第二十五話 答え
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『はァ!!?全部ユリに被せて、俺が英雄!?ふざけんな!!確かにアイツはバカだったよ!
悪魔と馴れ合う夢を見て失敗した、だが、なんにもしなかった俺達よりマシだろ!!』
『ええ。サタン相手に母のように、姉のように、恋人のように在るのは並大抵の事ではなかったでしょう。
ですが、陰にどんな涙が、真心があろうと世の中には結果が全てなのです。やった事だけみれば、彼女は魔女と違いありません。
彼女の真心は、貴方の胸の中に。世の中には、判り易い方便が必要です。が、私もこの愛らしい赤ん坊を殺す気はありません。貴方に育ててもらいます☆』
言うや、メフィストがベビーセットを出したのだ。
『サタンかルシフェル、あるいは両方か・・・いずれ災厄は復活する。その日の為に、私には"武器"が必要です。
武器となる、強き存在に育てなさい』
この双子を育てるだけじゃなく、強くしろというのか。目を丸くする獅郎は、願いが2つあると堪らず叫ぶ。
『契約違反だ!!』
『そんな事ありません』
ニヤつきながら首を横に振るメフィストは、それらを含めた願いはただ一つ、騎士團に一生忠誠を誓う犬になってもらうというものだ。
『貴方はね、私にものを頼んだ時点で、永久に自由を捨てていたんですよ』
大胆に笑うメフィスト。悪魔嫌いの獅郎だったが、どうやら悪魔と馴れ合うのは自分だったようだ。
ユリ・エギンは失敗した。
『では、貴方はどうですか』
すると、別の部屋から赤ん坊の泣き声がした。目の前にいる双子のとはどうやら別のようで。
『何だ?』
首をかしげる獅郎に、頭を垂れるメフィスト。
『まぁいずれ、貴方に頼むこともあるかもしれないので伝えておきます』
『面倒ごとは懲り懲りだぜ』
『まぁそう言わず。もう一つ研究させていた仔です。聖騎士には秘密裏に出来ませんから』
『チッ・・・あれか・・・』
部屋のドアをあけ、メフィストはその女の子を抱き上げた。
『可愛らしいでしょ』
『・・・・・・・・・・・』
獅郎は何も言わない。あれは自分たちと同じくらい赦されない研究だ。
『この仔の悪魔としての質はいずれ落ちる。血を混ぜたのは悪魔の血といえど、これ以上は厳しい。悪魔の特徴の尻尾などつかなかった。
それでも、あの双子といれば覚醒するチャンスもあるハズ』
『なんだその当てずっぽうは』
『未来は無数にあるので。一先ずこの仔は施設にでも預けますよ。悪魔の姿は見えると思うので、貴方が迎えに行ってあげて下さい』
『何で俺なんだ!?』
『さすがに私の顔は出せません。そうですね、親はいませんが、口伝えで母が巫女さんとでも教えてあげればいい。父親は貴方です』
多分この頃から、メフィストはオタクになっていたに違いない。
『名前も決めました。それから・・・』
パッとメフィストが出したのは、四葉のクローバーの模型のような物だ。
『幸せは、願ってます』
一時の間、メフィストは悪魔の姿になりゲヘナにいる兄弟とサタンに会っていた。
誰が一番早くサタンの身体を用意出来るか、その会議には光の姿となっているルシフェルもいる。
メフィストが持ちかけたのは、人間を殺して憑依体を探さないで欲しいというものだ。口上手なメフィストが言う。
サタン(父上)がアッシャーでつくられた双子の一人はサタンの炎を継ぎ、その仔をサタンの憑依体として育てると。
秘密裏に研究していた子供も育っていく。悪魔としてか、人としてか。
『どういう事だ?』
