第十話 さよなら
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「あいつは、あたしが倒す・・・!!」
使い魔を両隣りに従え、出雲が立ち上がっている。
「出雲!?」
「でも、祝詞を唱えてる間あたしは無防備になる。
だからお願い、みんな、あたしを助けて!」
出雲が初めて言ったその言葉。彼女は振り返り、しえみにもハッキリと言ったのだ。
「あんたは、母さんを守ってくれる?」
そう、願いを込めて・・・。
「あたりまえだよ!!」
答えるしえみに、燐が出雲の額を軽く叩く。
「!?」
「そーだ!!その為に来たんだからな!!」
窮地に立たされてるのには変わりないのに、なんでこんなに嬉しいのだろう。
「言われるまでもないわボケ」
「やっと頼ってくれるんだね、出雲!」
冷静に語る勝呂に対し、玲薇は出雲の背中に手を添える。
「も、もう・・・!初めからそうよっ」
「またまた~」
自分でも調子が良いのは分かるが、リニュウも呼び出す。仲間の数は多い方がいいだろうと。
「白狐は氣と光の属性・・・ネクロファージャーには効果があるかもしれへん。微力ながら援護します!」
子猫丸の説明に、雪男が頷く。
「やってみる価値はありそうですね。全員で神木さんの詠唱を助けましょう!」
皆の声を聞き、更にウケとミケからもいつも以上の力を貸してもいいと言ってくれる。
出雲は力を込めて拳を握り、礼を述べた。
「ありがとう・・・!!」
そして、相手をしっかり視界に入れる。
「行くわよ!鎮魂(みたましずめ)の祓い!」
《ゲッ、よりによってあんな大技・・・!!》
《ちょっとカワイイと思ってたのに・・・!!》
白狐の反感を買う暇も与えず、出雲の祝詞が始まった。
「あめつちに」
長い出雲の祝詞と間に、彼女の周りが輝き出す。左手には扇が現れ、右手には神楽鈴が現れる。
そして頭にはキツネの耳を飾った冠が現れ、出雲の衣装を変えていく。しかし、変わるのは出雲だけではない。
白狐二匹は人の姿のように、2本の足で立ち上がる。
「かぜのあめのやえぐもをふきはらうがごとく、あくはらいさらしめたまわん。
そのみたまきよめかがやかしたまわん。あらみたまのおおしく、にぎみたまのやさしく、
さきみたまのさわやかに、くしみたまのあきらかに。ひとふたみ、よ、いつ、む、なな、や、ここのたり。
ふるえゆらゆらふるえ・・・!鎮魂の祓い!」
ウケは弓を、ミケは刀を手にしそれぞれが攻撃に出た。
暴れる外道院が殺られるのは、もう時間の問題で。
「ニンゲンはキライだ、じぶんだけがカワイイギぜんシャども・・・ケがらわシイくずばかり・・・」
ミケが刀で、外道院の頭を突き刺す。
「ぐぇ工エエエッ!イズもおお、オマエもソウ思うダろオオォ!」
確かに前は、外道院の言う通りだった。でも・・・今ならハッキリ否定出来る。
「今は思わない」
「ブキィイイイ!!」
出雲の攻撃は、効果抜群のようで外道院は雷の反動で燃え上がる。
「す、すげぇ・・・!」
燐が素直に感激するも、辺りに倒していた触手が再び燃える外道院に集まっていく。
「え?・・・え?」
倒したはずの触手の集まりに、玲薇も燐も疑問の声が上がる。
「な、なんだ」
その集まった触手は、みるみる外道院の中に入っていくのだ。雪男が驚きの声を上げる。
「収縮していく・・・!」
「倒れたんじゃないの・・・?」
せっかく、出雲の大技が決まったのに。
「エリクサー実験の成功者だとしたら、こんなもんじゃ死なないわ。
それに、そいつにはまだ・・・話がある・・・」
「出雲!?」
ふらりと倒れる出雲を玲薇は支えながら地面に膝をつける。
主が気を失ったからか、それと同時に白狐は消えてしまった。
小さくても息をしていることに玲薇はホッとする。
「・・・どうやら、ゆっくりしていられないみたいだ」
ハッと顔を上げ、雪男が向いている方を見れば外道院が復活しそうな前に最初に倒したゾンビが復活し始めていた。
