第十話 さよなら
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燐が気付くや否や、遠くからバズーカがゾンビに向かって放たれたのだ。
「!?」
その方向を見れば、リニュウに乗った玲薇と、クロに乗っている他の仲間が来てくれていたのだ。
《りーん!!》
「みんな!!」
クロが着地し、彼に続きリニュウも着地する。
「助かった!」
燐が慌てた様子で雪男に駆け寄る。兄の肩に、倒れている人が目に入った。
「その人は!?」
「出雲の母ちゃんだ。クロに乗せてくれ!」
「なに!?」
「出雲、しっかりして・・・!」
「!」
息遣いの荒い出雲に玲薇がしがみつく。彼女の姿はもう、キツネそのものに近かった。
雪男の代わりに勝呂が玉雲をクロに乗せ、雪男は玲薇の隣に屈みこみ出雲の様子を伺った。
「神木さんは悪魔の憑依状態だ・・・!!まさか・・・九尾か!?」
「!?」
「一刻も早く専門の祓魔を施さないと・・・!」
「もう・・・手遅れよ・・・」
「!」
雪男の手を振り払ったのは、出雲本人だ。
「早く・・・行って!!」
「どうして、なんで・・・!?」
なんで出雲はいつも、自分達を頼ってくれないの。
「・・・玲薇・・・」
「っ・・・!」
「サンチョ・・・アロエさんで応急処置できるよ!まかせて!」
しえみも、ここまで来てくれて更に手当てを名乗り出てくれたのに。
出雲本人の身体なのに、言うことを聞いてくれない。
「うっ・・・るさ、い・・・ッああぁああッ」
「!!」
「出雲!!」
「神木さん!?」
「はっ、はぁっ(九尾は狂ってる。従えるどころか、寄り添う事も出来ない。
だから千年もの間封じ鎮めるしかなかったんだ・・・!)」
5年も九尾とどうやって生きてこれたの•••母さん。
あたしは•••もう、ダメ•••
「誰も・・・あたしを、助けられない!!あーーはハははははは!!」
そこには、すっかり九尾へと変豹してしまった出雲がいる。
その事が信じられなくて・・・。
「いず・・・も・・・?」
彼女に手を伸ばそうとするも、弾き飛ばされた。
「ジャマだッ」
「っ・・・」
衝撃波で各々が体制を崩される中、転倒する玲薇を支えたのは雪男だ。
「・・・くっ、奥村先生!!九尾はどう祓魔するんです!?」
勝呂は体制を整えながら雪男に聞く。
「古の強力な上級悪魔です。まだ明確な祓魔方法は解明されていないはず。
むしろ、神木家がその専門家なんです。神木さんのお母さんの意識が戻れば・・・!!」
「雪男・・・」
「?」
玲薇の視線の先を見れば、クロに乗っていたハズの玉雲が、クロの隣に立っていた。
「ああ・・・見える・・・!出雲・・・!!」
玉雲が祝詞を唱え始めると、可憐にまるで踊るように九尾化した出雲の攻撃を交わしていく。
「これは!」
雪男も玉雲に目を向けた時、ゾンビが玉雲に襲いかかろうとするのが目に入った。
「皆さん!!僕達で周囲のゾンビを一掃します。二人にゾンビを近付けさせないようにするんです!」
「うん!」
「よっしゃ!!」
頷く玲薇に、意気込む燐。
「・・・ッ、気張れや神木ィ!祓魔師認定試験が三ヶ月後に迫っとるんやなかったんか!?」→勝呂
「な、何で神木さんが僕らと距離取らはるんか、よー判りましたけど・・・でも・・・、
やっぱりそのクセやめてもらわんと!!」→子猫丸
「神木さん・・・!必ず助けるよ!!」→しえみ
「出雲・・・!!俺達もいるぞ!!」→燐
「皆で一緒に帰ろう、出雲!」→玲薇
一人ぼっちだと、もしかしたら思ってるかもしれない。
でも、まだいるよ。大事な友達が、学園で待ってくれてる人が・・・。
玉雲は出雲の攻撃を避け、出雲に攻撃することなく一瞬のスキを見付け両手を出雲の頭に当てた。
「いざ、帰り座し坐せ我が御霊屋へ。恐み畏み白す」
玉雲の体が光ったかとおもうと、出雲は元の姿に戻り力なく倒れ込む。
「出雲!」
「神木さん!!」
玲薇としえみが出雲の元へ急ぐ。
「・・・・・・・・・あたし・・・・」
意識があることにホッと安堵する。
出雲と玉雲のやり取りをデータに残そうと必死にパソコンにしがみついていた外道院は目を丸くした。
「う・・・う・・・嘘だろ!?出雲のデータが・・・!どこだ!?どこに消えた!!」
そんな焦る外道院に、玉雲が静かに言う。
「九尾は私の中に戻ったわ。そして、私の肉体と一緒に死ぬの。
あなたの目論見も・・・ここまで、ね・・・」
「母さん!」
出雲の代わりに九尾を引き戻した玉雲。
倒れる玉雲に、出雲が駆け寄り身体を支える。
最後の最後に、またこうやって娘に出会う事が出来た。
願わくば、お互いに元気な姿でたくさんお喋りしていたかったけど。
「・・・よ、かった・・・出雲・・・」
今のうちに、意識のあるうちに、ちゃんと伝えておきたい。
「ごめんね・・・」
「やめてよ・・・ッなんで」
けれど出雲の心の叫びはおさまらない。
「・・・あんたなんか・・・いっつも、あたしに助けてもらってたくせに・・・!!」
誰もあたしを助けてくれない。だから誰も頼らない、信じない•••!
