第九話 それぞれの戦い
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懐中電灯の明かりを頼りに走り回る。どこを探しても、出入口もなければ誰一人他の仲間もいない。
「落とされたんだもん、当たり前か・・・」
広いのか狭いのかも、いまひとつ感覚が掴めない。だが、やはり聞こえるのは奇妙な声。
「あのゾンビと同じ声なんだけど、まさかね・・・」
アハハと、一人玲薇は小さく笑う。
「リニュウをよんでも、上も塞がれてるだろうし」
為す術なくモンモンと考える。脱出しようにも、やはり壁を壊すしかなさそうだ。
どれぐらいの時間を費やしたのか・・・ゾンビの叫びと暗闇の中で心細くなっていく。
「燐・・・」
怖くないなんて言えば嘘になる。だが、心は強くいなければならない。
いつでもリニュウを呼べるように、力をかしてもらえるように。
その時、パッと眩しいほどの照明がつく。
「なに・・・!?」
ボヤける視界の先に見たものは、ゆっくり扉が開き、しまいにはその奥にある鉄格子も空いていく。
「まさか・・・」
一歩二歩と後ずさりながら、腰につけてある銃に手をつけた。
「これって、本当にゾンビ・・・?」
それは幾多もの手を顔を目玉を付けた奇妙な化け物だった。
(このゾンビは一体・・・!?まるでキメラだ)
きっと、それぞれ一体ずつこの奇妙な姿のゾンビはいるハズ。
(もう人とか悪魔とか言ってる場合じゃないぞ兄さん・・・戦え!!
女性のしえみさん・・・玲薇はともかく、詠唱騎士志望で個人戦に弱い三輪くんと勝呂くんは苦戦する。
僕達が助けなきゃ・・・!)
自信はない。けど、自信を持ちたかった。玲薇なら大丈夫。
なにせ、個人レッスンの時あれこれ教えた。銃のノウハウも。
ビビってる場合じゃない。雪男からも教えてもらったじゃないか。
勝たなきゃ・・・生きてみんなと合流しなければ。
「"気高き気高き雄飛の眼前我の血承け入れ、その力干渉せよ"!!」
《いちいちけちつけてたくせに、やはりよぶのか》
「死ぬわけにいかない。必ずみんなのとこに帰るんだから」
大丈夫。
「俺のバズーカを・・・ッくらえ!!」
勝呂はバズーカを放ち、すぐに詠唱を始める。だが、不死の状態のゾンビには効果ないようだ。
「チッ、やっぱりアカンか・・・!!
(ゾンビでも、生前信仰があれば判定されるかと期待して撃ってみたが)」
以前の竜騎士座学で習った。
『祓魔においてのバズーカ砲は、主に戦闘においての後方支援で活躍します。
悪魔の加護を受けた魔法弾によって、広範囲に印章や魔法陣を展開し、魔力を借りる事が出来ます。
特に"致死節判定弾"は、致死節が不明瞭な未知の悪魔なども判定可能です。効かないものも当然いるが・・・、
詠唱騎士のいる戦闘では、初めにこれを撃つ事が基本ですね』
『一括りに竜騎士ていっても、何種類もあるんだね。勝呂くんはバズーカ砲を選択するの?』
そこに、手騎士志望でもあり、竜騎士志望でもある玲薇もいる。
『昔からそう思っとた。ただ、あの二人には言うてへん』
『どうして?』
『本格的に使えるようにならなアカン。それよりお前は?』
『私はバズーカ砲は無理そうだから、やっぱ雪男と同じような戦い方になるかも。
せっかく銃もらったし。お下がりだけど』
『もらえるもんはもろとき。ほな、選択授業はバラバラやな』
竜騎士の選択授業が始まって二ヶ月半-やっと実戦での使用許可が下りた。
(今こそ実力を試す時・・・!!)
過去に一度だけだが、子猫丸に言われてしまったあの屈辱的な言葉。
『坊・・・ワンパターンです!!』
思い出しただけでも腹が立つ。
「・・・クッ、もう二度と言わせへんぞ子猫丸・・・!!」
俺はナメられるワケにはいかんのや!!
子猫丸は一度ゾンビに捕まり諦めかけていた。何度切りつけても再生していく相手。
こんなのをどうやって倒せばいいのだ。
「ひ・・・ぎゃあああっ」
ゾンビの大きな口に噛みちぎられそうになる。だが走馬灯のように勝呂の言葉を思い出した。
『お前は周りをよぉ見とるな。参謀が向いてるかもしれへん』
あの勝呂に貰えた褒め言葉。ここで、こんな悲惨な死に方は絶対に嫌だ。
子猫丸は持っていた独鈷杵(どっこしょ)を思いっきり突き刺す。
一瞬だが、ゾンビの動きが怯み何とか口から脱出する。
(ごめん!!冷静やなかった・・・!!ごめん!落ち着け、僕は・・・。
僕自身の目ぇを信じるて決めたはず・・・!大丈夫・・・冷静になれ・・・!)
自分に言い聞かせ、子猫丸の戦いは始まった。
たまたまゾンビがシャッターにぶつかった時、子猫丸は確信する。
このシャッターに強度はない。このシャッターは自分達が落とされた道に繋がってるだろう。
だとすれば、もっと沢山シャッターに激突してくれればきっと。
「お・・・おーぅい、こっちゃあ」
何度もゾンビにシャッターに激突させる。
(あいた!!)
