第九話 それぞれの戦い
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玲薇達一行は、さきほどゆめタウン稲生へ向かうバスを見かけたあと、
その後を追うように目立たぬように走っていた。ゆめタウン稲生の入口には、やはり見張りがうじゃうじゃといる。
「やっぱり見張りはいるよね」
どう忍び込むのか考えるように、玲薇が顎に手をつけながら言う。
キツネ人形のミケが詳しく言った。
《入口らしい入口は、あの正面からと・・・宮殿の上のヘリポートしかないぞ》
雪男は作戦をたてる為、なかなか連絡がこないメフィストにもう一度電話をかけた。
「フェレス卿、イルミナティの地下研究所の入口とおぼしき建物を発見しました。
位置情報の詳細は、メールしています」
「でかしました、ご苦労さまです♪」
「応援はどうなっています?」
「まだこちらは忙しくて。申し訳ないんですがいつ送るか保証できない状況なんですよねぇ~」
そう話すメフィストは、学園の結界修復に力を出したせいかベッドに横になっている。
呑気な声に、雪男は少し焦りと苛立ちを覚えるがさすがにここで大声を出せない。
「・・・神木さんはイルミナティの実験材料として拉致された可能性があります。
こちらも、一刻を争う状況です」
「応援を待つか潜入するかは、奥村隊長、貴方の判断におまかせします」
「!?」
理不尽な対応に、危うく大声が出そうになってしまう。
「称号持ちは貴方だけですが・・・もし戦闘になっても戦力は申し分ないはずですよ?
ククク、負けるならそれは、隊長が能無しだという事です。
応援は必ず送ります。それまで隊長、健闘を祈る☆」
「・・・・・・・!!」
強制的に電話を切られた。本当に応援が来るのか謎だ。
それよか、全部の責任を自分に押し付けられてしまった。
普段面倒だが、いれば頼りになるシュラもここにはない。
だが、迷っている暇も与えてくれることなく、事態は悪化していく。
《出雲が危ない》
ミケがそう叫ぶ。
「え!?」
全員が、ミケに目を向ける。
《・・・呼ばれている・・・手助けもここ迄だ。急げ!》
そのミケの声とともに、キツネの人形は一部破損した。
もう人形から声が聞こえなくなってしまったのだ。
しえみが聞く。
「・・・ミケさん、どうしちゃったの・・・!」
「落ち着け。人形から出ていっただけだ。神木出雲に召喚されたんだろう」
「召喚って・・・」
「つまり今、神木さんが戦うよな状態にあるゆーことですか?」
勝呂と子猫丸の言葉が、玲薇に重くのしかかる。
(出雲・・・)
いつも辛い時、口調は強いけど優しく頼もしくそばにいてくれたのは彼女だった。
だから今回、彼女が一人で背負おうとしている事を分け合えるなら、助け出せるのなら。
やれることはほんの少ししかないと思う。それでも、逃げて後悔したくなかった。
「雪男」
「!」
玲薇は雪男の腕を、決意を込めて強く掴む。
「私は行く、出雲の所へ。実験材料になんてさせない。させたくない」
大事な友達だから・・・。
一人でうじうじ考えて引き返す答えを隊長としての自分が出したところで、
ここにいる皆はきっと言うことを聞かないだろう。そんなの分かったていた。
けど、玲薇のお陰で前を向く意志をもてた。
「・・・判った」
頷き、雪男は皆を見る。
「皆さん、応援が来ることを信じて正面入口から突入します。覚悟はいいですか?」
そして、少しの時間で見張りを突破するための作戦をたてる。
やはり一番に前に出るのは燐だった。その後ろにはクロもいる。
見張りは燐たち不法侵入者に気づき、怒鳴り上げた。
「な、何だ貴様ら!ゆめタウンの住民証を持っているのか?
