第九話 それぞれの戦い
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雪男を先頭に、距離を一定に開けてゆめタウンを見回る。
「人だ!!」
燐が叫ぶ。
「え!?」
皆で燐の周りに集まり、様子を伺うと確かに誰かいるようだ。
「おい、あんた・・・」
燐が声をかけたその人は、皮膚は溶け、ボロボロな身体。
本当に、人だろうか・・・いや、グールの可能性がある。
雪男が咄嗟に銃口を向ける。だが、標的のそれは撃つ前に口を開いた。
「オオォオな、ォ・・・なか、すいタァァ」
「!!」
「え、いま・・・?」
喋ったのか、グールが?
疑問を持ったまま、雪男が一発脳目掛けに打ち放し、それは倒れる。
「ねぇ、これってグールなの・・・?」
嫌な予感しかない。なにせ、グールは喋らないと聞いていたと思う。
そう、確かに授業でも習った。
「言葉を発したので、ゾンビの可能性が高い」
雪男の言葉で、玲薇は確信する。
「やっぱり・・・」
「ゾンビとグール、どう違うんだよ?」
勝手に話が進む二人に、燐はヤキモキしながら勝呂に聞く。
「授業で習ったはずやぞ」
また一から説明は面倒だ。だが、その説明をしてくれるのは子猫丸だった。
「グールとゾンビは倒し方が少し違うんよ。稀に喋る個体がおるんがゾンビの特徴で、
ほんま簡単に説明するとグールは比較的倒しやすくて、ゾンビは倒すんも扱うんも難しい」
「そもそも発生条件が違う」
子猫丸の説明に話を付け足したのは、雪男だ。
「グールは人間の死体に憑依する悪魔なのに対して、
ゾンビは悪魔に寄生されて肉体が壊死してしまった人間なんだ」
「じゃ・・・じゃあ、その寄生した悪魔を祓えば助けられたんじゃないのか?」
燐の気持ちも、分からなくはない。
でも、いま目の前で起こっていることは紛れもない現実。
「もしそれが成功したとしても、人としては無理だと思う・・・」
玲薇自身、こんな姿になってまで正直生きたくないと思った。
なんにせよ、好きな人の前に自分のみすぼらしい姿は見せたくないから。
「玲薇の言うとおり、ここまで肉体が壊死してしまって人間性を取り戻せた例はない。
即死させる事がせめてもの救済だ」
子猫丸は倒れたゾンビの体にあるラベルをのぞく。
「実験体。一体何の実験体なんでしょう・・・」
「オオナカカァアスイだアアァァ」
「うわあァ!?」
倒せたと思ったそのゾンビが急に叫びだし、子猫丸が悲鳴を上げあとずさる。
すぐに雪男が銃弾を頭部に撃ちはなった。
「・・・!?」
即死させられたと思ったのに、まだ生きていたゾンビ。
「おかしい。脳幹は貫通していたはずなのに・・・」
「子猫丸、大丈夫か?」
「あ、は、はい」
ガタガタ恐怖で震えながらなんとか心配してくれる燐に頷く。
「みんな!!」
「!」
その時、しえみの声に顔を上げると玲薇達は唖然とした。
一体のゾンビに意識をもっていかれていて気がつかなかった。
もう既に、何百ものゾンビに囲まれてしまっていたのだ。
「い・・・いつの間にこんなに・・・!」
「お・・・奥村先生・・・!」
子猫丸は気にしていたのか、雪男が倒したゾンビに注意を集める。
そのゾンビは不思議な事に、再び立ち上がったのだ。
「どうなってる・・・!?」
さすがの雪男も、驚きを隠せないようだ。
「アァア!!二グ」
襲いかかろうとするゾンビに、躊躇なく銃を撃つ雪男。
「囲まれる前に、地下への入口を見つけないと・・・急いで!」
手分けして辺りを見て回ろうと走るも、既に遅かったようだ。
完全に逃げ場を失った。
「アカン、もうどこも囲まれとる!凄い数や・・・!」
「こっちもダメだ!」
結局集まれた最終場所は、正面入口からの踊り場だ。
ここから眺めるだけで、一体どれほどのゾンビがこのゆめタウン稲生にいるのだろう。
「道を切り開くしかない」
雪男が言う。
「俺のバズーカで一発ブチかましたらどうやろか?」
勝呂の案を否定したのは、子猫丸だ。参謀を目指すだけあって、的確だ。
「中途半端な火力攻撃は止めた方が方がええと思いますよ!
即死させられへんと逆に、火達磨に襲われることになる。
奥村くんの炎やったら、即灰に出来るかもしれへんけど」
「・・・・・・俺は・・・」
いつもなら考えてから行動するより身体が勝手に早く動く燐なのだが、
いかんせん、今回は相手が悪い。ゾンビといえどただ、悪魔に寄生された人間。
そう、生身の人間と根本は変わらないから。
「もう覚悟を決めて戦うしかない!!躊躇すれば僕らが死ぬんだ!」
そう雪男が言った瞬間だ。
「!?」
ガコンと、音がしたと思ったら廊下に巨大な穴が開いた。
「うわぁぁあああ!!?」
捕まる場所も、逃げれる足場もなく、ただただ全員穴の下に落下していく。
「燐・・・!」
為す術なく、皆バラバラに別れてしまうのだった。
落ちた場所は出入口も分からない、暗闇の中。
「・・・う、てて・・・ここは!?」
燐は青い炎を揺らめさせながら辺りを見回す。
「おーい、みんなぁ!!」
声が聞こえたような気がした。だが、そこにいるのは・・・。
志摩に言われた忠告が、脳裏に浮かぶ。
『これからは人間殺す覚悟ないと、勝たれへんで?』
「人だ!!」
燐が叫ぶ。
「え!?」
皆で燐の周りに集まり、様子を伺うと確かに誰かいるようだ。
「おい、あんた・・・」
燐が声をかけたその人は、皮膚は溶け、ボロボロな身体。
本当に、人だろうか・・・いや、グールの可能性がある。
雪男が咄嗟に銃口を向ける。だが、標的のそれは撃つ前に口を開いた。
「オオォオな、ォ・・・なか、すいタァァ」
「!!」
「え、いま・・・?」
喋ったのか、グールが?
