第十話 さよなら
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苦しいが、負けたくない一心で出雲は九尾に必死に抵抗していた。
外道院の言葉など聞きたくないが、そう簡単に九尾はコントロール出来るものではない。
一時は抵抗に負けそうになり、仮面が弾け飛ぶ。姿はどんどん九尾になってしまっていく。
しかし、転げ回る時に落ちたのかあの手作りのキツネの人形が目に入った。
(月雲・・・!)
それをギュッと、キツく握りしめた。
(あたしの大事な妹)
《でも、もう、生きてるのか死んでるのかも判らない》
九尾が囁く。
(朴、あたしのたった一人の友達)
《でも、本当の事は話せない話せない。話したらきっと、あたしから去ってしまう。
あたしはずっと一人ぼっち。一体何の為に戦うの?・・・生きてるの?》
(もう、疲れた・・・何も彼も・・・)
ふと、志摩に言われた事が思い出された。
『何も彼も嫌で。坊も子猫さんも・・・家族も面倒臭くて・・・。
ぜーんぶ、捨ててしまいたくなってもーてん』
出雲はフッと笑みが出る。
(アンタの言う通り、結局あたしも同じね・・・)
『出雲ちゃんは俺と似たもん同士やと思てたのに・・・意外やなぁ、怒るんや』
なんであたし・・・怒ったんだろ。
あんな奴ら大嫌い。考え方も全員違う。どいつもこいつも自分勝手な奴ばっかりで、
一緒にいるだけで腹が立つのに。なのに、あたし、
あいつらが本当に仲違いするのは、いっつも嫌だったの。
(あたし、あいつらが好きだったんだ)
窮地に至ってようやく気付いた、自分の素直な気持ち。
(本当は、みんなみんな大好きだった。大好きだったのに。
今さら気付いたって、もう遅い。バカなあたし)
燐は自力で、なんとか飲み込まれそうだったゾンビの中から顔を出す。
「・・・出雲・・・!?」
その時見えた。聞こえた。外道院が出雲に、生きてる価値がないと言った時、 彼女は大粒の涙を流して。
「た・・・す、けて!」
「シネッシネッ、ぼくの為にシネェェッキャーハハハハハ」
外道院の下品な笑い声と共に、天井が大きな爆発と共に崩壊する。
「ハッ?」
「うおおおォおおぉ!!」
そこに現れたのは、怒りをあらわにした燐だった。
「!!」
ハッと顔を上げる出雲。本当に来てしまった、自分のした事に仲間を巻き込んで行ってしまっているのに。
燐はギロリと外道院を睨みつける。その目に怯えるも、外道院は引き下がる気配はない。
「イ・・・インフレゾンビを殺したな!?出雲を救うためだから仕方ないって理屈か?え?
ぼくの事を外道だとかほざいておいて、お前もおんなじじゃねーか!!偽善者め!!
キサマがサタン様の落し子だなんてぼくは認めないぞ。正義の味方のつもりか!?カン違いしてんじゃねぇ!!
大体、出雲は望んでこの実験に協力してるんだ。五年前からずっとな!」
だが燐は、外道院の言葉に聞く耳を持たず殴り飛ばした。
「ぼっブべへぇえ!!」
「泣いてんだろうが!!!」
「ッ・・・!!」
「出雲、立てるか?」
「・・・・・・・・・」
燐と出雲の会話などお構いなしに、外道院の部下は逃げ出していく。
「お前らどこへ行く!?ぼくを助けろよ!!」
しかし、部下は誰一人と助けてはくれない。
「チッキショォォオ~(まずいまずいまずいまずいまずい!!対処しなければ!!)役立たず共がァああッ!!」
外道院はおもむろにスピーカーに手を伸ばし何処にいるか分からない志摩に怒鳴り散らした。
「おいっ、親衛隊の小僧!!あのブタメガネ女に親衛隊を召集するように言え!!
