第十話 さよなら
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下に落ちていく燐に、志摩は続いて攻撃した。
「っ、てめぇ、今まじだったな!?」
落下地点でなんとか体制を整えつつ志摩に叫ぶ。
「どうしてだよ!?俺達はお前らを助けに来たのに」
「出雲ちゃんやったら、今ちょーど俺達のいるこの真下におるはずやで。
・・・助けたいなら助ければえ~んやない?」
「え!?」
なぜそんな投げやりなのか。やはり志摩は自分らの敵に本当になってしまったのか。
悠長に考えている間もなく、上を見上げていた志摩が言葉を漏らす。
「あっ、キタキタ」
燐も一緒になって上を見る。すると、上から降ってきたのはあの巨大化したゾンビだった。
「!??な・・・」
「奥村くんの青い炎ある間は、えー囮になってくれて助かるわぁ」
「うあっ」
燐は今、ゾンビに手も足も出せないのを志摩は知っている。
何せ檻に閉じ込めてきた状態から、ずっと外道院とモニターを見て分かっているからだ。
ゾンビの触手に捕まった燐を、今は助ける気はない。再び突撃体制だ。
「アララ、そんなザマやと、誰も助けられへんのちゃうん~?
俺とこのバケモノ殺る覚悟でいかな」
目の前にいるのは、いままで仲間であり友達だと思っていた存在の人。
どうやって倒せばいいというのだろう。出来る訳が無い。まるで今の彼は別人だ。
「お・・・前、本当に志摩か!?騙されて・・・いや、操られてんだ!!
そーじゃなきゃこんな事・・・」
「これも本当の俺や」
ゾンビに囚われて動けない燐に、志摩は迷うことなく黒い炎を纏わせた錫杖を突き立てた。
「・・・ッ」
刺されて血が出る訳では無い。だが代わりに、どんどん力が抜けていく。
「てめぇッ・・・勝呂と・・・子猫丸はどーすんだよ!」
志摩は答えない。答えを聞く前に、抵抗力を奪われてしまった燐は、とうとうゾンビに飲み込まれた。
「うああッ」
その中で脳裏に蘇るのは、良かれと思って助けに行ったのに、二人から投げられた否定の言葉。
『助けなんて必要ない!!邪魔しないで!!』
『これも、本当の俺や』
燐は自分自身に舌打ちした。
「くそっ・・・(どうすりゃいいんだ・・・)」
出雲は母を目の前に、外道院から被せられた仮面を被り神木家伝統ともいえる"神降ろしの舞"を初めていた。
その伝統的な舞を見ている外道院の部下の一人が呟いた。
「・・・美しいですね・・・」
「フン。"神降ろしの舞"はあくまで九尾の"餌"への食い付きを良くするため。
大切なのはあの、セイバー仮面だ。天才であるこのぼくが開発した、
物質と同質でなくても強制的に悪魔を肉体に憑依定着させるテクノロジー。
準備しておけよ、ヒヒッ」
「は・・・はッ」
玉雲が小さな呻き声を上げると共に、九尾の尾が姿を表していく。
そして、気配でも分かる。出雲はさらに、目付きを鋭くさせた。
(来たな、九尾・・・!!)
ここで小さな弱みを見せる訳にはいかない。
(勝つ、必ず)
そして、最後力強く舞を踊り切った。
(あたしに従え!!!)
強く、そう願って。
出雲は肩で息をする。自分なりにやりきった。あとは、九尾の意思だけだ。
ドクンと、高鳴る心臓に、激しく禍々しい九尾の気配が体中を支配していく。
(な、に)
いままでに感じたことのないこの感覚はなんだ。
「いやぁぁあぁぁっ」
痛みなのか恐怖なのか、全ての負の要素が出雲を襲った。
「シールド!!」
外道院は自らを守るためか、出雲達の周りに結界を張った。
「ヒヒヒッ、出雲ォおお~~!!お前はどーゆうワケか適合率・・・、
稲荷の神の加護をほとんど失ってやがったんだよ!!
このままじゃ間違いなく即死か、九尾はお前に定着しない!そーはいくかよォおお!!
セイバー仮面、起動!!」
「きゃああああ」
玉雲にも備え付けられていた仮面から、出雲の仮面に向け光線が放たれる。
「キャハハハッ、感謝しろよ。この装置で強制的に憑依定着させてやるんだ。
きゃきゃーッ、だが、本来この施術はエリクサー実験で肉体強化に成功した、
"選ばれし者"だけが耐えうる。加護を失ったお前はどーなっちゃうのかな?
この際、多少肉体が壊死するのはご愛嬌だ・・・!」
「あ・・・あ、ああ!!」
出雲はもがき苦しむ。
それは今、燐も同じだ。
「くそ・・・くっ、あいつら、勝手言いやがって・・・」
《ああ・・・さん》
《ああう・・・》
《うう・・・いたい》
燐はハッと顔を上げる。これは・・・。
(ゾンビになった人達の声・・・嘘だろ・・・!!)
こんな時に、一番聞きたくない。思わず耳を塞いでしまう。
(ジジイ・・・俺、頭悪いから、もうどーしていーか判んねーよ!!)
