第五話 学園七不思議•後
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「・・・・・・・・」
『ヴァチカンで何があったの?』か。言える訳ない、兄と一緒にいる玲薇にだってもう心配かけさせられない。
聖騎士の前で『モリナスの契約書』に血判を押した事、イルミナティ・・・人工虚無界の門の事。
これは、物質界滅亡の危機だという事。
感ずく玲薇なら、『モリナスの契約書』だけで不安を持つだろう。自分の心配は自分だけでいい。
以前、神父である獅郎に疑問を投げかけた時があった。
『どうして神父さんは僕らを育ててるの?フェレス郷は何で僕らの存在を黙認してるの』
『・・・お前、記録保管庫やネットに入り込んで色々調べてたろ』
ぎくっと、雪男は肩を揺らす。やはり父にはバレていた。
『・・・でも、何も判らなかった』
『お前ももう大人だ、誤魔化す気はない。ただ、今は話せない』
『・・・今は?じゃあ、いつかは話してくれるの?』
『いつか判る』
あの頃の僕の精いっぱいの神父への反抗はこの一言で片付けられてしまった。
心を殺してただ、神父さんを信じていこうと思った。だが、その本人は死んでしまった。
そして兄は覚醒した。玲薇も、自分の覚悟を強く持った。
僕の疑問だけを残して
『フェレス郷、神父が死にました』
『知ってます』
『兄は、僕は、玲薇はこれからどうなるんですか』
『君達の後見人は私が引き継ぎます。あと、奥村燐くんと風美夜玲薇さんは祓魔師になりたいそうなので、
祓魔塾に通わせる事にしました☆』
さらっと言ってのけるメフィストに驚いた。
『え!?』
『風美夜さんの方はともかく、奥村燐くんの方はバカすぎるので高校にも通わせます。
どうせついでなので、二人で同じ高校にさせちゃいました』
『な・・・・・』
『そうですねぇ、貴方にはこれから彼らの監視役をしてもらいましょう!まだもう暫く、騎士團上層にバレたくないのでね。
寮も隔離し、同室にしておきました。塾講師も藤本の後任を貴方にやっていただきます。忙しくなりますよ~?
まずは、奥村燐の能力や精神状態を知りたい。小鬼程度の雑魚と戦わせてどうなるか試してもらいますか?』
『サタンの炎を制御できるかも判らないのに、正気ですか!?』
『大丈夫☆私もすぐ、フォロー出来るようにします』
『貴方は一体・・・何を企んでいるんだ!』
『そう急かさない急かさない。楽しみは先に取っておくものですよ』
メフィストが考えていることは、誰にもわからない・・・。
(恐らくフェレス郷は、僕の目の事も知っている。じゃあ何故、何も言って来ないのか・・・?)
このまま放置すれば取り返しのつかない事になる可能性もあるのに。
"モリナスの契約書"は通称"悪魔の契約書"といって、契約者が契約不履行となった場合、書面を作成した悪魔が報復される。
あの会議に召喚された理由は、恐らく僕に契約書へ血判を押させるためだったに違いない。
藤堂と接点があり、奥村燐の双子の弟である僕を監視する為だ。
フェレス郷は人間側なのか、悪魔側なのか。何故僕らは生かされているのか。
(知らなければ・・・)
-----
「はぁ・・・」
クラスで一人、ため息をつく玲薇。
(燐にやっぱり、悪いことしちゃったかな・・・)
そう思うものの、言い訳になってしまうが雪男の事や自分の事で頭がいっぱいなのだ。
検診を受けるまではこの不思議な自分の力は特別で、ましてサタンの力と同類かもしれないなんて思ってなかった。
そんな根拠はないだろうけど、つくづく、そう思わざるを得ないのだ。
いつ青い炎に変わるか分からないから正直怖い。その話をすれば雪男も燐も何もないとか言ってくれるかもしれない。
でも、偶然自分がピンチの時この力を発揮する時は雪男はいないし、検診の話を燐に詳しくしたところでどうもならないだろう。
それぞれに悩みを打ち明けたところで、何処かで糸がかみ合ってないものだから話を上手く出来る自信もない。
(考えすぎ・・・考えすぎ・・・)
いま色んな方向で答えを見出そうとしたって、誰にも未来は分からない。
人知れず玲薇はまた、ため息をついた。
1-Dでは、燐がへそを曲げていた。
(ケッ、アイツ不浄王戦ん時は可愛げあったのに、今じゃあ雪男雪男かよ!!
しかもその雪男はしえみにべったりだしよー!俺はなんなんだっての!!くそ、くそ、くそ!!)
燐のクラスには一匹、彷徨(うろつ)いている悪魔がいる。
ボーッとその悪魔を眺めていると、その悪魔が視線を向けた気がした。
(・・・!!)
