第九話 それぞれの戦い
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巨大化したゾンビから逃れるように走り、外道院の居場所を探している最中視界に入った。
「神木さん!!」
捜していた仲間を、桟橋から姿を捉える。しえみの声に動きが止まる。
「!!ッ・・・」
やっと、やっと見つけた。
「出雲・・・!」
すかさず燐は踵を返し、飛ぶように彼女の元へと急ぐ。
「いずもおおッ」
「!」
「助けに来たぞ!!」
降魔剣を抜き、出雲が繋がれている手錠を外せば彼女は自由になる。
「そーはさせへんで~♪」
けれど、想像もしてなかった相手に燐は邪魔をされた。
「!!」
攻撃を交わすため、剣で受け身の体制になってしまう。
「ッ・・・!!」
「志摩!!!」
勝呂が叫ぶ。
その声に構うことなく志摩は、突き飛ばした燐に再度向かっていく。
「悪いけど、出雲ちゃんは渡さへんで、奥村くん!」
「志摩・・・!」
そう簡単にやられる訳にはいかない。でも、燐から攻撃は出来ないでいる。
そんなの当たり前だ。だって・・・。
「お前どうしちゃったんだよ、友達だろ!!」
「まだそんなことゆうてるんや。せっかく忠告してあげたんになぁ?」
迷う燐に対し、志摩は容赦ない。
「くっ・・・や、やめろ!!」
剣で切り合わなくても、一瞬の隙が志摩に出来れば・・・。
「こンのォ!!目ェ覚ませや!!!」
「おッ!?」
重たい拳の一撃が、見事命中した。落ちていく志摩をそのままに、燐は桟橋に飛び乗る。
「出雲!!まずお前だ!」
そして、力強く手を出雲に差し伸べた。
「来い!早く!!」
だが、出雲の表情から喜びが伝わらない。唖然と無表情にいるだけだ。
「どうした?」
こんな所にゆっくりしていられないのに。
誰も、あたしを助けられない
過去に何度も何度も助けを求めてきた。それでも結果はわかり切っている。
今回だってこの手をとったとしても・・・。
「出雲!?」
様子が変だ。せっかく目の前にいて、もう既に手は届いているのに。
「どうしたんだよ!?行こう!」
焦れったさに、燐が先に出雲の手を引っ張った。
「・・・っ手なことを・・・ッ助けなんて必要ない!!邪魔しないで!!」
誰も予想していなかった否定の言葉に、掴んでいた燐の手を強引に振り払う。
「これはあたし一人の問題よ」
「・・・は?」
様子を見守っていた玲薇達も、出雲の行動が読み取れない。
「え・・・何で?」
「何やってるんやあの女」
出雲は堂々と、燐を避けてドアの向こうへと姿を消した。
唖然とする燐に襲いかかったのは、再び志摩の攻撃だった。
「志摩」
「奥村!!」
「燐!!」
攻撃をくらい、落ちていく体制が悪い。燐は足場を見つける間もなく、下へと行ってしまう。
《おーい、みんなぁ!!》
喋っても、燐がいない今クロの言葉はないけれど、ニャーンニャーンと必死に訴えてくる。
《こっちはもうだめだ!!》
「そんな、挟まれた・・・!!」
流石に逃げ道もない選択だ。何か対策はないか、雪男は歯を食いしばる。
「・・・く、クロ!!僕達全員を乗せて動けるね!?」
《・・・ことわれないふんいき》
これはもうやるしかない。
「雪男、私は燐のとこへ行く!」
玲薇はリニュウを呼び出し、別の行動をしようと試みた。
「え!?」
驚く雪男に対し、彼女の意見と合わせてくれたのは勝呂だった。
「俺も同じ意見です。二人を追ってくれませんか」
確かに、このゾンビは自分達を追ってくる気配はない。
あの外道院が言ったエネルギーを求めてということは、より強い力の方へ向かっているのだろう。
それに、クロはもともと燐の使い魔になった悪魔だ。雪男の承諾を待たず、燐が落ちた下へ向かった。
桟橋を渡り終えた出雲の前には、弱りきった母と外道院が待ち構えていた。
「よく来たね、出雲。とうとう約束の時間だ」
「その前に、ひとつ教えて。月雲は本当に無事ね」
出雲の一番の弱みである妹の存在・・・。
「・・・当然だとも♪約束したじゃないか、ブキキッ」
「・・・ならいいの。初めて」
「イイコだ出雲、キヒッ。準備しろ!!」
いまさら、この質問を投げかけたところで何の意味もないのかもしれない。
だって・・・人間は簡単に嘘をつくから。
(月雲は本当はもういないのかもしれない)
だけどいないのはもう、妹だけではなくなってしまった。
(ウケもミケも、もういない。だから、あたしに残されたチャンスはただひとつ。
九尾の憑依に耐えて、主導権を握ること・・・!!九尾をコントロールすることが出来れば、
この場を圧倒出来るはず。外道院、お前に真実を吐かせてやる!!これがあたしの最後の戦い!!!)
