第八話 あたしの一番大切なもの
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囚われて十日後、出雲が目覚めると。
『月雲・・・?』
うっすらと開ける瞳でも、すぐにわかった。いつもの温もりが、隣にない。
『月雲!!』
出雲は慌てて飛び起き、部屋を見渡すがやはり妹の姿はなかった。
(連れ去られた!?そんな・・・そんな・・・!)
分厚いドアには、鍵がかかっている。
『開けて!!月雲を返して!!つく・・・』
開かれた扉から姿をみせたのは、月雲ではなくマリアだった。
『あ・・・』
思わず一歩後ずさる出雲。
『出雲ちゃん・・・ごめんね・・・!全部、私のせい・・・!!』
謝罪され、寄り添われ、出雲は困惑するばかり。
『月雲ちゃんは無事よ・・・!養子に出したの』
『え!?』
頭が真っ白だ。
『まだ小さいから、すぐ見つかったわ。社会的地位もある、素晴らしいお宅よ。
そう簡単には連れ戻されないし、必ず守られる・・・!あなたは』
『何の話よ!!』
たまらず、大声をあげてしまう。この人はいったい、何を話してるのだろうと。
大事な、大切な、たった一人の妹を、家族をー・・・。
『冗談・・・でしょ!?あの子を返して!!』
『月雲ちゃんが危ないの!!』
『!?』
『外道院博士は、お母さんの身体がもたなければあなた達も使うつもりよ!
明日、月雲ちゃんを実験に使うって聞いたの・・・。お母さんは、もう・・・』
実験体にされた身体は、もう取り戻すことも帰ることも出来ない。
その実験体に母の代わりに月雲がなってしまえば、出雲には何も残らない・・・。
自分達に近づき捕らえたのは、なにもかも実験のせい。
『お別れもさせずに本当にごめんね・・・正しい事がしたかったのに・・・!』
彼女の涙は嘘か真実か・・・出雲にはわからないことだ。
人間は簡単に裏切るし、嘘を吐く。
信じられるのはもうー・・・。
『ごめんなさい、せめてあなた達だけでも助けたい。
私は少し、やらなきゃいけない事が残ってる』
ここで彼女を信頼出来ていたなら、人生は違ったのかもしれない。
けど、手遅れだ。
『でも、すぐ戻るわ。そしたら、あなたは私と逃げましょう。少し待ってて!』
信じられるのはもう、自分だけになってしまっていた。
『待って!!閉じ込めないで!!
あんたの言ってる事が、信じられなくなる・・・!!』
マリアは出雲を肩越しに見る。彼女は子供ながらも出雲を信じていた。
『わかった。でも、私が戻るまで決してこの部屋から出ないで』
そして最後の最後に念を押す。
『私を信じて』
そう言い残し、扉を閉めた。
だが、出雲の怒りはおさまってなどいなかったのだ。
大切な妹、月雲の場所を早く突き止めたくて。
(信じられるか・・・!!)
たった一人の妹。
(月雲を勝手に、どこへやったのよ!!)
マリアの言い付けは聞かず、部屋を飛び出した。
月雲はあたしが守る•••!
子供ながらに上手くいくと思った。だがそれは、叶うことはなかったのだ。
外道院の手下に見つかり、捕まってしまうのだ。
連れられたのは、パソコンを開いていたマリアの所。
パソコンを見ていた彼女は去ろうとしたが、外道院に止められた。
『キミ、神木姉妹の監視部屋、ロックかけ忘れちゃったの??
オートロックされる扉なのに、どんだけ間抜けだとそんなミスできるのかなぁ~』
そんな彼女の視界に入ったのは、恐怖で震えている出雲がいる。
約束はしたのに、出てきてしまった・・・。
外道院のわざとらしい質問が続く。
『しかも妹はどこへやったのかな~?ん~~?ぼくが実験に使うって言った矢先にさぁ~?
調べさせたらキミのパソコンから、養子縁組の民間団体へのアクセスがあったって・・・まさかね~?
キャハハ・・・キィヤアアアアふざけんじゃねえよ!そいつを捕まえろ!!』
必死に逃げ出すも、狭い部屋に暗い空間。
彼女は捕まってしまい、外道院の罵声を浴びさせながら頭を激しく蹴られ続けた。
出雲は声も出ず、涙が溢れるばかり。
『ぼくはこの研究所の全てをルシフェル様にまかされてるんだよッ!!
そのぼくを裏切るって事はなぁアア!!ルシフェル様を裏切るって事だ!!』
息を荒くし、静まったかとおもえば外道院は研究者に声をかける。
『エリクサー1021を用意しろ』
と。
『ぼくのパソコン見たなら判ってると思うけど、神木玉雲でつくった新作なんだ♪
キミが実験体第一号だよ、キャキャ!!運が良ければ不死の肉体が手に入るし、
悪ければ打ってすぐ中枢神経系が冒される。そしてジワジワジワジワ、
生体組織が壊死していくんだ。キャキャキャキャ!せめて研究の礎となれ』
やめて!!
出雲の悲痛な叫びは届かない。
全部、全部自分が唯味方をしてくれた吉田マリアを信頼しなかったせい。
それなのになぜ、彼女が犠牲になる必要がある?
自分の浅はかな行動で、なぜ彼女が裏切り者扱いされなければならない?
『やめてやめてぇ、もう・・・もうこんなバカな事はしません。
誓いますからぁあ・・・!!何でもします!!だから、それだけは・・・!!
