第八話 あたしの一番大切なもの
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稲生につき、雪男がメフィストに連絡を入れ終え、さらに指示に従う玲薇達。
「フェレス郷からは、この周辺を調査するようにと・・・ん!?宝くんはどこへ」
「まーた気ぃ付いたらおりませんでしたわ、あのヤロウ」
燐のお陰で、普段の調子を取り戻した勝呂が、口を尖らせて言った。
雪男はため息をつく。
「・・・仕方ない。僕達だけで周囲を聞きこみしましょう」
「いや~、ここに来てからずっと調子がよくて、また参りに来ちゃったよ!」
雪男の耳に聞こえたのは、元気な歳の男女の声で。
「アラ、あなたも?私も楽しいことばっかり!ずーっといたいくらいで!」
会話が気になり、さっそく雪男は声をかけてみた。
「あの、すみません。ここはそんなに楽しい所ですか?僕達初めてで・・・」
「アラァ、初めてなのねーッ。ここはね!食物神、トヨウケビメさま達をお祀りしてるの!
貴方達も早く、大社をお参りするといいわ!人生が豊かになるわよぉ」
「その前にここ、おきつね横丁は外せないよ!!ここの食べ物は、島根の地物を使ってつくられてて、
そりゃあもぉー美味いんだ!!特に、稲生そば、絶対に食べた方がいい!オススメだよ!!」
圧倒的な勢いにおされ、雪男はたじろきながらも頷くことしかできなかった。
「あ、はい。了解しました」
鳥居の前に居座ってるわけにもいかず、とりあえずおきつね横丁に足を踏み入れることにした。
観光地なだけあって、ここは立派な賑わいを見せている。
「周りはのどかでしたけど、ここはぎょーさん人がいてますねぇ」
「ほとんど食いもん屋じゃん!」
玲薇がパンフレットに目を通す。
「これが大社まで、ずっと続くみたい」
稲生名物の稲生そばに、五色いなり。ぜんざいにあご野焼き。
屋台を見れば見るほど、お腹が空いてきた。
「うおぉぉ、いい出汁の匂い・・・!うまそぉー、なんか喰ってこーぜ。
しえみの草サンドだけじゃ腹が・・・つーか舌が?」
「そうだな・・・」
そこは共感する雪男に、一番褒めてもらいたかった二人にそんな事いわれ、しえみは落ち込んでいる。
しえみに何か言ってあげたいものの、やはり玲薇にとっても草サンドは衝撃が大きかった。
「私もなにか食べたい!」
燐に賛成するわけじゃないが、せっかく島根に来たのだから。
「調査も兼ねますから、食べましょうか」
「「やった!!」」
思わず燐とハイタッチする。
さっそくみんなで注文したのは、人気ナンバー1な稲生そば。
「「「いっただきまーす!!」」」
つるんと、のどこしがいい。
「うまーい!!」
「・・・確かにあんだけうまいと、ハマるのも判る気ぃするわ」
「よーし!そこら中のめし調査だ!!」
言うや、燐は走り出す。
「おい!」
「僕は大社の方を見てくる」
「あ、私も行きたい!稲生大社、見てみたかったの!」
調査というよりも、燐も玲薇もすっかり観光気分だ。
「玲薇、ここに何しに来たか忘れてないよね?」
「調査!」
(・・・全く、仕方ない)
子猫丸が成り行きを見守りつつ、雪男に聞く。
「僕らも行きましょうか?」
「いえ、兄をお願いします」
雪男と一緒に、大社の方へ向かう玲薇。
「だんだん人気がないね」
「そうだね・・・」
「お参りしてくる、すぐ戻るから!」
「あ、ちょっ」
呼び止める声を聞くことなく、彼女は行ってしまった。
まぁ、すぐ戻ってくるだろうし、敷地ないだし大丈夫だろうと、
雪男は辺りを見ながらゆっくり追いかけることにした。
「ええっ、入居なさるんですか?」
その時にも聞こえた気になる会話。