そうやって生きてきたのに。
「どうして今更・・・こんな事するのよ!!」
すると玉雲はそっと、出雲を引き寄せてハッキリと言い切った。
「玉ちゃんの、宝物」
今も玉雲は変わらない。前にも、出雲と月雲は宝物だと言ってくれたことがあるのに。
どうしてその言葉がいま、こんなにも心にきて染みるのだろう。溢れる涙を、もう止めることは出来なかった。
「・・・う、うあぁあああん・・・」
出雲は玉雲にしがみつく。
「あたし、間違ってたの・・・!!」
出雲を否定することはない。優しく娘の頭を撫でて、前を向けるように最後の一言を投げかける。
「大、丈・・・夫・・・。みん・・・な、そばにいるわ・・・。月雲・・・も、ウケちゃ・・・ミケも・・・。
・・・・・・だ、から・・・だ、い、じょ・・・・」
するりと落ちる母の手を握り返す。意識を手放した玉雲にもう一度、抱きしめた。
「!?」
その方向を見れば、リニュウに乗った玲薇と、クロに乗っている他の仲間が来てくれていたのだ。
《りーん!!》
「みんな!!」
クロが着地し、彼に続きリニュウも着地する。
「助かった!」
燐が慌てた様子で雪男に駆け寄る。兄の肩に、倒れている人が目に入った。
「その人は!?」
「出雲の母ちゃんだ。クロに乗せてくれ!」
「なに!?」
「出雲、しっかりして・・・!」
「!」
息遣いの荒い出雲に玲薇がしがみつく。彼女の姿はもう、キツネそのものに近かった。
雪男の代わりに勝呂が玉雲をクロに乗せ、雪男は玲薇の隣に屈みこみ出雲の様子を伺った。
「神木さんは悪魔の憑依状態だ・・・!!まさか・・・九尾か!?」
「!?」
「一刻も早く専門の祓魔を施さないと・・・!」
「もう・・・手遅れよ・・・」
「!」
雪男の手を振り払ったのは、出雲本人だ。
「早く・・・行って!!」
「どうして、なんで・・・!?」
なんで出雲はいつも、自分達を頼ってくれないの。
「・・・玲薇・・・」
「っ・・・!」
「サンチョ・・・アロエさんで応急処置できるよ!まかせて!」
しえみも、ここまで来てくれて更に手当てを名乗り出てくれたのに。
出雲本人の身体なのに、言うことを聞いてくれない。
「うっ・・・るさ、い・・・ッああぁああッ」
「!!」
「出雲!!」
「神木さん!?」
「はっ、はぁっ(九尾は狂ってる。従えるどころか、寄り添う事も出来ない。
だから千年もの間封じ鎮めるしかなかったんだ・・・!)」
5年も九尾とどうやって生きてこれたの•••母さん。
あたしは•••もう、ダメ•••
「誰も・・・あたしを、助けられない!!あーーはハははははは!!」
そこには、すっかり九尾へと変豹してしまった出雲がいる。
その事が信じられなくて・・・。
「いず・・・も・・・?」
彼女に手を伸ばそうとするも、弾き飛ばされた。
「ジャマだッ」
「っ・・・」
衝撃波で各々が体制を崩される中、転倒する玲薇を支えたのは雪男だ。
「・・・くっ、奥村先生!!九尾はどう祓魔するんです!?」
勝呂は体制を整えながら雪男に聞く。
「古の強力な上級悪魔です。まだ明確な祓魔方法は解明されていないはず。
むしろ、神木家がその専門家なんです。神木さんのお母さんの意識が戻れば・・・!!」
「雪男・・・」
「?」
玲薇の視線の先を見れば、クロに乗っていたハズの玉雲が、クロの隣に立っていた。