ここは学生が近寄る場所じゃないぞ、帰れ!」
燐の行動を心配してか、雪男と勝呂も待ち構える。
「隊長である僕の指示通りに。特に兄さん、相手は人間だ。手加減しろよ」
「わーかってるって、メガネ隊長!!」
燐は降魔剣を抜き、クロは巨大化。燐はすぐさま降魔剣を振る。
「くらえ、サタンスラッシュ!」
「!?」
「うあァ」
その攻撃に続き、雪男と勝呂も手を出したところで、完全に見張りをノした。
なんというか、この三人がこぞって攻撃するのは悪魔より怖いかもと内心思う玲薇。
いや、ホント、仲間でよかったよ。
「楽勝!」
軽くガッツポーズする燐に、勝呂が問いかける。
「・・・つか、ひとつええか」
いつもあのくそ真面目な勝呂が、我慢しきれなかったのか大爆笑だ。
「サタンスラッシュ!」
「ウルセー!!今まで適当にやってた技に名前をつけたんだよ、シュラが!!
型にハメた方が炎使う時イメージし易いだろって、シュラが!!」
シュラを言い訳にしようと強調するも、勝呂は稲生に来る時までの道中で起きた出来事の仕返しとばかりに嘲笑う。
「まぁ、確かに、お前でも覚えられそうやしな」
「あ?バカにしてる?」
「いやぁ・・・ほんま頼もしいわぁ」
一歩引いたところで、子猫丸が呟く。
「勝呂くんがあんなに笑ったところ見たの、初めてかも」
玲薇は本人に決していえないその言葉を、自分に聞こえるだけにとどめたのだった。
ゆめタウンの中に入ってみると、唖然とした。
軽快な音楽が鳴ると共に、建物の中は広々としたくさんの店が並んでいる。
「ショッピングモール・・・!?」
「ホテルとか、旅館だと思ってたけど・・・」
泊まれそうな部屋は一つも見当たらない。思わず顔を合わせる雪男と玲薇。
勝呂が辺りを見渡しながら言う。
「・・・さっき、バスに乗ってた人達も、ほんまにここに居るんか?
敵どころか、人っ子一人おらへん・・・」
「いや、居る」
すぐに否定したのは燐だ。
「なんか居る、油断すんな」
張り詰めた彼の言葉に、緊張が走る。
「何か感じるの?」
不安そうに聞くしえみ。
「ゾワゾワする」
「皆さん、冷静に」
そこで区切りをいれたのはやはり隊長である雪男だった。
ここにいる誰よりも場数を踏んでいるだけある。
「正面切って入った以上、敵は必ず現れます。
なるべく離ればなれにならないように、地下への入口を探しましょう」
その後を追うように目立たぬように走っていた。ゆめタウン稲生の入口には、やはり見張りがうじゃうじゃといる。
「やっぱり見張りはいるよね」
どう忍び込むのか考えるように、玲薇が顎に手をつけながら言う。
キツネ人形のミケが詳しく言った。
《入口らしい入口は、あの正面からと・・・宮殿の上のヘリポートしかないぞ》
雪男は作戦をたてる為、なかなか連絡がこないメフィストにもう一度電話をかけた。
「フェレス卿、イルミナティの地下研究所の入口とおぼしき建物を発見しました。
位置情報の詳細は、メールしています」
「でかしました、ご苦労さまです♪」
「応援はどうなっています?」
「まだこちらは忙しくて。申し訳ないんですがいつ送るか保証できない状況なんですよねぇ~」
そう話すメフィストは、学園の結界修復に力を出したせいかベッドに横になっている。
呑気な声に、雪男は少し焦りと苛立ちを覚えるがさすがにここで大声を出せない。
「・・・神木さんはイルミナティの実験材料として拉致された可能性があります。
こちらも、一刻を争う状況です」
「応援を待つか潜入するかは、奥村隊長、貴方の判断におまかせします」
「!?」
理不尽な対応に、危うく大声が出そうになってしまう。
「称号持ちは貴方だけですが・・・もし戦闘になっても戦力は申し分ないはずですよ?
