第九話 それぞれの戦い
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「・・・・・!!こ・・・ここは」
パイプから抜け出したクロと子猫丸が見た景色。
そこら中から、物騒な音が響く。自分が捕まっていた檻と同じだ。
「まさか、みんな!?今ここで戦ってるんか・・・!?は、早ぉ助けな・・・!!」
しかし、子猫丸はゾンビを倒した訳では無い。逃げ出しただけとなるとやはりゾンビはどこまでもついてくる。
「ひいぃっ、しつこい・・・!!」
《う~なんだこいつ!おれはいまはらへりできがたってるんだ!!》
奇声を上げるゾンビとは負けず劣らず、クロも唸り巨大化する。
「クロ!」
クロはグイグイ頭を子猫丸に押し当てながらにゃーんと鳴くが、燐と違って言葉がわかるはずも無く。
「ぼ・・・僕を守ってくれるん・・・!?ありがとぉ、クロ!!
ソイツら、どんな傷でも元通りになってしまうから気ぃつけるんやで!!」
《なにそれ!?》
クロはただ、子猫丸に燐を連れて来てほしかっただけなのだが。
(そう、しかも、僕の独鈷杵も吸収してしまうほど強力な再生能力を持ってる・・・!
鉄、衣服、人間、プラスチックのナンバープレート・・・。
なんでも肉体に癒着させてしまう。それならば・・・!!急げ!!)
まず、子猫丸が向かった先は雪男だった。
「!!」
だが、子猫丸の心配をよそに、雪男は既にゾンビとの決着を終えていた。
「奥村先生!!」
「!?三輪くん・・・!!」
「ま、まさか・・・倒しはったんですか!?」
「いえ・・・床に縫い付けました。この個体も、ショッピングモールのゾンビと同じで、
脳幹を破壊しても蘇る。しかも、この個体は複数の個体がキメラ化しています。
それが尋常じゃない細胞再生力によるものだとしたら、床に密着させて肉体を破壊すれば、
床の合金組織を巻き込みながら再生し、癒着してくれるのではと考えました」
「す・・・すでにそこまで推理されてたんですね。さすが奥村先生、お見事です」
何も心配は必要なかったようだ。まずは二人、クリアだ。
「三輪くんこそ、どうやって脱出したんですか?
・・・正直、僕は君を見縊ってました。お見事です」
素直に嬉しいその言葉に、少し照れ臭さを覚える。
「えっ、い、いやぁ、クロが僕の代わりに戦ってくれて何とか。
と・・・とにかく、何とかここから脱出しましょう!」
「はい・・・でも、それよりも・・・他の皆さんがどうなっているか確認してきてもらえませんか。
脱出方法は僕の方でも考えます」
「わ・・・判りました!!」
急いで子猫丸が走り出した時だった。見知ったピンク頭が横目に入ってきたのだ。
まさか、彼自身のこのこ現れると思ってなかった。どうして・・・。
「し・・・志摩さん・・・!」
いろんな銃弾を試してみた。しかし、ゾンビはどれも肉体に吸収してしまう。
(やっぱりダメか・・・)
ここにいる全てのゾンビはきっと不死の状態。リニュウの攻撃も上手くいかない。
「ありがとう、リニュウ」
そう礼を言いながら元に戻す。相手に効かないと分かったなら無駄な体力は使いたくなかった。
「けどどうしよう・・・」
銃弾も効かなければ、燐や勝呂みたいに火を扱える武器も持ち合わせていない玲薇。
「!」
なんとか襲いかかってくるゾンビの張り手をかわすも、いつまでもこれじゃあらちがあかない。
「どうすれば・・・」
どうやって戦えばいい。考えながら思わずネックレスを握りしめる。
ネックレスから貰うような不思議な力は、傷を治癒してくれるのであって、戦いの幅が広がる訳では無い。
「燐みたいに、炎になってくれればなぁなんて」
そんな弱気が出てしまう。
「キミのその不思議な力、父上にとって必要な力になるでしょう」
「!」
