第二十五話 答え
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次に燐が目にしたのは、『青い稲妻作戦』が終わった後の研究所だった。研究員は皆パニックになり、上がる火の手から一目散に逃げていく。
その中でも、死体のような身体をしてもルシフェルは研究所を歩いていた。
『もう研究もお終いですね。実験体(ちちうえ)は消えた・・・しかも、後足で盛大に砂をかけていきまし』
言葉を終える前に、ルシフェルの骨になっている足がボキッと折れた。
『!』
『ル、ルシフェル様!!』
『ああ・・・』
転がり落ちるルシフェルの身体が、まばゆい黄金に光出す。
『もう、痛みすら感じない。無です』
発光するルシフェルに影響するように、液体につけられた玲薇の人間の姿に近付いていた肉体が光出す。
それは焦る研究員達も守るように、青い炎を寄せつけていない。
『お連れ致します。サマエル様は今手が離せないので、私が』
光は一瞬で消え、完成した人間の仔。ルシフェルの光と共鳴したのは、彼の血も含まれていたからだろう。
メフィストに仕えているベリアルが、戸惑い逃げられなかった研究員を残し、その子供と消えた。
『・・・今のこの温かさは、なんでしょう・・・?』
戸惑うも、ルシフェルはボロボロだった肉体もなくし、悪魔の姿に戻っていく。自身の強い光を放ち守りながら。
『私の希望の光は潰えたのに』
血がうずき、心がざわめく。セクションにも、用はなくなってしまった。
『ならば私が、平等で公平なやさしい世界を創る。遍く生きとし、生ける者よ、光あれ』
強い光の熱に当てられ、周りにいた人間を消していく。ルシフェルのそばにいたエレミヤは、防御で自身をまもった。
壊れていく中でみたのは、セクションで造られた子供のクローンの一人が、生き残る姿。
『時よ止まれ"エルストフヴェン"』
『!!』
黒い球体を作り出していたルシフェルの動きが止まる。唯一時を自在に操れる人物を、知らない訳がない。
『サマエル・・・』
呆れたように呟き、その名を呼んだ。
『兄上、そこまでです』
無理矢理力で時を止める為に黒い球体に刺さった鍵を外すのは無謀だ。だが、力の差は歴然。
『・・・可哀想な我が弟。こんなものはニ十秒と持たない』
『ニ十秒あれば十分でしょう』
『!!』
なんの称賛があるかと、気配を感じ上を見ると、シェミハザがいた。メフィストが出したカラスのような鳥に運ばれ、
落ちる勢いでルシフェルの顔にしがみつく。
『ルシフェル、もうこれ以上は!』
『ネフィリム・・・!!なっ!!こ、このちからは』
悪魔の姿の顔から腐敗し、人の顔になり、若返り老いていく。理解する。シェミハザの結晶の力を借りたのだと。
だが所詮、ネフィリムは混血でその血も先細っていると聞いていた。
『後継も、もはや常人と聞く。その身の程で・・・この光の王を超越できると思ったか!』
その強い光は、メフィストさえも後ずさるほどだ。
『きゃあああ!!』
シェミハザの足が、熱を帯びたルシフェルの手で焼かれていく。
『ルシフェル・・・!気づかないのですか、己の矛盾に!
貴方もサタンも、思い通りにならなければ、大暴れして多くを巻き添えにする。美しい言葉で誤魔化して。
平等などではない、世界を一瞬で破壊できる存在が何を言う』
『う・・・あ、ああ、ならば貴様も同類だ!!私を殺す貴様も・・・』
『いいえ。生命をよりよくあるよう導くこと、それがシェミハザの力。生命の生死は、身体が決める。
生きることは死ぬこと。死ぬことは生きること。お願いです、どうか死を恐れないで』
シェミハザの力により、ルシフェルを鎮めることができた。それと同時に、長い夜も明けた。
サタンが暴れた結果、世界中に広がった青い炎は、多大な傷跡を残した。そしてそれは、小さな赤子となった玲薇に力を残す。
『もっと早く結晶を使う決心をすべきでした』
『いいえ、シェミハザの結晶は有限です。使うタイミングを見極めねば。これが最善でした』
『しかし、あまりにも多くを失ってしまいました。不都合の帳尻に合わせるために、泥沼に嵌まってしまった。
我々グリゴリの失態です。私はグリゴリを辞します』
語るメフィストとシェミハザのもとに、ルシフェルの遺骸を焼き清め最深部に封印するための聖櫃が用意された。
まだまだやることは山積みだ。状況を見かねたメフィストが、一歩下がる。
『私も、失礼します。また後で。落ちついたら日本で庭いじりでもしながらご隠居されては?歓迎いたします☆』
『・・・感謝します』
やる事が山積みなのは、メフィストも同じだ。いつもの屋敷の部屋に戻ったメフィストは、執事のベリアルと話をしていた。
『連れ出せたか?』
『はい、ご無事です。今はよく寝ておられます。これからどうなさいますか?』
クローンとは別にやらせていた、細胞から悪魔の血を入れさせた人の子。母親の胎内のような装置に入れられ育ったそれは、
一人の女の子として生まれ育った。愛らしい娘の姿に、思わずメフィストの顔も緩む。