『父上や我々の血が、少しずつ薄まっていく可能性があります。ですが、その双子と一緒ならば可能性はまだあるハズです』
『父上、私なら、父上にもっと完璧な憑依体をご用意いたします』
口を挟むのは、ルシフェルだ。
『私には多くの信奉者がいます。十三號セクションの研究は、彼らが引き継ぐ。いずれ父上がお望みの、
完璧な憑依体を造ることが可能になるでしょう。サマエルが用意したその少女も、研究でまたどうにかなるでしょう』
『・・・兄上にそうやすやすと渡すつもりありませんが、そうなった時は仕方ありませんね』
『それまでどうかしばしのお時間を。必ずやサマエルより先に完成させてみせます』
サタンが大胆に笑い出す。
『いいぜ、面白ぇ!!ルシフェル、お前は気に入ってるんだ。お前に免じて待ってやる!』
『勿体なきお言葉』
『エクソシスト、テメーは信用してねぇ。結果を出したら、申し出を受けてやる』
『御意』
サタンの憑依体を用意する競争が、兄弟たちの中で静かに幕を開ける。
その頃、獅郎は正式に聖騎士の称号を受け継いでいた。儀式は最後まで忙しない。しかし、その中で獅郎の頭の中にサタンの囁きが聞こえた。
『・・・ヒヒ、お前とは一度繋がった仲だからな、ヒャヒャヒャ・・・見ているぞ、エクソシスト』
数日後、獅郎は悪魔の心臓を封印した降魔剣を隠して置く為に、降魔剣を譲ってくれた明陀宗に話をつけていた。
勝呂の父親である達磨は驚愕しながらも了承してくれ、メフィストはそれに伴い獅郎に"神隠しの鍵"を渡す。
いつか覚醒する仔の為に、肉体が心臓を求め暴走した時の為に。
それから獅郎と、双子の忙しない生活が始まるのだった。
最初は子育てに助けはいらないと頑なになっていた獅郎だが、日々普通の仔と違うパワーを見せる仔、特に炎を継いでる燐の方は手に負えなくなっていく。
双子に"奥村"という名字をつけ、青い夜で人のいなくなった修道院の院長として、棄児扱いで養護することになったことを伝え、
かつての仲間を頼っていく。燐と雪男が物心がつく頃、獅郎にもちかけられた少女の話が修道院に広まっていた。
その少女はメフィストに押し付けられたもう一つの約束だ。大人しかった少女は施設にいたが、雪男と同じく悪魔が見え出した。
施設の先生がそれを不審に思い、獅郎に相談がもちかかったのだ。
皆がそれぞれ成長し、時は既に中学入学を迎える。
『何!?その歳で独り暮らし!?』
驚く獅郎の声に、複雑そうな顔を見せる燐と雪男がいる。
『ずっと、中学入学したらって考えてたんです、私一人女だし、叔父様の負担も減らしたいし・・・』
『そりゃ、考えてくるのは嬉しいが・・・まず、金がねぇし、まだ早過ぎるんじゃねーか?』
自分の過去から考えて否定するのは些かどうかとおもうが、出来る事なら一緒にいてやりたいのだ。
いつ、覚醒するかもわからない、悪魔の見える、身寄りがここ、修道院だけの少女を。
『僕も神父さんと同じだな、わざわざ離れなくても』
獅郎と雪男の視線は、玲薇から燐に向けられる。一番仲が良くて、燐の後ろにいた玲薇だから。
燐はそんな二人から視線をそらし、髪をかく。
『・・・相談は、したよ。けど、玲薇が決めたから・・・』
獅郎は腕を組み悩むも、ハッと閃く。
『よし!隣の小屋を部屋にしちまえばいい!』
暗かった双子の顔も、パッと明るくなる。
『なら、飯はそのままここで食えるじゃん!それだ!』
『それならまだ少し安心だね』
『え〜、皆心配しすぎだよ』
楽しそうに笑う昔の自分と彼ら。あの頃は何も知らなくて、本当に楽しかった。
彼女が離れて暮らすと言った時は寂しかったけど、ちょっぴり大人になった自分なら理解できて。