疑問を持ったまま、雪男が一発脳目掛けに打ち放し、それは倒れる。
「ねぇ、これってグールなの・・・?」
嫌な予感しかない。なにせ、グールは喋らないと聞いていたと思う。
そう、確かに授業でも習った。
「言葉を発したので、ゾンビの可能性が高い」
雪男の言葉で、玲薇は確信する。
「やっぱり・・・」
「ゾンビとグール、どう違うんだよ?」
勝手に話が進む二人に、燐はヤキモキしながら勝呂に聞く。
「授業で習ったはずやぞ」
また一から説明は面倒だ。だが、その説明をしてくれるのは子猫丸だった。
「グールとゾンビは倒し方が少し違うんよ。稀に喋る個体がおるんがゾンビの特徴で、
ほんま簡単に説明するとグールは比較的倒しやすくて、ゾンビは倒すんも扱うんも難しい」
「そもそも発生条件が違う」
子猫丸の説明に話を付け足したのは、雪男だ。
「グールは人間の死体に憑依する悪魔なのに対して、
ゾンビは悪魔に寄生されて肉体が壊死してしまった人間なんだ」
「じゃ・・・じゃあ、その寄生した悪魔を祓えば助けられたんじゃないのか?」
燐の気持ちも、分からなくはない。
でも、いま目の前で起こっていることは紛れもない現実。
「もしそれが成功したとしても、人としては無理だと思う・・・」
玲薇自身、こんな姿になってまで正直生きたくないと思った。
なんにせよ、好きな人の前に自分のみすぼらしい姿は見せたくないから。
「玲薇の言うとおり、ここまで肉体が壊死してしまって人間性を取り戻せた例はない。
即死させる事がせめてもの救済だ」
子猫丸は倒れたゾンビの体にあるラベルをのぞく。
「実験体。一体何の実験体なんでしょう・・・」
「オオナカカァアスイだアアァァ」
「うわあァ!?」
倒せたと思ったそのゾンビが急に叫びだし、子猫丸が悲鳴を上げあとずさる。
すぐに雪男が銃弾を頭部に撃ちはなった。
「・・・!?」
即死させられたと思ったのに、まだ生きていたゾンビ。
「おかしい。脳幹は貫通していたはずなのに・・・」
「子猫丸、大丈夫か?」
「あ、は、はい」
ガタガタ恐怖で震えながらなんとか心配してくれる燐に頷く。
「みんな!!」
「!」
その時、しえみの声に顔を上げると玲薇達は唖然とした。
一体のゾンビに意識をもっていかれていて気がつかなかった。
もう既に、何百ものゾンビに囲まれてしまっていたのだ。
「い・・・いつの間にこんなに・・・!」
「お・・・奥村先生・・・!」
子猫丸は気にしていたのか、雪男が倒したゾンビに注意を集める。
そのゾンビは不思議な事に、再び立ち上がったのだ。
「どうなってる・・・!?」
さすがの雪男も、驚きを隠せないようだ。
「アァア!!二グ」
襲いかかろうとするゾンビに、躊躇なく銃を撃つ雪男。
「囲まれる前に、地下への入口を見つけないと・・・急いで!」
手分けして辺りを見て回ろうと走るも、既に遅かったようだ。
完全に逃げ場を失った。
「アカン、もうどこも囲まれとる!凄い数や・・・!」
「こっちもダメだ!」
結局集まれた最終場所は、正面入口からの踊り場だ。
ここから眺めるだけで、一体どれほどのゾンビがこのゆめタウン稲生にいるのだろう。
「道を切り開くしかない」
雪男が言う。
「俺のバズーカで一発ブチかましたらどうやろか?」
勝呂の案を否定したのは、子猫丸だ。参謀を目指すだけあって、的確だ。
「中途半端な火力攻撃は止めた方が方がええと思いますよ!
即死させられへんと逆に、火達磨に襲われることになる。
奥村くんの炎やったら、即灰に出来るかもしれへんけど」
「・・・・・・俺は・・・」
いつもなら考えてから行動するより身体が勝手に早く動く燐なのだが、
いかんせん、今回は相手が悪い。ゾンビといえどただ、悪魔に寄生された人間。
そう、生身の人間と根本は変わらないから。
「もう覚悟を決めて戦うしかない!!躊躇すれば僕らが死ぬんだ!」
そう雪男が言った瞬間だ。
「!?」
ガコンと、音がしたと思ったら廊下に巨大な穴が開いた。
「うわぁぁあああ!!?」
捕まる場所も、逃げれる足場もなく、ただただ全員穴の下に落下していく。
「燐・・・!」
為す術なく、皆バラバラに別れてしまうのだった。
落ちた場所は出入口も分からない、暗闇の中。
「・・・う、てて・・・ここは!?」
燐は青い炎を揺らめさせながら辺りを見回す。
「おーい、みんなぁ!!」
声が聞こえたような気がした。だが、そこにいるのは・・・。
志摩に言われた忠告が、脳裏に浮かぶ。
『これからは人間殺す覚悟ないと、勝たれへんで?』