉もどうかと思うのだが。
「嫌、かぁ・・・?」
心配そうに顔を覗いてくる燐に、ハッとする。
「そ、そんなことないけど・・・」
「そだ。そういえば小さい頃は温泉行くたびに玲薇も男湯にいたっけ」
「それ言わないの!今じゃ忘れたい記憶なんだから!!」
「あん頃の裸の記憶しかねぇもんな。今はおっぱいの大きさは、しえみには負けてるか?」
「燐!!!」
「ぎゃあ!」
怒り任せに、たまらず燐の尻尾を力強く引っ張ってしまった。
「おっま、尻尾は反則だろ!!」
四つん這いで半泣きになる燐に、玲薇は顔をそらす。
「知らないっ。見損なった」
「くっそ〜」
振り返りもせず、背をむける玲薇の腕を力任せに引っ張りこみ自分の腕の中に引き寄せる。
「ちょっ・・・!いっ」
衝撃は燐が下敷きになってくれたおかげでなんとか強打は免れたものの、
床に寝転がされた時にきた頭の衝撃は少なからず痛かった。
抵抗できることなく、燐に馬乗りされている。
冷や汗が出てくる。まずい、本気に怒らせてしまった、と。
「・・・・・・・・・り・・・・燐、さん・・・?」
恐る恐る彼の名前を呼ぶ。
「玲薇・・・俺、これでも我慢してんだけど・・・」
真面目な顔付きに、ドキリと胸が高鳴る。
「雪男、今日帰ってこねーからイイよな?」
「や・・・やめて、燐・・・!」
首元に近付いていた燐の口から、舌打ちが聞こえた。
「チッ。雪男とはデキて、俺とはデキねーの!?」
怒りを含む燐の声。ここはハッキリとした口調で答えないと、燐の心に響かない。
「雪男は関係ない!雪男とはヤッてない!!」
「じゃあ何でだよ!?」
「燐こそ!何でそんなすぐヤろうとしたがるの!?
私たちは本当にいていい存在なのかも分からないのにっ」
「だからだろ!」
「はぁ!?」
「放っておいたらお前、どっかいっちまいそうだし、本当に消えていなくなりそうで・・・。
そんなん、ジジィの時だけでもう沢山なのに、玲薇までいなくなったら俺どうすればいいんだよ・・・」
「燐・・・・・・」
そっか。燐も自分と同じで不安でいっぱいなんだよね。
「・・・・・あんなことして、心配かけてごめんね・・・?」
なんとか手を伸ばして、泣きそうな顔の燐の頬を優しく撫でる。
「燐と雪男に、もう迷惑かけたくないって思っちゃったり・・・。
考えることがいっぱいいっぱいになっちゃって、自暴自棄になっちゃって・・・」
「・・・・・俺じゃ、頼りない?」
頬を撫でてる手に、燐がそっと添える。
「そんなことない。私が、弱かっただけ」
「・・・俺、玲薇が大好きだ。けど、雪男もそうだろ?だから、俺も考えるんだよ。
アイツの兄貴として、お前の事譲った方がいいのかな・・・とかさ」
「!」
「だけど、それは出来なくて・・・俺の事分かってくれてるの玲薇しかいなくて」
「私だって、二人を見てきた。けど、やっぱり心は燐と一緒がいいって思ってる。
雪男の事は嫌いじゃない。でも、私の今の心のまま雪男にいっても、雪男の事優しくしてあげられる自信がない」
雪男には申し訳ないけれど、やっぱり一番好きなのは燐だから。
「でも、俺は・・・」
燐は目を見開く。初めて玲薇からキスをしてくれた事に。
「玲薇・・・?」
「私が悪いんだけどさ、もうアレコレ悩むのはやめよ!明日の温泉の準備、しよ!」
「あ、あぁ・・・」
いつもの明るい玲薇の笑顔。だけどなんだろう、この言い様のない不安は。
次の日、塾生+シュラに、シュラになぜか引きずらされてきている雪男が集合する。
それに、先程から出雲の視線がやけに痛い。
「い、出雲・・・?」
「なによ」
「何か用かな?」
「別に」
そんなやり取りを、燐はヒヤヒヤしながら見守っていた。
あの後、温泉の連絡を塾生みんなにする時燐が出雲に頼みこんでいた。
『あと、玲薇の友達として、お前に頼みたいことがあるんだけど』
『なによ』
いつものトゲのある言い方の出雲に、押し負けまいと燐が言う。
『さっき、アイツが何考えてんのかわかんなくなった』
『はぁ?どういう事よ』
『暗がりの部屋で一人でいる時手にカッター持ってて・・・』
『そ、それって・・・。てかアンタ、ちゃんと玲薇を守りなさいよね!
アンタが杜山しえみに現を抜かす時、いつも玲薇悲しい表情で見てんだから!』
『ハハ、やっぱ出雲はよく玲薇を見てくれてるよ』
『っ〜〜で、あたしにどうしろってのよ!』
『そだ。ほら、温泉男女に別れるだろ。その時、アイツの事注意して見てて欲しいんだ』
(・・・玲薇があたし達から離れようとする理由があるの?)