特別な実験室の中で、傷だらけのみすぼらしい母と対面する出雲。
「・・・ず、も?」
母が弱々しく声を振り出す。
「い、ずも・・・た、す・・・けて・・・」
「(あたしは、アンタとは違う)
お望み通り、助けてあげるわよ」
必ず九尾に勝つ。
「神木さん!!」
捜していた仲間を、桟橋から姿を捉える。しえみの声に動きが止まる。
「!!ッ・・・」
やっと、やっと見つけた。
「出雲・・・!」
すかさず燐は踵を返し、飛ぶように彼女の元へと急ぐ。
「いずもおおッ」
「!」
「助けに来たぞ!!」
降魔剣を抜き、出雲が繋がれている手錠を外せば彼女は自由になる。
「そーはさせへんで~♪」
けれど、想像もしてなかった相手に燐は邪魔をされた。
「!!」
攻撃を交わすため、剣で受け身の体制になってしまう。
「ッ・・・!!」
「志摩!!!」
勝呂が叫ぶ。
その声に構うことなく志摩は、突き飛ばした燐に再度向かっていく。
「悪いけど、出雲ちゃんは渡さへんで、奥村くん!」
「志摩・・・!」
そう簡単にやられる訳にはいかない。でも、燐から攻撃は出来ないでいる。
そんなの当たり前だ。だって・・・。
「お前どうしちゃったんだよ、友達だろ!!」
「まだそんなことゆうてるんや。せっかく忠告してあげたんになぁ?」
迷う燐に対し、志摩は容赦ない。
「くっ・・・や、やめろ!!」
剣で切り合わなくても、一瞬の隙が志摩に出来れば・・・。
「こンのォ!!目ェ覚ませや!!!」
「おッ!?」
重たい拳の一撃が、見事命中した。落ちていく志摩をそのままに、燐は桟橋に飛び乗る。
「出雲!!まずお前だ!」
そして、力強く手を出雲に差し伸べた。
「来い!早く!!」
だが、出雲の表情から喜びが伝わらない。唖然と無表情にいるだけだ。
「どうした?」
こんな所にゆっくりしていられないのに。
誰も、あたしを助けられない
過去に何度も何度も助けを求めてきた。それでも結果はわかり切っている。
今回だってこの手をとったとしても・・・。
「出雲!?」
様子が変だ。せっかく目の前にいて、もう既に手は届いているのに。
「どうしたんだよ!?行こう!」
焦れったさに、燐が先に出雲の手を引っ張った。
「・・・っ手なことを・・・ッ助けなんて必要ない!!邪魔しないで!!」
誰も予想していなかった否定の言葉に、掴んでいた燐の手を強引に振り払う。
「これはあたし一人の問題よ」
「・・・は?」
様子を見守っていた玲薇達も、出雲の行動が読み取れない。
「え・・・何で?」
「何やってるんやあの女」
出雲は堂々と、燐を避けてドアの向こうへと姿を消した。
唖然とする燐に襲いかかったのは、再び志摩の攻撃だった。
「志摩」
「奥村!!」
「燐!!」
攻撃をくらい、落ちていく体制が悪い。燐は足場を見つける間もなく、下へと行ってしまう。
《おーい、みんなぁ!!》
喋っても、燐がいない今クロの言葉はないけれど、ニャーンニャーンと必死に訴えてくる。
《こっちはもうだめだ!!》
「そんな、挟まれた・・・!!」
流石に逃げ道もない選択だ。何か対策はないか、雪男は歯を食いしばる。
「・・・く、クロ!!僕達全員を乗せて動けるね!?」
《・・・ことわれないふんいき》
これはもうやるしかない。
「雪男、私は燐のとこへ行く!」
玲薇はリニュウを呼び出し、別の行動をしようと試みた。
「え!?」
驚く雪男に対し、彼女の意見と合わせてくれたのは勝呂だった。
「俺も同じ意見です。二人を追ってくれませんか」
確かに、このゾンビは自分達を追ってくる気配はない。
あの外道院が言ったエネルギーを求めてということは、より強い力の方へ向かっているのだろう。
それに、クロはもともと燐の使い魔になった悪魔だ。雪男の承諾を待たず、燐が落ちた下へ向かった。
桟橋を渡り終えた出雲の前には、弱りきった母と外道院が待ち構えていた。
「よく来たね、出雲。とうとう約束の時間だ」
「その前に、ひとつ教えて。月雲は本当に無事ね」
出雲の一番の弱みである妹の存在・・・。
「・・・当然だとも♪約束したじゃないか、ブキキッ」
「・・・ならいいの。初めて」
「イイコだ出雲、キヒッ。準備しろ!!」
いまさら、この質問を投げかけたところで何の意味もないのかもしれない。
だって・・・人間は簡単に嘘をつくから。
(月雲は本当はもういないのかもしれない)
だけどいないのはもう、妹だけではなくなってしまった。
(ウケもミケも、もういない。だから、あたしに残されたチャンスはただひとつ。
九尾の憑依に耐えて、主導権を握ること・・・!!九尾をコントロールすることが出来れば、
この場を圧倒出来るはず。外道院、お前に真実を吐かせてやる!!これがあたしの最後の戦い!!!)
特別な実験室の中で、傷だらけのみすぼらしい母と対面する出雲。
「・・・ず、も?」
母が弱々しく声を振り出す。
「い、ずも・・・た、す・・・けて・・・」
「(あたしは、アンタとは違う)
お望み通り、助けてあげるわよ」
必ず九尾に勝つ。