『考えはある。娘として育てるには些か苦労するだろう』
そこへ、誰かの訪問だ。ベリアルも同じく察したようで、口にした。
『お客様が』
『判っている』
子のいる部屋のドアを閉め、メフィストは姿勢を引き締め椅子に座る。そこに通されたのは、獅郎だった。
『・・・貴方、どの面下げてここへ?ユリ・エギンは?』
『死んだ。火葬して、海にまいてやった。テメーらのオモチャにはさせねぇ』
『勝手な事を・・・』
そして、目の前に置かれたのはサタンの赤子達。双子はおくるみの中で泣き呻く。
『まさかサタンの仔を手土産にすれば、反逆罪が帳消しになるとでも?』
『まさか。あれだけ周到に準備して、肉体と心臓を分離したんだ。お前がそうやすやすとコイツらを殺させるはずねぇ。
現状じゃお前に預けるのが一番安全だ。どーせ俺のこの行動もお前の計画通りなんだろーからなぁ?時の王様』
『・・・・・・チッ、裏をかくのは私の専売特許であって、貴方にかかれるのは実に不愉快です』
『俺はサイコーに愉快だ。じゃーな、騎士團に未練もねーし、俺は逃げる』
このまま終わると思った獅郎に、メフィストの待ったに足を止める。
『お待ちなさい、貴方、私との"約束"を忘れてませんか?』
『は?』
『貴方が一度でも悪魔に屈した時、私のお願いを何でも一つだけ聞く約束です』
『あ?』
それは、獅郎がまだ子供の時にしたことだ。その時の事をハッキリ思い出し、顔が青ざめる。
『そ・・・でも、俺は悪魔に屈してなんか』
『このサタンの仔は、半分悪魔です』
得意げになったメフィストは、ペラペラ言葉を紡ぐ。
『半分とはいえ、危険な悪魔の側面が存在しているのですよ。それをたおせずに見逃すとは!』
『ああ!?ちょ・・・』
『屈していないというなら、殺しなさい。今ここで、さあ』
『・・・・・・無理』
悔しいが、それだけは出来ない。メフィストは嬉しそうにニヤリと笑う。
『フッフフ。では、"藤本獅郎。貴殿は魔女、ユリ・エギンが召喚した魔神サタン及びサタンの仔を、降魔剣にて調伏し、青い夜を鎮めた。
その英雄的功績は、騎士團の象徴となるにふさわしい。依って、第二百五十一代聖騎士に叙する"』
その中でも、死体のような身体をしてもルシフェルは研究所を歩いていた。
『もう研究もお終いですね。実験体(ちちうえ)は消えた・・・しかも、後足で盛大に砂をかけていきまし』
言葉を終える前に、ルシフェルの骨になっている足がボキッと折れた。
『!』
『ル、ルシフェル様!!』
『ああ・・・』
転がり落ちるルシフェルの身体が、まばゆい黄金に光出す。
『もう、痛みすら感じない。無です』
発光するルシフェルに影響するように、液体につけられた玲薇の人間の姿に近付いていた肉体が光出す。
それは焦る研究員達も守るように、青い炎を寄せつけていない。
『お連れ致します。サマエル様は今手が離せないので、私が』
光は一瞬で消え、完成した人間の仔。ルシフェルの光と共鳴したのは、彼の血も含まれていたからだろう。
メフィストに仕えているベリアルが、戸惑い逃げられなかった研究員を残し、その子供と消えた。
『・・・今のこの温かさは、なんでしょう・・・?』
戸惑うも、ルシフェルはボロボロだった肉体もなくし、悪魔の姿に戻っていく。自身の強い光を放ち守りながら。
『私の希望の光は潰えたのに』
血がうずき、心がざわめく。セクションにも、用はなくなってしまった。
『ならば私が、平等で公平なやさしい世界を創る。遍く生きとし、生ける者よ、光あれ』
強い光の熱に当てられ、周りにいた人間を消していく。ルシフェルのそばにいたエレミヤは、防御で自身をまもった。
壊れていく中でみたのは、セクションで造られた子供のクローンの一人が、生き残る姿。
『時よ止まれ"エルストフヴェン"』
『!!』
黒い球体を作り出していたルシフェルの動きが止まる。唯一時を自在に操れる人物を、知らない訳がない。
『サマエル・・・』
呆れたように呟き、その名を呼んだ。
『兄上、そこまでです』
無理矢理力で時を止める為に黒い球体に刺さった鍵を外すのは無謀だ。だが、力の差は歴然。
『・・・可哀想な我が弟。こんなものはニ十秒と持たない』
『ニ十秒あれば十分でしょう』
『!!』
なんの称賛があるかと、気配を感じ上を見ると、シェミハザがいた。メフィストが出したカラスのような鳥に運ばれ、
落ちる勢いでルシフェルの顔にしがみつく。
『ルシフェル、もうこれ以上は!』
『ネフィリム・・・!!なっ!!こ、このちからは』
悪魔の姿の顔から腐敗し、人の顔になり、若返り老いていく。理解する。シェミハザの結晶の力を借りたのだと。
だが所詮、ネフィリムは混血でその血も先細っていると聞いていた。
『後継も、もはや常人と聞く。その身の程で・・・この光の王を超越できると思ったか!』
その強い光は、メフィストさえも後ずさるほどだ。
『きゃあああ!!』
シェミハザの足が、熱を帯びたルシフェルの手で焼かれていく。
『ルシフェル・・・!気づかないのですか、己の矛盾に!