「神木さんの救出任務は完了しました。一旦退いて増援部隊の到着を待ってから仕切り直しましょう!」
「ま・・・」
それが今精一杯の雪男の判断だ。しかし、それに勝呂と燐が食い下がる。
「待ってください、まだ志摩が!」
「そーだ!志摩も連れ戻す!」
「気持ちは判りますが・・・」
「いや~、みんなさすがやなぁ」
こののんびりとした口調は、ここにいる自分達がよく知る人物の喋り。
「志摩!!」
わざわざ相手から出向いてくるとは思っていなかったが、どうやら志摩の役目は黒焦げに丸まった外道院の回収のようだ。
「・・・って、もう敵同士やし、のん気に感心もしてられへんのんか~ははは。
・・・っとぉ、こうしちゃおれへん。とっととズラからんと・・・」
「まてぇ!」
勝呂の悲痛な呼び止めに、踵を返していた志摩の足が止まった。
志摩が止まってくれたことに驚いた。こんなこと聞いていいのか迷った。
でもチャンスは、いましかないのかもしれない。
「・・・俺の所為か・・・!」
「!」
子猫丸がハッと目を見開く。だが肝心の志摩の表情はいつもと変わらない。
「違います、これは俺の為です」
「!?」
だが今まで以上に、志摩の声は凛と、決意のある声色で。
「そんじゃ!!みなさん、お達者で~♪」
逃げる志摩を引き留めようとも、怒鳴り散らすことも勝呂はしなかった。
無理に追おうとすればまだ追えるのに、勝呂の心は今何を思ったのか判らない。
しかし、感傷に浸る間もなく雪男がゾンビに銃弾を撃ち込む。
「皆さん!!今すぐ脱出しないと・・・!!このままじゃゾンビに囲まれる!僕は弾も尽きた・・・!」
燐が意気込んで攻撃態勢に入るも、燐の目の前にいたゾンビは遠くからの攻撃をうけた。
「坊!!ご無事でしたか!」
「き・・・金造!?」
どうやらメフィストが増援部隊として送ってくれたのは京都、三重、松江出張所からの者達のようだ。
彼らによって、既に稲生周辺の制圧はしているようで、この事件も無事終える事が出来たのだった。
使い魔を両隣りに従え、出雲が立ち上がっている。
「出雲!?」
「でも、祝詞を唱えてる間あたしは無防備になる。
だからお願い、みんな、あたしを助けて!」
出雲が初めて言ったその言葉。彼女は振り返り、しえみにもハッキリと言ったのだ。
「あんたは、母さんを守ってくれる?」
そう、願いを込めて・・・。
「あたりまえだよ!!」
答えるしえみに、燐が出雲の額を軽く叩く。
「!?」
「そーだ!!その為に来たんだからな!!」
窮地に立たされてるのには変わりないのに、なんでこんなに嬉しいのだろう。
「言われるまでもないわボケ」
「やっと頼ってくれるんだね、出雲!」
冷静に語る勝呂に対し、玲薇は出雲の背中に手を添える。
「も、もう・・・!初めからそうよっ」
「またまた~」
自分でも調子が良いのは分かるが、リニュウも呼び出す。仲間の数は多い方がいいだろうと。
「白狐は氣と光の属性・・・ネクロファージャーには効果があるかもしれへん。微力ながら援護します!」
子猫丸の説明に、雪男が頷く。
「やってみる価値はありそうですね。全員で神木さんの詠唱を助けましょう!」
皆の声を聞き、更にウケとミケからもいつも以上の力を貸してもいいと言ってくれる。
出雲は力を込めて拳を握り、礼を述べた。
「ありがとう・・・!!」
そして、相手をしっかり視界に入れる。
「行くわよ!鎮魂(みたましずめ)の祓い!」
《ゲッ、よりによってあんな大技・・・!!》
《ちょっとカワイイと思ってたのに・・・!!》
白狐の反感を買う暇も与えず、出雲の祝詞が始まった。
「あめつちに」
長い出雲の祝詞と間に、彼女の周りが輝き出す。左手には扇が現れ、右手には神楽鈴が現れる。
そして頭にはキツネの耳を飾った冠が現れ、出雲の衣装を変えていく。しかし、変わるのは出雲だけではない。
白狐二匹は人の姿のように、2本の足で立ち上がる。