ククク、負けるならそれは、隊長が能無しだという事です。
応援は必ず送ります。それまで隊長、健闘を祈る☆」
「・・・・・・・!!」
強制的に電話を切られた。本当に応援が来るのか謎だ。
それよか、全部の責任を自分に押し付けられてしまった。
普段面倒だが、いれば頼りになるシュラもここにはない。
だが、迷っている暇も与えてくれることなく、事態は悪化していく。
《出雲が危ない》
ミケがそう叫ぶ。
「え!?」
全員が、ミケに目を向ける。
《・・・呼ばれている・・・手助けもここ迄だ。急げ!》
そのミケの声とともに、キツネの人形は一部破損した。
もう人形から声が聞こえなくなってしまったのだ。
しえみが聞く。
「・・・ミケさん、どうしちゃったの・・・!」
「落ち着け。人形から出ていっただけだ。神木出雲に召喚されたんだろう」
「召喚って・・・」
「つまり今、神木さんが戦うよな状態にあるゆーことですか?」
勝呂と子猫丸の言葉が、玲薇に重くのしかかる。
(出雲・・・)
いつも辛い時、口調は強いけど優しく頼もしくそばにいてくれたのは彼女だった。
だから今回、彼女が一人で背負おうとしている事を分け合えるなら、助け出せるのなら。
やれることはほんの少ししかないと思う。それでも、逃げて後悔したくなかった。
「雪男」
「!」
玲薇は雪男の腕を、決意を込めて強く掴む。
「私は行く、出雲の所へ。実験材料になんてさせない。させたくない」
大事な友達だから・・・。
一人でうじうじ考えて引き返す答えを隊長としての自分が出したところで、
ここにいる皆はきっと言うことを聞かないだろう。そんなの分かったていた。
けど、玲薇のお陰で前を向く意志をもてた。
「・・・判った」
頷き、雪男は皆を見る。
「皆さん、応援が来ることを信じて正面入口から突入します。覚悟はいいですか?」
そして、少しの時間で見張りを突破するための作戦をたてる。
やはり一番に前に出るのは燐だった。その後ろにはクロもいる。
見張りは燐たち不法侵入者に気づき、怒鳴り上げた。
「な、何だ貴様ら!ゆめタウンの住民証を持っているのか?
ここは学生が近寄る場所じゃないぞ、帰れ!」
燐の行動を心配してか、雪男と勝呂も待ち構える。
「隊長である僕の指示通りに。特に兄さん、相手は人間だ。手加減しろよ」
「わーかってるって、メガネ隊長!!」
燐は降魔剣を抜き、クロは巨大化。燐はすぐさま降魔剣を振る。
「くらえ、サタンスラッシュ!」
「!?」
「うあァ」
その攻撃に続き、雪男と勝呂も手を出したところで、完全に見張りをノした。
なんというか、この三人がこぞって攻撃するのは悪魔より怖いかもと内心思う玲薇。
いや、ホント、仲間でよかったよ。
「楽勝!」
軽くガッツポーズする燐に、勝呂が問いかける。
「・・・つか、ひとつええか」
いつもあのくそ真面目な勝呂が、我慢しきれなかったのか大爆笑だ。
「サタンスラッシュ!」
「ウルセー!!今まで適当にやってた技に名前をつけたんだよ、シュラが!!
型にハメた方が炎使う時イメージし易いだろって、シュラが!!」
シュラを言い訳にしようと強調するも、勝呂は稲生に来る時までの道中で起きた出来事の仕返しとばかりに嘲笑う。
「まぁ、確かに、お前でも覚えられそうやしな」
「あ?バカにしてる?」
「いやぁ・・・ほんま頼もしいわぁ」
一歩引いたところで、子猫丸が呟く。
「勝呂くんがあんなに笑ったところ見たの、初めてかも」
玲薇は本人に決していえないその言葉を、自分に聞こえるだけにとどめたのだった。
ゆめタウンの中に入ってみると、唖然とした。
軽快な音楽が鳴ると共に、建物の中は広々としたくさんの店が並んでいる。
「ショッピングモール・・・!?」
「ホテルとか、旅館だと思ってたけど・・・」
泊まれそうな部屋は一つも見当たらない。思わず顔を合わせる雪男と玲薇。
勝呂が辺りを見渡しながら言う。
「・・・さっき、バスに乗ってた人達も、ほんまにここに居るんか?
敵どころか、人っ子一人おらへん・・・」
「いや、居る」
すぐに否定したのは燐だ。
「なんか居る、油断すんな」
張り詰めた彼の言葉に、緊張が走る。
「何か感じるの?」
不安そうに聞くしえみ。
「ゾワゾワする」
「皆さん、冷静に」
そこで区切りをいれたのはやはり隊長である雪男だった。
ここにいる誰よりも場数を踏んでいるだけある。
「正面切って入った以上、敵は必ず現れます。
なるべく離ればなれにならないように、地下への入口を探しましょう」