第五話 学園七不思議•後
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(・・・・・いい匂いがする)
日曜の朝、ヴァチカンに呼び出された雪男が旧男子寮に帰ってきた。
久しぶりにグゥ~と鳴った自分のお腹に手を当てる。そういえば、まともにご飯食べてない。
適当に済ませると言って、本当に適当になっていたなと、誰もいない廊下で苦笑する。
たぶん、兄である燐が朝食を作ってるのかもしれない。日曜だから、少し遅い朝食なのかな。
重い足取りを部屋に入る前にキッチンに向けてみた。
「玲薇?」
「あれ、雪男?おかえり」
「・・・・・・」
まさか、てっきり兄が作ってると思ったら玲薇だ。味噌汁の匂いがキッチンに広がっている。
「お腹空いちゃってさ・・・ちょっと遅めの朝ごはん」
アハハと、少し気恥しそうな玲薇。
「兄さんは?」
「寝てる」
どうやら燐は相変わらずだ。今日は塾も休みだし。
「僕ももらっていい?」
「もう出来るけど、食べちゃう?」
「うん」
二人でイスに座っていただきますを言ってから食べ始めた。
ふと玲薇は雪男を見る。確か、ヴァチカンに呼び出されたとメフィストが言っていた。
ヴァチカンがいったい、雪男に何の用事があったのだろう。彼は少し、疲れているように見える。
「・・・兄さんとどこまでやったの?」
唐突な質問を真顔で問われる。
「!!はっ、なに??」
危うく味噌汁を吹き出しそうになる玲薇。
「兄さんと付き合ってて、何か変わった?」
「いやいやいや、なに、どうしたの?」
「別に。僕がここを開けるのが多いからどうしてるのかと思って」
「いや・・・特に変わったことはなにも?」
ぶんぶん勢い良く胸の前で手を振る。
いったい彼はどうしてしまったのだろうか。
「・・・雪男こそ、ヴァチカンで何があったの?」
少し、雪男が驚いたように感じた。でも、すぐに冷静になる。
「特に。玲薇が気にする必要ないよ、ごちそうさま」
「・・・・・・・」
「お風呂入ったらまた出掛けるから」
「何処に?」
「しえみさんのところ」
「あ・・・うん・・・」
ふと、ある日の燐の言葉を思い出す。
『最近、二人がコソコソしてるよな』と。
いつまでも、昔のままではいられないか・・・。
部屋に戻ると、燐が起きていた。なんだかご機嫌ナナメだ。
「アイツ、またしえみのとこな!」
雪男が話したのだろう。確かここに放り投げられたのは雪男という監視が必要だったからではなかったっけ。
「ここで二人なのもいいけど、どうせなら新館に移りたいね」
出雲や朴がいるあの部屋のように綺麗な方がいい。玲薇はため息を吐く。
「まぁ・・・俺もこっちで二人よりは向こうの新館で二人がいいしな」
「ねぇ、燐」
「ん?」
彼のベッドで、隣に腰掛ける。
切り出しずらかったけど、でも・・・。昔のように三人で笑ってた時の方が楽しくて。
だから、言ってしまった。
「私たち、少し距離置かない・・・?」
自分の声が震えてるのが分かる。もちろん、燐にだって嫌われたくない。
「は・・・?」
付き合ってるからといって、雪男が不機嫌ではないことは理解している。でも、入りずらいと思うのだ。
決してあの時、雪男に無理矢理キスされたことは忘れてない。謝罪はしてもらったけど、多少罪悪感は残ってるし。
それはそれで色々あって、一番大切な人は燐だと想ってる。でも今、彼だけに視線を向けて周りの皆を疎か状態にするのも違う気がする。
用は、玲薇自身が不器用だと感じはじめていた。
大切な仲間を多く作り過ぎたのかもしれないけど・・・。
「だってさ、逆に考えてあげようよ。もし私が雪男だったら」
「雪男じゃねぇだろ」
ビクッと体が強張る。燐の低い声、これ絶対に怒ってる。
抵抗する間もなく、燐に体を押された。
「何でだよ、俺らまだ何もやってねーじゃん。好きだってのは俺の独りよがりでお前のはウソなのか?」
大切な人に裏切られた・・・そう思わされても仕方ない現状だ。
「嘘じゃないよ!燐が好きな事は嘘じゃない」
「じゃあ何でだ!?雪男に何か言われたか!?」
「違う!私が不器用なの」
重たい、燐が両肩を掴んでいる手が。
「不浄王戦の時は本当に死ぬかと思った。燐が隣にいないだけで不安だった」
恥ずかしい事をこれから口にする。でも本当の気持ちで考えで、理解して欲しいから。
「燐の側を離れたくないのは本当よ」
燐の頬を優しく撫でる。
「何度も何度も燐に助けてもらってる」
どうか誤解しないで、ワガママでごめんなさい。
「少し距離置こうと思ったのは・・・もっと皆と近い距離にいたい。燐と晴れて一緒にいられるって思った時は幸せだったよ?