第三者の声に、気付いた瞬間ゾンビは光の熱によって燃え上がり、玲薇はネックレスの力によって守られた。
「燐が隣にいないのに・・・」
発動条件は薄々判っていたが、燐の炎がないいまは何が起こったか分からない。
「私達もキョウダイも同然。父上の力を持つものがいさえすれば貴女は護られる」
玲薇はゾクリと寒気を覚える。この感覚は知っている。あの時感じた恐怖と一緒だ。
けど、どうしてこんなところにいるのか、どうしてゾンビを倒してくれたのか・・・。
「ルシ、フェル・・・どうして・・・」
「もう一目見ておきたかったのです。あの時は無礼な挨拶ですみませんでした。
貴女は私達キョウダイの中で唯一の女性です、手荒な真似をするつもりはありません」
仮面越しからの鋭い眼差しが、まるで金縛りのような錯覚に陥れられる。
そのせいで、口からでる言葉は片言だ。
「いったい、なんの、よう、なの・・・?」
「先程も申しあげたとおり、貴女のその治癒能力はいずれ、父上の力に組み込まれる。
私の隣で、父上の復活を一緒に見届けてもらいたい」
寒気がおさまらない。ただただ怖い・・・。
「私は・・・」
「さぁ・・・」
ルシフェルに手を差し伸べられる。これは、サタン復活に手を貸せということか。
玲薇はぐっと奥歯を噛み締め、叫ぶように言い放った。
「私が・・・私が隣に居たいのは燐だけだ!サタンの復活になんて、手は貸さない!」
「・・・貴女達キョウダイは、自身の事を知らなすぎる。見届けるべきは・・・」
その先の言葉を聞く前に、爆発音がした。
「・・・どうやら迎えがきてしまったようだ。また何処かで・・・」
「っ・・・!」
この爆発は、燐が起こしたものだろうか。檻が一部、破壊されている。出口だ。
出口の方に目を向け、再びルシフェルの方を見た時、彼の姿はない。
「なん、だったの・・・」
『見届けるべきは・・・』なに?
パイプから抜け出したクロと子猫丸が見た景色。
そこら中から、物騒な音が響く。自分が捕まっていた檻と同じだ。
「まさか、みんな!?今ここで戦ってるんか・・・!?は、早ぉ助けな・・・!!」
しかし、子猫丸はゾンビを倒した訳では無い。逃げ出しただけとなるとやはりゾンビはどこまでもついてくる。
「ひいぃっ、しつこい・・・!!」
《う~なんだこいつ!おれはいまはらへりできがたってるんだ!!》
奇声を上げるゾンビとは負けず劣らず、クロも唸り巨大化する。
「クロ!」
クロはグイグイ頭を子猫丸に押し当てながらにゃーんと鳴くが、燐と違って言葉がわかるはずも無く。
「ぼ・・・僕を守ってくれるん・・・!?ありがとぉ、クロ!!
ソイツら、どんな傷でも元通りになってしまうから気ぃつけるんやで!!」
《なにそれ!?》
クロはただ、子猫丸に燐を連れて来てほしかっただけなのだが。
(そう、しかも、僕の独鈷杵も吸収してしまうほど強力な再生能力を持ってる・・・!
鉄、衣服、人間、プラスチックのナンバープレート・・・。
なんでも肉体に癒着させてしまう。それならば・・・!!急げ!!)
まず、子猫丸が向かった先は雪男だった。
「!!」
だが、子猫丸の心配をよそに、雪男は既にゾンビとの決着を終えていた。
「奥村先生!!」
「!?三輪くん・・・!!」
「ま、まさか・・・倒しはったんですか!?」
「いえ・・・床に縫い付けました。この個体も、ショッピングモールのゾンビと同じで、
脳幹を破壊しても蘇る。しかも、この個体は複数の個体がキメラ化しています。
それが尋常じゃない細胞再生力によるものだとしたら、床に密着させて肉体を破壊すれば、
床の合金組織を巻き込みながら再生し、癒着してくれるのではと考えました」
「す・・・すでにそこまで推理されてたんですね。さすが奥村先生、お見事です」
何も心配は必要なかったようだ。まずは二人、クリアだ。
「三輪くんこそ、どうやって脱出したんですか?