サタン様の落し子が、暴れまくってるとな!聞いてるのかよ!?」
聞いてはいる。だが志摩は高みの見物で、状況を見守っていた。
「くっそ!!あのガキ、死んだか!?」
「・・・って、ゆーてはりますけど、どーします?」
「無視し続けろ」
「りょーかいでーす、助かりますわ。はぁ、体シンド、皆がんばれ」
「どいつもこいつも使えねェェッ。このままじゃぼくの失態として処理される・・・!!
考えろ!考えろ!!考え・・・閃いた!!いい時間稼ぎになるぞ!やっぱぼくって天才だよね!ブキャキャ!!」
出雲は何とか体を燐に向け、いつもの強気な姿勢で言う。
「アイツの言った事は本当よ・・・あ・・・あたしの事はほっといて!
母さんを・・・つれて・・・逃げて」
「母さん!?」
「そこに・・・」
「!!」
出雲の視線を辿れば、そこにはもう一人、全身包帯だらけの女の人がいる。
燐が出雲の母、玉雲を肩に捕まらせた時、二人の頭上から大量のゾンビが落ちてきた。
「うわぁあ!!」
なんとか巻き添えを喰らわず、避けきれるもゾンビはこちらに追ってくる。
「くそ!!」
本当は倒したくない。だからさっきまで戦えずにいたのに。けれど今は違う。
自分が本当に戦わなければ出雲も、そして、玉雲も殺されてしまうかもしれない。
降魔剣で対応するも、一体倒したところでゾンビの群れは消えない。
「くるな!!」
炎で、辺りのゾンビを一層する。
「出雲、立て!!」
「う・・・ああ!」
九尾への抵抗が、上手くいかない。
「いい・・・から、行って!」
出雲にとっても、切なる願いなのに、燐もまた頑なに引こうとしない。
「行けるかバカ!!まだ言ってんのか!?右肩に捕まれ!」
本当はその差し出された手を取りたい。でも、このままでは・・・。
「はぁ、はぁ・・・ッ」
九尾が、邪魔をする。
出雲が躊躇している間に、再びゾンビが燐達に襲い掛かろうとしていた。
外道院の言葉など聞きたくないが、そう簡単に九尾はコントロール出来るものではない。
一時は抵抗に負けそうになり、仮面が弾け飛ぶ。姿はどんどん九尾になってしまっていく。
しかし、転げ回る時に落ちたのかあの手作りのキツネの人形が目に入った。
(月雲・・・!)
それをギュッと、キツく握りしめた。
(あたしの大事な妹)
《でも、もう、生きてるのか死んでるのかも判らない》
九尾が囁く。
(朴、あたしのたった一人の友達)
《でも、本当の事は話せない話せない。話したらきっと、あたしから去ってしまう。
あたしはずっと一人ぼっち。一体何の為に戦うの?・・・生きてるの?》
(もう、疲れた・・・何も彼も・・・)
ふと、志摩に言われた事が思い出された。
『何も彼も嫌で。坊も子猫さんも・・・家族も面倒臭くて・・・。
ぜーんぶ、捨ててしまいたくなってもーてん』
出雲はフッと笑みが出る。
(アンタの言う通り、結局あたしも同じね・・・)
『出雲ちゃんは俺と似たもん同士やと思てたのに・・・意外やなぁ、怒るんや』
なんであたし・・・怒ったんだろ。
あんな奴ら大嫌い。考え方も全員違う。どいつもこいつも自分勝手な奴ばっかりで、
一緒にいるだけで腹が立つのに。なのに、あたし、
あいつらが本当に仲違いするのは、いっつも嫌だったの。
(あたし、あいつらが好きだったんだ)
窮地に至ってようやく気付いた、自分の素直な気持ち。
(本当は、みんなみんな大好きだった。大好きだったのに。
今さら気付いたって、もう遅い。バカなあたし)
燐は自力で、なんとか飲み込まれそうだったゾンビの中から顔を出す。
「・・・出雲・・・!?」
その時見えた。聞こえた。外道院が出雲に、生きてる価値がないと言った時、 彼女は大粒の涙を流して。
「た・・・す、けて!」
「シネッシネッ、ぼくの為にシネェェッキャーハハハハハ」
外道院の下品な笑い声と共に、天井が大きな爆発と共に崩壊する。
「ハッ?」
「うおおおォおおぉ!!」
そこに現れたのは、怒りをあらわにした燐だった。
「!!」
ハッと顔を上げる出雲。本当に来てしまった、自分のした事に仲間を巻き込んで行ってしまっているのに。
燐はギロリと外道院を睨みつける。その目に怯えるも、外道院は引き下がる気配はない。
「イ・・・インフレゾンビを殺したな!?出雲を救うためだから仕方ないって理屈か?え?