貴方もサタンも、思い通りにならなければ、大暴れして多くを巻き添えにする。美しい言葉で誤魔化して。
平等などではない、世界を一瞬で破壊できる存在が何を言う』
『う・・・あ、ああ、ならば貴様も同類だ!!私を殺す貴様も・・・』
『いいえ。生命をよりよくあるよう導くこと、それがシェミハザの力。生命の生死は、身体が決める。
生きることは死ぬこと。死ぬことは生きること。お願いです、どうか死を恐れないで』
シェミハザの力により、ルシフェルを鎮めることができた。それと同時に、長い夜も明けた。
サタンが暴れた結果、世界中に広がった青い炎は、多大な傷跡を残した。そしてそれは、小さな赤子となった玲薇に力を残す。
『もっと早く結晶を使う決心をすべきでした』
『いいえ、シェミハザの結晶は有限です。使うタイミングを見極めねば。これが最善でした』
『しかし、あまりにも多くを失ってしまいました。不都合の帳尻に合わせるために、泥沼に嵌まってしまった。
我々グリゴリの失態です。私はグリゴリを辞します』
語るメフィストとシェミハザのもとに、ルシフェルの遺骸を焼き清め最深部に封印するための聖櫃が用意された。
まだまだやることは山積みだ。状況を見かねたメフィストが、一歩下がる。
『私も、失礼します。また後で。落ちついたら日本で庭いじりでもしながらご隠居されては?歓迎いたします☆』
『・・・感謝します』
やる事が山積みなのは、メフィストも同じだ。いつもの屋敷の部屋に戻ったメフィストは、執事のベリアルと話をしていた。
『連れ出せたか?』
『はい、ご無事です。今はよく寝ておられます。これからどうなさいますか?』
クローンとは別にやらせていた、細胞から悪魔の血を入れさせた人の子。母親の胎内のような装置に入れられ育ったそれは、
一人の女の子として生まれ育った。愛らしい娘の姿に、思わずメフィストの顔も緩む。
『考えはある。娘として育てるには些か苦労するだろう』
そこへ、誰かの訪問だ。ベリアルも同じく察したようで、口にした。
『お客様が』
『判っている』
子のいる部屋のドアを閉め、メフィストは姿勢を引き締め椅子に座る。そこに通されたのは、獅郎だった。
『・・・貴方、どの面下げてここへ?ユリ・エギンは?』
『死んだ。火葬して、海にまいてやった。テメーらのオモチャにはさせねぇ』
『勝手な事を・・・』
そして、目の前に置かれたのはサタンの赤子達。双子はおくるみの中で泣き呻く。
『まさかサタンの仔を手土産にすれば、反逆罪が帳消しになるとでも?』
『まさか。あれだけ周到に準備して、肉体と心臓を分離したんだ。お前がそうやすやすとコイツらを殺させるはずねぇ。
現状じゃお前に預けるのが一番安全だ。どーせ俺のこの行動もお前の計画通りなんだろーからなぁ?時の王様』
『・・・・・・チッ、裏をかくのは私の専売特許であって、貴方にかかれるのは実に不愉快です』
『俺はサイコーに愉快だ。じゃーな、騎士團に未練もねーし、俺は逃げる』
このまま終わると思った獅郎に、メフィストの待ったに足を止める。
『お待ちなさい、貴方、私との"約束"を忘れてませんか?』
『は?』
『貴方が一度でも悪魔に屈した時、私のお願いを何でも一つだけ聞く約束です』
『あ?』
それは、獅郎がまだ子供の時にしたことだ。その時の事をハッキリ思い出し、顔が青ざめる。
『そ・・・でも、俺は悪魔に屈してなんか』
『このサタンの仔は、半分悪魔です』
得意げになったメフィストは、ペラペラ言葉を紡ぐ。
『半分とはいえ、危険な悪魔の側面が存在しているのですよ。それをたおせずに見逃すとは!』
『ああ!?ちょ・・・』
『屈していないというなら、殺しなさい。今ここで、さあ』
『・・・・・・無理』
悔しいが、それだけは出来ない。メフィストは嬉しそうにニヤリと笑う。
『フッフフ。では、"藤本獅郎。貴殿は魔女、ユリ・エギンが召喚した魔神サタン及びサタンの仔を、降魔剣にて調伏し、青い夜を鎮めた。
その英雄的功績は、騎士團の象徴となるにふさわしい。依って、第二百五十一代聖騎士に叙する"』