「あの悪魔って、ずっとこの辺をウロついてるんだね」
その声で我に返る。
「醐醍院!」
「おはよう」
いま彼は、確かに悪魔と言った。いや、目薬は確かに渡したハズだ。
「えっ、お前まだ見えるの!?なんで、目薬は!?」
「使ってない。けど、まだ持ってていい?」
「いいけど・・・怖くないのか?」
「・・・怖いけど、僕にも夢や友達や家族もいるから。何かあったら奥村くんに仕事の依頼するよ!」
ぱん、と少し力強く肩を叩かれる。でも、それが無性に嬉しくて、けれどどう喜んでいいか分からなくて。
「バーカ!!俺はまだ見習いなんだよ!目薬だってもらうの苦労したんだぞ!?」
「あっ、そうだっけ、ありがとう」
「そうだっけ、じゃねーよ!」
「ははは」
『ヴァチカンで何があったの?』か。言える訳ない、兄と一緒にいる玲薇にだってもう心配かけさせられない。
聖騎士の前で『モリナスの契約書』に血判を押した事、イルミナティ・・・人工虚無界の門の事。
これは、物質界滅亡の危機だという事。
感ずく玲薇なら、『モリナスの契約書』だけで不安を持つだろう。自分の心配は自分だけでいい。
以前、神父である獅郎に疑問を投げかけた時があった。
『どうして神父さんは僕らを育ててるの?フェレス郷は何で僕らの存在を黙認してるの』
『・・・お前、記録保管庫やネットに入り込んで色々調べてたろ』
ぎくっと、雪男は肩を揺らす。やはり父にはバレていた。
『・・・でも、何も判らなかった』
『お前ももう大人だ、誤魔化す気はない。ただ、今は話せない』
『・・・今は?じゃあ、いつかは話してくれるの?』
『いつか判る』
あの頃の僕の精いっぱいの神父への反抗はこの一言で片付けられてしまった。
心を殺してただ、神父さんを信じていこうと思った。だが、その本人は死んでしまった。
そして兄は覚醒した。玲薇も、自分の覚悟を強く持った。
僕の疑問だけを残して
『フェレス郷、神父が死にました』
『知ってます』
『兄は、僕は、玲薇はこれからどうなるんですか』
『君達の後見人は私が引き継ぎます。あと、奥村燐くんと風美夜玲薇さんは祓魔師になりたいそうなので、
祓魔塾に通わせる事にしました☆』
さらっと言ってのけるメフィストに驚いた。
『え!?』
『風美夜さんの方はともかく、奥村燐くんの方はバカすぎるので高校にも通わせます。
どうせついでなので、二人で同じ高校にさせちゃいました』
『な・・・・・』
『そうですねぇ、貴方にはこれから彼らの監視役をしてもらいましょう!まだもう暫く、騎士團上層にバレたくないのでね。
寮も隔離し、同室にしておきました。塾講師も藤本の後任を貴方にやっていただきます。忙しくなりますよ~?
まずは、奥村燐の能力や精神状態を知りたい。小鬼程度の雑魚と戦わせてどうなるか試してもらいますか?』
『サタンの炎を制御できるかも判らないのに、正気ですか!?』
『大丈夫☆私もすぐ、フォロー出来るようにします』
『貴方は一体・・・何を企んでいるんだ!』
『そう急かさない急かさない。楽しみは先に取っておくものですよ』
メフィストが考えていることは、誰にもわからない・・・。
(恐らくフェレス郷は、僕の目の事も知っている。じゃあ何故、何も言って来ないのか・・・?)
このまま放置すれば取り返しのつかない事になる可能性もあるのに。
"モリナスの契約書"は通称"悪魔の契約書"といって、契約者が契約不履行となった場合、書面を作成した悪魔が報復される。
あの会議に召喚された理由は、恐らく僕に契約書へ血判を押させるためだったに違いない。
藤堂と接点があり、奥村燐の双子の弟である僕を監視する為だ。
フェレス郷は人間側なのか、悪魔側なのか。何故僕らは生かされているのか。
(知らなければ・・・)
-----
「はぁ・・・」
クラスで一人、ため息をつく玲薇。
(燐にやっぱり、悪いことしちゃったかな・・・)
そう思うものの、言い訳になってしまうが雪男の事や自分の事で頭がいっぱいなのだ。
検診を受けるまではこの不思議な自分の力は特別で、ましてサタンの力と同類かもしれないなんて思ってなかった。
そんな根拠はないだろうけど、つくづく、そう思わざるを得ないのだ。
いつ青い炎に変わるか分からないから正直怖い。その話をすれば雪男も燐も何もないとか言ってくれるかもしれない。
でも、偶然自分がピンチの時この力を発揮する時は雪男はいないし、検診の話を燐に詳しくしたところでどうもならないだろう。
それぞれに悩みを打ち明けたところで、何処かで糸がかみ合ってないものだから話を上手く出来る自信もない。
(考えすぎ・・・考えすぎ・・・)
いま色んな方向で答えを見出そうとしたって、誰にも未来は分からない。
人知れず玲薇はまた、ため息をついた。
1-Dでは、燐がへそを曲げていた。
(ケッ、アイツ不浄王戦ん時は可愛げあったのに、今じゃあ雪男雪男かよ!!
しかもその雪男はしえみにべったりだしよー!俺はなんなんだっての!!くそ、くそ、くそ!!)
燐のクラスには一匹、彷徨(うろつ)いている悪魔がいる。
ボーッとその悪魔を眺めていると、その悪魔が視線を向けた気がした。
(・・・!!)
「あの悪魔って、ずっとこの辺をウロついてるんだね」
その声で我に返る。
「醐醍院!」
「おはよう」
いま彼は、確かに悪魔と言った。いや、目薬は確かに渡したハズだ。
「えっ、お前まだ見えるの!?なんで、目薬は!?」
「使ってない。けど、まだ持ってていい?」
「いいけど・・・怖くないのか?」
「・・・怖いけど、僕にも夢や友達や家族もいるから。何かあったら奥村くんに仕事の依頼するよ!」
ぱん、と少し力強く肩を叩かれる。でも、それが無性に嬉しくて、けれどどう喜んでいいか分からなくて。
「バーカ!!俺はまだ見習いなんだよ!目薬だってもらうの苦労したんだぞ!?」
「あっ、そうだっけ、ありがとう」
「そうだっけ、じゃねーよ!」
「ははは」