作戦は上手くいった。素早く身体を潜り込ませる。だが、ゾンビは追ってきた。
「あぁ・・・いっそそん調子でこのパイプ壊してや!!」
その時、緊張感のないにゃーんと鳴き声が聞こえた。
「クロ、助けて!!」
クロの救世主により、子猫丸はなんとか脱出した。
「落とされたんだもん、当たり前か・・・」
広いのか狭いのかも、いまひとつ感覚が掴めない。だが、やはり聞こえるのは奇妙な声。
「あのゾンビと同じ声なんだけど、まさかね・・・」
アハハと、一人玲薇は小さく笑う。
「リニュウをよんでも、上も塞がれてるだろうし」
為す術なくモンモンと考える。脱出しようにも、やはり壁を壊すしかなさそうだ。
どれぐらいの時間を費やしたのか・・・ゾンビの叫びと暗闇の中で心細くなっていく。
「燐・・・」
怖くないなんて言えば嘘になる。だが、心は強くいなければならない。
いつでもリニュウを呼べるように、力をかしてもらえるように。
その時、パッと眩しいほどの照明がつく。
「なに・・・!?」
ボヤける視界の先に見たものは、ゆっくり扉が開き、しまいにはその奥にある鉄格子も空いていく。
「まさか・・・」
一歩二歩と後ずさりながら、腰につけてある銃に手をつけた。
「これって、本当にゾンビ・・・?」
それは幾多もの手を顔を目玉を付けた奇妙な化け物だった。
(このゾンビは一体・・・!?まるでキメラだ)
きっと、それぞれ一体ずつこの奇妙な姿のゾンビはいるハズ。
(もう人とか悪魔とか言ってる場合じゃないぞ兄さん・・・戦え!!
女性のしえみさん・・・玲薇はともかく、詠唱騎士志望で個人戦に弱い三輪くんと勝呂くんは苦戦する。
僕達が助けなきゃ・・・!)
自信はない。けど、自信を持ちたかった。玲薇なら大丈夫。
なにせ、個人レッスンの時あれこれ教えた。銃のノウハウも。
ビビってる場合じゃない。雪男からも教えてもらったじゃないか。
勝たなきゃ・・・生きてみんなと合流しなければ。
「"気高き気高き雄飛の眼前我の血承け入れ、その力干渉せよ"!!」
《いちいちけちつけてたくせに、やはりよぶのか》
「死ぬわけにいかない。必ずみんなのとこに帰るんだから」
大丈夫。
「俺のバズーカを・・・ッくらえ!!」
勝呂はバズーカを放ち、すぐに詠唱を始める。だが、不死の状態のゾンビには効果ないようだ。
「チッ、やっぱりアカンか・・・!!
(ゾンビでも、生前信仰があれば判定されるかと期待して撃ってみたが)」
以前の竜騎士座学で習った。
『祓魔においてのバズーカ砲は、主に戦闘においての後方支援で活躍します。
悪魔の加護を受けた魔法弾によって、広範囲に印章や魔法陣を展開し、魔力を借りる事が出来ます。
特に"致死節判定弾"は、致死節が不明瞭な未知の悪魔なども判定可能です。効かないものも当然いるが・・・、
詠唱騎士のいる戦闘では、初めにこれを撃つ事が基本ですね』
『一括りに竜騎士ていっても、何種類もあるんだね。勝呂くんはバズーカ砲を選択するの?』
そこに、手騎士志望でもあり、竜騎士志望でもある玲薇もいる。
『昔からそう思っとた。ただ、あの二人には言うてへん』
『どうして?』
『本格的に使えるようにならなアカン。それよりお前は?』
『私はバズーカ砲は無理そうだから、やっぱ雪男と同じような戦い方になるかも。
せっかく銃もらったし。お下がりだけど』
『もらえるもんはもろとき。ほな、選択授業はバラバラやな』
竜騎士の選択授業が始まって二ヶ月半-やっと実戦での使用許可が下りた。
(今こそ実力を試す時・・・!!)
過去に一度だけだが、子猫丸に言われてしまったあの屈辱的な言葉。
『坊・・・ワンパターンです!!』
思い出しただけでも腹が立つ。
「・・・クッ、もう二度と言わせへんぞ子猫丸・・・!!」
俺はナメられるワケにはいかんのや!!
子猫丸は一度ゾンビに捕まり諦めかけていた。何度切りつけても再生していく相手。
こんなのをどうやって倒せばいいのだ。
「ひ・・・ぎゃあああっ」
ゾンビの大きな口に噛みちぎられそうになる。だが走馬灯のように勝呂の言葉を思い出した。
『お前は周りをよぉ見とるな。参謀が向いてるかもしれへん』
あの勝呂に貰えた褒め言葉。ここで、こんな悲惨な死に方は絶対に嫌だ。
子猫丸は持っていた独鈷杵(どっこしょ)を思いっきり突き刺す。
一瞬だが、ゾンビの動きが怯み何とか口から脱出する。
(ごめん!!冷静やなかった・・・!!ごめん!落ち着け、僕は・・・。
僕自身の目ぇを信じるて決めたはず・・・!大丈夫・・・冷静になれ・・・!)
自分に言い聞かせ、子猫丸の戦いは始まった。
たまたまゾンビがシャッターにぶつかった時、子猫丸は確信する。
このシャッターに強度はない。このシャッターは自分達が落とされた道に繋がってるだろう。
だとすれば、もっと沢山シャッターに激突してくれればきっと。
「お・・・おーぅい、こっちゃあ」
何度もゾンビにシャッターに激突させる。
(あいた!!)
作戦は上手くいった。素早く身体を潜り込ませる。だが、ゾンビは追ってきた。
「あぁ・・・いっそそん調子でこのパイプ壊してや!!」
その時、緊張感のないにゃーんと鳴き声が聞こえた。
「クロ、助けて!!」
クロの救世主により、子猫丸はなんとか脱出した。