ほんの少し前は、自分がみんなと距離を取ろうとしていた理由があってそうだったけど。
玲薇が、まして好きな人から離れようとする理由が浮かばない。
「久しぶりにキレイなお風呂で楽しみだなー!」
腕を伸ばして伸び伸びいるいまの玲薇から、まったく想像がつかない。
「あの」
のれんをくぐり、女湯に向かう途中しえみが遠慮がちに声をかける。
「?」
そんなしえみに、出雲は首をかしげながら振り返った。
「わ、私も、一緒に入ってもいいんだよね!」
(・・・は?)
何を言い出すかと思い、出雲はハッと思い出す。
それは過去のやり取りにあった『だってあたし、あんたに裸見られたくない(以下省略)』を。
「いっ、いいに決まってるでしょ!?わっ、忘れてよ昔の事は!」
焦る出雲がなんだか可愛らしくて、クスリと玲薇は小さく笑う。
「やった!」
三人で仲良く並び、着替えを始める。
「裸になるの、緊張しない?」
と、しえみの声は弾んでいる。
「まぁね。でも、すぐ慣れるわよ」
「あの時の合宿は散々だっからね、でも今回は楽しめそう!」
やっぱり温泉に来て正解だ。
・・・今回は、悪魔の襲撃はないことを祈りつつ玲薇はネックレスを外す。
「初々しいにゃあ。女同士で裸が恥ずかしい感覚なんて、もー忘れちゃったよ!」
なんて言うシュラは大胆に胸をあらわにすれば、やはり羨ましいくらいの巨乳の持ち主だと改める。
「ふんじゃ、お先ぃ♪にゃほぉー!久々の娑婆の湯だぜーッ!!」
「う、羨ましい・・・」
ボソッと玲薇が呟く。
「さすが霧隠先生・・・!よ、よーし私も!!」
しえみも、シュラ程ではないがまともなキレイな形の胸がそこにはあった。
「わ、神木さんと風美夜さん・・・すらっと痩せてて綺麗だなぁ・・・!」
嫌味に聞こえない皮肉の言葉に、玲薇は何も言い返せない。
「どうせもろもろ足りないわよーッ!」
叫ぶ出雲に同調する。
(大丈夫、私も足りないから)
おっぱいの大きさは、しえみもシュラにも当分おいつきません。
シュラからの電話を終えた燐に、玲薇が聞き返す。
「明日!ほら、小さい頃よく行ったろ、ウルトラ南国の湯!貸し切りだってさ!」
「温泉・・・」
正直、こんな時に温泉もどうかと思うのだが。
「嫌、かぁ・・・?」
心配そうに顔を覗いてくる燐に、ハッとする。
「そ、そんなことないけど・・・」
「そだ。そういえば小さい頃は温泉行くたびに玲薇も男湯にいたっけ」
「それ言わないの!今じゃ忘れたい記憶なんだから!!」
「あん頃の裸の記憶しかねぇもんな。今はおっぱいの大きさは、しえみには負けてるか?」
「燐!!!」
「ぎゃあ!」
怒り任せに、たまらず燐の尻尾を力強く引っ張ってしまった。
「おっま、尻尾は反則だろ!!」
四つん這いで半泣きになる燐に、玲薇は顔をそらす。
「知らないっ。見損なった」
「くっそ〜」
振り返りもせず、背をむける玲薇の腕を力任せに引っ張りこみ自分の腕の中に引き寄せる。
「ちょっ・・・!いっ」
衝撃は燐が下敷きになってくれたおかげでなんとか強打は免れたものの、
床に寝転がされた時にきた頭の衝撃は少なからず痛かった。
抵抗できることなく、燐に馬乗りされている。
冷や汗が出てくる。まずい、本気に怒らせてしまった、と。
「・・・・・・・・・り・・・・燐、さん・・・?」
恐る恐る彼の名前を呼ぶ。
「玲薇・・・俺、これでも我慢してんだけど・・・」
真面目な顔付きに、ドキリと胸が高鳴る。
「雪男、今日帰ってこねーからイイよな?」
「や・・・やめて、燐・・・!」
首元に近付いていた燐の口から、舌打ちが聞こえた。
「チッ。雪男とはデキて、俺とはデキねーの!?」
怒りを含む燐の声。ここはハッキリとした口調で答えないと、燐の心に響かない。
「雪男は関係ない!雪男とはヤッてない!!」
「じゃあ何でだよ!?」
「燐こそ!何でそんなすぐヤろうとしたがるの!?