助けてぇえ!!それだけはやめてぇ!!』
不確かな研究の成果に加担などしたくない。一番恐れるのは、失敗した後の死。
『じゃあこのぼくに跪け!イルミナティの信念を宣誓しろ!!』
『月雲・・・?』
うっすらと開ける瞳でも、すぐにわかった。いつもの温もりが、隣にない。
『月雲!!』
出雲は慌てて飛び起き、部屋を見渡すがやはり妹の姿はなかった。
(連れ去られた!?そんな・・・そんな・・・!)
分厚いドアには、鍵がかかっている。
『開けて!!月雲を返して!!つく・・・』
開かれた扉から姿をみせたのは、月雲ではなくマリアだった。
『あ・・・』
思わず一歩後ずさる出雲。
『出雲ちゃん・・・ごめんね・・・!全部、私のせい・・・!!』
謝罪され、寄り添われ、出雲は困惑するばかり。
『月雲ちゃんは無事よ・・・!養子に出したの』
『え!?』
頭が真っ白だ。
『まだ小さいから、すぐ見つかったわ。社会的地位もある、素晴らしいお宅よ。
そう簡単には連れ戻されないし、必ず守られる・・・!あなたは』
『何の話よ!!』
たまらず、大声をあげてしまう。この人はいったい、何を話してるのだろうと。
大事な、大切な、たった一人の妹を、家族をー・・・。
『冗談・・・でしょ!?あの子を返して!!』
『月雲ちゃんが危ないの!!』
『!?』
『外道院博士は、お母さんの身体がもたなければあなた達も使うつもりよ!
明日、月雲ちゃんを実験に使うって聞いたの・・・。お母さんは、もう・・・』
実験体にされた身体は、もう取り戻すことも帰ることも出来ない。
その実験体に母の代わりに月雲がなってしまえば、出雲には何も残らない・・・。
自分達に近づき捕らえたのは、なにもかも実験のせい。
『お別れもさせずに本当にごめんね・・・正しい事がしたかったのに・・・!』
彼女の涙は嘘か真実か・・・出雲にはわからないことだ。
人間は簡単に裏切るし、嘘を吐く。
信じられるのはもうー・・・。
『ごめんなさい、せめてあなた達だけでも助けたい。
私は少し、やらなきゃいけない事が残ってる』
ここで彼女を信頼出来ていたなら、人生は違ったのかもしれない。
けど、手遅れだ。
『でも、すぐ戻るわ。そしたら、あなたは私と逃げましょう。少し待ってて!』
信じられるのはもう、自分だけになってしまっていた。
『待って!!閉じ込めないで!!
あんたの言ってる事が、信じられなくなる・・・!!』
マリアは出雲を肩越しに見る。彼女は子供ながらも出雲を信じていた。
『わかった。でも、私が戻るまで決してこの部屋から出ないで』
そして最後の最後に念を押す。
『私を信じて』
そう言い残し、扉を閉めた。
だが、出雲の怒りはおさまってなどいなかったのだ。
大切な妹、月雲の場所を早く突き止めたくて。
(信じられるか・・・!!)
たった一人の妹。
(月雲を勝手に、どこへやったのよ!!)
マリアの言い付けは聞かず、部屋を飛び出した。
月雲はあたしが守る•••!
子供ながらに上手くいくと思った。だがそれは、叶うことはなかったのだ。
外道院の手下に見つかり、捕まってしまうのだ。
連れられたのは、パソコンを開いていたマリアの所。
パソコンを見ていた彼女は去ろうとしたが、外道院に止められた。
『キミ、神木姉妹の監視部屋、ロックかけ忘れちゃったの??
オートロックされる扉なのに、どんだけ間抜けだとそんなミスできるのかなぁ~』
そんな彼女の視界に入ったのは、恐怖で震えている出雲がいる。
約束はしたのに、出てきてしまった・・・。
外道院のわざとらしい質問が続く。
『しかも妹はどこへやったのかな~?ん~~?ぼくが実験に使うって言った矢先にさぁ~?
調べさせたらキミのパソコンから、養子縁組の民間団体へのアクセスがあったって・・・まさかね~?
キャハハ・・・キィヤアアアアふざけんじゃねえよ!そいつを捕まえろ!!』
必死に逃げ出すも、狭い部屋に暗い空間。
彼女は捕まってしまい、外道院の罵声を浴びさせながら頭を激しく蹴られ続けた。
出雲は声も出ず、涙が溢れるばかり。
『ぼくはこの研究所の全てをルシフェル様にまかされてるんだよッ!!
そのぼくを裏切るって事はなぁアア!!ルシフェル様を裏切るって事だ!!』
息を荒くし、静まったかとおもえば外道院は研究者に声をかける。
『エリクサー1021を用意しろ』
と。
『ぼくのパソコン見たなら判ってると思うけど、神木玉雲でつくった新作なんだ♪
キミが実験体第一号だよ、キャキャ!!運が良ければ不死の肉体が手に入るし、
悪ければ打ってすぐ中枢神経系が冒される。そしてジワジワジワジワ、
生体組織が壊死していくんだ。キャキャキャキャ!せめて研究の礎となれ』
やめて!!
出雲の悲痛な叫びは届かない。
全部、全部自分が唯味方をしてくれた吉田マリアを信頼しなかったせい。
それなのになぜ、彼女が犠牲になる必要がある?
自分の浅はかな行動で、なぜ彼女が裏切り者扱いされなければならない?
『やめてやめてぇ、もう・・・もうこんなバカな事はしません。
誓いますからぁあ・・・!!何でもします!!だから、それだけは・・・!!
助けてぇえ!!それだけはやめてぇ!!』
不確かな研究の成果に加担などしたくない。一番恐れるのは、失敗した後の死。
『じゃあこのぼくに跪け!イルミナティの信念を宣誓しろ!!』