・・・正直、僕は君を見縊ってました。お見事です」
素直に嬉しいその言葉に、少し照れ臭さを覚える。
「えっ、い、いやぁ、クロが僕の代わりに戦ってくれて何とか。
と・・・とにかく、何とかここから脱出しましょう!」
「はい・・・でも、それよりも・・・他の皆さんがどうなっているか確認してきてもらえませんか。
脱出方法は僕の方でも考えます」
「わ・・・判りました!!」
急いで子猫丸が走り出した時だった。見知ったピンク頭が横目に入ってきたのだ。
まさか、彼自身のこのこ現れると思ってなかった。どうして・・・。
「し・・・志摩さん・・・!」
いろんな銃弾を試してみた。しかし、ゾンビはどれも肉体に吸収してしまう。
(やっぱりダメか・・・)
ここにいる全てのゾンビはきっと不死の状態。リニュウの攻撃も上手くいかない。
「ありがとう、リニュウ」
そう礼を言いながら元に戻す。相手に効かないと分かったなら無駄な体力は使いたくなかった。
「けどどうしよう・・・」
銃弾も効かなければ、燐や勝呂みたいに火を扱える武器も持ち合わせていない玲薇。
「!」
なんとか襲いかかってくるゾンビの張り手をかわすも、いつまでもこれじゃあらちがあかない。
「どうすれば・・・」
どうやって戦えばいい。考えながら思わずネックレスを握りしめる。
ネックレスから貰うような不思議な力は、傷を治癒してくれるのであって、戦いの幅が広がる訳では無い。
「燐みたいに、炎になってくれればなぁなんて」
そんな弱気が出てしまう。
「キミのその不思議な力、父上にとって必要な力になるでしょう」
「!」
第三者の声に、気付いた瞬間ゾンビは光の熱によって燃え上がり、玲薇はネックレスの力によって守られた。
「燐が隣にいないのに・・・」
発動条件は薄々判っていたが、燐の炎がないいまは何が起こったか分からない。
「私達もキョウダイも同然。父上の力を持つものがいさえすれば貴女は護られる」
玲薇はゾクリと寒気を覚える。この感覚は知っている。あの時感じた恐怖と一緒だ。
けど、どうしてこんなところにいるのか、どうしてゾンビを倒してくれたのか・・・。
「ルシ、フェル・・・どうして・・・」
「もう一目見ておきたかったのです。あの時は無礼な挨拶ですみませんでした。
貴女は私達キョウダイの中で唯一の女性です、手荒な真似をするつもりはありません」
仮面越しからの鋭い眼差しが、まるで金縛りのような錯覚に陥れられる。
そのせいで、口からでる言葉は片言だ。
「いったい、なんの、よう、なの・・・?」
「先程も申しあげたとおり、貴女のその治癒能力はいずれ、父上の力に組み込まれる。
私の隣で、父上の復活を一緒に見届けてもらいたい」
寒気がおさまらない。ただただ怖い・・・。
「私は・・・」
「さぁ・・・」
ルシフェルに手を差し伸べられる。これは、サタン復活に手を貸せということか。
玲薇はぐっと奥歯を噛み締め、叫ぶように言い放った。
「私が・・・私が隣に居たいのは燐だけだ!サタンの復活になんて、手は貸さない!」
「・・・貴女達キョウダイは、自身の事を知らなすぎる。見届けるべきは・・・」
その先の言葉を聞く前に、爆発音がした。
「・・・どうやら迎えがきてしまったようだ。また何処かで・・・」
「っ・・・!」
この爆発は、燐が起こしたものだろうか。檻が一部、破壊されている。出口だ。
出口の方に目を向け、再びルシフェルの方を見た時、彼の姿はない。
「なん、だったの・・・」
『見届けるべきは・・・』なに?