それが原因じゃないけど、雪男とギクシャクした時期もあった。
全部が、過去が、あの日に繋がっていく。
悪魔と馴れ合う夢を見て失敗した、だが、なんにもしなかった俺達よりマシだろ!!』
『ええ。サタン相手に母のように、姉のように、恋人のように在るのは並大抵の事ではなかったでしょう。
ですが、陰にどんな涙が、真心があろうと世の中には結果が全てなのです。やった事だけみれば、彼女は魔女と違いありません。
彼女の真心は、貴方の胸の中に。世の中には、判り易い方便が必要です。が、私もこの愛らしい赤ん坊を殺す気はありません。貴方に育ててもらいます☆』
言うや、メフィストがベビーセットを出したのだ。
『サタンかルシフェル、あるいは両方か・・・いずれ災厄は復活する。その日の為に、私には"武器"が必要です。
武器となる、強き存在に育てなさい』
この双子を育てるだけじゃなく、強くしろというのか。目を丸くする獅郎は、願いが2つあると堪らず叫ぶ。
『契約違反だ!!』
『そんな事ありません』
ニヤつきながら首を横に振るメフィストは、それらを含めた願いはただ一つ、騎士團に一生忠誠を誓う犬になってもらうというものだ。
『貴方はね、私にものを頼んだ時点で、永久に自由を捨てていたんですよ』
大胆に笑うメフィスト。悪魔嫌いの獅郎だったが、どうやら悪魔と馴れ合うのは自分だったようだ。
ユリ・エギンは失敗した。
『では、貴方はどうですか』
すると、別の部屋から赤ん坊の泣き声がした。目の前にいる双子のとはどうやら別のようで。
『何だ?』
首をかしげる獅郎に、頭を垂れるメフィスト。
『まぁいずれ、貴方に頼むこともあるかもしれないので伝えておきます』
『面倒ごとは懲り懲りだぜ』
『まぁそう言わず。もう一つ研究させていた仔です。聖騎士には秘密裏に出来ませんから』
『チッ・・・あれか・・・』
部屋のドアをあけ、メフィストはその女の子を抱き上げた。
『可愛らしいでしょ』
『・・・・・・・・・・・』
獅郎は何も言わない。あれは自分たちと同じくらい赦されない研究だ。
『この仔の悪魔としての質はいずれ落ちる。血を混ぜたのは悪魔の血といえど、これ以上は厳しい。悪魔の特徴の尻尾などつかなかった。
それでも、あの双子といれば覚醒するチャンスもあるハズ』
『なんだその当てずっぽうは』
『未来は無数にあるので。一先ずこの仔は施設にでも預けますよ。悪魔の姿は見えると思うので、貴方が迎えに行ってあげて下さい』
『何で俺なんだ!?』
『さすがに私の顔は出せません。そうですね、親はいませんが、口伝えで母が巫女さんとでも教えてあげればいい。父親は貴方です』
多分この頃から、メフィストはオタクになっていたに違いない。
『名前も決めました。それから・・・』
パッとメフィストが出したのは、四葉のクローバーの模型のような物だ。
『幸せは、願ってます』
一時の間、メフィストは悪魔の姿になりゲヘナにいる兄弟とサタンに会っていた。
誰が一番早くサタンの身体を用意出来るか、その会議には光の姿となっているルシフェルもいる。
メフィストが持ちかけたのは、人間を殺して憑依体を探さないで欲しいというものだ。口上手なメフィストが言う。
サタン(父上)がアッシャーでつくられた双子の一人はサタンの炎を継ぎ、その仔をサタンの憑依体として育てると。
秘密裏に研究していた子供も育っていく。悪魔としてか、人としてか。
『どういう事だ?』
『父上や我々の血が、少しずつ薄まっていく可能性があります。ですが、その双子と一緒ならば可能性はまだあるハズです』