私たちは本当にいていい存在なのかも分からないのにっ」
「だからだろ!」
「はぁ!?」
「放っておいたらお前、どっかいっちまいそうだし、本当に消えていなくなりそうで・・・。
そんなん、ジジィの時だけでもう沢山なのに、玲薇までいなくなったら俺どうすればいいんだよ・・・」
「燐・・・・・・」
そっか。燐も自分と同じで不安でいっぱいなんだよね。
「・・・・・あんなことして、心配かけてごめんね・・・?」
なんとか手を伸ばして、泣きそうな顔の燐の頬を優しく撫でる。
「燐と雪男に、もう迷惑かけたくないって思っちゃったり・・・。
考えることがいっぱいいっぱいになっちゃって、自暴自棄になっちゃって・・・」
「・・・・・俺じゃ、頼りない?」
頬を撫でてる手に、燐がそっと添える。
「そんなことない。私が、弱かっただけ」
「・・・俺、玲薇が大好きだ。けど、雪男もそうだろ?だから、俺も考えるんだよ。
アイツの兄貴として、お前の事譲った方がいいのかな・・・とかさ」
「!」
「だけど、それは出来なくて・・・俺の事分かってくれてるの玲薇しかいなくて」
「私だって、二人を見てきた。けど、やっぱり心は燐と一緒がいいって思ってる。
雪男の事は嫌いじゃない。でも、私の今の心のまま雪男にいっても、雪男の事優しくしてあげられる自信がない」
雪男には申し訳ないけれど、やっぱり一番好きなのは燐だから。
「でも、俺は・・・」
燐は目を見開く。初めて玲薇からキスをしてくれた事に。
「玲薇・・・?」
「私が悪いんだけどさ、もうアレコレ悩むのはやめよ!明日の温泉の準備、しよ!」
「あ、あぁ・・・」
いつもの明るい玲薇の笑顔。だけどなんだろう、この言い様のない不安は。
次の日、塾生+シュラに、シュラになぜか引きずらされてきている雪男が集合する。
それに、先程から出雲の視線がやけに痛い。
「い、出雲・・・?」
「なによ」
「何か用かな?」
「別に」
そんなやり取りを、燐はヒヤヒヤしながら見守っていた。
あの後、温泉の連絡を塾生みんなにする時燐が出雲に頼みこんでいた。
『あと、玲薇の友達として、お前に頼みたいことがあるんだけど』
『なによ』
いつものトゲのある言い方の出雲に、押し負けまいと燐が言う。
『さっき、アイツが何考えてんのかわかんなくなった』
『はぁ?どういう事よ』
『暗がりの部屋で一人でいる時手にカッター持ってて・・・』
『そ、それって・・・。てかアンタ、ちゃんと玲薇を守りなさいよね!
アンタが杜山しえみに現を抜かす時、いつも玲薇悲しい表情で見てんだから!』
『ハハ、やっぱ出雲はよく玲薇を見てくれてるよ』
『っ〜〜で、あたしにどうしろってのよ!』
『そだ。ほら、温泉男女に別れるだろ。その時、アイツの事注意して見てて欲しいんだ』
(・・・玲薇があたし達から離れようとする理由があるの?)
ほんの少し前は、自分がみんなと距離を取ろうとしていた理由があってそうだったけど。
玲薇が、まして好きな人から離れようとする理由が浮かばない。
「久しぶりにキレイなお風呂で楽しみだなー!」
腕を伸ばして伸び伸びいるいまの玲薇から、まったく想像がつかない。
「あの」
のれんをくぐり、女湯に向かう途中しえみが遠慮がちに声をかける。
「?」
そんなしえみに、出雲は首をかしげながら振り返った。
「わ、私も、一緒に入ってもいいんだよね!」
(・・・は?)
何を言い出すかと思い、出雲はハッと思い出す。
それは過去のやり取りにあった『だってあたし、あんたに裸見られたくない(以下省略)』を。
「いっ、いいに決まってるでしょ!?わっ、忘れてよ昔の事は!」
焦る出雲がなんだか可愛らしくて、クスリと玲薇は小さく笑う。
「やった!」
三人で仲良く並び、着替えを始める。
「裸になるの、緊張しない?」
と、しえみの声は弾んでいる。
「まぁね。でも、すぐ慣れるわよ」
「あの時の合宿は散々だっからね、でも今回は楽しめそう!」
やっぱり温泉に来て正解だ。
・・・今回は、悪魔の襲撃はないことを祈りつつ玲薇はネックレスを外す。
「初々しいにゃあ。女同士で裸が恥ずかしい感覚なんて、もー忘れちゃったよ!」
なんて言うシュラは大胆に胸をあらわにすれば、やはり羨ましいくらいの巨乳の持ち主だと改める。
「ふんじゃ、お先ぃ♪にゃほぉー!久々の娑婆の湯だぜーッ!!」
「う、羨ましい・・・」
ボソッと玲薇が呟く。
「さすが霧隠先生・・・!よ、よーし私も!!」
しえみも、シュラ程ではないがまともなキレイな形の胸がそこにはあった。
「わ、神木さんと風美夜さん・・・すらっと痩せてて綺麗だなぁ・・・!」
嫌味に聞こえない皮肉の言葉に、玲薇は何も言い返せない。
「どうせもろもろ足りないわよーッ!」
叫ぶ出雲に同調する。
(大丈夫、私も足りないから)
おっぱいの大きさは、しえみもシュラにも当分おいつきません。