でもそのかわり、他の皆と距離が出来てしまったように感じたの・・・。寂しいとかそんなんじゃないだろうけど・・・。
もっと皆と楽しくいたい」
「・・・俺と、だけじゃなくて・・・?」
ぎこちなく、玲薇がこくりと頷く。
そんな彼女にキスをする。
「・・・・・・別れるわけじゃないんだよな?」
「うん・・・」
「距離置くだけで、別れるんじゃないんだよな?」
「ごめんね?ワガママで・・・だけど、私達だけ幸せになるのが理不尽みたいで・・・雪男に申し訳なくて・・・・・」
「バカだよな、お前」
「うん」
「でも、たまにはいいだろ?」
「うん。皆にもさらっと言っておく」
「余計心配するだけじゃね?」
「そうかな」
日曜の朝、ヴァチカンに呼び出された雪男が旧男子寮に帰ってきた。
久しぶりにグゥ~と鳴った自分のお腹に手を当てる。そういえば、まともにご飯食べてない。
適当に済ませると言って、本当に適当になっていたなと、誰もいない廊下で苦笑する。
たぶん、兄である燐が朝食を作ってるのかもしれない。日曜だから、少し遅い朝食なのかな。
重い足取りを部屋に入る前にキッチンに向けてみた。
「玲薇?」
「あれ、雪男?おかえり」
「・・・・・・」
まさか、てっきり兄が作ってると思ったら玲薇だ。味噌汁の匂いがキッチンに広がっている。
「お腹空いちゃってさ・・・ちょっと遅めの朝ごはん」
アハハと、少し気恥しそうな玲薇。
「兄さんは?」
「寝てる」
どうやら燐は相変わらずだ。今日は塾も休みだし。
「僕ももらっていい?」
「もう出来るけど、食べちゃう?」
「うん」
二人でイスに座っていただきますを言ってから食べ始めた。
ふと玲薇は雪男を見る。確か、ヴァチカンに呼び出されたとメフィストが言っていた。
ヴァチカンがいったい、雪男に何の用事があったのだろう。彼は少し、疲れているように見える。
「・・・兄さんとどこまでやったの?」
唐突な質問を真顔で問われる。
「!!はっ、なに??」
危うく味噌汁を吹き出しそうになる玲薇。
「兄さんと付き合ってて、何か変わった?」
「いやいやいや、なに、どうしたの?」
「別に。僕がここを開けるのが多いからどうしてるのかと思って」
「いや・・・特に変わったことはなにも?」
ぶんぶん勢い良く胸の前で手を振る。
いったい彼はどうしてしまったのだろうか。
「・・・雪男こそ、ヴァチカンで何があったの?」
少し、雪男が驚いたように感じた。でも、すぐに冷静になる。
「特に。玲薇が気にする必要ないよ、ごちそうさま」
「・・・・・・・」
「お風呂入ったらまた出掛けるから」
「何処に?」
「しえみさんのところ」
「あ・・・うん・・・」
ふと、ある日の燐の言葉を思い出す。
『最近、二人がコソコソしてるよな』と。
いつまでも、昔のままではいられないか・・・。
部屋に戻ると、燐が起きていた。なんだかご機嫌ナナメだ。
「アイツ、またしえみのとこな!」
雪男が話したのだろう。確かここに放り投げられたのは雪男という監視が必要だったからではなかったっけ。
「ここで二人なのもいいけど、どうせなら新館に移りたいね」
出雲や朴がいるあの部屋のように綺麗な方がいい。玲薇はため息を吐く。
「まぁ・・・俺もこっちで二人よりは向こうの新館で二人がいいしな」
「ねぇ、燐」
「ん?」
彼のベッドで、隣に腰掛ける。
切り出しずらかったけど、でも・・・。昔のように三人で笑ってた時の方が楽しくて。
だから、言ってしまった。
「私たち、少し距離置かない・・・?」
自分の声が震えてるのが分かる。もちろん、燐にだって嫌われたくない。
「は・・・?」
付き合ってるからといって、雪男が不機嫌ではないことは理解している。でも、入りずらいと思うのだ。
決してあの時、雪男に無理矢理キスされたことは忘れてない。謝罪はしてもらったけど、多少罪悪感は残ってるし。
それはそれで色々あって、一番大切な人は燐だと想ってる。でも今、彼だけに視線を向けて周りの皆を疎か状態にするのも違う気がする。
用は、玲薇自身が不器用だと感じはじめていた。
大切な仲間を多く作り過ぎたのかもしれないけど・・・。
「だってさ、逆に考えてあげようよ。もし私が雪男だったら」
「雪男じゃねぇだろ」
ビクッと体が強張る。燐の低い声、これ絶対に怒ってる。
抵抗する間もなく、燐に体を押された。
「何でだよ、俺らまだ何もやってねーじゃん。好きだってのは俺の独りよがりでお前のはウソなのか?」
大切な人に裏切られた・・・そう思わされても仕方ない現状だ。
「嘘じゃないよ!燐が好きな事は嘘じゃない」
「じゃあ何でだ!?雪男に何か言われたか!?」
「違う!私が不器用なの」
重たい、燐が両肩を掴んでいる手が。
「不浄王戦の時は本当に死ぬかと思った。燐が隣にいないだけで不安だった」
恥ずかしい事をこれから口にする。でも本当の気持ちで考えで、理解して欲しいから。
「燐の側を離れたくないのは本当よ」
燐の頬を優しく撫でる。
「何度も何度も燐に助けてもらってる」
どうか誤解しないで、ワガママでごめんなさい。
「少し距離置こうと思ったのは・・・もっと皆と近い距離にいたい。燐と晴れて一緒にいられるって思った時は幸せだったよ?
でもそのかわり、他の皆と距離が出来てしまったように感じたの・・・。寂しいとかそんなんじゃないだろうけど・・・。
もっと皆と楽しくいたい」
「・・・俺と、だけじゃなくて・・・?」
ぎこちなく、玲薇がこくりと頷く。
そんな彼女にキスをする。
「・・・・・・別れるわけじゃないんだよな?」
「うん・・・」
「距離置くだけで、別れるんじゃないんだよな?」
「ごめんね?ワガママで・・・だけど、私達だけ幸せになるのが理不尽みたいで・・・雪男に申し訳なくて・・・・・」
「バカだよな、お前」
「うん」
「でも、たまにはいいだろ?」
「うん。皆にもさらっと言っておく」
「余計心配するだけじゃね?」
「そうかな」