「かぜのあめのやえぐもをふきはらうがごとく、あくはらいさらしめたまわん。
そのみたまきよめかがやかしたまわん。あらみたまのおおしく、にぎみたまのやさしく、
さきみたまのさわやかに、くしみたまのあきらかに。ひとふたみ、よ、いつ、む、なな、や、ここのたり。
ふるえゆらゆらふるえ・・・!鎮魂の祓い!」
ウケは弓を、ミケは刀を手にしそれぞれが攻撃に出た。
暴れる外道院が殺られるのは、もう時間の問題で。
「ニンゲンはキライだ、じぶんだけがカワイイギぜんシャども・・・ケがらわシイくずばかり・・・」
ミケが刀で、外道院の頭を突き刺す。
「ぐぇ工エエエッ!イズもおお、オマエもソウ思うダろオオォ!」
確かに前は、外道院の言う通りだった。でも・・・今ならハッキリ否定出来る。
「今は思わない」
「ブキィイイイ!!」
出雲の攻撃は、効果抜群のようで外道院は雷の反動で燃え上がる。
「す、すげぇ・・・!」
燐が素直に感激するも、辺りに倒していた触手が再び燃える外道院に集まっていく。
「え?・・・え?」
倒したはずの触手の集まりに、玲薇も燐も疑問の声が上がる。
「な、なんだ」
その集まった触手は、みるみる外道院の中に入っていくのだ。雪男が驚きの声を上げる。
「収縮していく・・・!」
「倒れたんじゃないの・・・?」
せっかく、出雲の大技が決まったのに。
「エリクサー実験の成功者だとしたら、こんなもんじゃ死なないわ。
それに、そいつにはまだ・・・話がある・・・」
「出雲!?」
ふらりと倒れる出雲を玲薇は支えながら地面に膝をつける。
主が気を失ったからか、それと同時に白狐は消えてしまった。
小さくても息をしていることに玲薇はホッとする。
「・・・どうやら、ゆっくりしていられないみたいだ」
ハッと顔を上げ、雪男が向いている方を見れば外道院が復活しそうな前に最初に倒したゾンビが復活し始めていた。
「神木さんの救出任務は完了しました。一旦退いて増援部隊の到着を待ってから仕切り直しましょう!」
「ま・・・」
それが今精一杯の雪男の判断だ。しかし、それに勝呂と燐が食い下がる。
「待ってください、まだ志摩が!」
「そーだ!志摩も連れ戻す!」
「気持ちは判りますが・・・」
「いや~、みんなさすがやなぁ」
こののんびりとした口調は、ここにいる自分達がよく知る人物の喋り。
「志摩!!」
わざわざ相手から出向いてくるとは思っていなかったが、どうやら志摩の役目は黒焦げに丸まった外道院の回収のようだ。
「・・・って、もう敵同士やし、のん気に感心もしてられへんのんか~ははは。
・・・っとぉ、こうしちゃおれへん。とっととズラからんと・・・」
「まてぇ!」
勝呂の悲痛な呼び止めに、踵を返していた志摩の足が止まった。
志摩が止まってくれたことに驚いた。こんなこと聞いていいのか迷った。
でもチャンスは、いましかないのかもしれない。
「・・・俺の所為か・・・!」
「!」
子猫丸がハッと目を見開く。だが肝心の志摩の表情はいつもと変わらない。
「違います、これは俺の為です」
「!?」
だが今まで以上に、志摩の声は凛と、決意のある声色で。
「そんじゃ!!みなさん、お達者で~♪」
逃げる志摩を引き留めようとも、怒鳴り散らすことも勝呂はしなかった。
無理に追おうとすればまだ追えるのに、勝呂の心は今何を思ったのか判らない。
しかし、感傷に浸る間もなく雪男がゾンビに銃弾を撃ち込む。
「皆さん!!今すぐ脱出しないと・・・!!このままじゃゾンビに囲まれる!僕は弾も尽きた・・・!」
燐が意気込んで攻撃態勢に入るも、燐の目の前にいたゾンビは遠くからの攻撃をうけた。
「坊!!ご無事でしたか!」
「き・・・金造!?」
どうやらメフィストが増援部隊として送ってくれたのは京都、三重、松江出張所からの者達のようだ。
彼らによって、既に稲生周辺の制圧はしているようで、この事件も無事終える事が出来たのだった。