「ええ!当選したんです!もう夢のようで・・・」
「入居倍率20倍以上だって聞きますよっ、羨ましいなぁ。
私も入居希望は出してるんですけど、全然ですよ」
「・・・・・・」
一通りの調査をすませ、全員が集合した。
いまだ燐は、口に食べ物を運んでいる。
「で・・・判ったのは、おきつね横丁のめしがうめえって事だけじゃね!?」
「そりゃお前だけや!」
勝呂はすっかり、いつもの突っ込み役に戻った。
「・・・観光客は何度も来とるリピーターが多い印象でしたわ」
「・・・それと、大社より食べ物に夢中みたいだったね」
大社をお参りした玲薇の感想。それに雪男が頷く。
「確かに、大社の人出は割と普通でした。そこで"ユメタウン稲生"という集合住宅の話を耳にしたんですが・・・」
「それ、僕も聞きました」
子猫丸はしっかり調査していたのに、雪男と一緒にいたはずの玲薇は、
その事を知らず自分の行動の恥ずかしさに頭を垂れた。
それを誰もが気にすることなく、子猫丸が指をさす。
「大社の真となりのアレですよね」
ふと顔を上げ見てみれば、大社の倍以上の巨大な建造物が確かにある。
「なんやあれ!?」
「え!?」
思った以上のデカさに、目が丸くなった。
「・・・皆こぞって、あそこに入居したがっているようでした」
「そこまでしてここに居りたいんか!?どんだけやねんな!」
「それなんですけど、さっき案内所でもろてきた観光マップの発行元が・・・、
"いなり光明財団"!えらいイルミナティを感じさせる名前やないですか?」
「!」
「まさか・・・」
「判らない事は、土地の者に聞けばいい」
「宝くん!!」
みんなとは別行動していた彼が、よいタイミングで戻ってきた。
何やらいつも右手にいるうさぎのパペットとは逆の手に、
初めてみるキツネのような人形を持っていた。
「なかなかいい人形が見つからなくてな。コイツは120万したから、騎士團の経費で落とせよ」
「はい!?」
あまりの桁違いの額の領収書を渡され、雪男は驚愕している。
だが、買ってしまったものはしょうがない。それに、これで手掛かりが掴めるのなら。
宝がその人形を使い、憑依召喚を始めた。どうやら、手騎士二種の実力の持ち主のようだ。
召喚が終わり、キツネの目が開き喋り出す。
《如何にも、我はウカノミタマノカミの神使!八番位のミケ狐神である・・・!!》
うさぎのパペットが言う。
「貴様は、神木出雲の使い魔だったな。この土地と神木出雲について全て話せ!」
《我があの未熟者の小娘の使い魔だと!?愚弄するにも程があるぞ!
第一、汝らになんの関わりがある!!》
「出雲ちゃんは、私達の友達です」
しえみがそう、キッパリ答える。
「この土地に、俺達の敵がいる。神木出雲はどう関わってるんだ!
話すのか、話さねぇのか、嫌なら他を当たるまでだ」
《よかろう・・・この地とあの娘を語ろう》
「フェレス郷からは、この周辺を調査するようにと・・・ん!?宝くんはどこへ」
「まーた気ぃ付いたらおりませんでしたわ、あのヤロウ」
燐のお陰で、普段の調子を取り戻した勝呂が、口を尖らせて言った。
雪男はため息をつく。
「・・・仕方ない。僕達だけで周囲を聞きこみしましょう」
「いや~、ここに来てからずっと調子がよくて、また参りに来ちゃったよ!」
雪男の耳に聞こえたのは、元気な歳の男女の声で。
「アラ、あなたも?私も楽しいことばっかり!ずーっといたいくらいで!」
会話が気になり、さっそく雪男は声をかけてみた。
「あの、すみません。ここはそんなに楽しい所ですか?僕達初めてで・・・」
「アラァ、初めてなのねーッ。ここはね!食物神、トヨウケビメさま達をお祀りしてるの!