『父上、私なら、父上にもっと完璧な憑依体をご用意いたします』
口を挟むのは、ルシフェルだ。
『私には多くの信奉者がいます。十三號セクションの研究は、彼らが引き継ぐ。いずれ父上がお望みの、
完璧な憑依体を造ることが可能になるでしょう。サマエルが用意したその少女も、研究でまたどうにかなるでしょう』
『・・・兄上にそうやすやすと渡すつもりありませんが、そうなった時は仕方ありませんね』
『それまでどうかしばしのお時間を。必ずやサマエルより先に完成させてみせます』
サタンが大胆に笑い出す。
『いいぜ、面白ぇ!!ルシフェル、お前は気に入ってるんだ。お前に免じて待ってやる!』
『勿体なきお言葉』
『エクソシスト、テメーは信用してねぇ。結果を出したら、申し出を受けてやる』
『御意』
サタンの憑依体を用意する競争が、兄弟たちの中で静かに幕を開ける。
その頃、獅郎は正式に聖騎士の称号を受け継いでいた。儀式は最後まで忙しない。しかし、その中で獅郎の頭の中にサタンの囁きが聞こえた。
『・・・ヒヒ、お前とは一度繋がった仲だからな、ヒャヒャヒャ・・・見ているぞ、エクソシスト』
数日後、獅郎は悪魔の心臓を封印した降魔剣を隠して置く為に、降魔剣を譲ってくれた明陀宗に話をつけていた。
勝呂の父親である達磨は驚愕しながらも了承してくれ、メフィストはそれに伴い獅郎に"神隠しの鍵"を渡す。
いつか覚醒する仔の為に、肉体が心臓を求め暴走した時の為に。
それから獅郎と、双子の忙しない生活が始まるのだった。
最初は子育てに助けはいらないと頑なになっていた獅郎だが、日々普通の仔と違うパワーを見せる仔、特に炎を継いでる燐の方は手に負えなくなっていく。
双子に"奥村"という名字をつけ、青い夜で人のいなくなった修道院の院長として、棄児扱いで養護することになったことを伝え、
かつての仲間を頼っていく。燐と雪男が物心がつく頃、獅郎にもちかけられた少女の話が修道院に広まっていた。
その少女はメフィストに押し付けられたもう一つの約束だ。大人しかった少女は施設にいたが、雪男と同じく悪魔が見え出した。
施設の先生がそれを不審に思い、獅郎に相談がもちかかったのだ。
皆がそれぞれ成長し、時は既に中学入学を迎える。
『何!?その歳で独り暮らし!?』
驚く獅郎の声に、複雑そうな顔を見せる燐と雪男がいる。
『ずっと、中学入学したらって考えてたんです、私一人女だし、叔父様の負担も減らしたいし・・・』
『そりゃ、考えてくるのは嬉しいが・・・まず、金がねぇし、まだ早過ぎるんじゃねーか?』
自分の過去から考えて否定するのは些かどうかとおもうが、出来る事なら一緒にいてやりたいのだ。
いつ、覚醒するかもわからない、悪魔の見える、身寄りがここ、修道院だけの少女を。
『僕も神父さんと同じだな、わざわざ離れなくても』
獅郎と雪男の視線は、玲薇から燐に向けられる。一番仲が良くて、燐の後ろにいた玲薇だから。
燐はそんな二人から視線をそらし、髪をかく。
『・・・相談は、したよ。けど、玲薇が決めたから・・・』
獅郎は腕を組み悩むも、ハッと閃く。
『よし!隣の小屋を部屋にしちまえばいい!』
暗かった双子の顔も、パッと明るくなる。
『なら、飯はそのままここで食えるじゃん!それだ!』
『それならまだ少し安心だね』
『え〜、皆心配しすぎだよ』
楽しそうに笑う昔の自分と彼ら。あの頃は何も知らなくて、本当に楽しかった。
彼女が離れて暮らすと言った時は寂しかったけど、ちょっぴり大人になった自分なら理解できて。
それが原因じゃないけど、雪男とギクシャクした時期もあった。
全部が、過去が、あの日に繋がっていく。