ぼくの事を外道だとかほざいておいて、お前もおんなじじゃねーか!!偽善者め!!
キサマがサタン様の落し子だなんてぼくは認めないぞ。正義の味方のつもりか!?カン違いしてんじゃねぇ!!
大体、出雲は望んでこの実験に協力してるんだ。五年前からずっとな!」
だが燐は、外道院の言葉に聞く耳を持たず殴り飛ばした。
「ぼっブべへぇえ!!」
「泣いてんだろうが!!!」
「ッ・・・!!」
「出雲、立てるか?」
「・・・・・・・・・」
燐と出雲の会話などお構いなしに、外道院の部下は逃げ出していく。
「お前らどこへ行く!?ぼくを助けろよ!!」
しかし、部下は誰一人と助けてはくれない。
「チッキショォォオ~(まずいまずいまずいまずいまずい!!対処しなければ!!)役立たず共がァああッ!!」
外道院はおもむろにスピーカーに手を伸ばし何処にいるか分からない志摩に怒鳴り散らした。
「おいっ、親衛隊の小僧!!あのブタメガネ女に親衛隊を召集するように言え!!
サタン様の落し子が、暴れまくってるとな!聞いてるのかよ!?」
聞いてはいる。だが志摩は高みの見物で、状況を見守っていた。
「くっそ!!あのガキ、死んだか!?」
「・・・って、ゆーてはりますけど、どーします?」
「無視し続けろ」
「りょーかいでーす、助かりますわ。はぁ、体シンド、皆がんばれ」
「どいつもこいつも使えねェェッ。このままじゃぼくの失態として処理される・・・!!
考えろ!考えろ!!考え・・・閃いた!!いい時間稼ぎになるぞ!やっぱぼくって天才だよね!ブキャキャ!!」
出雲は何とか体を燐に向け、いつもの強気な姿勢で言う。
「アイツの言った事は本当よ・・・あ・・・あたしの事はほっといて!
母さんを・・・つれて・・・逃げて」
「母さん!?」
「そこに・・・」
「!!」
出雲の視線を辿れば、そこにはもう一人、全身包帯だらけの女の人がいる。
燐が出雲の母、玉雲を肩に捕まらせた時、二人の頭上から大量のゾンビが落ちてきた。
「うわぁあ!!」
なんとか巻き添えを喰らわず、避けきれるもゾンビはこちらに追ってくる。
「くそ!!」
本当は倒したくない。だからさっきまで戦えずにいたのに。けれど今は違う。
自分が本当に戦わなければ出雲も、そして、玉雲も殺されてしまうかもしれない。
降魔剣で対応するも、一体倒したところでゾンビの群れは消えない。
「くるな!!」
炎で、辺りのゾンビを一層する。
「出雲、立て!!」
「う・・・ああ!」
九尾への抵抗が、上手くいかない。
「いい・・・から、行って!」
出雲にとっても、切なる願いなのに、燐もまた頑なに引こうとしない。
「行けるかバカ!!まだ言ってんのか!?右肩に捕まれ!」
本当はその差し出された手を取りたい。でも、このままでは・・・。
「はぁ、はぁ・・・ッ」
九尾が、邪魔をする。
出雲が躊躇している間に、再びゾンビが燐達に襲い掛かろうとしていた。