貴方達も早く、大社をお参りするといいわ!人生が豊かになるわよぉ」
「その前にここ、おきつね横丁は外せないよ!!ここの食べ物は、島根の地物を使ってつくられてて、
そりゃあもぉー美味いんだ!!特に、稲生そば、絶対に食べた方がいい!オススメだよ!!」
圧倒的な勢いにおされ、雪男はたじろきながらも頷くことしかできなかった。
「あ、はい。了解しました」
鳥居の前に居座ってるわけにもいかず、とりあえずおきつね横丁に足を踏み入れることにした。
観光地なだけあって、ここは立派な賑わいを見せている。
「周りはのどかでしたけど、ここはぎょーさん人がいてますねぇ」
「ほとんど食いもん屋じゃん!」
玲薇がパンフレットに目を通す。
「これが大社まで、ずっと続くみたい」
稲生名物の稲生そばに、五色いなり。ぜんざいにあご野焼き。
屋台を見れば見るほど、お腹が空いてきた。
「うおぉぉ、いい出汁の匂い・・・!うまそぉー、なんか喰ってこーぜ。
しえみの草サンドだけじゃ腹が・・・つーか舌が?」
「そうだな・・・」
そこは共感する雪男に、一番褒めてもらいたかった二人にそんな事いわれ、しえみは落ち込んでいる。
しえみに何か言ってあげたいものの、やはり玲薇にとっても草サンドは衝撃が大きかった。
「私もなにか食べたい!」
燐に賛成するわけじゃないが、せっかく島根に来たのだから。
「調査も兼ねますから、食べましょうか」
「「やった!!」」
思わず燐とハイタッチする。
さっそくみんなで注文したのは、人気ナンバー1な稲生そば。
「「「いっただきまーす!!」」」
つるんと、のどこしがいい。
「うまーい!!」
「・・・確かにあんだけうまいと、ハマるのも判る気ぃするわ」
「よーし!そこら中のめし調査だ!!」
言うや、燐は走り出す。
「おい!」
「僕は大社の方を見てくる」
「あ、私も行きたい!稲生大社、見てみたかったの!」
調査というよりも、燐も玲薇もすっかり観光気分だ。
「玲薇、ここに何しに来たか忘れてないよね?」
「調査!」
(・・・全く、仕方ない)
子猫丸が成り行きを見守りつつ、雪男に聞く。
「僕らも行きましょうか?」
「いえ、兄をお願いします」
雪男と一緒に、大社の方へ向かう玲薇。
「だんだん人気がないね」
「そうだね・・・」
「お参りしてくる、すぐ戻るから!」
「あ、ちょっ」
呼び止める声を聞くことなく、彼女は行ってしまった。
まぁ、すぐ戻ってくるだろうし、敷地ないだし大丈夫だろうと、
雪男は辺りを見ながらゆっくり追いかけることにした。
「ええっ、入居なさるんですか?」
その時にも聞こえた気になる会話。
「ええ!当選したんです!もう夢のようで・・・」
「入居倍率20倍以上だって聞きますよっ、羨ましいなぁ。
私も入居希望は出してるんですけど、全然ですよ」
「・・・・・・」
一通りの調査をすませ、全員が集合した。
いまだ燐は、口に食べ物を運んでいる。
「で・・・判ったのは、おきつね横丁のめしがうめえって事だけじゃね!?」
「そりゃお前だけや!」
勝呂はすっかり、いつもの突っ込み役に戻った。
「・・・観光客は何度も来とるリピーターが多い印象でしたわ」
「・・・それと、大社より食べ物に夢中みたいだったね」
大社をお参りした玲薇の感想。それに雪男が頷く。
「確かに、大社の人出は割と普通でした。そこで"ユメタウン稲生"という集合住宅の話を耳にしたんですが・・・」
「それ、僕も聞きました」
子猫丸はしっかり調査していたのに、雪男と一緒にいたはずの玲薇は、
その事を知らず自分の行動の恥ずかしさに頭を垂れた。
それを誰もが気にすることなく、子猫丸が指をさす。
「大社の真となりのアレですよね」
ふと顔を上げ見てみれば、大社の倍以上の巨大な建造物が確かにある。
「なんやあれ!?」
「え!?」
思った以上のデカさに、目が丸くなった。
「・・・皆こぞって、あそこに入居したがっているようでした」
「そこまでしてここに居りたいんか!?どんだけやねんな!」
「それなんですけど、さっき案内所でもろてきた観光マップの発行元が・・・、
"いなり光明財団"!えらいイルミナティを感じさせる名前やないですか?」
「!」
「まさか・・・」
「判らない事は、土地の者に聞けばいい」
「宝くん!!」
みんなとは別行動していた彼が、よいタイミングで戻ってきた。
何やらいつも右手にいるうさぎのパペットとは逆の手に、
初めてみるキツネのような人形を持っていた。
「なかなかいい人形が見つからなくてな。コイツは120万したから、騎士團の経費で落とせよ」
「はい!?」
あまりの桁違いの額の領収書を渡され、雪男は驚愕している。
だが、買ってしまったものはしょうがない。それに、これで手掛かりが掴めるのなら。
宝がその人形を使い、憑依召喚を始めた。どうやら、手騎士二種の実力の持ち主のようだ。
召喚が終わり、キツネの目が開き喋り出す。
《如何にも、我はウカノミタマノカミの神使!八番位のミケ狐神である・・・!!》
うさぎのパペットが言う。
「貴様は、神木出雲の使い魔だったな。この土地と神木出雲について全て話せ!」
《我があの未熟者の小娘の使い魔だと!?愚弄するにも程があるぞ!
第一、汝らになんの関わりがある!!》
「出雲ちゃんは、私達の友達です」
しえみがそう、キッパリ答える。
「この土地に、俺達の敵がいる。神木出雲はどう関わってるんだ!
話すのか、話さねぇのか、嫌なら他を当たるまでだ」
《よかろう・・・この地とあの娘を語ろう》