「ああ・・・見える・・・!出雲・・・!!」
玉雲が祝詞を唱え始めると、可憐にまるで踊るように九尾化した出雲の攻撃を交わしていく。
「これは!」
雪男も玉雲に目を向けた時、ゾンビが玉雲に襲いかかろうとするのが目に入った。
「皆さん!!僕達で周囲のゾンビを一掃します。二人にゾンビを近付けさせないようにするんです!」
「うん!」
「よっしゃ!!」
頷く玲薇に、意気込む燐。
「・・・ッ、気張れや神木ィ!祓魔師認定試験が三ヶ月後に迫っとるんやなかったんか!?」→勝呂
「な、何で神木さんが僕らと距離取らはるんか、よー判りましたけど・・・でも・・・、
やっぱりそのクセやめてもらわんと!!」→子猫丸
「神木さん・・・!必ず助けるよ!!」→しえみ
「出雲・・・!!俺達もいるぞ!!」→燐
「皆で一緒に帰ろう、出雲!」→玲薇
一人ぼっちだと、もしかしたら思ってるかもしれない。
でも、まだいるよ。大事な友達が、学園で待ってくれてる人が・・・。
玉雲は出雲の攻撃を避け、出雲に攻撃することなく一瞬のスキを見付け両手を出雲の頭に当てた。
「いざ、帰り座し坐せ我が御霊屋へ。恐み畏み白す」
玉雲の体が光ったかとおもうと、出雲は元の姿に戻り力なく倒れ込む。
「出雲!」
「神木さん!!」
玲薇としえみが出雲の元へ急ぐ。
「・・・・・・・・・あたし・・・・」
意識があることにホッと安堵する。
出雲と玉雲のやり取りをデータに残そうと必死にパソコンにしがみついていた外道院は目を丸くした。
「う・・・う・・・嘘だろ!?出雲のデータが・・・!どこだ!?どこに消えた!!」
そんな焦る外道院に、玉雲が静かに言う。
「九尾は私の中に戻ったわ。そして、私の肉体と一緒に死ぬの。
あなたの目論見も・・・ここまで、ね・・・」
「母さん!」
出雲の代わりに九尾を引き戻した玉雲。
倒れる玉雲に、出雲が駆け寄り身体を支える。
最後の最後に、またこうやって娘に出会う事が出来た。
願わくば、お互いに元気な姿でたくさんお喋りしていたかったけど。
「・・・よ、かった・・・出雲・・・」
今のうちに、意識のあるうちに、ちゃんと伝えておきたい。
「ごめんね・・・」
「やめてよ・・・ッなんで」
けれど出雲の心の叫びはおさまらない。
「・・・あんたなんか・・・いっつも、あたしに助けてもらってたくせに・・・!!」
誰もあたしを助けてくれない。だから誰も頼らない、信じない•••!
そうやって生きてきたのに。
「どうして今更・・・こんな事するのよ!!」
すると玉雲はそっと、出雲を引き寄せてハッキリと言い切った。
「玉ちゃんの、宝物」
今も玉雲は変わらない。前にも、出雲と月雲は宝物だと言ってくれたことがあるのに。
どうしてその言葉がいま、こんなにも心にきて染みるのだろう。溢れる涙を、もう止めることは出来なかった。
「・・・う、うあぁあああん・・・」
出雲は玉雲にしがみつく。
「あたし、間違ってたの・・・!!」
出雲を否定することはない。優しく娘の頭を撫でて、前を向けるように最後の一言を投げかける。
「大、丈・・・夫・・・。みん・・・な、そばにいるわ・・・。月雲・・・も、ウケちゃ・・・ミケも・・・。
・・・・・・だ、から・・・だ、い、じょ・・・・」
するりと落ちる母の手を握り返す。意識を手放した玉雲にもう一度、抱きしめた。