「っ、てめぇ、今まじだったな!?」
落下地点でなんとか体制を整えつつ志摩に叫ぶ。
「どうしてだよ!?俺達はお前らを助けに来たのに」
「出雲ちゃんやったら、今ちょーど俺達のいるこの真下におるはずやで。
・・・助けたいなら助ければえ~んやない?」
「え!?」
なぜそんな投げやりなのか。やはり志摩は自分らの敵に本当になってしまったのか。
悠長に考えている間もなく、上を見上げていた志摩が言葉を漏らす。
「あっ、キタキタ」
燐も一緒になって上を見る。すると、上から降ってきたのはあの巨大化したゾンビだった。
「!??な・・・」
「奥村くんの青い炎ある間は、えー囮になってくれて助かるわぁ」
「うあっ」
燐は今、ゾンビに手も足も出せないのを志摩は知っている。
何せ檻に閉じ込めてきた状態から、ずっと外道院とモニターを見て分かっているからだ。
ゾンビの触手に捕まった燐を、今は助ける気はない。再び突撃体制だ。
「アララ、そんなザマやと、誰も助けられへんのちゃうん~?
俺とこのバケモノ殺る覚悟でいかな」
目の前にいるのは、いままで仲間であり友達だと思っていた存在の人。
どうやって倒せばいいというのだろう。出来る訳が無い。まるで今の彼は別人だ。
「お・・・前、本当に志摩か!?騙されて・・・いや、操られてんだ!!
そーじゃなきゃこんな事・・・」
「これも本当の俺や」
ゾンビに囚われて動けない燐に、志摩は迷うことなく黒い炎を纏わせた錫杖を突き立てた。
「・・・ッ」
刺されて血が出る訳では無い。だが代わりに、どんどん力が抜けていく。
「てめぇッ・・・勝呂と・・・子猫丸はどーすんだよ!」
志摩は答えない。答えを聞く前に、抵抗力を奪われてしまった燐は、とうとうゾンビに飲み込まれた。
「うああッ」
その中で脳裏に蘇るのは、良かれと思って助けに行ったのに、二人から投げられた否定の言葉。
『助けなんて必要ない!!邪魔しないで!!』
『これも、本当の俺や』
燐は自分自身に舌打ちした。
「くそっ・・・(どうすりゃいいんだ・・・)」
出雲は母を目の前に、外道院から被せられた仮面を被り神木家伝統ともいえる"神降ろしの舞"を初めていた。
その伝統的な舞を見ている外道院の部下の一人が呟いた。
「・・・美しいですね・・・」
「フン。"神降ろしの舞"はあくまで九尾の"餌"への食い付きを良くするため。
大切なのはあの、セイバー仮面だ。天才であるこのぼくが開発した、
物質と同質でなくても強制的に悪魔を肉体に憑依定着させるテクノロジー。
準備しておけよ、ヒヒッ」
「は・・・はッ」
玉雲が小さな呻き声を上げると共に、九尾の尾が姿を表していく。
そして、気配でも分かる。出雲はさらに、目付きを鋭くさせた。
(来たな、九尾・・・!!)
ここで小さな弱みを見せる訳にはいかない。
(勝つ、必ず)
そして、最後力強く舞を踊り切った。
(あたしに従え!!!)
強く、そう願って。
出雲は肩で息をする。自分なりにやりきった。あとは、九尾の意思だけだ。
ドクンと、高鳴る心臓に、激しく禍々しい九尾の気配が体中を支配していく。
(な、に)
いままでに感じたことのないこの感覚はなんだ。
「いやぁぁあぁぁっ」
痛みなのか恐怖なのか、全ての負の要素が出雲を襲った。
「シールド!!」
外道院は自らを守るためか、出雲達の周りに結界を張った。
「ヒヒヒッ、出雲ォおお~~!!お前はどーゆうワケか適合率・・・、
稲荷の神の加護をほとんど失ってやがったんだよ!!
このままじゃ間違いなく即死か、九尾はお前に定着しない!そーはいくかよォおお!!
セイバー仮面、起動!!」
「きゃああああ」
玉雲にも備え付けられていた仮面から、出雲の仮面に向け光線が放たれる。
「キャハハハッ、感謝しろよ。この装置で強制的に憑依定着させてやるんだ。
きゃきゃーッ、だが、本来この施術はエリクサー実験で肉体強化に成功した、
"選ばれし者"だけが耐えうる。加護を失ったお前はどーなっちゃうのかな?
この際、多少肉体が壊死するのはご愛嬌だ・・・!」
「あ・・・あ、ああ!!」
出雲はもがき苦しむ。
それは今、燐も同じだ。
「くそ・・・くっ、あいつら、勝手言いやがって・・・」
《ああ・・・さん》
《ああう・・・》
《うう・・・いたい》
燐はハッと顔を上げる。これは・・・。
(ゾンビになった人達の声・・・嘘だろ・・・!!)
こんな時に、一番聞きたくない。思わず耳を塞いでしまう。
(ジジイ・・・俺、頭悪いから、もうどーしていーか判んねーよ!!)